ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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油断

それから二日後、クレイモラン城

 

 

 

マルティナ用の部屋

 

 

 

城内にあるような普通の部屋ではなく、王族が泊まる用の豪華な部屋にマルティナの部屋が当てられていた

 

 

 

マルティナは机に座り、今日までに学んだ事などをまとめていた

 

 

 

マルティナ「........さて、こんなものかしら。クレイモランでは文化や歴史に則っている政策が多いのね」

 

 

 

コンコン

 

 

 

シャール「あ、マルティナ様。入ってもよろしいですか?」

 

 

 

 

マルティナ「シャールだったのね。いいわよ」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

マルティナ「どうしたの?」

 

 

 

 

シャール「いえ、今空を見たら満点の星空になっていて、天の川もとてもよく見えるんです。マルティナ様も休憩などによかったらぜひ見てください。貴重な瞬間ですよ」

 

 

 

 

マルティナ「あら、そうなの?それならまとめも一段落ついたし、一緒に見ましょう」

 

 

 

 

シャール「はい。あ、外は寒いので防寒対策はしっかりとお願いしますね」

 

 

 

 

マルティナ「ふふ、わかってるわ。クレイモランだもの。当然よね」

 

 

 

 

シャール「シルビアさんとベロニカさんにもお声がけしたらシルビアさんがどこかへ向かわれてしまって。どうされたんでしょうか」

 

 

 

 

マルティナ「やっぱりシャールも気付いてるわよね。急にどうしたのかしら、二人とも。まあ、あの二人なら大きな心配はいらないと思うわ」

 

 

 

数分後、城内の廊下

 

 

 

グレイス「あ、マルティナさん.....様。シャール様も外に出るの?」

 

 

 

 

マルティナ「あら、ベロニ.....グレイス。ええ、二人で天の川を見てみようかしらと思って。あなたもどう?」

 

 

 

 

グレイス「もちろんついていくわ。だって私達はマルティナ様の護衛役だもの」

 

 

 

 

シャール「レディ・マッシブ様はどちらへ?」

 

 

 

 

グレイス「少し用事があるみたい。でも、すぐに戻ってくるそうよ。ちょっとくらいなら私一人でも大丈夫だわ」

 

 

 

 

マルティナ「そう。じゃあ外に出ましょう」

 

 

 

クレイモラン城下町

 

 

 

シャール「あ......。少し雲が出てきてしまいましたね。見えにくくなってしまいました」

 

 

 

夜空には少し雲がかかり、星の光が見えにくくなっている

 

 

 

マルティナ「そうね。でも、凄い数の星だわ」

 

 

 

 

グレイス「あ!城下町の外はまだ雲がないわ。そっちに行きましょうよ」

 

 

 

 

シャール「ええ!?ですが、危険ではありませんか?」

 

 

 

 

グレイス「ちょっとやそっとの魔物なら平気よ。ねえ、こんなに綺麗なのは一年に見れるかどうかわからないんでしょ?」

 

 

 

 

シャール「それはそうですが......」

 

 

 

 

マルティナ「まあ、長時間滞在しなければ問題ないと思うわ。いざとなったら私も戦えるんだし。少しだけ行ってみましょう」

 

 

 

 

グレイス「私にかかれば大丈夫よ。絶対守ってあげるんだから」

 

 

 

シケスビア雪原の高台

 

 

 

三人「うわぁ〜........」

 

 

 

三人の真上には夜空を覆うほどの星が出ており、それが集まって大きな天の川が出来ていた

 

 

 

マルティナ「これは凄いわ.....。こんな綺麗な景色が見れるなんて」

 

 

 

 

シャール「私も長くここに住んでいますが、これほどの大きな天の川は初めてです。すっごく綺麗.......」

 

 

 

 

グレイス「外に出てみて正解だったわね。これは必見だわ」

 

 

 

 

マルティナ「(あ.....そういえば私、前にもこうやってラースと星空を見た事が何回かあったわ。..........強情になってたのは私もだったかもしれないわね)」

 

 

 

マルティナは自分の隣にラースがいない事を少し寂しく思っていた

 

 

 

その時

 

 

 

バヒュン!

 

 

 

ドス!

 

 

 

グレイス「ぐっ......」ドサ

 

 

 

 

二人「!!?」

 

 

 

どこからか弓矢が飛んできて、空を見ていたグレイスの脇腹に当たり、グレイスは倒れ込んだ

 

 

 

シャール「キャアアア!!べ、ベロニカさん!!」

 

 

 

 

マルティナ「何なの!?一体!」

 

 

 

すると周りから数人の男達がやってきた

 

 

 

盗賊親分「へっへっへ、腹をぶちぬいてやろうと思ったが、風で少し逸れたか。まさかこんな所に王族の方達がいるとは。しかも、護衛がこんな女一人とは。俺達は運がいいぜ」

 

 

 

マルティナ達は囲まれている

 

 

 

マルティナ「くっ....。夢中になってて囲まれているのに気づかないなんて...」

 

 

 

 

シャール「あ、あな、あなた達は私達をどうされるつもりですか!」

 

 

 

 

盗賊親分「大人しく金目の物を置いてってくれりゃあありがたいなぁ。その高そうな服とかよ」

 

 

 

 

マルティナ「シャール、私から離れないで。十人くらいなら何とかなるわ」

 

 

 

 

ベロニカ「待ちなさい!そこの盗賊達!」

 

 

 

 

全員「!!」

 

 

 

 

盗賊「お、お前!さっき倒れてたはずじゃあ」

 

 

 

 

ベロニカ「このベロニカ様を奇襲しようなんていい度胸じゃない!しゅくふくの杖で傷は治させてもらったわ!マルティナさん、シャールさんを連れて逃げて!二人は何としてでも逃げないと!」

 

 

 

 

マルティナ「で、でもベロニカが危ないわ!私も加勢するわよ!」

 

 

 

 

ベロニカ「私は今、マルティナさんの護衛役!マルティナさんを守る事がお仕事なの!マルティナさんに危険な事はさせないわ!メラガイアー!」

 

 

 

 

盗賊「危ねえっ!!ま、魔法だと!?」

 

 

 

 

盗賊親分「このアマ、魔法使いか!!」

 

 

 

 

ベロニカ「今のうちに!」

 

 

 

 

マルティナ「くっ.....逃げるわよ、シャール!走って!」

 

 

 

 

シャール「は、はい!!ベロニカさん、どうかご無事で!」

 

 

 

シャールの後ろにマルティナがつきながら城下町へ走っていく

 

 

 

盗賊「あ!!親分、獲物が逃げます!」

 

 

 

 

盗賊親分「チッ!この女のせいで逃しちまった。てめえ、覚悟はできてるな?」

 

 

 

 

ベロニカ「何が覚悟よ!そっちこそ燃やし尽くされる覚悟はできてるんでしょうね!?ベギラゴン!」

 

 

 

 

盗賊達「ギャアアア!!」

 

 

 

 

ベロニカ「どんどんいくわよ!」

 

 

 

 

盗賊親分「魔法は厄介だが、詠唱とやらに時間がいるもんな?」

 

 

 

親分はベロニカに距離を詰めた

 

 

 

ベロニカ「くっ!」

 

 

 

 

盗賊親分「オラァ!」

 

 

 

 

ベロニカ「それくらい!」

 

 

 

ベロニカは親分が殴ってくるのに合わせて杖でガードする

 

 

 

盗賊親分「ガードしてたら詠唱はできねえよな!」

 

 

 

 

ベロニカ「(それが目的なのね!ムチも持ってくればよかった.....)」

 

 

 

 

盗賊親分「オラア!!」

 

 

 

 

ベロニカ「ここ!!」

 

 

 

ベロニカは攻撃の隙を突き、杖で殴り飛ばした

 

 

 

盗賊親分「ぐうっ!痛えじゃねえか、クソが!」

 

 

 

 

ベロニカ「........さあ、詠唱終わりよ!メラゾーマ!」

 

 

 

 

盗賊親分「ギャアアアア!!!」

 

 

 

 

ベロニカ「ふう......こんなもんかしら」

 

 

 

 

盗賊「親分!!てめえ、よくも親分を!!これでも食らえ!!」

 

 

 

バヒュン!

 

 

 

盗賊の一人がベロニカに向かってボウガンを打ち込んだ

 

 

 

ベロニカ「どこ狙ってんのよ!当たらないわ!」

 

 

 

バキバキバキ!!

 

 

 

ベロニカ「え?」

 

 

 

ベロニカの後ろにあった大木が倒れてきた

 

 

 

盗賊「馬鹿め!!狙いは木だ!潰れてしまえ!」

 

 

 

 

ベロニカ「やば......」

 

 

 

ドォォン!!

 

 

 

時は少し遡り、デルカダール城

 

 

 

マルティナとラースの部屋

 

 

 

コンコン

 

 

 

ラース「ん?誰だ?」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

マッシブ「アタシの名前はレディ・マッシブ!ラース様にある報告」

 

 

 

 

ラース「シルビア、お前か。ベロニカにも伝えといてくれ。セーニャを巻き込むなってよ」

 

 

 

ラースはシルビアの言葉を遮り、呆れたようにしている

 

 

 

シルビア「あ〜ん、んもうっ!ノリが悪いわよ、ラースちゃん!今回はある作戦のもと、こうやって動いてるんだから!」

 

 

 

 

ラース「作戦?遊んでるんじゃなくて?」

 

 

 

ラースは頭をかいて興味なさそうにしている

 

 

 

シルビア「酷いわ〜。作戦、その名もマルティナちゃんとラースちゃん仲直り大作戦よ〜」

 

 

 

 

ラース「そのままじゃねえか」

 

 

 

 

シルビア「うふふ、まあいいのよ。ラースちゃんの不安点である護衛をアタシ達が受け持っていれば大丈夫だし、そうすればラースちゃんは安心してこっちでお仕事ができて、マルティナちゃんの不安点も解決。そうすれば今回は何も問題ないわ」

 

 

 

 

ラース「その護衛が何で今ここにいるんだよ」

 

 

 

 

シルビア「もう夜だから何もしてないのよ。だから特に問題ないわ。それに明日でこの交換も終わりでしょ?ちょっとラースちゃんに手伝ってほしい事があって」

 

 

 

 

ラース「何だよ」

 

 

 

 

シルビア「アタシ達の頼みごと聞いてくれない?」

 

 

 

 

ラース「.........」

 

 

 

ラースは顔を歪ませている

 

 

 

シルビア「あら、やだ。そんな嫌な顔しないで。それに変な事じゃないから。ちょっとアタシ達についてきてほしいだけ」

 

 

 

 

ラース「それでも怪しい。また何か奢らされたりすんのか?」

 

 

 

 

シルビア「まっさか〜!お財布とかはいらないわ。ほ〜ら、準備して!」

 

 

 

 

ラース「あ、おい!押すなよ、俺は了承してねえぞ!」

 

 

 

 

 

 


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