その頃、バンの部屋
部屋ではラースとバンとダバンが話していた
ラース「バン、調子に乗るからそうやってボコボコにされるんだからな」
バン「だって俺はメグから貰えて嬉しかったんですよ。少しくらい自慢したっていいじゃないですか」
ダバン「それをするなって言ってるんだよ。そういう所直さないと、お前はずっと馬鹿呼ばわりだぞ」
バン「えー。悔しいなら皆だって恋人くらい見つけろよな」
ダバン「うぜえ。もう一回殴ってやろうか」
ラース「あーあ、メグはバンにチョコレートくれたのに何でマルティナは俺の分だけ用意してないんだよ。流石に悲しいぞ」
バン「マルティナ様らしくないですよね。普段だったら絶対に渡しそうなんですけど」
ダバン「もしかして本当は用意してるんじゃないですか?マルティナ様にはチョコレートが用意されてるか聞いたんですか?」
ラース「いや、聞いてないな。ただ俺には特に何もないし、普段通りだから本当に用意してない気がするんだ」
バン「思い切ってマルティナ様にチョコレートください!ってお願いしたらどうですか?」
ラース「うーん、それだと俺がチョコレートに飢えてるみたいじゃないか。まあ食い物としては好きだが、町の人から大量に貰ったからな」
バン「ダバン、師匠のこの自然と人気者アピールのこれにはイラつかないのか?」
ダバン「別にラース将軍が人気なのはずっと前からだろ。基本優しいし、人当たりもいい。貰えて当然だ。俺はバンみたいな馬鹿が貰えてる事にイラついてるんだ」
バン「師匠!聞きましたか!?俺の扱いが皆して酷いんです!兵士長に対する扱いじゃないですよね!?」
ラース「それならバンはもっと兵士長らしく指導しろ。今日見てたが、マーズ達に頼りっぱなしだったじゃないか。出来ない所や足りない所を補うのはいい事だが、頼りきったらダメだろうが」
バン「うぐっ....」
ダバン「正論だな。バン、わかったら明日はもう少し頑張れよな。見習い達からもバンさんは少し間抜けだって言われてたぞ」
バン「えー!?それマジかよ、ダバン!!俺、明日から頑張る!!」
ラース「舐められるんじゃねえぞ、バン。お前は戦いでは強いんだからな。ちゃんと言葉にして今まで俺が教えた事を伝えるんだ。それじゃあ俺は部屋に戻るぜ」
バン「あ、師匠!もし本当にマルティナ様からチョコレート貰えなかったら、俺の方が妻に愛されてるって事でいいですか?」
ラース「喋れなくしてやろうか?」
ラースはバンを睨む
バン「あ!いえいえ、何でもないですよ!へへ、気にしないでくださいね!」
ダバン「ハァ、懲りないやつだよ、お前は」
マルティナ親子の部屋
ラースが部屋に戻るとマルティナが待っていた
ラース「おお、マルティナ。子ども達は?」
マルティナ「マルス達はグレイグと訓練してるみたいよ」
ラース「なるほど。なあ、マルティナ。あの....その、何というか....今日ってバレンタインだよな?俺の分ってのは.....?」
ラースは少し言いにくそうにしている
マルティナ「ごめんなさい、ラース。ずっと渡そうと思っていたんだけど、何て言って渡したらいいかわからなくて困ってたの。
だからその.....はい。ラースの分だけ特別なの。一番頑張って作ったやつよ。町の人達から貰ったチョコレートの方が美味しいと思うけど、よかったら食べてくれると嬉しいわ」
マルティナは少し照れながら箱を渡した
ラース「......」
マルティナ「ラ、ラース?どうしたの?」
ラース「ハアアア」
ラースはその場に座り込んだ
マルティナ「え?急に座り込んでどうしたのよ」
ラース「よかった.....。俺、まさかマルティナから貰えないのかと思ってずっと不安だったんだぜ。朝の時からずっとな。ありがとう、マルティナ。まさかそんな事で悩んでいたとはな。言葉なんかいらないのによ」
マルティナ「ごめんなさい、でも折角のプレゼントだもの。何か一言言いたかったのよ」
ラース「それならこの一言だけでいいよ。ラースの事が好きですってな」
マルティナ「え、ええ!?....わかったわよ。コホン、ラースの事が好きよ。私の気持ち受け取って」
ラース「もちろんだ、マルティナ!!俺も大好きだぞ!!」
ラースは起き上がり、マルティナに抱きついた
マルティナ「キャッ!急に抱きつかないでよ」
ラース「いやー、こんなに嬉しいチョコレートは生まれて初めてだからな。記念に飾ってもいいか?」
マルティナ「え!?ダメよ、食べ物なんだから食べてちょうだい。味の感想も知りたいわ」
ラース「えー、でもこのチョコレートは世界に一つしかないんだぜ?勿体ないぜ」
マルティナ「町の人達からのチョコレートはさっき少し食べてたのに、これはそんなに大事にするの?あまり変わらないわよ」
ラース「わかってないなー、マルティナ。これはマルティナが俺のために作ってくれたんだ。わざわざ"早起き"して頑張ってな。それに、愛する妻からのチョコレートだ。大事にしない理由なんてどこにもないぜ」
マルティナ「あ、ありがとう。って、早起きした事気付いてたのね。でも!ちゃんと食べてね!長持ちはあまりしないんだから」
ラース「ああ、勿論だ。このチョコレートは俺の独り占めだ!」
ラースは笑顔で喜んでいる
部屋の前では
シルビア「(ウフフ、やっぱり大成功ね。幸せそうで何よりだわ。さて、アタシも帰ろうっと!)」
シルビアが聞き耳を立てており、スキップをしながら帰っていった
その夜
ラース「ええっとこのチョコレートはビターで苦味もあって美味しかった。このクッキーは中にオレンジが入っていて食べやすかった....」
ラースは紙に感想を書いている
横には食べ終わったチョコレートやクッキーの残骸が積まれている
マルティナ「まだ食べてるの?そろそろやめた方がいいわ。明日に持ち越しましょう」
ルナ「お父さんいいなー。あんなにたくさんあって」
マルス「僕にも分けてよー」
ラース「へへ、悪いなマルス。これは俺への物だからな。分けてやるわけにはいかないんだ」
マルティナ「わざわざ感想も考えてるのね。全部にそうやって考えるの?」
ラース「おう。気持ちにはまず言葉でお礼を言いたいからな。物はまた一月後だ。どうしたものかな。まあ、今日はこの辺にしておくか」
マルティナ「それじゃあ寝ましょう。また明日食べてちょうだい」
ラース「あと二日はかかるかな。甘いものはもうしばらくは控えないとな。おやすみ、マルティナ、マルス、ルナ」
マルティナ「おやすみなさい、ラース、マルス、ルナ」
マルス「父さん、母さん、おやすみ」
ルナ「お父さん、お母さん、おやすみなさい」