それから三日後、デルカダール城
マルティナ親子の部屋
コンコン
カミュ「おーい、兄貴、マルティナ、いるか?カミュだ」
マルス「あ!カミュ!今開けるね」
ガチャ
マルス「カミュ、どうしたの?」
カミュ「おお、マルス。俺は兄貴とマルティナに言いたい事があってよ。お前一人か?」
マルス「うん。今は僕一人だよ。父さんは外にお仕事で、母さんはじいじと大事なお話なんだって。ルナは図書館で勉強してるよ」
カミュ「そうだったか。タイミングが悪かったな。グレイグのおっさんは王様の側だろうしな。うーん...」
マルス「何かあれば入ってもいいって母さん言ってたから、僕が伝えてこようか?」
カミュ「あー、悪いがそうしてくれるか?実はマルスとルナを借りたくてよ」
マルス「え?僕とルナを?わかった、伝えてくる。部屋で待っててね!」
その後
マルス「母さんが来てくれたよ、カミュ!」
マルティナ「ごめんなさい、カミュ。少し忙しくて。マルス達なら借りてもいいけど、どうするの?」
カミュ「忙しいのに悪かったな。変な事はしないさ。一日俺の家に連れて行ってもいいか?二人に見せてやりたいものがあってさ」
マルティナ「わかったわ。マルス、ルナに伝えてきてくれる?私は少し準備してるから」
マルス「わかった!カミュとお出かけだー!」
マルスは出ていった
マルティナ「さて、これで話してくれる気になったかしら?」
カミュ「見抜かれてたか、流石だな。シロって言って覚えてるか?」
マルティナ「シロ?えっと......。ああ!あのスノーベビーの事ね!あの子がどうかしたの?」
カミュ「俺も最近まで死んだと勝手に思ってたんだが、あいつ大きくなってホワイトパンサーになって戻ってきたんだ」
マルティナ「ええ!?あの後一人で生き抜いたのね!凄いわ、それを見せるのね。それなら全然構わないわ。迷惑かけるだろうけど、よろしくね」
カミュ「おう。まあ、偶には子守りも悪くねえかと思ってよ」
マルティナ「ふふ、似合ってるわよカミュ」
カミュ「褒められてるのか?それは。嬉しくねえからな」
その後
マルティナ「じゃあマルス、ルナ。私は仕事に戻るから、今日一日カミュの言う事ちゃんと聞くのよ」
二人「はーい!」
カミュ「悪かったな。大事な話してたんだろ?すぐに戻っていいぜ。じゃあ、また明日な」
二人「いってきまーす!」
マルティナ「ええ、いってらっしゃい」
クレイモラン城下町
カミュ「久しぶりだろ?あれから雪がまた積もったんだぜ」
マルス達が前に家族旅行で来た時より雪が増えている
ルナ「雪がいっぱーい!すごーい!」
マルス「ねえねえ、カミュ。僕達に見せたいものって何?」
カミュ「へへ、気になるか?マルス。なら、俺の家に行くか」
カミュとマヤの家
カミュ「ほら、あいつだ。覚えてるか?」
ホワイトパンサー「.....」
ホワイトパンサーが入り口の前で寝ていた
ルナ「え?ホワイトパンサー.....だよね?何で町の中にいるの?」
マルス「僕達ホワイトパンサーは初めて見たよ。カミュ、どういう事?」
ホワイトパンサー「ピクッ....ガウ!」ダッ!
ホワイトパンサーは声に反応すると、こっちに駆けてきた
マルス「わ!こっちに来た!」
ルナ「えー。ちょっと怖いかも」
ルナはカミュの後ろに隠れ、マルスも少し怖がっている
ホワイトパンサー「ワフ!ガウ!」
ホワイトパンサーは二人の近くにくると尻尾を振って喜んでいる
カミュ「大丈夫だ、マルス、ルナ。こいつは襲ったりしないぜ。それと、こいつの名前はお前達がつけたんだぜ」
ルナ「私達が?」
カミュ「ああ。シロって言って覚えてるか?」
マルス「シロ.....。え?シロって!」
ルナ「スノーベビーのはずだわ。え?もしかして、シロなの?」
シロ「ガウ!ハッハッ!」
シロは名前を呼ばれて元気よく返事をする
カミュ「そうだ。こいつは間違いなくシロだぜ。成長してホワイトパンサーになったんだ。まあ、ホワイトパンサーとしてはまだまだ子どもだけどな」
二人「シロ〜!」
二人はシロに飛びつく
シロ「クゥーン。ペロペロ」
シロも嬉しそうに二人を舐めている
マルス「大きくなったんだね、シロ。会いたかったよ」
ルナ「えへへ、私達の方が少し大きかったのにもうこんなに大きくなったのね。暖かい」
カミュ「こいつはな、数週間前にあの雪だるまを作った場所でずっと何かを待ってるホワイトパンサーがいるって報告を受けて、見に行ったらこいつがいたんだ。
シロは俺を見た途端抱きついてきてよ。俺も驚いたぜ。まさか大きくなってるとは思わなかった」
ルナ「カミュさん、ありがとう!私、すっごく嬉しい!」
カミュ「へへ、どういたしましてだな。だが、お城には連れて行けねえぞ。前にも言ったが、こいつは寒い所でしか育てない。
デルカダールはここに比べたら暖かくてシロには苦しいんだ。だが、俺がこうやって保護してるから会いたくなったら来るといいぜ」
マルス「カミュ、優しい!父さんがカミュはよく騙してくるから嘘には気をつけろって言ってたけど、全然そんな事ないじゃん」
カミュ「よし、マルス。その話詳しく教えろ。他にも俺の事があったらどんどん言っていいぞ」
マルス「えっとね、他にはカミュはジャンボウニみたいだって前にお城の皆と笑ってたよ。バンさんも大笑いしてた」
カミュ「(よーし、兄貴、バン。次会ったら覚えてろよ)」
カミュは心の中でラースとバンに殺意を向けた
その頃、ラースとバン
ゾワゾワッ!
バン「し、師匠!誰かが俺に殺意を向けてますよ!」
ラース「奇遇だな、バン。俺も感じた。何だ?」
その後、シケスビア雪原
シロ「バウ!」
二人「シロ速〜い!」
二人はシロの背中にのり、雪の中を走っていた
カミュ「あまり遠くまで行くんじゃねえぞー」
二人「はーい!」
カミュ「さて、俺は兄貴達へどうしてやろうか考えておくか」
夕方、カミュとマヤの家
カミュ「俺の料理で悪いが我慢してくれよな。何か食えない物とかあるか?」
ルナ「無いよ。お母さんが好き嫌いは駄目って言ってるの」
カミュ「へへ、そうだったか。それは偉いな。何が食べたい?食料を買いに行くからよ」
マルス「何でもいいよ。カミュの料理食べてみたい!」
カミュ「マルス、お前はいいやつだな。お前の父さんなんかとは違うな」
マルス「父さんは強いんだよ!カミュより強いんだから!」
カミュ「まあそうだな。だが、偶には俺だってお前の父さんに勝てるんだからな。今度見せてやるよ」
夕食時
二人「いただきまーす!」
シロ「バウ!」
カミュ「お城のような立派なご飯は無理だが、俺なりに頑張ってみたぜ。美味いか?」
ルナ「美味しい!カミュさんって料理上手なんだね」
マルス「前に父さんが失敗した料理よりずっと美味しいよ!」
カミュ「失敗した料理なんかと比べんなよ、マルス。それと、二人を呼んだのはもう一つ用があるんだ。この後また外に出るぞ」
マルス「え?カミュ、知らないの?夜はあまり出歩いちゃ駄目なんだよ」
ルナ「どこに行くの?」
カミュ「今の時期にしか見れない、とっておきの景色だ。マルス達の父さんや母さんだって見た事ないと思うぜ?」
ルナ「何それ!すごーい!」
マルス「僕も気になる!」
カミュ「なら、しっかり寒さ対策していけよ。昼よりもずっと寒いからな。シロも行こうな」
シロ「バウ!」
その後、シケスビア雪原
マルス「シロに抱きついてないと寒くて震えそう」
ルナ「私も。シロ暖かい」
二人はシロにくっつきながら歩いている
カミュ「さあ着いたぜ。上を見てみろよ」
二人「わぁ〜!星がたくさん出てる!」
二人が夜空を見ると星がたくさん出ており、一つ一つが綺麗に見えている
カミュ「凄いだろ?この時期のクレイモランは空気が綺麗でよ、空が凄くよく見えるんだ。しかも、今なら流星群が見えると思うぜ」
ルナ「流星群?」
カミュ「流れ星がたくさん落ちてくるんだ。しばらく待っていろよ」
数分後
空にはいくつも流れ星が落ちている
ルナ「ああ!星がたくさん流れてる!綺麗〜」
マルス「凄い、凄い!僕、こんなの見た事ない!お願いたくさんしなきゃ」
シロ「ガウ...」
シロも星空を見て感動している
カミュ「この景色をお前達に見せてやりたかったんだ。どうだ?夜もいいもんだろ?」
ルナ「カミュさん、素敵!」
マルス「カミュ、ありがとう!すっごくいい思い出だよ!」
カミュ「喜んでもらえてよかったぜ。そうだ、この花も今の時期限定なんだぜ。この花は夜に雪がいっぱい降った時にしか咲かないんだ。雪の花だぜ」
カミュは近くに生えている花を持って見せた
ルナ「え!お花が凍ってる!冷たい!」
マルス「これ....よく見たら花の周りの氷が雪の結晶の形になってる。こんな風になる花なんてあるんだ」
ルナ「これ欲しい、カミュさん!」
カミュ「悪いな、これは朝や暖かい所にいくと普通の花になっちまうんだ。だからこの状態を見られるのは今だけなんだぜ」
マルス「そうだったんだ。でも凄いね。珍しいものがいっぱいだ」
ルナ「よく見たら、周りにも結構同じ花が咲いてるわ」
カミュ「もうしばらくしたら家に帰るか。風邪ひかないようにしないとな」
ルナ「私、クレイモラン大好き!綺麗なものがいっぱいあるもん」
カミュ「ありがとな、ルナ。また遊びに来てくれよな」
次の日、デルカダール城 玉座の間
二人「ただいまー」
カミュ「ただいま。今戻ったぜ」
マルティナ「あらおかえりなさい。どう?楽しかった?」
マルス「シロが大きくなってホワイトパンサーになってたの!モフモフで暖かくて、可愛かったんだ!」
ルナ「流星群を見たの!流れ星がどんどん落ちてきて綺麗だったんだよ!あと氷の花っていうのを見せてくれて、氷が花の周りにたくさんついてて綺麗だったんだよ!」
グレイグ「何やらたくさんあったようだな。カミュ、一人で大変だっただろう?」
カミュ「いや、そんな事ないぜ。流石はマルティナと兄貴の子だな。礼儀正しいし、しっかり教育してるんだな」
マルティナ「たくさん遊んできたのね。カミュ、ありがとう」
カミュ「礼には及ばないぜ。俺も子ども達と触れ合えて楽しかったしな。ああ、兄貴とバンはどこにいるんだ?少し用事があってよ」
マルティナ「そういえばラースとバンを見ないわね。朝に慌ててどこかに行ったけど、どうしたのかしら?」
カミュ「(チッ!勘が鋭いと困ったもんだな!)」
グレイグ「悪いな、俺達はわからないんだ。まあ、急がないのであればまたの機会にしてくれ」
カミュ「ああ、これは別に今じゃなくてもいつでもできるからな。それじゃあ俺は帰るぜ」
マルス「カミュ!楽しかったよー!またシロを見にいくね!」
ルナ「カミュさん、ありがとう!」
マルティナ「また来てね、カミュ」
グレイグ「待っているからな」
カミュ「おう、またここに帰ってくるぜ。じゃあな」