ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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生誕祭

一月後、デルカダール城下町

 

 

 

城下町は至る所に飾り付けがされており、国全体が華やかな雰囲気となっていた。屋根の間には旗が重なっていたり、道には花がたくさん咲いている

 

 

 

出店も数え切れないほどあり、風船を子ども達に配っていたり、ピエロのような人が行き交う人達を楽しませていた。住民達も綺麗な格好をして踊ったりして楽しんでいる

 

 

 

ジェーンとベロニカとセーニャもまた、ドレスを着て街を歩いていた。ジェーンは黄色を基調としながら所々にオレンジ色の線が入ったドレス。ベロニカは赤と白のドレス、セーニャは緑と白のドレスで二人で色違いとなっている

 

 

 

ジェーン「わ〜、凄い!!雰囲気が全然違う。凄く楽しそう。セーニャ達は前にも来た事あるんだっけ?」

 

 

 

 

セーニャ「私達もこのお祭りは久しぶりですわ。前回は五年前ですからね。ジェーン様は初めてなんですよね」

 

 

 

 

ジェーン「そうなの。お祭り自体は知ってたんだけど、どうしても行く機会が無くて」

 

 

 

 

ベロニカ「普通ラムダからここまで来るなんて考えにくいからね。仕方ないわよ。ミラはどこにいるのかしら?」

 

 

 

 

ジェーン「ミラとはお城で待ち合わせしてるの。ベグル君ともそこで落ち合おうと思ってて」

 

 

 

 

セーニャ「それではまずお城へ行きましょう。マルティナ様達にも会えますわ」

 

 

 

 

ベロニカ「そうね。きっとイレブンやシルビアさんも来てるわ。皆で騒ぎましょう」

 

 

 

デルカダール城 大広間

 

 

 

そこには黒のドレスを着たミラと、いつもの兵士の格好では無くスーツを着たベグルとダバンがいた。

 

 

 

ベグル「お!ミラ、ジェーンが来たぞ。ベロニカさんとセーニャさんも一緒みたいだ」

 

 

 

 

ミラ「あら、本当ね。おーい、ジェーン。こっちよー」

 

 

 

 

ジェーン「あ!ミラー、来たよー」

 

 

 

 

セーニャ「ベグル様もダバン様も兵士の格好では無いのですね。なんだかとても新鮮ですわ」

 

 

 

 

ダバン「そうなんです。実はマルティナ様が、その格好だと楽しめないだろうし皆に楽しんで欲しいから、その格好しないでお洒落な格好で大丈夫。と言ってくださったんです」

 

 

 

 

ベロニカ「なるほどね。マルティナさんらしいわ。そのマルティナさん達は?玉座にいるの?」

 

 

 

 

ミラ「さっき玉座の間でラース将軍と一緒だったんですが、グレイグ将軍にマルティナ様がどこかに連れて行かれたんですよね」

 

 

 

 

ジェーン「どこかに?どうしたんだろ」

 

 

 

 

ベグル「ベロニカさん、多分いつものです」

 

 

 

 

ベロニカ「なるほど。察しがついたわ」

 

 

 

 

セーニャ「もしかしてお直しですか?」

 

 

 

 

ダバン「正解です、セーニャさん。マルティナ様も大変ですよね」

 

 

 

 

ベグル「なので今は自分の部屋にいると思います。お二人なら入れると思いますよ」

 

 

 

 

ダバン「あと、イレブンさん達も来てます。玉座の間で王様達と喋ってると思いますので向かってみてください」

 

 

 

 

ベロニカ「あら、そうだったの。ありがとう、早速行ってみるわ」

 

 

 

 

セーニャ「ジェーン様、それでは」

 

 

 

 

ジェーン「うん。お祭りでまた会おうねー」

 

 

 

玉座の間

 

 

 

ロウ「おお、ベロニカ達も来たようじゃな」

 

 

 

 

ベロニカ「皆!私達も来たわよ」

 

 

 

 

イレブン「ベロニカ達もドレス着てきたんだね。前に僕が作ったやつじゃん。嬉しいな」

 

 

 

 

ベロニカ「まあ結構可愛いし、セーニャとお揃いだから気に入ってるわ」

 

 

 

 

セーニャ「皆様素敵な格好ですわ。とてもお似合いです」

 

 

 

仲間達は全員ドレスやタキシード、スーツなどを着ていた

 

 

 

カミュ「そうか?俺としては普段の方が気に入ってるんだがな」

 

 

 

 

マヤ「あー!また崩してる!駄目だって言ったじゃん、兄貴!」

 

 

 

 

カミュ「仕方ねえだろ。動きにくくて嫌なんだよ。どうせ誰も見てねえよ」

 

 

 

 

マヤ「そういう問題じゃないの!ほら、ネクタイかっこいいんだからしっかりしてよ」

 

 

 

 

ルナ「ベロニカさん、セーニャさんこんにちは」

 

 

 

 

ベロニカ「あら、ルナ。可愛いドレスじゃない、どうしたの?それ」

 

 

 

 

ルナ「おじいちゃんが今日のためにってくれたの。私、気に入っちゃった」

 

 

 

 

デルカダール王「そうであろう。ルナには絶対似合うと思ったからのう。マルスもよく似合っておるぞ」

 

 

 

 

マルス「本当?かっこいい?」

 

 

 

 

イレブン「うん。マルス君にぴったりだよ」

 

 

 

 

ベロニカ「あら?シルビアさんはどこかしら」

 

 

 

 

ロウ「シルビアなら今日の特別ショーで出演するらしいから準備で忙しいようじゃ。後で皆で見に行こうかの」

 

 

 

 

セーニャ「まあ、そうだったのですか。それなら仕方ありませんね」

 

 

 

 

イレブン「それにしてもマルティナ達まだかな?ラースもいるのに随分長くない?」

 

 

 

 

デルカダール王「わしとしてはあの格好がよかったのじゃが」

 

 

 

 

カミュ「おっさんは面倒くせえからな。前からああなると止まらねえし、仕方ねえよ」

 

 

 

 

ブレイブ「ガウ」

 

 

 

 

コロ「キャン!」

 

 

 

ブレイブとコロも服を着ており、ブレイブは黒いスーツのような服に黒い帽子。コロは赤、黄、緑、青など様々な色の線が入った服を着ている

 

 

 

ベロニカ「あら、ブレイブとコロまで服着てるのね。ハットまでつけてマジシャンみたいじゃない、ブレイブ」

 

 

 

 

ブレイブ「ガ、ガウ....」

 

 

 

 

セーニャ「コロちゃんは様々な色が入った服着てますわ。可愛いですわコロちゃん」

 

 

 

 

コロ「グルグル」

 

 

 

セーニャはコロを撫でている

 

 

 

マルス「父さんと母さんが作ったんだよ。似合うよね」

 

 

 

 

ルナ「ああコロ、あまり寝転がらないで。服汚れちゃうよ」

 

 

 

 

イレブン「へえ、ラースとマルティナが。結構器用だもんね」

 

 

 

その頃、マルティナとラースの部屋

 

 

 

グレイグとマルティナはドレスについて文句を言い合っていた

 

 

 

グレイグ「それも駄目です、姫様!引っかかって転んだらどうされるのですか!」

 

 

 

 

マルティナ「もう!大丈夫って言ってるでしょ!別にもう慣れたわよ。第一、折角の大事なお祭りなのにどうしてそんないつものドレスじゃないと駄目なのよ!もっと華やかなやつが皆の前にも出るしいいわよ!」

 

 

 

 

グレイグ「ですが、あまり露出しすぎるのも王女としてどうかと思われます!」

 

 

 

 

ラース「クァ〜。おーい、まだか?何回そのやり取りするんだよ」

 

 

 

隣では、椅子に座ったラースが暇そうにあくびをしながら待っていた

 

 

 

マルティナ「ラース、見てないで助けて!グレイグが認めてくれないのよ!」

 

 

 

 

グレイグ「ラースに頼っても無駄ですぞ、姫様!こいつも姫様の露出には異を唱えておりましたからね」

 

 

 

 

マルティナ「ええ!?嘘でしょ、ラース!」

 

 

 

 

ラース「グレイグ、それは少し語弊だ。俺はただ肌を出しすぎるのを控えて欲しいと言っただけで、少しなら別に」

 

 

 

 

グレイグ「黙れ、ラース!!」

 

 

 

 

マルティナ「もう!これでどう!?文句ないでしょ!」

 

 

 

 

グレイグ「そ、それくらいでしたら....」

 

 

 

 

マルティナ「じゃあ早く着替えるからあっち向いてて」

 

 

 

 

グレイグ「しかし.......」

 

 

 

グレイグがマルティナに近寄った時

 

 

 

ズルッ!

 

 

 

足下のドレスを踏み、グレイグが滑ってしまった

 

 

 

グレイグ「うおっ!」

 

 

 

 

マルティナ「え?キャア!」

 

 

 

ドサ!

 

 

 

グレイグはマルティナを巻き込んで倒れた

 

 

 

ラース「おいおい、グレイグ何やって......」

 

 

 

グレイグの顔はマルティナの胸に当たっていた

 

 

 

グレイグ「........!!!?」

 

 

 

 

マルティナ「キャアアアッ!!!」

 

 

 

 

ラース「何やってんだ貴様ーーー!!!」

 

 

 

ドガァァン!!

 

 

 

グレイグ「グハァッッ!!!」

 

 

 

グレイグは部屋から扉を突き破る勢いで蹴飛ばされた

 

 

 

その頃、玉座の間

 

 

 

キャアアアッ!!!

 

 

 

何やってんだ貴様ーーー!!!

 

 

 

ドガァァン!!

 

 

 

ラース達の部屋からの音が丸聞こえになっていた

 

 

 

全員「!?」

 

 

 

 

デルカダール王「何事じゃ!!」

 

 

 

 

イレブン「随分騒がしくなったね。どうしたんだろ」

 

 

 

 

カミュ「まあ.......大体予想ついたがな」

 

 

 

 

ベロニカ「そうね。グレイグさんが何かやらかしたんじゃないかしら」

 

 

 

 

ロウ「一先ず様子を見に行こう」

 

 

 

マルティナとラースの部屋前

 

 

 

床には粉々になって飛び散った扉や壁の破片と一緒にグレイグが倒れていた

 

 

 

デルカダール王「グレイグ!?どうしたのだ!」

 

 

 

 

セーニャ「大変ですわ!すぐにお怪我を治します!」

 

 

 

 

ラース「いや、その必要無いぞ、セーニャ。しばらく放っておけ」

 

 

 

 

マルティナ「ええ、怪我するなんてグレイグからしたら普通の事だもの。そこに置いておいて。それよりこの扉と壁壊しちゃったわね。後で直しておかないと」

 

 

 

 

マヤ「おっちゃん大丈夫?」

 

 

 

 

ロウ「駄目じゃな。気絶しておる。あの大きな音はこのせいじゃったか。何があったんじゃ?」

 

 

 

 

マルティナ「別に気になさらないでください、ロウ様」

 

 

 

 

ラース「大した事は......あるんだが、まあじいさん達には関係ない事だ。安心してくれ」

 

 

 

 

カミュ「大体予想は出来てるぜ。というか兄貴、いつもと格好違うな。新しいスーツなんだな」

 

 

 

 

ラース「そうなんだ。これ新品でキツいんだよな。着慣れてないってのはあるが、一応見れる姿にはなってるだろ?」

 

 

 

 

イレブン「うん。よく似合ってるよ。でも太ったんじゃなかったっけ?」

 

 

 

 

ベロニカ「そういえばそうだったわね。ラース、ようやく食べる量減らしたの?」

 

 

 

 

ラース「何で知ってんだよ。もう元通りだ。少しだけだったからな」

 

 

 

 

セーニャ「マルティナ様からのお手紙に書いてありましたわ。お姉様は読んだ時大笑いしてましたわ」

 

 

 

 

ラース「おい」

 

 

 

 

ベロニカ「ごめんなさい、ラース。でも、あんたがまさか太るなんて思わなかったからどんな姿してるのか想像したら面白くって」

 

 

 

 

イレブン「それはわかるよ。僕も笑っちゃったもの」

 

 

 

 

ラース「全く。いつの間に笑い者にされてたんだ、俺は」

 

 

 

 

マヤ「マルス達とブレイブ達は玉座の間で待ってるよ。早くお祭り行こう」

 

 

 

 

マルティナ「そうね。向かいましょうか」

 

 

 

 

 


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