それから五日後
ガラッシュの村 奥地
そこには勇者達とデルカダール王、城の兵士達が揃っていた
イレブン「さあ、ラース。花を」
ラース「ああ.....」
ラースは花束を墓の前に置く
ラース「皆、話は聞いた。俺の心の中にある闇を、勘違いを無くしてくれてありがとう。俺、自信なんて今まで持てなかったけど、これからはこの村の誇りとして、自信を持って生きていく。絶対に。また見守っててくれ。捧げ物はまた広場で焼いて届けるよ。宴会でも開いててくれ」
ラースが墓に向かい祈り始めると全員頭を下げ、祈り始めた
数分後
イレブン「あ!」
デルカダール王「おお。何という事か」
祈っているラースの周りには村の全員がこちらを笑顔で見て、祖父と祖母はこちらに向けお辞儀をしているのが見えた
バン「師匠はこの村の全員からずっと思われている、という事がよくわかりますね」
マーズ「すげえ。あれがこの村の人達なのか」
ギバ「ラース将軍は幸せ者だな。こんなにたくさんの人から見守られてる」
ガク「皆、笑ってますね。俺も優しい気持ちになってきますよ」
ラースが祈りを終えると皆の姿は見えなくなった
ラース「ハハ。どうやら周りに皆がいたみたいだな。少し懐かしい感じだった」
ベロニカ「あの中にギンさんとミルさんもいたわ。あの二人も村の人と一緒にいるのね」
ラース「皆、今日はこんな所に集まってくれてどうもありがとう。村の全員喜んでるだろうぜ。こんなにたくさんの人がこの村に来た事なんてなかったんだからよ」
デルカダール王「ガラッシュの村の方々、どうか安らかに」
ガラッシュの村 広場
グレイグ「ここにあの大きな木があったんだな。焼け落ちて、今は何も残っていないが」
ラース「ああ、そうだ。ここに神木様があったんだ。何も無いように見えるが、ここ見てみろよ」
ラースは地面を指す
セーニャ「あら?....これは芽ですか?」
ラース「ああ、そうだ。ここにも新しく植物ができようとしている。自然は時が流れるにつれ、こうやって新しいものへと変わっていく。俺も変わっていかないとな」
シルビア「そうね。もしかしたらこの芽が大きくなれば、また大きな木ができるかもしれないわ」
ロベルト「新しい木に変わって、またここに誰かが住み始めるんでしょうか」
ラース「そうかもしれないな。そしたらまたここも賑やかになる」
カミュ「これも命のサイクルなんだな。人間と自然の関係性によるものか」
ラース「さて、これを燃やしますか。皆、火はよろしく。イレブン達は曲の準備だ」
そうして捧げ物は燃やされ、煙はバギにより上にあがっていった
その間、ずっと安らぎの唄が流れていた
しばらくして
ロウ「全て燃え尽きたのう。これできっと届いた事じゃろう。唄も一緒にな」
ダバン「今のがこの村の子守唄ですか。いい曲ですね」
ラース「ありがとな。さあ、これで墓参りは終わりだ。皆ありがとう。さあ、城に帰ろう」
そうして仲間達は元の場所へと帰っていった
それから一週間後
デルカダール城 王の私室
ラースとグレイグはデルカダール王に呼ばれていた
ラース「王様、お呼びですか」
デルカダール王「うむ。お主とグレイグに話があってのう」
グレイグ「私達二人にですか。どうされたのですか」
デルカダール王「わしも旅行に行きたい」
グレイグ「......ん?」
ラース「え?」
デルカダール王「わしも旅行に行きたいんじゃ。家族ぐるみでどこかに行ってみたいんじゃ」
グレイグ「まだ諦めていなかったのですか。いくら王位から離れたと言っても、王は易々と人前に出れるお方ではないのですよ」
グレイグはため息混じりに呟く
デルカダール王「じゃが、子ども達もわしとどこかに行きたがっておってのう。どうか頼まれてはくれんか」
ラース「マルス達が....ですか。ですが王様。行くとしてもあまり人目につかない所になりますよ?」
グレイグ「おい、ラース。もっと反対するのだ」
デルカダール王「わしはそれでも構わん。可愛い孫達の願いは叶えてやりたいのだ。グレイグよ、お主は子ども達の願いを無碍にする気か?」
グレイグ「ぐっ....。ですが王よ。城はどうするのです。姫様も誰もいなくなるのは問題ではありませんか?」
デルカダール王「城はわしが他の国に行っている時のように封鎖すればよい。兵士やメイド達には休みだと言っておくのじゃ」
ラース「ですがどこに行くのですか?場所はほとんど選べませんよ」
デルカダール王「いい機会でな。実はクレイモランに行こうと思っておるのだ」
グレイグ「な!?何を言っておられるのですか!あそこは寒い上に、人も多いのですよ!それに寒さで体調を崩されたらどうするのです!」
ラース「おい、グレイグ。寒いと二回言ったぞ」
デルカダール王「リーズレット殿の恩を返そうと思っていてな。困った事は特になさそうなので、とりあえずお礼の品だけでも持っていきたいのじゃ。子ども達からのお礼もまだだったからのう」
グレイグ「お城に用があるという事ですか。それなら確かに人目や理由づけには困りませんが」
デルカダール王「そうであろう?もうシャール殿には手紙を出してあるのじゃ」
ラース「仕事が早い!!俺達の意見なんて聞く気なかったんですか!?」
デルカダール王「ハッハッハ!お主達の事じゃ。無理に止める事はせんだろうと思っておったからな」
グレイグ「ハァ。ラース、諦めろ。こうなった王は止められん。周りにはクレイモランへの用事で城を空けると伝えておけ」
ラース「そうみたいだな。まあ、元々止める気はさらさら無かったけどよ」
グレイグ「私は姫様に話をしてきます。それではお先に失礼します」
グレイグは部屋から出ていった
ラース「ハァ。王様、策士ですね。そのお城の用事は偽装ですよね。本命は何ですか?」
ラースは呆れたように言った
デルカダール王「ハッハッハ!流石はラースじゃ。気づかれておったか。なに、心配はいらん。何やら最近、クレイモランに新しい人気のスイーツ店が出来たと聞いてな。わしも行ってみたいんじゃ」
ラース「そんな事だと思いましたよ。グレイグに怒鳴られても知りませんからね」
ラースもため息をついている
デルカダール王「それともう一つ用事があってな。先日マヤ殿から手紙が届いて、学校が連休に入るらしい。期間が短いので城には行けない事を謝られてのう。それなら、わしらから向かえばよいだけの話じゃ」
ラース「完全に前のマヤとの旅行を根に持ってますね。わかりましたよ。何処か立派な宿を手配しておきます」
デルカダール王「頼んだぞ、ラース。楽しみにしておるぞ」