その後、ベグル達を医療部屋に運んだ後
バルコニー
バンが入るとラースがいた
ラース「ようバン。全て終わったみたいだな」
バン「あ.......。師匠.....」
ラース「一件落着かな。それにしてもさっきの爆音は凄かったな。マルティナ達を宥めるの大変だったんだぞ」
ラースは苦笑いしている
バン「........あの、怒らないんですか?俺、大変な事やらかしたのに」
ラース「怒る?何をだよ。悪いのはあのネックレスだろ」
バン「き、気付いてたんですか!?」
ラース「あのバンが偽物なのは何となくわかっていた。だからそれまでの違いを考えていたらあのネックレスに気付いてな。おそらくそういう類の物なんだろうなと思っていたさ」
バン「流石師匠です!じゃあ訓練場での戦闘もわかってたんですね」
ラース「あんなド派手にやってくれるとは思わなかったけどな」
バン「アハハ.....。俺....自信がなかったんです。兵士長として上手くやっていけてなくて。ベグル達に頼ってばかりだし、師匠みたいに兵士長らしくできないし、迷惑かける事も多くて向いてないんじゃないかって」
バンは下を向き、ポツポツと話し始めた
ラース「........」
バン「師匠みたいになりたいのに、頑張っても空回りしてる気がして......。これじゃあ俺は師匠の弟子なのに、何してんだろうって。期待してくれてるのに、何も残せてないって.....」
ラース「ハァ.......。おい、バン!!」
バン「は、はい!!」
バンはラースに強く呼びかけられ、思わず顔を上げる
ピシッ!
バン「痛っ!」
ラースはバンにデコピンをした
ラース「またらしくもなくウジウジ考えやがって。もっと相談しろよな。そんなんだからメグにも心配かけさせるんだぞ」
バン「メグも?」
ラース「ああ。まず第一に様子がおかしいのに気づいたのはメグだ。それを少し前に相談しに来てくれたんだ」
バン「そうだったんですか。帰ったらお礼言わないと!」
ラース「それでお前の悩みに答えるとするなら、やっぱりバンは馬鹿だな」
バン「悩んでる人にそんなハッキリと言いますか!?」
ラース「ああ。お前、当たり前な事に気づいてねえんだぞ」
バン「むぅ.....。何ですか?」
ラース「バンはどんなに頑張ったって俺みたいにはなれねえって事だ」
バン「!!そんな.....。俺、師匠みたいになりたいのに.....」
ラース「諦めるんだな。なぜなら、バンは俺じゃない。バンはバンだ」
バン「!!!?」
ラース「逆も言えるぞ。俺はバンみたいにはなれない。どんなに頑張ってもな」
バン「俺は.....世界に一人だけだから.....」
ラース「お、理解したな。そういう事だ」
バン「で、でも!それじゃあ師匠のために俺が出来る事は何ですか!師匠が安心できるように、師匠みたいに兵士長としてもっと頑張らないといけないって思ってたのに」
ラース「俺のため.....か。まあ、師匠としての観点から言わせてもらうとだな」
バン「はい!何でもやりますよ!」
ラース「俺の教えがこれからも守れていればよし、だな」
バン「ふぇっ?そんなの当然じゃないですか!」
ラース「ならそれで大丈夫だ。お前は十分出来ているさ」
バン「何でそんなのでいいんですか?もっとこう、弟子にやってほしい事とかないんですか?」
ラース「そう言われてもなぁ。バン、俺はお前より歳が上だろ?」
バン「そうですね。師匠の方が8歳上です」
ラース「つまり、俺の方が先に引退するわけだ」
バン「それは......そうですけど、何でそんな話を?随分と先じゃないですか」
ラース「まあな。だが、そうである以上俺が残しておきたいものだってある。それが俺の教えだ。別に訓練のやり方とか教え方や技なんてのはどうだっていい。変わっていくのが常だからな。
だが、俺が教えた心構えだけは忘れないでほしい。信念を持ち、己が守るべき物を見失わない。それが俺の弟子に願う事だ」
バン「師匠........」
ラース「あとは元兵士長として言わせてもらうなら、今のままでいいと思うぞ」
バン「.......今のまま、ですか?皆に、師匠に迷惑かけてばっかりな兵士長でいいんですか?」
ラース「迷惑....ねえ。お前は迷惑をかけてると思ってるのかもしれねえが、実際はそんな事ないはずだぞ」
バン「え?だって、ベグル達はもっとしっかりしろって....」
ラース「あれは鼓舞みたいなものだろ。それにあいつらだってお前に頼られるのを待ってるんだぜ」
バン「そう...なんですか?俺にはそうは見えないですけど」
ラース「隠してるからな。あいつら、お前の事気に入ってるんだぜ」
バン「でも、兵士長なのに.....師匠は一人で全部やってたのに....俺は頼ってばかり.....」
ラース「まったく。だから言っただろ?バンは俺みたいにはなれない。だから、俺みたいに一人で全部なんて出来るわけないだろ。その代わり、お前の側にはあるものがあるだろ。俺の時とは違ってよ」
バン「俺の側?」
ラース「お前の周りにはいつも誰がいる?」
バン「...........ベグルが、ロベルトが、ガザルが、ギバが、マーズが、ダバンが、見習い達が......師匠がいます」
ラース「そうだろ?お前の側には仲間達がいる。支えてくれる仲間がな。仲間達と共にある兵士長だ。俺とは全く違う兵士長だ。それはお前にしか出来ない事だぜ」
バン「仲間達と共に.....。そんな兵士長でもいいんですか?」
ラース「悪いわけないだろ。寧ろ、最高なんじゃないか?皆に愛されてるな」
バン「師匠.....じじょうー!」
バンは泣きついてきた
ラース「うおっ!お前、泣くなよ。まったく......。そんなに悩んでたのなら少しは相談しろよな。怒らねえから」
バン「お、おれ.....間違ってた......。立派な兵士長になるために......頑張って、大事な事....見えてなかった。ベグル達がいねえと、駄目なのに.....一人になろうとして、失敗して.....らしくなかった。ベグル達は俺を支えようとしてくれてたのに.....気づかないで、無茶してた....」
ラース「ああ、そうだよな。何でも一人でやろうとするな。俺だってマルティナやイレブン達に頼る事ばかりだ。一人で出来る事なんて、たかが知れてる。もっと頼れ、仲間達をさ。お前もベグル達を気に入ってるんだろ」
バン「はい.....!」
数分後、バンの涙も引き
バン「.......。師匠、俺、決めました。師匠の教えを新入り達に広めていきます!そうすれば、弟子として師匠のためになります!それが師匠の望みとあらば!俺はやってやりますよ!」
ラース「ああ、そうだ。弟子なんだからな。師匠に悔いを残させねえようにしてくれよ」
バン「はい!師匠、俺また頑張ります!弟子として、兵士長として、ベグル達とこれからもっと、もっと頑張ります!マルティナ様や国の人達が笑顔で過ごせるように守っていきます!応援しててくださいね!」
ラース「いいぞ!その調子だ!見守っててやるからな」
バン「俺は馬鹿で、師匠やベグル達がいないと何もできないですけど、俺は師匠の弟子の兵士長、バンです!ベグル達と共に兵士長として頑張ります!俺はもう迷いませんよ!」