ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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バンとブレイブ3

数時間後、デルカダール城 玉座の間

 

 

 

ラース「何だって!?バンとブレイブが!?」

 

 

 

 

イレブン「そうなの!急いで手当てしたんだけどまだどうなるかわからないんだ。特に、バンは生き返らない可能性もあるの」

 

 

 

 

マルティナ「私達も急いで向かうわ!」

 

 

 

 

デルカダール王「急いで準備をするぞ、グレイグ!」

 

 

 

 

グレイグ「はっ!お城は一旦閉じます!」

 

 

 

 

ラース「四人は先に向かっていてくれ!俺はバンの妻、メグを連れてくる!」

 

 

 

その後、ユグノア城 医療部屋

 

 

 

メグ「バン!!!」

 

 

 

メグは大焦りで部屋に入ってきた

 

 

 

ロベルト「あ、メグさん。それにマルティナ様方も来てくださいましたか」

 

 

 

 

イレブン「どう?おじいちゃん、セーニャ」

 

 

 

 

セーニャ「私達はあらゆる手を尽くしたのですが、バン様がどうなるかはバン様の気力次第となりました」

 

 

 

 

ロウ「今夜が峠じゃ。越えればよいがどうなるか。わし達は祈るだけじゃ」

 

 

 

 

メグ「ううっ.....バン。こんなに火傷だらけになって」

 

 

 

メグはバンの姿を見て涙を流している

 

 

 

デルカダール王「ロウよ、わしはバン達にこんなに危険な任務は頼んでおらん。お主は一体何を頼んだのじゃ」

 

 

 

 

ロウ「誠にすまなかった、デルカダール王よ。わし達は山の中にある密猟者の隠れ屋敷の調査を頼んだのじゃ。犯人はもう捕まっておったから安全じゃと思っておったのだが、まだ一人いたとは思わなかった」

 

 

 

 

イレブン「そいつがバン達にバレて、全てをもみ消すためにバン達を屋敷ごと爆発させたんです。バンはどうやらブレイブを庇ったみたいなんです」

 

 

 

 

グレイグ「なるほど。だからバンとブレイブで傷にここまでの差があるのか」

 

 

 

 

メグ「ううっ....ううっ....」

 

 

 

 

マルティナ「メグさん....少し出ませんか?ここにいては暗くなるだけです」

 

 

 

 

メグ「マルティナ様.....ありがとうございます」

 

 

 

 

ラース「.....ほら、お前達も出るぞ。言いたい事とかあるだろうが、それは全部外で言え」

 

 

 

夕方過ぎ

 

 

 

兵士達からも話を聞いた後、ラースとマルティナはメグと共にいた

 

 

 

メグ「すみません、ラース様、マルティナ様。取り乱してしまいました」

 

 

 

 

マルティナ「気にしないで、メグさん。お話しするのはこれが初めましてよね。私もバンにはたくさん助けられてるのよ」

 

 

 

 

メグ「そうなのですか!?バンったら家ではいつも色んな報告をしてくれるんですけど、それは聞いた事無かったですよ。バンは迷惑かけたかもしれないと言っているのは聞きましたけど」

 

 

 

 

ラース「バンらしいな。あいつは俺達にたくさん気を使ってるからな。まあ、その分訓練場では好き放題やってるみたいだけどな」

 

 

 

 

メグ「ラース様の事は毎日聞いてますよ。今日は負けたとか、勝ったぞとか。そうそう、ラース様が少しドジしたのも知ってるんですよ?」

 

 

 

 

ラース「あの野郎何でも言いやがって。全く、起きたら言ってやらないとな」

 

 

 

 

メグ「......私、ラース様からバンの事を聞いた時、これは悪い夢だと思ったんです。まさか、そんなはずないって。でもここに来たら、あんな見ていられないようなバンがいて、それで、夢じゃないんだって思って.....」

 

 

 

 

マルティナ「わかるわ、メグさん、その気持ち。私もいつも隣にいてくれる騎士さんにそんな気持ちにさせられた事あったもの」

 

 

 

 

ラース「うぐっ.....」

 

 

 

 

マルティナ「そういうのを見せられると、生きてる心地がしなくなるのよね。不安や恐怖が強くなるのよ。でも、メグさん。忘れないで。バンはあなたを置いて一人で先にいなくなる人じゃないわ。

 

 

 

バンはお城でメグさんの事をいろんな人によく話してるのよ。今日はメグの作った弁当だ。とか、最近メグに元気が無いんだ、俺、何かしたかな?とか、ね。バンはメグさんの事が大好きよ。

 

 

 

メグさんもバンの事が好きなのよね?なら、信じてあげましょう。必ず戻ってくるって」

 

 

 

 

メグ「マルティナ様.....。ありがとうございます。そうですね!私がバンの事を信じてれば、きっとバンは戻ってきますよね!」

 

 

 

 

ラース「そうだぞ、メグ。バンはメグがいなきゃダメダメなんだ。信じてやってれば、あいつに絶対届くぜ」

 

 

 

 

メグ「はい!もし戻ってこなかったら、大樹で何としてでも会ってぶん殴ってやりますよ!」

 

 

 

 

マルティナ「いいわね、メグさん!私もラースに先に置いていかれたら、大樹で会ってボコボコにしてやるんだから!」

 

 

 

 

ラース「そ、それは恐ろしい限りだな。ハハ、こりゃあ俺は簡単には死ねないな」

 

 

 

バタバタ!

 

 

 

ガク「あ!マルティナ様、ラース様!こちらでしたか!ブレイブが目を覚ましましたよ!」

 

 

 

 

マルティナ「わかったわ、すぐに行くわ!」

 

 

 

医療部屋

 

 

 

ブレイブ「バン......」

 

 

 

ブレイブはバンを見ている

 

 

 

ガチャ

 

 

 

マルティナ「よかった!ブレイブ!」

 

 

 

 

ラース「もう動いていいのか?」

 

 

 

 

ブレイブ「あ、ラース様まで来てくださっていたのですね。ご心配をおかけしました」

 

 

 

 

グレイグ「傷はもうほとんど無くなっている。足の腫れも引いたようだ」

 

 

 

 

デルカダール王「ブレイブよ、何があったのか聞かせてはくれんかの?」

 

 

 

 

ロウ「あの場所で何があったんじゃ」

 

 

 

ブレイブは皆に屋敷での出来事を教えた

 

 

 

ラース「なるほどな。そういう事だったか」

 

 

 

 

イレブン「あの男はとんでもない事をしたんだね」

 

 

 

 

ブレイブ「バン....」

 

 

 

 

ラース「皆、少し俺とブレイブだけにさせてくれ」

 

 

 

 

デルカダール王「わかった。なら、わし達は部屋の外で待っているぞ」

 

 

 

 

ラース「ありがとうございます」

 

 

 

 

ブレイブ「どうされたのですか、ラース様」

 

 

 

 

ラース「どうだった、ブレイブ。バンのやつは立派だっただろう?」

 

 

 

 

ブレイブ「......はい。私はこの男の事を甘く見過ぎていました。マーズ殿達が信頼し、ラース様達が認めるのも頷けました。バンの強さは、真っ直ぐである事。自分が決めた事を変えない強さです。

 

 

 

そこにラース様が教えた武道の強さが組み合わさって、何事も成し遂げる強さへと変わっています。この男はラース様達のように、目に強い光があります。

 

 

 

真っ直ぐ、ただ真っ直ぐに信じる目です。私にはとても眩しい光です。ですが、とても心地よいとも感じました。普段は鳴りを潜めていましたが、いざとなった時この男の光は私達を守る光となっています」

 

 

 

 

ラース「流石ブレイブ。よく見ていたな。いや、体感したのか。変わった戦い方だっただろう?」

 

 

 

 

ブレイブ「そうですね。私達は絶対に裏切らないと信じて背中を託し、自分は目の前に全力を尽くす。魔物の世界ではありえない戦い方です」

 

 

 

 

ラース「そうだろう。こいつは皆を信じている。俺の事を助けてくれるってな。その分、お返しとして自分ができる事を全力でやるんだ。だから、皆もこいつを信じるんだ。こいつなら任せられるってな」

 

 

 

 

ブレイブ「言葉にすると簡単ですが、相当難しい事です。戦いの時やピンチな時は、誰もが信じるなどできなくなります。でも、バンは信じていた。私の事を。ですが、私はその信頼に.....答えられなかった」

 

 

 

 

ラース「そんな事ないさ、ブレイブ。屋敷まではお前が導いてくれたらしいな。バンはお前を信じて、お前はそこまで全力でやってくれた。密猟者の仲間相手に怯まなかった。

 

 

 

ブレイブは充分、バンの信頼に答えてたはずだぜ。そうじゃなきゃ、バンはお前を庇ったりしないはずだからな。自分を責めるんじゃないぞ」

 

 

 

 

ブレイブ「ラース様....。ありがとうございます。私はバンという男には敵いません。例え頭が弱く、子どもっぽく、仲間にすぐ甘えるやつでも、この男は強い。もう馬鹿にする事はしませんよ」

 

 

 

 

ラース「今、充分だろってくらい言ってたけどな。なら、バンが目覚めるまで信じてやろうぜ」

 

 

 

 

ブレイブ「そうですね。この男は死ぬにはあまりにも惜しいです。必ず戻ってきます」

 

 

 

 

 

 


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