次の日の昼、玉座の間
マヤ「それじゃあ、また何かあったら夜に報告するね」
マルティナ「ええ、わかったわ。気をつけてね」
グレイグ「ゆっくり楽しんでくるといい」
マヤ「兄貴と兄ちゃんどこ行ったんだろ?もし見かけたら、二人にも私はもう出発したって伝えておいて」
マルティナ「そうね。本当どうしたのかしら?」
グレイグ「俺達も居場所はわからんからな。まあ、了解した。見かけたら伝えておく」
マヤ「じゃあ行ってきまーす」
その頃、酒場周辺
カミュ「ここがそのグリーってやつがいる酒場だ」
ラース「ふむ、新しくできたって聞く店だったか。俺もまだ入った事無かったんだよな。だが、入りはしないんだろ?」
カミュ「ああ。兄貴はここではもう全員に顔が知られてるし、俺も一度来たから覚えられてると思うからな。もうしばらくしたらマヤも来る。その時に窓の近くから様子を伺うんだ」
ラース「怪しいやつらだと思われないようにしないとだな。それにしても、赤髪か。少し見ただけでもどこにいるのかわかるな。カミュ達みたいに探すのは苦労しなさそうだ」
カミュ「そうだよな。まだマヤが来るまで時間があるし、少しどんな働き方をしてるのか見てみるか。まあ、俺の予想では若いし、初心者だと思うけどな」
カミュとラースは窓から少し顔を覗かせている
ラース「確かに年齢はマヤと同じくらいか?それより少し上かそのぐらいだよな。歳はマヤ自身気にしてなさそうだが、真面目であってほしいぜ」
カミュ「お、あれは料理を少し教わってるのか?」
ラース「だろうな。何を作ってるかは見えないが、流石酒場だ。いろんな人が料理を作れるようになっていたほうがいいという事だな。しっかり話を聞いてるようだし、変なやつではなさそうだ」
カミュ「ん?兄貴、マヤが近くにきた。少し隠れるぞ」
ラース「了解」
マヤ「今日はお客さんたくさんいるかな?お店には悪いけど、少ないほうがグリーさんと話せて嬉しいんだけどな。まあ、少しだけでも話せればいっか」
カラン
女性「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」
マヤ「あ、はい。カウンター席って空いてますか?」
女性「カウンター席ですね、ご案内いたします。こちらにどうぞ」
マヤ「ありがとうございます。あとグリーさんって今日いらっしゃいますか?」
女性「え?グリー君ですか?いらっしゃいますよ。お知り合いの方でしたか。少々お待ちください」
マヤ「お知り合い.....。なんだか恥ずかしいな」
数分後
グリー「マヤさん、ごめんなさい!僕、店長に料理を教わってて少し向かうのが遅れました」
マヤ「え、ごめんね、グリーさん。お仕事の邪魔するつもりは無かったんだ」
グリー「いえ、もう終わったので僕も平気ですよ」
女性「グリー君、彼女さんとお話ししたいのはわかるけど、先に注文聞くの」
マヤ「え......」
グリー「か、かか彼女じゃないですよ!!ご、ごめんなさい、マヤさん。ご注文の方お聞きします」
グリーは顔が赤くなっている
マヤ「あ、うん。このランチのフォッチャセットにしようかな」
グリー「ランチの方ですね。えっと.....」
グリーは少し戸惑っている
女性「サラダとスープの片方が付けられますが、どちらにいたしますか?」
隣にいた女性がサポートした
マヤ「じゃあサラダの方でお願いします」
女性「わかりました。それと、飲み物の方はどうされますか?」
マヤ「レモンティーでお願いします」
女性「わかりました。それではお待ちください」
グリー「ありがとうございます、マドリーさん」
マドリー「いいのよ、私も茶化してごめんなさい。でもグリー君、ランチの時の注文の取り方覚えておいてね」
グリー「は、はい」
その頃、外では
ラース「何だか焦ってたな。恐らくあの女性の方に何か言われたのかもしれないな」
カミュ「グリーってやつも赤面してたしそうなんだろうな。それに、やっぱり初心者みたいだ。まあ真面目なようだし問題なさそうだ」
ラース「.......美味そうだな」
グウゥゥゥ
ラースのお腹から大きな音が鳴った
カミュ「おいおい、兄貴。食い意地張りすぎだろ。もうしばらく耐えてくれよな」
ラース「わ、悪い。見ていたら腹空いてきてよ。........は!いい事思いついたぞ!」
カミュ「......嫌な予感がするが、一応聞こう。何だよ?」
ラース「俺が変装してこの店に入ってマヤの近くに座るんだ。そうすればどんなやつかより詳しくわかるぞ」
カミュ「本音はここの飯が食べたいだろうが!まあ、思ってるより悪くはないな。だが、兄貴は変装道具なんて持ってたのかよ?」
ラース「サングラスでどうだ!」
カミュ「ハァ.....そんな事だと思ったぜ。グレイグから服借りてこいよ。そこにサングラスをつければ、兄貴ってわかりにくくなると思うぜ」
ラース「おう!」ダッ!
ラースは少し嬉しそうに城へ走っていく
カミュ「ハァ。兄貴にも困ったもんだぜ」
数十分後
カラン
グリー「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」
変装ラース「ああ、カウンター席で頼む」
グリー「わかりました。それではこちらの席へお願いします。注文の方決まりましたらまたお呼びください」
変装ラース「(よし、マヤの近くにこれた。これで様子がわかるぞ)」
グリー「お待たせしました。ランチのフォッチャ、サラダセットです。それと、飲み物のレモンティーです」
マヤ「ありがとう、グリーさん。ここのホールはグリーさんの仕事なの?」
グリー「うん。僕だけじゃなくて、さっきのマドリーさんも担当してるんだ。後は夜の時間帯にもう二人いるんだけど、僕は夜は働いてないからわからないんだけどね」
マヤ「やっぱり大変じゃない?接客とかさっきの注文の事とか」
グリー「まあ、慣れないと大変かな。でも、まだ簡単な方だからね。少し覚えてきたから頑張れるよ」
変装ラース「すみません」
グリー「はい、ご注文お伺いします」
変装ラース「このメインメニュー、全部でお願いします」
グリー「え.......。は、はい、ありがとうございます。かなりお時間貰いますが、よろしいですか?」
変装ラース「ああ、大丈夫だ」
グリー「わかりました。しばらくお待ちください」
マヤ「(ええ.....。全部って凄いな、あの人。兄ちゃんみたいな事する人本当にいるんだ。あれ?何処となく兄ちゃんに似てる?)」
数分後
グリー「さっきの人驚いたな。まさかあんな注文受けるなんて」
マヤ「そうだよね。私も驚いちゃった。私の知り合いにも似たような事する人いるんだけど、その人みたいって思っちゃった」
変装ラース「(やべっ!うっかり食べたいがあまりにいつもの感覚でやっちまった!バレてないよな?)」
マヤ「あ、そうだ!グリーさん、昨日話してた事覚えてる?」
グリー「ん?確かマヤさんもどこかで働きたいって話の事?」
マヤ「そうそう!それで、初めてだから私もここで働こうかなって思ってさ。このお店ってまだ雇ってくれてる?」
グリー「本当!?まだ人手不足みたいだから大丈夫だと思うよ。僕もマドリーさんもホール以外もしないといけなくて困ってたんだ。待たせるようで申し訳ないけど、この後閉店したら店長に聞いてみるね」
マヤ「忙しいもんね、わかった。じゃあ何かあったらデルカダール城に来て。私はそこにいるから」
グリー「えええ!!?お城!?」
ザワザワ
グリーの声に周りの客も驚き始めた
グリー「あ.....す、すみません、お客様」
マヤ「ご、ごめん。そんなに驚くとは思わなくて」
グリー「えっと.....マヤ様はどのようなお方か聞いてもよろしいでしょうか?」
グリーは少し緊張している
マヤ「ええ!?そ、そんな偉い身分とかじゃないよ!ただの一般市民だから。少し特殊なだけで何も変わらないから!だからそんな敬語を使おうとしないで大丈夫!」
グリー「ほ、本当?よかった......。僕、相当失礼な事してたんじゃないかと思ったよ。勘違いしてごめんね」
マヤ「私の方こそごめんなさい。確かにお城にいるなんて言ったら驚いちゃうよね。まあ、大広間で誰かに声かければ私、絶対に行くから何かあればきてね」
グリー「う、うん。わかった」
マヤ「お仕事の邪魔してごめんね。それじゃあごちそうさまでした。今日も美味しかったよ!またね!」
グリー「ふふ、ありがとうございます。こちらこそまたよろしくね」
変装ラース「(やべ、もう終わっちまった。早く食べ終わらねえと。........あ、話よく聞いてねえや。カミュ、すまん)」