白の入り江
ロミア「おかえりなさい!ずいぶんお戻りが遅いから、私とっても心配してましたわ!もしかして、あなた方にも何かあったんじゃないかと不安で祈りの歌を歌っていたんです。
それでどうでしたか?キナイは....私を、迎えに来て....くれますか?」
ロミアは伺うようにこちらを不安げに見つめている
イレブン「.........ロミア、ごめんなさい。キナイさんはもう、亡くなっていたんです」
イレブンは顔を下に向けながらとても言いにくそうに真実を告げた
ロミア「え?......キナイが....死んだ?
何を言っているの?イレブンさん。いや....よ。
そんな事ってないわ.....」
ロミアはその言葉を聞くとまるで魂が抜け出たような顔になり、呆然と言葉を呟いている
イレブン「ロミアにこれを......。キナイさんがこれを握って死んでいったらしい」
イレブンはロミアに約束のベールを渡した
ロミア「え?.....キナイが、このベールを握って死んでいった?
.....ウソよ!!だって.....だってキナイは、必ず迎えに来ると約束してくれた!
ごめんなさい、イレブンさん。私は彼の死を、この目で確かめるまでとても....信じられない。
あなた方にこのベールをくれた方と会わせてください!私をナギムナー村まで連れていってください!」
ロミアはベールを抱きしめるように見た後、はっきりとした目でイレブンに強く語りかけた。その姿は意地でもイレブン達に付いていこうとしているようだった
しじまヶ浜
ロミア「ここなら人が来ないようですから、私はここで待ってます。何度もわがままを言ってごめんなさい。ここにその方を連れてきてください。どうか、どうかお願いします」
ナギムナー村
イレブン「キナイさん。ベールをロミアに渡してきたよ」
キナイ「そうか。嫌な頼み事をしてすまなかったな。お礼に、俺が出来る事なら、船の修理でも何でもしよう」
イレブン「....じゃあ、この後しじまヶ浜に来てもらってもいいですか?」
キナイ「しじまヶ浜に?あそこには何も無いぞ?まあ、そんな事でいいなら早速行こうか」
しじまヶ浜
空は雲で月が隠れて暗く、辺りが見えにくくなっている
キナイ「こんな所につれてきて一体どうしたってんだ?」
ロミア「キナイ....なの?」
ロミアがキナイの声に反応した
キナイ「ああ、俺がキナイだが、君は?」
周囲は暗く、キナイとロミアは互いに姿が見えていなかった
ラース「.....月が出てきたな」
そんな時、まるで二人に姿を見せるためかのように雲が晴れ、月が姿を見せるとキナイとロミアの姿が互いにはっきりと見えた
キナイ「!そんな、まさか....本物の人魚なのか?」
ロミア「.....あなた、キナイじゃないわ」
ロミアはキナイのその台詞で別人とすぐに判断した
キナイ「あんたが探してるキナイは、俺の祖父だ。あの人は、もういない。ここで.....死んだ。あれが祖父の墓だ」
キナイが指差す先には、簡単な石でできたボロボロの墓があった
ロミア「!!?.....ああ.........キナイは、こんなにもさびしい所で......一人ぼっちで.....死んでいった。
人魚は500年の時を生きる。人間の一生は、私達人魚にとって一瞬な事を忘れてたわ。.....あれから、そんなにも時が経っていたのね」
ロミアはそれを見ると悟ったかのような顔になり、暗く苦しそうな顔を浮かべた。まるでロミアの心の中でもよぎっていたかのように静かに、切なく受け止めている