ガラッシュの村
前まであった家の残骸や倒れた木などは全て無くなって草原のようになってきていた
カミュ「久しぶりに来たな。瓦礫とか全部無くなってるんだな」
シルビア「本当だわ。前まではあったのに」
マルティナ「ラースが一人で片付けたの。二年くらい前かしら」
グレイグ「俺達も手伝おうとしたのだが断られてな」
ロウ「ふむ.....。じゃが、変な所も不思議な力も何も感じないのう」
イレブン「一度お墓まで行ってみよう。そこも確認してみないと」
ガラッシュの村奥地
セーニャ「あら?お墓に何か張り付けられてますわ」
ベロニカ「ゴミかしら?あら、文字が書いてあるわね」
カミュ「ん?マルティナ様へってこれ!マルティナへのものだぞ」
マルティナ「ええ!?こんな所に?何かしら」
マルティナ様へ
いつもラースがお世話になっております。ラースの婆と爺です。あの子は今、夢の世界に落ちようとしています。このままでは二度と目覚めなくなってしまうでしょう。
その前にどうか、あの子を助けてあげてください。急にこんなものを残してしまいすみません。霊となってしまった今、できる力を振り絞ってもこれくらいしかできません。どうか、お願いします
グレイグ「霊からの手紙だと!?しかも、下の日付は一昨日のものだな」
マルティナ「夢の世界?そこにラースは向かおうとしてるのね」
ベロニカ「でも、もうほとんど眠りっぱなしだわ。このままじゃ本当に起きなくなるわよ」
セーニャ「救い出す方法はないのでしょうか」
ロウ「夢の世界....。もしや、あの技が必要なのかもしれんのう」
ロウは何かを思い出したように呟いた
シルビア「ロウちゃん、何か知ってるの?」
ロウ「わしの師匠、ニマ大師が話しておった事があってのう。人は稀に自身の夢の世界に誘われる。そこに行ってしまったものは二度と目覚めることのない夢を見続けるのじゃ。
幸せな夢か悪夢かはわからん。もしその人を目覚めさせたいのなら夢の世界に入る必要がある、と。そこまでしか言ってはくれんかったが、今一度話を聞きに行った方がいいのう」
イレブン「夢の世界に入るのか。そんな事できるんだね」
カミュ「全く。兄貴は何やってるんだか。夢に負けそうになってるなんて」
ドゥルダ郷 大修練場
ニマ「おや、勇者様御一行じゃないか。久しぶりだねえ。元気にしているみたいで何よりだよ」
ロウ「お久しぶりです、大師様。実は今日は大師様にお話があって参りました」
ニマ「わざわざあたいにかい?一体どうしたんだい」
イレブン「突然すみません、大師様。実は仲間の一人が夢の世界?に誘われてるんです。もうほとんど眠りっぱなしで、何とか助けていただけませんか?」
ニマ「何だって!?それは本当かい!?それは大変だよ。すぐにあたいをその仲間の元に連れて行ってくれ!」
マルティナ「ありがとうございます。どうかお力をお貸しください」
デルカダール城
マルティナ親子の部屋
バン「あ!皆様、大変なんです。師匠がうなされてしまって。しかも何しても起きないんです」
ニマ「......。なるほどね、これは確かにかなり進行している。もう体は半分以上、夢の世界にいっているね」
ニマはラースを少し見つめた後、静かに言い放った
セーニャ「何とかなりますか?」
ニマ「頼ってもらってこんな事言うのも何だけど、あたいに出来る事はほとんどないんだ」
グレイグ「な!?それではラースはこのままなのか!?」
ニマ「それはあんた達にかかってるよ。あたいが出来るのは、このラースってやつの夢の中にあんた達を送り込むだけ。それ以外はどうしようもないね」
ベロニカ「夢の中に?そんな事できるの?」
セーニャ「でも、入ったからといってもどうすればよろしいのですか?」
ニマ「ドゥルダに伝わる秘術だね。もう何十年と使われなかった技さ。そこに行って、夢の中にいるラースを助け出してやるのさ。何にこの人が囚われているのかはわからない。中に入ってそれを断ち切ってやるんだ」
ロウ「なるほど。ならば行くしかあるまい」
ニマ「だが、これはとんでもなく危険な事だよ。なんせ夢の世界だ。現実では起こるはずのない事がいくつも起きる。しかも、見ている夢はどうやら悪夢のようだね。
更に、もしもあんた達が夢に負けたら最後、全員揃って永遠の夢の中に落ちていく。そんな危険な場所だよ。それでも行くかい?」
マルティナ「そんなの決まってるわ。私は行く。私一人でもその世界に行って、ラースを助け出してみせる」
全員「うん!」
全員迷いもせずはっきりと決意している
ニマ「アッハッハ。流石は勇者様達だねえ。聞くだけ無駄だったってわけかい」
バン「皆様!俺も行きます!前に師匠が俺を救ってくれたように、今度は俺が、師匠を救って見せます!」
カミュ「流石バンだ、来いよ!また力を貸してくれ」
シルビア「頼もしいわ、バンちゃん!」
バン「よろしくお願いします!」
ニマ「さて、覚悟はいいかい?何があっても自分の心に負けるんじゃないよ。それじゃあ送りこむ。無事に帰ってくるんだよ」
グレイグ「むう....。急に眠くなってきた」
ニマ「こうやって眠らせて、魂を夢に送るのさ。さあ、頑張ってきな」