その後、玉座の間
カミュ「よう、ただいま」
カミュが荷物を持ってやってきていた
マルティナ「カミュ、お帰りなさい。またマヤちゃんのお店に行くの?」
カミュ「それもあるが、今日はブレイブの誕生日なんだってな。俺も少し祝ってやろうかと思ってよ」
グレイグ「ほう、よく知っていたな。ラースから聞いたのか?」
カミュ「いや、兄貴じゃなくて兵士達から聞いたんだ。確認なんだがブレイブってこれ食べれるか?」
カミュは魚を取り出した
マルティナ「あら!ホッカイマグロ!クレイモランの特産品じゃない!」
グレイグ「これは立派なものだな。ブレイブ達は魚も食べるから問題ない。しかし、肝心の本人が訓練場に行ったきり帰ってこない。どこかに出かけたのだろうか」
カミュ「食べれるならひとまず安心だ。キッチンはコックに話せば貸してくれるか?」
マルティナ「そうね。って、わざわざカミュが作るの?」
カミュ「大したものじゃねえけどな。余るだろうから皆で食べてくれ。兄貴に全部取られるなよ?」
グレイグ「ふっ、そうだな。気を付けねば」
その頃、ナプガーナ密林前の川辺
ブレイブの要望で、ラースはここに来ていた
ラース「どうした?ここに来たいなんて」
ブレイブ「本当なら森の中に入りたいのですが、流石にラース様と出会った場所に行くには少々危険ですので、ラース様が私達をお誘いしてくださった場所にどうしても行きたくて」
ラース「なるほどな。もうお前と出会って四年目か。早いものだな」
ブレイブ「私にしてみれば一瞬でした。ただ、その一瞬でもとても濃い内容でした。群れの中で暮らしていた時と比べれば毎日が輝いているようです」
ラース「..........」
二人は静かに風の音を感じている
ガサガサ
ラース「ん?」
ビッグハット「ブゥ?」
草むらからはビッグハットが出てきた
ブレイブ「ん?おお、久々だな。元気にしていたか?」
ビッグハット「ブブゥ!!ブゥ」
ビッグハットはブレイブと仲良く話している
ブレイブ「ハハハハ、そうか。それはよかった。皆も元気なら俺も嬉しい。皆に伝えてくれ。俺と息子は変わらず元気でやっているとな」
ビッグハット「ブゥ!」
ビッグハットは嬉しそうに去っていった
ラース「........あのビッグハット、確か足を怪我していたやつだな。マルスを威嚇していた記憶があるぞ」
ブレイブ「まさか覚えていられたとは。はい、その子で間違いありません。久しぶりに群れの仲間と会いましたが、元気そうで良かった」
ラース「...........なあ、ブレイブ。少し考えている事があるんだ」
ラースはブレイブを見つめている
ブレイブ「はい。何でしょうか」
ラース「群れに戻りたいか?」
ブレイブ「.........え?」
ラース「俺についてきてくれるのは嬉しい。お前は頼りになるし、心強い。だが、魔物としてはそれでいいのか?前にこう言っていたな。魔物は何かのために行動する。行動こそがお前達魔物にとって生きる理由となっている、と」
ブレイブ「そうですね。間違いなくそう言いました。私達はラース様のために行動しております」
ラース「前にこう言われた事がある。魔物らしくないキラーパンサーだ、とな。それを聞いた時は俺はかなりショックだったんだ」
ブレイブ「ど、どうしてですか?」
ラース「元は魔物であったはずのキラーパンサーとベビーパンサーが、ブレイブとコロと名付けられ、人間の支配下に置かれている。他の魔物からすればお前達は異端なのか、と思ったんだ。
ブレイブも魔物としてのプライドがあるだろう。それを俺は考えもせず、自身の気持ちだけで勝手に人間の世界に引き込んだ」
ブレイブ「ラース様........」
ラース「なあ、ブレイブ。お前はこれでいいのか?魔物らしさが抜けて人間の言いなりになってよ。人間の世界は魔物のお前達にとって生きにくい環境ばかりだ。嫌な事も多いだろう。
俺はお前達に生きてほしい。そのためなら出来る限りの事をする。だからもし、前の魔物としての生活を望むなら俺はあの群れに帰すのも仕方ないと考えている」
ブレイブ「..........私達の事、そこまで深く考えてくださっていた事誠に感謝いたします。私から一つ言わせていただきます」
ラース「おう」
ブレイブ「ラース様は勘違いをなされています。確かに魔物らしさは抜けているでしょう。他のキラーパンサー、ベビーパンサーと比べるまでもないくらいには。
しかしそんなもの、私達からすれば気にもなりません。私達は異端な魔物に見えるかもしれません。ですが、これは私達が自ら選んだ道。後悔など微塵もありません」
ラース「そ、そうか」
ブレイブ「もう私達はただのキラーパンサー、ベビーパンサーではありません。ラース将軍に仕えるキラーパンサー、ブレイブとベビーパンサー、コロなのです。この場所が私達の住む場所であり、生きるための場所なのです。
あの群れを懐かしむ事こそあれど、この場所が嫌になるなどありえません」
ラース「.........ハハハ、ハハハハ!!」
ラースは笑い始めた
ブレイブ「ど、どうして笑われるのですか!」
ラース「いや、カッコいいなと思ってな。俺が間違っていた。いらない心配だったみたいだな。しかし、ありがとう。そこまで大切に考えてくれてよ」
ブレイブ「当然です。ラース様にはたくさん助けられただけでなく、あの城に行き、様々な事を教わりました。お礼を申し上げるのはこちらの方です。ラース様、これまでありがとうございました。これから先もずっと私はあなたについていきます」
ラース「ああ、これからもよろしく頼むぞ。ブレイブ」
ブレイブ「お任せください」