夢の世界
イレブン「ん....ここは?」
イレブンが目覚めると草原にいた
バン「あ、イレブンさん、起きましたか。ここはガラッシュの村の前みたいです」
セーニャ「この先にはまだガラッシュの村がありましたわ」
ロウ「ここはもうラースの夢の中じゃろう。行ってみようかの」
ガラッシュの村
そこはまだ村があり、人達も元気に走り回ったら生活をしている
広場の中心にはとても大きな木があり、優しく村を見守っている
マルティナ「ここがガラッシュの村。確かに広場に大きな木があったのね。それに、閉鎖的だけど子どももそれなりにいるじゃない」
グレイグ「自然に囲まれた綺麗な場所ですな。........今とは比べものにならんな」
カミュ「俺達の姿は見えてないみたいだぜ。兄貴もどこかにいるのか?」
ベロニカ「あ!あそこにラースに似た子がいるわ!」
ベロニカが指差す方を見ると、お爺さんと一緒にラースと思われる子どもがいた
祖父「ラースよ、ここが村で一番大きな場所じゃ。これからはここで遊んでいるのじゃぞ」
子ラース「う、うん。でも、お勉強しなくていいのですか?」
子どものラースはお爺さんの後ろにくっつきながら、不安そうにキョロキョロしている
祖父「なーに、そんな事はまだしなくていい。お主はもっと自由に遊んでいいのじゃぞ」
お爺さんは優しく子どものラースの頭を撫でる
子ラース「え、えへへ。本当?僕、ずっと外で走り回ってみたかったんだ」
祖父「おお、そうじゃったか。どれ、木の周りでも走ってみるといい」
子ラース「うん!やったー!」
子どものラースは元気にイレブン達の近くを走っている
イレブン「あれがラース?すごい痩せてるよ。ラースがガラッシュの村に来たばかりの頃なのかな」
ロウ「おそらくそうじゃろう。それに、腕や足に傷がたくさんついておる。ラースのこれまでがどれだけ悲惨だったかが伝わってくるのう」
バン「師匠って過去に何かあったんですか?」
グレイグ「そうか。バンはラースの幼少期を知らないのだったな。あまり詳しくは教えてやれないが、ラースは子どもの頃、親から虐待を受けていてな。人として扱われていなかったのだ。
このガラッシュの村には親から捨てられて、魔物に殺されかけていた所を、今隣にいる爺さんに助けられて来たのだ」
バン「師匠にそんな事があったんですか!?俺、何も知らなかったです」
マルティナ「あまり本人も話したがらない事だもの。あんな事、思い出したくもないはずだわ」
バン「はい。でも、それでも師匠は師匠です!何があったってそれは変わりませんからね!」
シルビア「バンちゃんったらカッコいいじゃない!その気持ちは大事よ!」
セーニャ「あら?あちらの方でラース様と話されてる男の子は」
子ギルグード「ん?お前、誰だ?この村で見たことないぞ」
子どものギルグードがボールを持って現れた
子ラース「あ、初めましてだね。僕の名前はグラン。少し前にこの村に来たの。よろしくね」
子ギルグード「へえ、こんな所によく来たな。しかし、傷だらけじゃないか。痛くないのか?」
その時、お爺さんも話に入ってきた
祖父「おお、ギルグード。よかった、この子を紹介しておくぞ。この子の名前はラース。先日、魔物の群れに襲われておったラースをわしが助けてきたんじゃ。仲良くしてやってくれ」
子ギルグード「え?ラース?あれ?でもさっきグランって言わなかったか?」
子ラース「あ、間違えた。僕は親に捨てられたの。だからおじいちゃんが僕に新しく名前をくれたんだ。その名前がラースって言うの。早く慣れないとだね」
子ギルグード「.....そっか。よろしくな、ラース。俺の名前はギルグードだ。俺の友達と一緒に遊ぼうぜ。ほら、来いよ、ラース」
子ラース「いいの?ありがとう、ギルグード!僕、誰かと遊ぶなんて初めてだよ!」
子どものギルグードはラースの手を取って走っていく
ラースも目をキラキラとさせている
ベロニカ「この子がギルグードね。確かに面影はあるわ。私達はほとんど彼を知らないけど、ラースにとって彼はとっても大切な人だったのよね」
イレブン「あ、あれ!?何だか世界が変わっていくよ!」
バン「何だか目まぐるしく回ってますね!」
イレブン達の周りはどんどん時が動いていく
シルビア「落ち着いたわね。場面は変わっているという事かしら」
ラース「皆....。やめてくれよ」
ガラッシュの村の広場があった場所でラースは小さくなっている
ロウ「ここは.....ガラッシュの村が無くなった後か。何が起こっておるんじゃ」
ラースの周りにはよく見ると複数の人達がいる
女性A「あんたがシルバーオーブを持っていったせいで死んじゃったじゃない!」
男性A「そうだ!俺達はこれからもずっと幸せに生きていけるはずだったのに!」
男性B「勝手に村に来て勝手に村から出ていった。何て自分勝手なやつだ!」
女性B「私達がどれだけ痛い思いをして死んだと思ってるの!?」
女性C「あんたはこの村にとって死神よ!」
ラース「やめてくれ...。俺は、そんなつもりでやったんじゃないんだ」
ラースは耳を塞ぐようにしている
カミュ「これは....相当応えるぜ」
ギルグード「お前は俺より強くねえのに、村長からちょっとチヤホヤされていい気になってんじゃねえか?そんなんだから何も守れねえんだよ。俺との約束すら守れねえもんな、ラースは」
婆「あんたにはずっと出て行ってもらいたかったの。さあ、出て行って」
爺「わしの教えも守らんやつじゃ。こんなやつは息子としていらんわい。どこへなりとも行くがよい、グラン」
ラース「やめて...くれ。ギルグード、すまなかった。婆ちゃん、わがまま言ってごめん。爺ちゃん、俺をラースって呼んでくれたのは、爺ちゃんからだろ?グランとは呼ばないって言ってくれたのに....そんな...」
ラースからは涙が流れている
カミュ「兄貴...。ちっ!嫌なもんだな!何もできねえのかよ!」
カミュはラースに手を伸ばすが透けてしまう
マルティナ「これが...ラースの中にある、悪夢。見ていられないわ」
イレブン「え!?待って!僕達まで出てきたよ!」
ベロニカ「本当だわ!しかも最強装備の時だわ!」
偽シルビア「ラースちゃんったらそうやってウジウジしてるのやめてほしいわ」
偽ロウ「お主はこのメンバーにはいらんのう。別にお主がやらんでもわしらで充分じゃ」
偽ベロニカ「魔法だってちょっと扱いが上手いだけじゃない。魔物を倒しきれなきゃ意味ないのよ」
偽カミュ「格闘技も最初こそすごかったが、別に今はマルティナだってできる。二人もいらないぜ」
偽グレイグ「姫様に無闇に近づきおって!お前は基礎もなってないやつなんだ。邪魔だ!どっかに行け!」
偽セーニャ「ラース様、私はもうあなたについて行くのは意味がないとわかりましたわ。私は皆様と行きます」
偽イレブン「ラース、皆が迷惑してるんだ。お願いだから、抜けてくれないかな?」
偽マルティナ「私にはあなたじゃあ釣り合わない。さようなら、つまらなかったわ」
ラース「......」
ラースは何も言わなくなってしまった
マルティナ「何よ、あれ!私達はあんな事言わないわ!」
セーニャ「また場面が変わっていきますわ!」
グレイグ「ここは何処だ?何も見えないぞ」
真っ暗で何もない場所になった
ラース「......そこに誰かいるのか?」
遠くからラースがこっちに歩いてきた
カミュ「!?兄貴!」
ラース「何だ、お前達か。こんな所まで来てどうしたんだよ」
イレブン「僕達の姿が見えるんだね!ラース、目を覚ましてよ。僕達と一緒に帰ろう」
ラース「断固拒否だな。お前達とはいられねえ。俺は、皆といても相応しくないんだ」
ラースは皆から目を逸らす
ロウ「何を言っておるのじゃ、ラースよ。お主はわし達の大事な仲間ではないか」
ラース「俺なんかは入れねえんだよ。元から周りとは違ってるからよ。自分の村や、育ててくれた皆を見殺しにしたやつが、こんな綺麗なところにいられるかよ」
マルティナ「ダメよ、ラース。あなたはそんな後ろ向きに考える人じゃないでしょ?さっきの私達や村の人は全部偽物よ。騙されちゃダメ」
ラース「マルティナ、君はまだ、俺の本当の心を知らない。俺は、世界を皆と守って君と過ごしても、何も変われなかった。俺は、自分でどれだけ誤魔化しても意気地なしのままさ。ガラッシュの村が無くなったあの日からずっと.....」
バン「師匠!弱気にならないでください!大丈夫です。皆師匠を待ってますよ!」
ラース「もう来ないでくれ。俺はこのままでいいんだ」
ラースがそういうと壁ができ、ラースの方へいけなくなった
イレブン「あ!ラース、待ってよ!どこに行くの!」
ラースが歩いて行く先には魔物が見えた
魔物「グフフフフフ」
魔物はまるで大きな鳥のような姿をしている
カミュ「あいつが元凶なのか?兄貴!!ラース!!そっちに行くんじゃねえ!」
セーニャ「どうかお戻りください、ラース様!そちらは罠ですわ!」
マルティナ「ラース!この壁をどかして!!」
イレブン達は壁を叩きながらラースに叫んでいる
ラースには誰の声も届かず、魔物に食べられてしまった
全員「!?」
魔物「ハアア、最高じゃなあ。夢に誘い、絶望した人間の味は」
シルビア「やだ!ラースちゃん!?嘘でしょ!?」
ベロニカ「魔物のやつ、何て事してくれてるのよ!」
魔物「ん?何やら呼んでおらんやつらがいるのう。どうやって入ったかわからんが、この世界はわしのもの。お主達が好きなようにできるわけなかろう」
イレブン「さっきから魔法を打とうとしてるんだけど、全く発動しないよ!」
グレイグ「特技もできん!どうなっているんだ!」
魔物「あの男は実にいいやつじゃった。心の奥底に隠した闇は実に美味い。記憶を読み取り、あの男が最も嫌な事を目の前で大量にしてやる。
そうしたらどうだ?あんなに気丈だったやつも、今ではわしの掌で踊っておるわ。この空間は呪文も特技も使えん。わしに攻撃する事もできんぞ。
さあ、次はお主達の番じゃ。ゆっくりと、ゆっくりと調理していってやろう」
マルティナ「イレブン、勇者の剣で何とかならないかしら!」
イレブン「任せて、マルティナ!剣よ、悪を払え!」
剣は光り輝くが、何も起こらなかった
イレブン「ええ!?そんな!」
バン「あ!でも、壁は無くなりました!これで戦えますよ!」
魔物「グフフフ。さあ、かかってくるがいい。夢の恐ろしさ、特と味わうがいい!」