次の日の昼、デルカダール城下町
マヤは一人で城下町に来ていた
マヤ「ブラブラしてくるとは言ったけどどうしようかな。買いたい物も多くないし、うーん.......。もうお昼だし、またあの酒場にいってフォッチャ食べようっと」
酒場
カラン
グリー「いらっしゃいませ!あれ?確かこの前来てくれた方ですよね?また来てくださったんですね」
マヤ「あ、この前注文とってくれた人だね。覚えててくれたの?」
グリー「はい。青い髪をした兄妹で特徴的でしたから。今日はお一人ですか?」
マヤ「うん。特にやる事なくて、とりあえずお腹満たそうかなって。ここのフォッチャ、凄く私好みで美味しかったから」
グリー「そうだったんですか。ありがとうございます。今、丁度お客が少ないんです。カウンター席へどうぞ」
マヤ「ありがとう」
数十分後
グリー「はい、ご注文のフォッチャです」
マヤ「ありがとう。........うーん、これこれ!やっぱり美味しい!」
グリー「美味しそうに食べてくれますね。こっちも嬉しいです」
マヤ「そう?あ、お兄さんってさ、最近この店に来たの?」
グリー「え?わかりますか?少し慣れてきたと思ってたんですけど」
マヤ「前来た時にいた私の兄が言ってたんだけど、少し落ち着きがないってさ。だから新入りなんじゃないか?って。今も少し変な感じするよ」
グリー「凄いね。よく見てたんだ。僕、このお店に一ヶ月くらい前に来てさ。まだ20になったばかりだから、働き方とかわからなくって」
マヤ「あ、話し方変わったね。それが普通なのかな?というか、20なら私と近いじゃん。その話し方の方がいいな」
グリー「あ......。話し方はうっかり戻っちゃったけど、それなら大丈夫だね。よく先輩からは怒られるんだけど」
マヤ「働いてるなんて偉いと思うよ。凄く立派に感じるな。私もどこか働こうかな」
グリー「えっと.....君は働いてないんだね。働きたいの?」
マヤ「あ、私の名前はマヤっていうの。よろしく、お兄さん。働きたいとは少し思うかな。でも、まだ自分がなにやりたいとかわからないからさ。どうしようか考えてるんだよね」
グリー「マヤさんっていうんだ。僕の名前はグリー。よろしく。働くのも自分が好きな事の方がいいもんね。ゆっくり考えるといいと思うよ」
マヤ「お兄さんはどうしてここにしたの?店員の仕事やってみたかったの?」
グリー「いやいや、そんな事ないよ。僕はお金が必要でね。僕は孤児院で育ってそこに感謝としてお金を寄付したいんだ。だからお金を稼いでるんだよ」
マヤ「孤児院.....。凄い!!それってとっても素敵だよ!自分の育った場所に感謝の意を込めるなんて、孤児院の人達も絶対大喜びだよ!」
グリー「そ、そうかな?そんな持ち上げないで。僕はただ孤児院の子ども達が苦しい思いをしてほしくないからって思っただけだよ」
マヤ「それもいいじゃん!私、やるならそういう誰かの役にたつ事がやりたいな!まあ、グリーさんみたいにしっかり考えていないと駄目なんだけど」
グリー「マヤさんも興味あるの?」
マヤ「そうだね。孤児院って聞くと私自身思う所があるからね。そこの子ども達は元気に育ってほしいよね」
グリー「マヤさんは優しいんだね。僕の事を褒めてくれたし、知らない子ども達の事を考えてくれるんだ」
マヤ「そ、そう?いしし、嬉しいな」
店長「おい、グリー!いつまで喋ってるんだ!洗い物が溜まってきてるぞ!戻ってこい!」
グリー「あ、すみません!今行きます!ごめんね、マヤさん。話せて楽しかったよ。またお店に来てくれると嬉しいな」
マヤ「うん。私も楽しかったよ。お仕事頑張って」
その後、デルカダール城
マルティナとラースの部屋
コンコン
ラース「ん?入っていいぞ」
マヤ「兄ちゃん、今なにしてた?」
ラース「おお、マヤか。今は久しぶりに魔導書を読んでた所だ」
マヤ「兄ちゃんが魔導書?そっか、兄ちゃんは魔法が使えるもんね。私の中であまりイメージ無かったけど、兄貴も兄ちゃんは魔法がうまいって言ってた」
ラース「マヤの前で魔法を使う機会も少なかったからな。ある程度は使えるぞ」
マヤ「魔導書なんて、兄貴もおっちゃんも姉ちゃんも読んでるの見ないから見慣れないな。私でも読めるの?」
ラース「魔力があればある程度は読めるぞ。マヤは.....うん。カミュと似た魔力を感じる。読めるはずだ、見るか?」
マヤ「うん。どれどれ.....これって式?それと、構造?あ、魔法を唱えるために必要なやつだっけ」
ラース「そうだ。今見てるのはジバルンバ。カミュも使える魔法だ。マヤも初級呪文のジバリアならできそうじゃないか?書いてあるのはこの場所だ」
マヤ「うーん.....。魔力を込めるんだよね?えいっ!.......できないな」
ラース「魔力の込め方は正しいぞ。後は、構造と想像力だな。地面の形を好きなように思い浮かべて、その形になるように強く念じてみるんだ。そうすれば少し出来るはずだ」
マヤ「じゃあ...........えいっ!」
マヤの両手の間には、小さな丸い岩ができた
マヤ「わわっ!出来た!出来たよ!」
ボロッ!
小さな岩は消えていった
ラース「おお、想像よりずっと早くできたな。流石メダ女主席でカミュの妹。才能の塊だな」
ラースも少し驚いている
マヤ「やったー!!後で皆に自慢しよ!」
ラース「そういえば、話が逸れたが何か用事だったのか?」
マヤ「あ、そうだった。ねえ兄ちゃん。私、働きたい!」
ラース「働く?というと、仕事をやりたいのか?」
マヤ「うん!それでお金を稼いで、そのお金を困ってる人達に寄付するの!そうすればその人は助かるし、私もそれが嬉しいの。だから働ける場所ない?」
ラース「随分立派な考えじゃないか。俺は賛成だが、これは俺一人で承認はできないな。王様達にも話さないと。特にカミュには絶対だな」
マヤ「まあ、そうだよね。夕飯の時に皆に伝えるね」
ラース「急にどうしたんだ?前から考えてたのか?」
マヤ「まあ少し考えてたのはあったけど、今日酒場で会ったグリーさんって人が孤児院のためにお金を稼いでて、それを凄く素敵だと思ったんだ」
ラース「......なるほど。それに少し影響されたのか。それはそうと、マヤ。グリーさんって男だよな?」
マヤ「ん?そうだよ。私とほぼ歳が同じなのに立派なんだ。あの人とっても優しそうでいい人だった。また明日会いにいこうかな」
ラース「........(大事件だ。カミュに急いで知らせなければ)」
夕食時
デルカダール王「素晴らしいじゃないか、マヤ。わしもその意見には賛成じゃ」
グレイグ「マヤ、なんて優しい.......」
マルティナ「グレイグ、あまり泣かないで。マヤちゃん、素敵な考えね。私も応援するわ」
カミュ「......なあ、マヤ。グリーさんって男だよな?」
マヤ「兄貴も兄ちゃんと同じ事聞いてる。そんなに気になるの?」
カミュ「あ、ああ。まあな(おい、兄貴。後で作戦会議だ)」
ラース「(当たり前だ、大事件だぞ)」
ブレイブ「働きたいのなら、俺が働いてる店で働くのはどうだ?あそこは中々いいぞ」
マヤ「カフェもいいよね。でも、なにしようかなー。特にやりたい仕事の内容は決まってないんだよね」
デルカダール王「わしらがなんとかするよりも、お店で雇ってもらうのが一番早いだろうな」
グレイグ「やりたくない事はあるのか?傭兵などはできないだろうが、その他苦手な事とか」
マヤ「確かにそういうのはできないなー。でも、苦手はそこまでないよ。何事もまずはやってみる事が大事なのを学校で学んだからね」
マルティナ「それじゃあ、まずはその酒場で働いてみたらどうかしら?グリーさんって人もマヤちゃんと似た考えなら話も合うし、色々考えられると思うわよ」
マヤ「なるほど。そうだね!姉ちゃん、ありがとう!明日話してみる!」
ラース「マ、マヤ。そんな急に決めなくていいんじゃないか?」
カミュ「そうだぞ。それに、やりたい事は決まってないんだろ?俺とまた世界を回ってみようぜ。そうすればあの頃とは違った目線で街を楽しめるし、やりたい事も見つかるかもしれないぜ?」
マヤ「うーん。それも魅力的だけど、元から私は働くならデルカダールかクレイモランって考えてたんだよね。どっちも家があるから楽だし、どっちにも友達がいるもん。それに、グリーさんに色々話を聞いてみて、私も協力できるならしてみたいからさ」
デルカダール王「マヤの言う通りじゃな。わしらの代わりに相談できる相手が増えるのはいい事じゃ。明日、話してくるといい」
その後、カミュとマヤの部屋
マヤ「じゃあ兄ちゃん、私姉ちゃんの所にいくね」
ラース「おう。おやすみ、マヤ」
カミュ「また明日な、マヤ」
マヤは出ていった
ラース「さて、どうする?カミュ。これは相当まずいぞ」
カミュ「ああ、想定外だ。マヤ自身まだ気付いてねえが、ありゃあグリーって奴を気になってるな。怪しいやつじゃねえのはわかってるが、どうしたもんか」
ラース「ん?カミュはグリーを知ってるのか?」
カミュ「さっきマヤが言ってた酒場ってのは一昨日マヤと二人で行った場所なんだ。そこの店員にいたグリーってやつは赤い髪をしたやつで少し目立ってたからな。覚えてるさ」
ラース「なるほど。変な輩ではないようだな。明日、マヤについていくか?グリーってやつの情報を集めに」
カミュ「マヤと一緒にいないほうがいい。その方がグリーってやつも素を出すだろう」
ラース「よし、それでいこう。変なやつだったら、わかってるよな?カミュ」
カミュ「もちろんだぜ、兄貴。そんなやつだったら即行マヤから引き離す。マヤに悪影響を与えるやつは必要ねえからな」