ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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生誕祭2

デルカダール城下町 広場

 

 

 

広場にはシルビアのショーをするための専用テントが建てられていた。テントの周りには、既にシルビアのファンの人達がまだかと言わんばかりに並んでいた

 

 

 

ベロニカ「流石シルビアさんね。相変わらず凄い人気じゃない」

 

 

 

 

イレブン「いつもならテントだけじゃなくて会場もあるよね。会場はどこだろう?」

 

 

 

 

マルティナ「シルビアは今回屋内じゃなくて、外で披露してくれるらしいのよ」

 

 

 

 

グレイグ「ゴリアテなら今頃テントで待機しているのではないだろうか。行ってみるか?」

 

 

 

 

マヤ「行ってみたいけど邪魔にならないかな?」

 

 

 

 

カミュ「シルビアの事だ。きっと大丈夫だと思うぜ」

 

 

 

その時、広場の近くからサマディー王がやってきた

 

 

 

サマディー王「おお!デルカダール王様!この度はデルカダール王国生誕祭が無事に開催された事、大変喜ばしく思います」

 

 

 

 

デルカダール王「サマディー王か!お主も来てくれたのじゃな。感謝するぞ」

 

 

 

 

サマディー王「このお祭りはデルカダール王国ができた記念日ですからな。参加しないわけにはいきません。それに、とても楽しそうな雰囲気ですな。街の人達もはしゃいでいる様子。私も楽しみにしていますよ」

 

 

 

 

デルカダール王「ハハハ!そうであろう?民達もこの祭りを毎回楽しみにしてくれている。わし達もその期待に応えなければならんからな。マルティナ達よ、わしはサマディー王と一緒に行動する。お主達も普段の事を忘れて楽しむんじゃ」

 

 

 

 

グレイグ「わかりました、王よ」

 

 

 

 

マルティナ「お父様、食べ過ぎには注意してくださいね」

 

 

 

 

サマディー王「そうだ、ラースよ。先程ファーリスがお主の兵士達を見つけ、話に行ったぞ。ファーリスもどこかで楽しんでおるだろうから、見かけたらぜひ声をかけてやってくれ」

 

 

 

 

ラース「ファーリス王子がですか。わかりました」

 

 

 

デルカダール王とサマディー王は去っていった

 

 

 

セーニャ「デルカダール王様も大変嬉しそうでしたわ。やはり王様も今日を待ち望んでいたんですね」

 

 

 

 

ロウ「そうじゃな。あんなに楽しそうなデルカダール王も久しぶりに見たわい」

 

 

 

 

グレイグ「そうなのだ。数日前から王はずっとソワソワした様子で落ち着きがなかったんだ」

 

 

 

 

ラース「今日のために色々な案を出してくれたからな。いい王様だよ、本当に」

 

 

 

 

ルナ「おじいちゃんは優しいもんね」

 

 

 

 

マヤ「ふふ、そうだよね。王様はいい人だよね」

 

 

 

 

ベロニカ「さて、私達はテントの方に行ってみましょう」

 

 

 

 

マルス「シルビアさんのショー、久しぶりだな。前のグロッタ以来だよ」

 

 

 

 

カミュ「ブレイブと兄貴とバンが出演したってやつか。それは俺も一度見てみたかったな」

 

 

 

 

ラース「俺とバンは大した事してねえよ。ほんのお手伝い程度だ。ブレイブの方が注目集めてたしな」

 

 

 

 

ブレイブ「ガ、ガウ.....」

 

 

 

 

マルティナ「ふふ、恥ずかしがらなくていいのよ、ブレイブ。カッコよかったらしいじゃない」

 

 

 

テント内

 

 

 

シルビア「あら!皆来てくれたの〜?とってもステキな格好だわ〜!コロちゃんにブレイブちゃんまで服着てるの?可愛いわ〜」

 

 

 

 

ブレイブ「ガウ」

 

 

 

 

イレブン「少し様子を見に来たんだ。シルビアはどんな感じ?」

 

 

 

 

シルビア「そうだったのね。ありがとう、イレブンちゃん。アタシはいつも通り絶好調よ!」

 

 

 

シルビアはポーズを決めてそう言った

 

 

 

ベロニカ「シルビアさんらしいわね。楽しみにしてるわ、シルビアさん」

 

 

 

 

マルティナ「私もシルビアのショーは久しぶりね。皆をぜひ盛り上げてちょうだい」

 

 

 

 

マヤ「私もシルビアさんのショー見たかったの!初めてだからどんなのかワクワクしてるの!頑張ってね!」

 

 

 

 

シルビア「まっかせて〜!アタシが皆を笑顔でいっぱいにしてあげるわ!も・ち・ろ・ん、あなた達もね!」

 

 

 

 

ラース「ハハハ、楽しみにしてるぜ」

 

 

 

一時間後、広場ではシルビアのショーが始まった。広場の中央には円状に線が張られ、シルビアが自由にショーが出来るようになっていた

 

 

 

ガヤガヤ、ザワザワ

 

 

 

観客がどんどん集まり、人でギュウギュウになっている

 

 

 

マルス「す、凄い数の人だね。こんなに集まる事なんてあるんだ」

 

 

 

 

カミュ「マルス、手離すなよ。迷子になっちまうからな」

 

 

 

 

ルナ「よく見えないよ〜」

 

 

 

 

グレイグ「どれ、俺が肩車してやろう」

 

 

 

 

マルス「あ!ルナばっかりズルい!グレイグさん、僕も!」

 

 

 

 

グレイグ「わかった。少し待つのだ、マルス」

 

 

 

 

ロウ「ブレイブ、コロよ、大丈夫かの?」

 

 

 

 

ブレイブ「ガ、ガウ.....」

 

 

 

 

コロ「クゥ〜ン」

 

 

 

ブレイブとコロは周りの人との距離に慣れずに悩んでいた

 

 

 

ラース「あー、ブレイブは大変だよな。皆、俺はブレイブとコロを連れて外側に行ってるさ。ブレイブ、コロ、こっちだ」

 

 

 

 

マルティナ「じゃあ私もそっちに行くわ。遠くから見てましょう。皆、マルスとルナを見ててくれる?」

 

 

 

 

ベロニカ「大丈夫よ。任せてちょうだい」

 

 

 

 

セーニャ「ブレイブ様もコロ様もこの人混みでは思うように動けないですからね」

 

 

 

 

マヤ「後でまたテントで会おう」

 

 

 

 

ラース「ああ、わかった」

 

 

 

ラースとマルティナはブレイブとコロを連れて人混みから出た

 

 

 

広場より少し離れた住宅地

 

 

 

ブレイブ「ガウゥ....」

 

 

 

ブレイブは疲れたようにその場に座り込んだ

 

 

 

コロ「ペロペロ」

 

 

 

コロはブレイブを舐めている

 

 

 

ラース「あんなに人がいる所は慣れてないよな。悪かったな、二人とも」

 

 

 

 

マルティナ「さて、私達はどこで見ましょうか。ここからだと見えないし」

 

 

 

 

ラース「少し高い所からなら見えると思うが.....マルティナ、平気か?」

 

 

 

 

マルティナ「高さによるわね。あまりにも高いとちょっと無理があるわ」

 

 

 

 

ラース「貴族達が住んでる所からなら見えると思うぞ。試しに行ってみるか」

 

 

 

住宅地 貴族層

 

 

 

マルティナ「ここならなんとか大丈夫よ。確かに小さいけど真ん中の所まで見えるわね」

 

 

 

 

ラース「人もあまりいないな。皆ここに気付いてないか」

 

 

 

 

マルティナ「ここならブレイブ達もゆっくりできるわね」

 

 

 

 

ブレイブ「ガウ!」

 

 

 

 

???「お!やっぱりここならよく見えるぞ!」

 

 

 

横から誰かがやってきた

 

 

 

ラース「ん?」

 

 

 

 

メグ「待ってよ、バン!って、あら?ラース様!マルティナ様!」

 

 

 

 

バン「あ!師匠とマルティナ様!?ブレイブとコロまで!」

 

 

 

そこには、バンとマサルを抱っこしたメグがやってきた

 

 

 

コロ「キャン!」

 

 

 

 

マルティナ「あら、バンにメグさん。それにマサル君も。どうしてこんな所に?」

 

 

 

 

バン「俺達シルビアさんの特別ショーが見たくてメグの店を一旦お昼休みにしたんですけど、人が凄くって全然見えなかったんですよ」

 

 

 

 

メグ「そしたらバンがいい所があるって言ってここに来たんです。ラース様達は?」

 

 

 

 

ラース「なるほどな。バンが今日城にいねえと思ったらメグの手伝いか。俺達も似た理由だな。ブレイブ達が人混みに慣れてなくてな。かわいそうだったから違う所を探してたらここにたどり着いたんだ」

 

 

 

 

マサル「お犬さん?カッコイイ」

 

 

 

 

ブレイブ「ガウ」

 

 

 

マサルはブレイブを見て目をキラキラさせている

 

 

 

バン「ブレイブは犬じゃないが、まあ犬みたいなもんだしいっか」

 

 

 

 

ブレイブ「......ガウ」ブス!

 

 

 

 

バン「いっっ!」

 

 

 

ブレイブは爪でバンの足を刺した

 

 

 

ラース「今のはお前が悪いぞ。それにしても、マサル君喋れるようになってたのか。俺の事覚えてないよな。前はまだ喋れなかったもんな」

 

 

 

 

マルティナ「何歳になるの?」

 

 

 

 

メグ「マサル、歳は?」

 

 

 

 

マサル「......さんっ!」

 

 

 

マサルは指を三本立てて元気に言った

 

 

 

マルティナ「可愛い!!」

 

 

 

 

バン「可愛いですよね。俺も初めて見た時、倒れるかと思いました」

 

 

 

 

ラース「マサル君、三歳か。俺はラースだ、よろしくな」

 

 

 

ラースはマサルと目を合わせて自己紹介している

 

 

 

マサル「あーす?」

 

 

 

 

ラース「ラース」

 

 

 

 

マサル「あーす!」

 

 

 

マサルは喜んでいる

 

 

 

バン「ぷっ......。し、師匠。笑わせないでくださいよ」

 

 

 

バンは口を押さえている

 

 

 

ラース「別にふざけてるわけじゃねえよ」

 

 

 

 

マルティナ「まだ上手く喋れないわよね。これからどんどん喋れるようになりましょうね」

 

 

 

 

メグ「そういえば、ブレイブ君もコロ君も服着てるなんて珍しいですね。初めて見ましたよ」

 

 

 

 

バン「俺も初めて見た。ブレイブ、コロ、中々似合ってるぞ」

 

 

 

 

コロ「キャン!」

 

 

 

 

ブレイブ「ガウ....」

 

 

 

 

マルティナ「私達の手作りなの。いつもの格好だとデルカダール以外の人から驚かれるから服着てれば多少は馴染んでくれると思って。ブレイブは少し動きにくそうにしてるけど我慢してもらってるわ」

 

 

 

 

メグ「手作り!?凄いですね!」

 

 

 

 

マサル「お犬さん、乗る」

 

 

 

マサルはブレイブに手を伸ばしている

 

 

 

バン「ブレイブに興味津々だな。ブレイブ、大丈夫だよな?」

 

 

 

 

ブレイブ「ガウ!」

 

 

 

 

バン「ハハ、そうだよな。マサル、ブレイブの背中だぞ。俺も乗った事ねえんだ。羨ましいぜ」

 

 

 

 

マサル「キャッ!キャッ!」

 

 

 

マサルはブレイブの背中に乗れて喜んでいる

 

 

 

メグ「本当に大人しいですね。キラーパンサーは子どもに優しいと聞きますけど、人間でもそうなんですね」

 

 

 

 

ラース「それもあるんだろうが、ブレイブ自身もう慣れたんだろうな。マルスとルナに散々遊ばれたからな」

 

 

 

 

バン「確かに。一時期背中の赤い毛が結構無くなっててビックリしましたよね」

 

 

 

 

マルティナ「二人がブレイブの背中の毛を毟ってたのよね。流石にかわいそうだったから怒ったけど、ブレイブは大した事なさそうにしてたわよね」

 

 

 

 

メグ「そんな事があったんですね。それなら確かに慣れちゃいそうですね。あ!シルビアさんが出てきました!」

 

 

 

 

バン「本当だ!やった!小さいけど特等席!」

 

 

 

 

ラース「さて、俺もシルビアのショーを見るのは久しぶりだ」

 

 

 

 

マルティナ「あら、流石シルビアね。人混みを分けて二つ丸いステージを作ったわ。あれならよりたくさんの人が見れるわね」

 

 

 

 

 


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