次の日、デルカダール城 大広間
ジェーンは一人でデルカダール城へ来ていた
ジェーン「一人でここに来るのも久しぶりだな。ベグル君は元気かな。訓練場にいるかな?こっちだったはず」
訓練場
ジェーン「うーんと......あれ?ベグル君いないなぁ。聞いてみた方がいいかな。あのー、すみません」
バン「ん?あ!ジェーンさん、こんにちは。ベグルならここにはいないぜ。まだ支度してんだと思うからもう少し待っててくれ」
ジェーン「なるほど。わかりました」
バン「夢がもう少しで叶うんだってな。頑張れよなー!」
バンはジェーンに手を振った
ジェーン「はい!ありがとうございます、バンさん!」
その後
ベグル「あ!ジェーン、早かったな。待たせたか?」
ジェーン「ううん、大丈夫だよ」
ベグル「そうか。今日はメダチャット地方だったな。俺はあの辺は詳しくねえんだよな」
ジェーン「私もそんな土地勘みたいなのがあるわけじゃないよ。でも、プチャラオ村の人が教えてくれたから多分合ってるはず。早速行ってみよう」
メダチャット地方 山の中
ベグル「ジェーン、祠ってのはあれの事か?」
ベグルの先には小さな祠がある
ジェーン「あ!そうそう、それだよ、ベグル君。......思ってたより汚れてるね。少し綺麗にしないと」
祠には今にも壊れそうなほどボロボロな壺が置かれている
ベグル「これは.....壺?何でこんな所に。それにこの壺だけ汚れ方が普通じゃねえ。もう割れそうだぞ」
ジェーン「なんだろうね、これ。取り敢えず汚れは取っておこうかな」
ジェーンがハンカチで汚れを取ろうと壺に触れると
パリン!
壺が割れてしまった
ジェーン「え、嘘。触っただけなのに」
壺からは中身の水のようなものが出てきた
ベグル「なんだこれ。水.....にしては固形物みたいだよな」
水?「やっと出れたわい!」
ジェーン「え?ベグル君、どうしたの?」
ベグル「ん?俺は今何も言ってないぞ。ジェーンじゃないのか?」
ジェーン「え?私も何も言ってないよ」
水?「そこの者。ここから出してくれた事に感謝する」
ベグル「まただ。どこからだ?」
水?「何をキョロキョロしておる。我はここじゃ、ここ!」
ジェーン「え......。もしかして、この水みたいなのが」
二人「喋ってる!!?」
水?「やっとこっちを向いたのう。この忌々しき壺から出してくれた事感謝する。何か褒美をやろう。我に何か望む事はあるかの?」
ベグル「......望む事?そんな事より、てめえは何者だ」
水?「我はもはや名も無き者じゃ。遥か昔にこの壺に入れられてから何百年と経っておる」
ジェーン「そんなに......。かわいそう」
水?「それで望む事は無いのかの?」
ジェーン「別に望む事なんて私は無いわ。自分で何とかしたいもの」
ベグル「俺もねえな。大体こんなわけわからねえやつに何ができるってんだよ」
水?「失礼なやつだな、貴様。我の事を馬鹿にする気か」
ジェーン「ちょっ、ちょっとベグル君。あまり乱暴な言葉使いしちゃ駄目だよ。もしかしたら凄い人かもしれないじゃん」
ベグル「凄い人.....ねえ。いや、そもそも人ではねえな。まあ、馬鹿にしたわけじゃねえんだ。悪かったな」
水?「まあよい。本来なら許さんがここから出してくれた恩もある。水に流してやろう。それで、望む事がないなら我が勝手に礼をしてもいいかの?」
ジェーン「まあ、それならありがたいですけど」
ベグル「大した事じゃねえんだろうが、変な事すんなよな?」
水?「まあ、どうなるかの。ううむ...............。どうも我の力が弱まっておるな。二人にすら力がかけられんようじゃ。どちらか一人になるがいいかの?」
ジェーン「じゃあベグル君にしなよ。私は大丈夫だから」
ベグル「......まあ、ジェーンを変な目に合わせたくねえからな。いいぜ、俺にかけてみろよ」
水?「承った。お主に力を貸そう。ほい!!」
ベグル「.........」
ジェーン「ど、どう?ベグル君。何か変わった?」
ベグル「いや、特に。おいお前。何も変化ねえぞ」
水?「そう焦るでない。必ず効果があるはずじゃ。お主に一番縁がある場所でな。それとお主らはここに何の用じゃ?」
ジェーン「私、実はここの祠が昔からこの周辺で崇められてたって聞いて少し見に来てみたんです。昔の情報とかを集めて本にするのが私の夢なんです。この祠の事も載せようかと思っていて」
水?「なるほどのう。それはありがたい事じゃ。ここ何百年はめっきり人も来なくなってのう。また人が来てくれるようになれば、我にも力が蘇るというものじゃ」
ベグル「この祠は何で出来あがったんだ?」
水?「元よりここは山ではなく海の中じゃった。海底火山の噴火で今のような山になったがの。それから時が経ち近くに王国ができ、人間達が自然災害から守ろうとこの祠を建てた。
その時に我が力を貸したのだ。その力のおかげで王国はしばらくは安泰じゃった。また、そのおかげが人間達も我に物をよくくれてな。我も気分をよくしていたものじゃ。まあ、圧倒的な力を持つ者の手により滅んでしまったがな」
ジェーン「なるほど。とってもありがたいお話ですね。ありがとうございます!」
ベグル「となると、お前は神様か何かなのか?ここら一帯の」
神様「昔はな。今はもう見る影も力も無い。人間からの信仰心が無ければ我などただの物と同じよ」
ジェーン「もしかしてその王国って、古代プワチャット王国の事?」
神様「何じゃ、知っておったか。確かそんな名前じゃったのう」
ベグル「ほう。古代ここにあったって言われてる王国の事か。あんた凄えやつだったんだな」
神様「どうじゃ?崇める気になったかの?」
ジェーン「はい!そんな凄い方とお話できるなんて私、とっても嬉しいです!ありがとうございます、神様!」
ベグル「まあ、少しはな」
神様「ほほ、懐かしい気分じゃのう。どれ、もう少し昔の話もしてやろう」
ジェーン「お願いします!」
数時間後
ジェーン「大変お世話になりました!色々知れてよかったです!」
神様「うむ。また来るがよい。我はここから動けんのでな」
ベグル「なるほどな。まあジェーン、また来たかったら来るか」
ジェーン「うん。何か昔の事でわからなかったら聞きにきますね。では!」
ベグル「ジェーンはすぐ帰るか?キメラの翼やるぞ?」
ジェーン「うん。今の話早く纏めたいからそうしようかな」
ベグル「わかった。ほら、キメラの翼だ。俺もデルカダール城に戻る。纏まったら連絡してくれ。また俺も手伝うからな」
ジェーン「ありがとう、ベグル君。それじゃあまた今度ね」
ベグル「おう、またな」