その頃、遺跡前
魔物は原形を無くした後、楽になれたとばかりに消えていった
それを見たベグルは少しつまらなそうに遺跡から出てきた
ラース「ベグル、少しはしゃぎすぎたんじゃないか?最後あたりは楽しんでただろ」
ベグル「まあ....楽しんではいましたけど、まだ俺の怒りは消えてませんよ。もっと頑丈だったらよかったんですけど」
ラース「気持ちはわかるが落ち着けよ。ユグノアに戻ってジェーンさん達に会いに行けばいい」
ベグル「そうですね」
ザッザッ
誰かがこちらに歩いてくる
ラース「ん?誰だ、こんな所に」
男性「やはりお前だな、ベグル。まさか生きているなんてよお」
ベグル「!!?貴様.....リュウ!!なぜここに!」
リュウ「さっきの捕まってた人の中にいたのさ。何十年振りだ?あの女が死んで以来だなぁ?まさか、てめえが俺と同じデルカダールの兵士になるなんて笑いが止まらねえぜ。ギャハハハハ!」
ベグル「何とでも言えばいい」
リュウ「じゃあ言わせてもらうぜ。お前、似合わねえ事してんじゃねえよ。今更いい子になろうとしたっててめえには不可能だ。それに何だ?兵士になって俺を倒すつもりだったか?無駄だな!
弱っちいお前がどれだけ強くなっても!俺に勝てねえだろ!昔、散々いじめてやったもんなぁ?俺が怖いだろ?足が震えてるぜ?
お前みたいなやつは何も守れない!弱い奴がどれだけ頑張ったって弱いまま。守るなんて大層な事はてめえには絶対できねえよ!!」
ベグル「.......」
ベグルは下を向いて黙っている
その体は少し震えている
ラース「こんな事を言うのもなんだが、俺は兵士達を纏める仕事をしていたんでね。ベグルの事を少し知る人の一人として反対させてもらおう。ベグルは強いぞ」
ラースはベグルの前に出た
ベグル「ラース将軍.....」
ラース「ベグルの昔は知らねえ。何があったかとか興味ねえ。大事なのは自分を見つめ、ゆっくりでも己の弱い所を認めて前に進む事だ。それをベグルは成し遂げようとしている。
それは弱い人間には絶対にできない。途中で心が折れ、諦めてしまうからだ。だが、ベグルは違う。毎日目標や夢に向かい強くなろうと努力している。
これまで見てきた俺が保証する。ベグルは強い。少なくとも、昔や見た目なんかで判断しているような人より、ずっとな。
ベグル、行くぞ」
ベグル「......はい」
ザッザッザッ
ラースとベグルは足早に去っていった
リュウ「.......チッ!何だ、あいつ。ベグルのやつが強い?ありえるわけねえ。まあ、またあいつのお気に入りを壊せばあいつは立ち直れなくなるだろ。あの脱がされてた女.....ベグルの野郎、あの女を見て怒ってたな」
しばらくして、ユグノア王国
ベグル「ラース将軍.....すみませんでした」
ベグルはラースに謝り始めた
ラース「気にするな。あんなやつの言う事なんか聞く耳を持つな。ほら、ジェーンさん達に会いに行こうぜ」
ベグル「ラース将軍の言葉、凄くありがたかったです。ありがとうございます」
宿屋
ジェーン「ベグルさん!助けてくださってありがとうございました!」
ミラ「私は見れなかったけど、一人で魔物を倒したそうじゃない。凄いわ」
ベグル「あれはまあ、俺の中で、こう、暴れてしまってな。怖かっただろ?」
ジェーン「いいえ!魔物に迫られた時に比べたら、陽だまりのようでした!助かった....って思って安心しました」
ベグル「ひ、陽だまりは言い過ぎじゃないか?まあ、喋れるようになったみたいだし怪我も無さそうだ。本当によかった」
ミラ「大会は残念だったわね。折角意気込んでたのに中止になっちゃったわね」
ベグル「それは仕方ないさ。俺は助っ人で呼ばれただけだったからな。おそらく、ラース将軍が一番落ち込んでるさ。それじゃあ、またな」
ジェーン「はい!ありがとうございます!」
ミラ「今度はラムダにも来てね。忙しいと思うけど」
ベグル「おう!そっちも困ったらいつでも頼ってくれよな」
ユグノア城
ラース「ハァァ。マジかよ.....」
ラースは中止と聞き、落ち込んでいた
イレブン「ご、ごめんね、ラース。流石に中止にしないとだからさ」
ロウ「またいつか開くから楽しみにしていてくれ」
グレイグ「しかたあるまい。ラースの朝を少なくしたのに意味が無くなってしまったが、こればかりはな」
ラース「くっ。わかってはいるが腹空いたな。気も落ちて、一層強く感じるぞ」
ラースのお腹が鳴っている
ベグル「まあ、俺達もこの後帰りますのでその後お城で食べましょう」
ロウ「助けてくれてありがとう。大会はすまなかったが、お主達のおかげで犠牲者は出なかった」
イレブン「そうだよ。ベグル、ラース、グレイグ、ありがとう」
ラース「まあ、それもそうだな」
グレイグ「民達を助けるのは当然だ」
ベグル「力になれてよかったです」
その後、デルカダール城 玉座の間
マルティナ「なるほどね。そんな事があったの。お疲れ様、ラース、急いでコックに頼んでね。お腹が鳴り止まないわよ」
ラース「すまない、マルティナ。俺、もう行くな。他の報告は頼んだ」
ラースは我慢できないとばかりにキッチンへ駆けていった
ベグル「ハ、ハハハ。あんなにお腹が連続でなってる人初めて見ました」
グレイグ「確か旅の頃に一度見かけたくらいか。ラースには少しつらかっただろう」
マルティナ「二人もお腹空いてるでしょ?ラースと一緒に食べていいわ。他に何か報告はあるかしら?」
グレイグ「いえ。後は特にございません」
ベグル「俺は兵士達と食べてますね。それでは失礼します」
マルティナ「ええ。ベグル、お疲れ様」
その頃、ジェーン達は
ジェーン「よし、この便でクレイモランに行こっか。ミラはクレイモランに用事があるんだよね?私も行こうか?」
ミラ「それは別に大丈夫よ。そのまま先にラムダに帰ってて。私は少し買い物したら帰るわ」
ジェーン「はーい。.....それにしても、ベグルさん私のためにあんなに怒ってくれたのかな?」
ミラ「きっとそうよ。ベグルさんがあんなに怒ってるのは私達初めて見たじゃない。ラース様達も少し戸惑ってたし、少しでも私達にいいように捉えておきましょう」
ジェーン「えへへ、とっても怖かったけど、そう考えると少し嬉しいな」
ミラ「応援してるからね、ジェーン!」
ジェーン「う、うん。私、頑張る」
その影では
リュウ「ヘッヘッヘ、いい事聞いた」