イレブン「マルティナ、泣かないでよ」
マルティナ「だって....ラースが全く話を聞いてくれないじゃない。それに、あんな事して。私、ラースの事何もわかってなかった」
マルティナは少し離れた場所でイレブンと一緒にいた
シルビア「あ、よかった。見つけたわ、二人とも」
グレイグ「姫様、大丈夫ですか?ラースのやつ、姫様を泣かせるなどありえん!」
ベロニカ「本当よ!しかも何よ、あの態度。こっちの事勝手に決めつけちゃって!私、頭にきたわ!」
バン「俺、師匠が誰かを泣かせるなんて初めて見ました」
セーニャ「私達も見たのは初めてですわ。あれは本当にラース様なのでしょうか?ラース様はあんなに暗い空気を纏っているお方ではないのですが」
ロウ「親からの虐待や、村の壊滅による絶望はラースの中で密かに育っておったのじゃな。あの目は、何者も信用しない目じゃ。わしらでさえ、信用しておらんかった。どうしたものかのう」
その時、どこかからニマ大師の声が聞こえてきた
ニマ「あんた達!聞こえるかい?聞こえたら返事しておくれ!」
カミュ「この声はニマ大師の声か?ああ!聞こえてるぜ!」
ニマ「よかった!全員無事かい?何だか随分と時間がかかってるみたいだから心配してたんだよ」
イレブン「僕達は全員無事です!心配かけてすみません!まだかかりそうなんです!」
ニマ「そうかい。その中は大半が悪夢で出来てるはずだよ!その中にこの男がいたとしても、きっとそいつは闇の部分さ。もしかしたら、本人とは思えないような事をしてくるかもしれない!攻撃的になっているかもしれないね。
でも、それは決して本心の行動ではないよ!騙されないようにね!自分達が信じているこの男を信じてやるんだよ!」
イレブン「わかりました!それはありがたい情報です!ありがとうございます!」
マルティナ「そっか....。あれはラースに見えるけど、悪い部分のラースなのね」
グレイグ「なるほど。闇のラースか。それならあの異様な雰囲気も納得できる。行動もな」
ベロニカ「うっ....。私ったら騙されてたわ。そうよね、ラースはマルティナさんを泣かせる事を嫌っていた。本心とは逆のことをしていたのね」
バン「よかった!あれが本心の師匠じゃなくて!」
ニマ「それと今、この男の周りをウロウロと沢山の光が飛んでいるんだよ。何か心当たりはあるかい?」
ロウ「光?はて、何じゃろうか」
シルビア「何か関係があるのかしら?」
カミュ「すまねえ!俺達にはわからねえな!」
ニマ「どうやらラースに語りかけてるみたいだよ。悪い物ではないから、この光達も夢の中に送ってみるよ。後は自分達で何とかしてくれるはずだ。それじゃあ、引き続き頑張るんだよ」
イレブン「少し整理してみようか。まず、ラースの夢の中を見てわかったのは、ラース自身は中に闇があってそれのせいでおかしくなっている」
カミュ「そうだな。あの魔物はよくわからないが、あいつが原因ってわけでも無さそうだ。関係してはいるのだろうが、根端にあるのはあいつ自身が持っている闇だろう。だから、あの闇の部分のラースを何とかしてやらないといけない」
バン「そうですね。あの師匠を改心させられれば、きっと本人も夢から覚めていくはずですよね」
セーニャ「ですがどうしましょうか。今私達の声は届いていないですわ」
シルビア「アタシ達じゃあラースちゃんの闇は消せないのかしら。何とか力になりたいのだけど」
マルティナ「あのラースに足りないのは自信や誇りだわ。幼少期や村の壊滅で、自信を持つ事を恐れているのね。ラースがこれまでにしてきてくれた事を言えば少しは届いてくれるんじゃないかしら」
ベロニカ「確かにそうね。一先ずその作戦で行ってみましょう!.........あら?向こうから光が来るわ」
遠くからフヨフヨと光が漂ってきた
グレイグ「あれがニマ大師の言っていた光なのか?自我があるようだが」
イレブン「あ、こっちに気づいたみたい」
光がこっちに来た
光「ああ、貴方方が勇者様ですね?お探ししましたよ」
光から声が聞こえてきた
カミュ「あんた達は一体?」
光「少し姿を戻しましょう。ほいっ!」
光は形を変え、爺さんと婆さんの姿になった
爺さん「初めまして、勇者様。私はガラッシュの村のラースの祖父です。ずっとみておりましたよ」
婆さん「息子のラースがお世話になっております。私はラースの祖母です。あなたがマルティナさんですね。いつも息子を支えてくださって、本当にありがとうございます」
二人は全員に深々とお辞儀している
グレイグ「あなた達がラースが話していた祖父達でしたか。ここは危険な所です。どうして来てくださったのですか」
祖父「いえ、息子が夢の世界に誘われていたのに気づいたのですが、私達ではどうする事もできなかったのです。ですが、夢の世界に入ってしまえばこうしてラースが抱えている物と話す事ができる」
祖母「愛する息子の事です。ここがいかに危険だろうと、親なら何だってやってやりますよ。それにあの子の事です。私達の村や皆の事を苦しく思っているのでしょう。勘違いを解いてやらなければなりませんね」
マルティナ「そうなんです。ラースはずっと、村の事を気にしてるんです。どうかお力をお貸しください」
祖父「もちろんですよ、マルティナ様。そのために村の皆も連れてきました。ラースにしっかりとこの思いを届けましょう」
シルビア「ラースちゃん、よかったわ。二回目の親はしっかりラースちゃんを愛してくれていて」
祖母「初めて来た時のラースはよく覚えています。子どもとは思えない体、言葉、行動、態度。前の親による影響だったのでしょう。どれもが心を痛めるものでした」
バン「師匠は村の皆さんと出会えたおかげで、今の師匠があるんですね。お二人が愛情を持って師匠を育ててくれたので、優しい師匠になれたんだと思います。ありがとうございます」
祖父「弟子のバンさんでしたな。ラースが話しておりましたよ。自慢の弟子だと。ほほ、優しくも強い目をしておる。これはラースもいい弟子と巡り合えたものじゃな」
バン「ほ、本当ですか?ありがとうございます」
祖母「ラースは今どこにおりますか?」
ロウ「この先におるんじゃ。先ほど話をしようとしたのじゃが、嫌がられてのう。姫、マルティナとの思い出の品も壊されてしまったんじゃ」
祖母「まあまあ、それは本当にすみません。マルティナさん、その行動はあの子の本心ではないんです。ラースの事をどうか信じてあげてくださいね」
マルティナ「はい。私はもう大丈夫です。あのラースが本心でやったわけじゃないと知りました。それなら、私が知っているラースを信じるだけです」
祖父「強いお方ですね、マルティナ様。それでは向かいましょう、案内をお願いします」
ベロニカ「わかったわ、こっちよ。おじいちゃん達が来てくれれば、きっとあのラースも心を開くかもしれないわ」