しばらくして
二人「わ〜い!」
スノーベビー「キャン!キャン!」
マルス達とスノーベビーはそりで何度も滑って楽しんでいる
デルカダール王「ハッハッハ!そりは楽しそうだな!」
グレイグ「確かにあれは頑張ったかいがあるな。まさか坂を作るのがあんなに大変だとは思わなかったが」
マヤ「もう一回行くの?二人とも」
マルス「うん!そりって楽しいね!」
ルナ「おいで、シロ。もう一回乗ろう!」
スノーベビー「クゥーン」
スノーベビーも喜んで二人についていく
マルティナ「ねえ、ラース。あの子って」
ラース「わかってるさ、マルティナ。あの子は親に見捨てられた子だ」
カミュ「やっぱりそうだよな。さっき奥の方でホワイトパンサーがこっちを見ていた。だが、他の子と一緒に戻っていったからな」
マルティナ「このままでいいのかしら?野生に返しても、あの子は生き残れないんじゃないかしら」
ラース「そうだとしても、返さなきゃならない。デルカダールはあの子にとって気候が違いすぎる。暑くて死んでしまうだろう」
カミュ「だが、返した所で人間の優しさを知った魔物は毒牙が抜ける。ましてやまだ子どもだ。すぐに死ぬだろうな」
マヤ「ねえ、兄貴。私達で」
カミュ「駄目だ、マヤ。気持ちはわかるが世話ができない。家を空ける事が多いんだ」
マヤ「そっか....。ごめん、兄貴」
カミュ「謝る必要はない、マヤ。これが自然の流れだ」
ラース「ほら、マルス達。スノーベビーとお別れだ。野生に返してやるんだ」
デルカダール王「その子とたくさん遊んだであろう。つらいだろうが、返してやりなさい」
マルス「え....う、うん。わかった」
ルナ「お母さん、お父さん、お願い。お城に連れて行って」
マルティナ「ごめんね、ルナ。その子は寒い所でしか育てないの。デルカダールはここより暖かくて、その子にはつらいの。だから、返してあげて」
ルナ「.....わかった。シロ、ほら、ありがとう」
スノーベビー「キューン?クゥーン....」
スノーベビーは二人についてこようとする
マルス「来ちゃ駄目だよ。ほら、あっちに帰って」
スノーベビー「......」
スノーベビーはトボトボと雪原の方へと歩いていった
二人「......」
二人も悲しそうな顔で見つめていた
ラース「......さあ、城下町に戻るぞ」
クレイモラン城下町
デルカダール王「ラースよ、宿は用意してくれたのだな?」
ラース「はい。よさそうな所を探しておきました」
マルティナ「ええ!?そんな事までしてたの?」
ラース「ああ。八人で予約してあるぜ」
カミュ「八人....?おい、それってまさか」
マヤ「私達も入ってるじゃん!!」
デルカダール王「ああ、もちろんだ。これは家族旅行なのだからな。お主達も宿に来てほしいのだ」
カミュ「まさか俺達がクレイモランの宿に泊まるのか」
マヤ「私、初めてだよ。家があるからそんな機会あるわけないって思ってた」
グレイグ「王よ、そこで私とお話しさせていただきますからね」
デルカダール王「わかっておる。それではラースよ、案内してくれ」
ラース「はい。こっちです」
宿
主人「お待ちしておりました、デルカダール王様方!うちをご利用くださり、誠にありがとうございます!それではお部屋へとご案内させていただきますね」
その夜
ラース「よし、皆で飲みに行こうぜ。折角クレイモランに来たんだ。お城の料理以外は久しぶりだろ?宿のご飯は王様と子ども達以外頼まなかったんだ。さあ、行こうぜ!」
グレイグ「な!?いいのですか、王よ!」
デルカダール王「ああ、お主達でぜひ楽しんでくるといい。わしは子ども達と一緒に楽しもう。先ほどの件は少し宥めておいてやるからな」
マルティナ「ありがとうございます、お父様」
マヤ「ご飯も兼ねてるんだよね?それならあそこかな、兄貴」
カミュ「だな。いい店を知ってるんだぜ、兄貴。案内してやるよ」
ラース「流石だな、カミュ!任せた!」
酒場
カミュ「ここだ。奥に個室もあるからそこにしようぜ」
マヤ「私はここに来るの久しぶりだな。何かお祝い事がないと来ないんだよね」
グレイグ「む?あそこのカウンター席に座っている方は」
グレイグはカウンター席に座る特徴的な体格をした人に気付く
ラース「お!じいさんじゃないか!よお、じいさん!」
ロウ「ん?おお!ラース達じゃったか!こんな所でどうしたんじゃ」
マルティナ「私達は今ここに夕ご飯を食べに来たんです」
マヤ「おじいちゃんも一緒に食べる?」
ロウ「どれ、わしも混ざってもよいかの?」
グレイグ「ぜひ一緒に食べましょう、ロウ様」
その後
マルティナ「お城のご飯もいいけど、やっぱりこういう味も懐かしくて好きだわ」
マヤ「そっか。姉ちゃん、昔はずっとこういうご飯だったんだもんね」
カミュ「それで兄貴?思惑は何だよ」
ラース「げ。マジか、気づいてやがった」
グレイグ「何か話があるんじゃないのか?わざわざお前が宿の美味いご飯を食べないなど、普通なら考えられん」
ロウ「何かあったのかの?」
ラース「少し真面目な話になってしまうんだが、俺があのお気に入りの場所で昼寝をするのを知ってるだろ?ここ最近、森の方から魔物の叫び声が聞こえてくるんだ。ナプガーナ密林より左のほうからだな」
マルティナ「魔物の叫び声ねえ。でも、ラースならそれくらい何とかなるんじゃないかしら?」
マヤ「そうじゃん。兄ちゃんめちゃくちゃ強いんだから何も悩む事ないんじゃないの?」
ラース「それがよ、何だか誰かと激しく争ってるみたいなんだ。何かはわからないんだが、かなり大きな音もするしな」
グレイグ「なるほど。それが魔物なら城下町に被害が出る恐れがあるな。話的にはかなり凶暴な魔物と予想できる」
カミュ「だが、可能性は魔物だけじゃねえな」
ロウ「そうじゃな。最近何やら物騒な話も耳にする。魔物を傷つけ、保護という名目で乱獲し、挙句そのまま殺す輩がおるらしいのう」
マルティナ「そんなやつらがいるのですか!?」
マヤ「ええ!?めちゃくちゃヤバい奴らじゃん!」
ラース「そう。世界各地で活動が広がっているらしい。ベロニカ達から近くの山で一人捕まえたと聞いた。俺達も警戒しなければならないからな。バン達にも見回りの範囲を広げてもらったんだ」
グレイグ「なるほど。それだけではなく、俺達で直に回り相手に警戒させる作戦だな?」
ラース「お、伝わったか。そうだ、そうすれば相手は手を出しにくくなる。俺達相手にするほど馬鹿ではないだろ。平和のために少し頼まれてくれないか?」
カミュ「俺は構わないぜ。実はクレイモランにも最近目撃情報があったらしい。もうリーズレットが捕まえたけどな」
グレイグ「俺も賛成だ。そんなやつらは放ってはおけないからな」
マルティナ「そうね。私は見回りは無理だけど援助はするわ。何かあったらすぐに言ってちょうだい」
マヤ「兄ちゃん達はこうやって平和を守ってるのか。いしし、カッコいいよ!頑張ってね!私もそんなやつら許せないから応援してるよ」
ロウ「ユグノア周辺ではまだ話があるだけじゃが、いずれ出没するやもしれん。警戒させておかんとな」
ラース「ありがとな、皆。それじゃあ真面目な話はここまでにして、折角の酒場だ!少し騒ごうぜ!」
ラース達はその後、お酒を飲んだりして騒いでいた
その後、宿
マルス「あ!父さん達お帰り!」
ルナ「お帰りなさい、お父さん達。あ!お酒飲んだでしょ!お父さんお酒臭い!!」
ルナは鼻を押さえている
マヤ「あ、兄ちゃんたくさん飲んだからね。バレちゃったよ」
マルス「うー、臭いよ父さん。僕、今日カミュと寝る」
ルナ「ルナはおじいちゃんと寝るー」
二人はラースから離れていく
ラース「ええ!?そ、そんなにかよマルス、ルナ!」
マルティナ「うふふ、嫌われちゃったわよラース」
マルス「カミュー、マヤねーちゃん、お部屋いこー」
カミュ「たくっ!仕方ねえな、来いよマルス」
カミュはマルスを抱っこした
マヤ「ふふ、一緒に寝るのは久しぶりだね。マルスがまだ小さかった頃以来かな」
ルナ「グレイグさーん、おじいちゃんはお部屋で待ってるよ。ルナも連れてって」
グレイグ「ああ、俺達の部屋はこっちだ。それじゃあな、ラース。姫様もおやすみなさいませ」
グレイグもルナを抱っこしていった
ルナ「お父さん、お母さん、おやすみなさい」
マルス「父さん、母さん、おやすみー」
マルスはカミュの腕の中で暴れている
カミュ「こら暴れんな、マルス。また明日な、ラース、マルティナ」
マヤ「じゃあねー。おやすみ、姉ちゃん、兄ちゃん」
マルティナ「皆、おやすみ」
ラース「また明日な、皆」
ラース達の部屋
マルティナ「ねえ、ラース。もしかしてお酒をたくさん飲んだのは、こうやって私を甘えさせるためかしら?」
マルティナはラースに寄り添っている
ラース「何だか今日は俺の考えが皆にバレるな。その通りだぜ、マルティナ。前に約束しただろ?人目を隠せばマルティナは楽にしていいんだってな。この旅のどこかに作ろうと思ってな」
マルティナ「ありがとう、ラース。嬉しいわ」
ラース「おう。俺もマルティナといられて嬉しいぜ」
二人はゆっくりとキスをして、眠りについた