デルカダール城下町
町はいつもよりも人が多く賑わっていた。甘い香りもどこからかしている
ラース「何だか人がいつもより多いな。カップルも増えているな。どういう関係だ?」
お菓子屋
女性「いらっしゃいませ。あ!ラース様!お疲れ様です」
ラース「よお、何だか店の雰囲気変わったか?」
ラースは店を見渡しながら言った
女性「あら?知らないのですか?今日はバレンタインです!女性が意中の男性に想いを込めたチョコレートを贈る。そんなロマンチックな日なんですよ」
ラース「それは知っているのだが、店までそのために変えたのか?」
女性「もちろんです!可愛らしくしてみました。この時期はチョコレートもよく売れるんです!それに最近は友チョコとも言いまして、女性同士、男性同士でチョコレートを贈る人も増えてるんですよ!」
ラース「ほう、そうだったのか。それは知らなかったな」
女性「実はラース様にはいつもお世話になっているので、私からチョコレートのプレゼントです!受け取ってください!あ!マルティナ様がいらっしゃるのは知ってるので、本命なんかじゃありませんよ!」
ラース「お、おう。ありがたく貰うぜ。ありがとな」
女性「はい!お店に来た方にプレゼント用のチョコレートもあるのでそちらも食べていってください。それではごゆっくり」
ラース「なるほど、この容器の中のやつの事か。しかしそんなに知名度が高いのか、バレンタインというのは」
広場
女性「あ!ラース様!こんにちは!あの、これ受け取ってください!」
ラース「お、おう。ありがとな、えっとハッピーバレンタイン?」
女性「ふふ、ラース様それは渡す側が言うんですよ。ハッピーバレンタインです。チョコレートじゃなくてクッキーですけど食べてください」
ラース「あ、そうなのか。恥ずかしい事をしたな。ありがとう。チョコレートじゃなくてもいいんだな」
女の子「ラース様ー私からもあげるー。昨日ママと作ったの」
ラース「お、それは大事に食べないとな。美味そうじゃないか、よく作られてるな」
女性「私もハッピーバレンタインです!」
女性「私もラース様に食べて欲しくて!」
ラース「ま、待て。皆から受け取るから順番にな!」
ラースの周りには大勢の人が集まり始めた
その後、カフェ
メグ「いらっしゃいませ!って、ラース様!大丈夫ですか!?」
ラース「多すぎだろ。こりゃあ夕飯前に食ったら飯が食えなくなる」
ラースは腕に持ちきれない程の量のチョコレートを持っていた
メグ「あの、カゴに入れてどうぞ」
ラース「ありがとな、メグ。あ、バンから皆宛のチョコレート俺も貰ったぜ。メグが作ってくれたんだってな。兵士達の皆も喜んでたぞ。ありがとな」
メグ「いえ、気になさらないでください。バンのために作った余りなので。それより私、ラース様宛にチョコレート別に作っちゃったんです。でもそんなにあるなら渡せないですね」
ラース「え!?いや、貰うぞ?俺用なら貰わないわけにはいかないからな。この大量のやつは何とかするから気にしないでくれ」
メグ「それでは、ハッピーバレンタインです。それとラース様、その量だと一月後大変じゃないですか?」
ラース「ん?何かあるのか?」
メグ「あら?ご存知ないですか?バレンタインは女性が男性にチョコレートを贈る日ですけど、貰った男性は一月後の同じ日に贈った女性にお返しをするホワイトデーというものがあるんですよ」
ラース「な!?何だって!!?」
メグ「あ.....。私はお返しはいらないですよ。バンから貰えるので」
ラース「チョコレートじゃないとダメなのか?俺、お菓子作りはあまり得意じゃないんだが」
メグ「いえ、別にチョコレートじゃないとダメではないですよ。物だったり花束だったり、人によって様々ですよ」
ラース「な、なるほど。しかし、この量は確かに大変な事になるな。教えてくれてありがとな。メグにもお返しを考えておくぜ。折角くれたんだからな」
メグ「わかりました。ですが、無理はしないでくださいね」
ラース「ああ、ありがとな」
その後、マルティナ親子の部屋
ラース「ただいまー」
マルティナ「あらお帰りなさい、ラース。って、何その量!」
部屋に戻るとマルティナがベロニカ達と話していた
ラース「食い物が貰える日だと浮かれて町にいったらこれだぜ。流石にまずいな。ゆっくり食べていくとしよう」
マルティナ「そ、そうした方がいいわ。(嘘.....。まさかラースがこんなに貰うなんて。これじゃあ私、自信無くなっちゃうわね)」
ベロニカ「あんた貰いすぎよ。断ってもよかったんじゃないの?」
ラース「人からの好意を無碍にできるか!」
セーニャ「流石ラース様ですわ。お優しいのですね」
シルビア「でもラースちゃん。そんなに貰うとホワイトデーに地獄を見るんじゃないかしら?」
ラース「そうなんだよ。どうしたもんかな」
マルティナ「ホワイトデー?何かしら?」
ベロニカ「あら、マルティナさんは知らなかったのね」
セーニャ「ホワイトデーというのは、バレンタインにチョコレートを貰った男性がその女性にお返しをする日ですわ。丁度一月後の同じ日なんですよ」
シルビア「だからラースちゃんはこのチョコレートの山の数だけお返しをしないといけないのよ」
マルティナ「ええ!?そんな日があるの!?」
ベロニカ「まあこだわってる人は少ないと思うけど、私はラースからお返しとしてダーハルーネで最近出た服を買ってもらうわ!」
ラース「おいおい、まさか指定もありなのかよ」
シルビア「そんな事ないけど、ほしい物をプレゼントした方がいいと思うわ」
セーニャ「ラース様、私は無くて構いませんわ。どうか気になさらないでください」
ラース「いや、お返しは絶対全員にする。貰ったら返すのは当然だ。そんなのも出来ないなんてクズみたいじゃないか」
マルティナ「うふふ、素敵ねラース」
夕方、バルコニー
マルティナは一人で考え事をしていた
マルティナ「ハァ......(どうしましょう。折角作ったけど何だか申し訳なくなってきたわ。あんなにあるのに更に増やすなんて。しかもお返しの量まで増やしちゃう)」
シルビア「お隣失礼してもいいでしょうか?王女様?」
マルティナ「え?何だ、シルビアじゃない。誰かと思ったわ」
シルビア「あら、ごめんなさい。何かお悩みのようね。アタシに相談してみないかしら?」
マルティナ「わかったわ。実は、私も昨日ラースや皆にチョコレートを作ったの。ラースには特別頑張ったんだけど、何て言って渡したらいいかわからなくて後回しにしていたの。
朝の時にお父様やマルス達の分はあげたんだけど、その後渡さないでいたらまさかあんなにラースが貰ってくるなんて。あれだけあるのに更に増やしたらラースには申し訳ないわ。
お返しなんて興味ないけど、ラースの事だから絶対に渡してくるわ。たくさんあるんだから私一人にそんな手間かけさせたくないの。シルビア、チョコレート食べてくれないかしら?」
シルビア「なるほどね。マルティナちゃん、残念だけどそれは受け取れないわ。それはあなたの大切な想いがこもったチョコレートじゃない。そんな大切な物はラースちゃん以外ふさわしくないわ。
それにマルティナちゃん。いくらラースちゃんがたくさん貰ってきていたって、ラースちゃんの顔は満足してなかったわ。きっとマルティナちゃんからのチョコレートを待ってるのよ。
何たって愛している奥さんからのチョコレートよ?それさえあればラースちゃんはきっと満足するわ。あれだけあったって、マルティナちゃんからのチョコレートが一つも無いならラースちゃんは困るのよ。
ラースちゃんはマルティナちゃんからのチョコレートを迷惑になんて絶対に思わないわ。絶対よ。これは騎士に誓うわ。どうやって伝えるかよりも、その作ってくれた想いが大切なの。
マルティナちゃん、勇気を出して渡してみましょう?」
シルビアはマルティナの肩に手を置いて優しく微笑んだ
マルティナ「シルビア.....。ふふ、ありがとう。私、頑張ってみるわね」
シルビア「絶対いい結果になるわよ〜」