ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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生誕祭4

マルティナ「二人になっちゃったわね。まあ、皆が自由に楽しめれば私はそれでいいのだけど」

 

 

 

 

ラース「そうだな。それにもう少しであれが始まる。俺達も準備に城に戻るか」

 

 

 

 

マルティナ「わかったわ。大変だもんね」

 

 

 

デルカダール城 大広間

 

 

 

大広間には人よりも大きい巨大なケーキがあった。近くにはダーハルーネにいるラースの友人の店長、シンジがいた

 

 

 

店長「おお、やっと見つけたぜ、ラース、マルティナさん。相変わらずデルカダールは広いな。何回か迷いかけたぜ」

 

 

 

 

ラース「よう。迷ったとか言ってるが本当か?その手に持ってるやつとか見るに祭りを楽しんでたんじゃないのか?」

 

 

 

店長の手には食べ物の袋やお菓子、おもちゃなどがあった

 

 

 

店長「こ、これは.....あれだ。つい浮かれてよ.....。って別にいいだろ!」

 

 

 

 

マルティナ「ふふ、こっちとしても楽しんでくれた方が嬉しいわ。それに、今日のためにこんな立派なものわざわざ用意してくれたんだもの。ありがとう」

 

 

 

 

店長「いやー、まさか俺に依頼が来るとは思わなかったぜ。味には確かに自信あるけどよ、別に俺よりいいケーキ職人はダーハルーネにたくさんいるぜ?」

 

 

 

 

ラース「何言ってんだよ。顔も知らねえ職人よりも慣れ親しんだやつの方が圧倒的に信頼できるし........俺の中では菓子作りに関してお前が一番だよ」

 

 

 

ラースは最後を少し恥ずかしそうに言った

 

 

 

店長「ラ、ラース.......」

 

 

 

 

マルティナ「ラースの言う通りね。これからたくさんの人に出す分、安全には細心の注意を払わないといけないの。だから信頼できる人に頼むってのはとっても大事な事だったのよ。こんな事、店長さんにしか任せられなかったわ」

 

 

 

 

店長「マルティナさん.......。へへ、二人ともありがとな!!俺、二人と出会えて本当によかったぜ!」

 

 

 

店長は目に涙を浮かべ、腕で拭いながら感謝を告げた

 

 

 

ラース「おいおい、泣くなよ。よりブサイクが際立つぞ」

 

 

 

 

店長「てんめえ......。そこはお世辞でも慰めろよ!!人が折角感動してるって時に何冷めるような事言ってんだ!!」

 

 

 

 

ラース「へいへい、悪うござんした」

 

 

 

 

店長「次お前のケーキに毒入ってても知らねえからな」

 

 

 

 

ラース「お前はそんな事するやつじゃねえだろ?」

 

 

 

 

店長「ぐぐぐ........。マルティナさん!こいつ、マジでウザいんです!!止めてくださいよ!」

 

 

 

 

マルティナ「ラースは面白がってるだけよ。気にしないでね。見てる方としては仲良さそうで少し羨ましいわ」

 

 

 

 

店長「こんなやつと知り合うんじゃなかった!!」

 

 

 

 

ラース「さっきと言ってる事真逆じゃねえか。さて、王様も外で待ってるようだし、皆に届けますか」

 

 

 

その後、広場

 

 

 

ザワザワ

 

 

 

周りの人達は王様達が持ってきた巨大なケーキに興味津々となっている

 

 

 

デルカダール王「さて、皆のもの!今日の祭りは楽しんでくれておるかな?」

 

 

 

ワァー!パチパチ!楽しいでーす!

 

 

 

周りからは歓声が上がった

 

 

 

デルカダール王「うむうむ、喜んでくれているようで何よりだ。わし達から皆にもっと楽しんでもらおうと思ってな。今回はこの巨大なケーキを用意した。

 

 

 

皆、好きなように食べてくれ。これは少しじゃが、日頃この国を支えてくれている皆にわし達からの感謝の気持ちじゃ」

 

 

 

ワァー!!!王様サイコー!!

 

 

 

デルカダール王「さあ皆のもの!!祭りはまだまだ終わらんぞ!もっと騒ぎ、楽しむのじゃ!この日はデルカダール王国が出来た記念すべき周年日!デルカダール王国に栄光あれ!」

 

 

 

パチパチパチパチ!!

 

 

 

その後ケーキはどんどん切り分けられていき、様々な人達へケーキが渡った

 

 

 

デルカダール王「皆のもの!ケーキは行き渡っただろうか?もしまだの者がいたらこの後取っていくんじゃぞ。また、おかわりも好きに受け付けておる。どんどん食べてくれ。では、この国が出来た日に感謝を込めて、乾杯じゃ!!」

 

 

 

乾杯!!!

 

 

 

その場にいた全員が乾杯をして、グラスやジョッキがふつかる大きな音が響いた

 

 

 

しばらくして、周りの人達もまた先程のように騒ぎ始めた

 

 

 

ラース達はイレブン達と合流し喋っていた

 

 

 

ロウ「ふぉっふぉっ、流石はデルカダール王じゃ。皆を上手く盛り上げてくれるのう」

 

 

 

 

シルビア「本当ね。しかもあんな立派なケーキアタシ初めて見たわ。それを皆に配るなんて太っ腹だわ」

 

 

 

 

セーニャ「とっても美味しいですわ!私、もう一つ貰ってきます!」

 

 

 

 

ルナ「セーニャさん、私も!」

 

 

 

 

マルス「僕ももう一個貰う!」

 

 

 

 

マヤ「あれ?兄ちゃん、ケーキは?貰わなかったの?」

 

 

 

 

ラース「俺.......一口で食べてしまった。おかわりができるって聞いてたのに....なんで」

 

 

 

ラースはケーキがおかわりできずに落ち込んでいる

 

 

 

マルティナ「ラースはおかわり禁止よ」

 

 

 

 

グレイグ「お前がおかわりしていると皆の分が無くなってしまうからな。我慢してくれ」

 

 

 

 

店長、カミュ「アハハハハハ!!」

 

 

 

シンジとカミュはラースを見て、指を指して笑っている

 

 

 

ベロニカ「二人とも笑いすぎでしょ。まあ、私もマルティナさん達の意見に賛成だけど」

 

 

 

 

イレブン「店長さんもカミュもラースがかわいそうじゃん。ほら、ラース。僕の分少しあげるからさ」

 

 

 

 

ラース「い、いや。それはイレブンの分だ。俺は.....別に....」

 

 

 

ラースはイレブンのケーキをチラチラ見ている

 

 

 

店長「動作と言動が合ってねえぞ、ラース。まあ、自分の大食いを恨むんだな」

 

 

 

 

セーニャ「今戻りましたわ」

 

 

 

セーニャとルナ達の皿には先程より少し大きめのケーキが乗っていた

 

 

 

マルス「はい、父さん。僕と半分こしよう」

 

 

 

マルスはラースの隣に座り、自分の皿に乗ったケーキを分けた

 

 

 

ラース「マ、マルス......。お前は本当いい子だなぁ。ありがとう、マルス!一緒に食べよう!」

 

 

 

 

ルナ「セーニャさんがね、お父さんがかわいそうだからって少し大きめに切って貰うようにお願いしたんだよ」

 

 

 

 

ラース「セーニャ!!ありがとう!!」

 

 

 

ラースは誠意を込めて頭を下げる

 

 

 

セーニャ「そんな、ラース様。私は大した事はしていません」

 

 

 

 

マヤ「兄ちゃんって食べ物の事になると必死だよね」

 

 

 

マヤはその光景に苦笑いしている

 

 

 

グレイグ「そうだな。見ていて少し恥ずかしいぞ」

 

 

 

 

ロウ「まあよいではないか。あれもラースらしさの一つじゃよ」

 

 

 

 

ベロニカ「セーニャ、あんたもおかわりはそこまでにしておきなさい。皆のケーキなんだから」

 

 

 

 

セーニャ「うう......。そうですよね。我慢します」

 

 

 

 

シルビア「店長ちゃん、あんなケーキ作れたのね。それにいつも通りとっても美味しいわ。大きくしても味が落ちないなんて流石ね」

 

 

 

 

店長「やった!シルビアさんに褒められた!数日かけて何とか作ったんです。前に巨大なパフェとかで大きなスイーツ作りは経験あったんで、それを少し応用させてみたんです」

 

 

 

 

カミュ「なるほどな。シンジの所のスイーツは甘さがしつこくなくて、苦手な俺でも食いやすいぜ」

 

 

 

 

店長「カミュ、甘いもの苦手だったのか。なら、今度ビターなケーキとかもあるから今度店に来てくれよな」

 

 

 

 

マヤ「あ!私もまた行きたい!」

 

 

 

 

カミュ「久しく行ってないしな。今度行くか」

 

 

 

 

店長「それじゃあ俺はこの辺で。一日祭りにいるから、また声かけてくれよな。じゃあな!」

 

 

 

シンジは去っていった

 

 

 

ラース「またな!」

 

 

 

 

イレブン「ラース達はこの後まだ何か予定あるの?」

 

 

 

 

マルティナ「後は夜の舞踏会だけね。皆は自由参加だし、見てるだけでも大丈夫よ」

 

 

 

 

シルビア「でも〜皆こんなステキな格好してるんだし、どうせなら舞踏会に皆で出ましょうよ」

 

 

 

 

カミュ「俺は踊りなんて出来ないんだが」

 

 

 

 

グレイグ「俺も出来ん」

 

 

 

 

イレブン「僕もあまり得意じゃないなぁ」

 

 

 

 

ラース「大丈夫だぜ。舞踏会なんて言ってるが、結局はドンチャン騒ぎと変わらん。痛え!!」

 

 

 

ラースは隣のマルティナに脇腹を殴られた

 

 

 

マルティナ「ラース?あまりそう言う事言わないでちょうだい?」

 

 

 

 

ラース「は、はい。すみませんでした....」

 

 

 

 

マヤ「(姉ちゃん、怖....)」

 

 

 

 

マルティナ「コホン、まあ踊れなくてもいいのよ。皆自由にしてるんだから。音楽に合わせて体を動かしてればいいのよ。色んな動きがあった方がきっと皆も楽しめるわ」

 

 

 

 

シルビア「そうよ!皆も出ましょう」

 

 

 

 

ベロニカ「まあ、別に私は構わないわ。ダンスは確かに出来ないけど、まあ皆がいるなら平気よ」

 

 

 

 

セーニャ「お姉様、一緒に踊りましょう!」

 

 

 

 

ラース「い、言い忘れてたが踊りは男女ペアなんだ」

 

 

 

 

ベロニカ「あら、そうだったの。セーニャ、しょうがないわね」

 

 

 

 

シルビア「踊りは身長が近い者同士だとやりやすいわよ」

 

 

 

 

マルス「ルナ、一緒にやろうね」

 

 

 

 

ルナ「うん!」

 

 

 

 

マヤ「私、誰と組もうかな」

 

 

 

 

ロウ「マヤちゃん、わしとは嫌かの?身長もそこまで離れておらんぞ?」

 

 

 

 

マヤ「おじいちゃん。全然構わないよ!寧ろ、嬉しいもん」

 

 

 

 

ロウ「ほほ、それはよかった」

 

 

 

 

イレブン「夜までまた街を回ってようか」

 

 

 

 

グレイグ「そうだな。まだ行ってない店もある」

 

 

 

 

セーニャ「シルビア様、お姉様!他のお店に行ってみましょう!」

 

 

 

 

シルビア「そうね。楽しみましょう!」

 

 

 

仲間達はそれぞれ去っていった

 

 

 

ラース「マルティナはシルビア達について行かなくてよかったのか?」

 

 

 

 

マルティナ「ええ。シルビア達からもラースと一緒にいた方がいいって言われてるの」

 

 

 

 

ラース「気遣いなんてしなくてもいいのによ。じゃあ、この後メグの店に顔出しに行くつもりだったんだが来るか?」

 

 

 

 

マルティナ「ええ、行きましょう。私、メグさんのお店初めてだわ」

 

 

 

 

 

 


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