次の日、ユグノア城 玉座の間
マルティナ「ロウ様、イレブン、グレイグとラースとカミュも連れてきたわ」
マルティナ達がやってくると、ベロニカとセーニャとシルビアもいた
グレイグ「む?ベロニカにセーニャにゴリアテ。お前達も来ていたのか」
イレブン「そう。ベロニカとセーニャは僕が呼んだんだ。この後そのまま調査に行ってもし戦闘になった時のために備えてね」
シルビア「アタシはロウちゃんとイレブンちゃんにソルティコでの幽霊ちゃんによる被害を報告してたの」
ロウ「様子を見ておったが、被害は収まらんのでな。対策も考えて試行したのだが、どうやらそれも無駄じゃったようでな。わし達の他国に届けるはずだった積荷も海に流されてしまった」
ベロニカ「話には聞いてたけど相当被害が出てるみたいね」
セーニャ「通りかかった船を見境なく襲っているんでしたよね。どうしてそのような事を....」
ラース「考えていても仕方ない。このまま船に乗ってその場所にまで行ってみるか?」
ロウ「いや、船はやめた方がいい。これまでを見る限り船が無事だった事はほとんど無いんじゃ」
カミュ「それに兄貴は海に落ちたら溺れるだろ?俺達も落ちてたら拾う余裕があるかもわからないぜ?」
ラース「そ、それは.......確かに」
マルティナ「ですが、船以外となるとどうするのですか?」
グレイグ「あそこは海のど真ん中。ケトスでも不可能です」
イレブン「そう。それを昨日おじいちゃんと話し合ったんだけど、セレン様なら何とかならないかな?と思ってさ」
セーニャ「そうですわ!セレン様なら海の全てを知っているはずですわね!」
シルビア「協力をしてもらおうって事でいいのかしら?」
ロウ「そうじゃ。頼んでみて無理じゃったらまた考えてみるとしよう。これからまず向かうのは海底王国ムウレアじゃ」
ラース「久しぶりだな。あの旅の時以来だ。あの景色は俺かなり好きなんだよな」
ベロニカ「綺麗だし、不思議な光景だもんね。私もあの景色好きよ」
二人は景色を思い浮かべて楽しんでいる
カミュ「何お気楽な事言ってんだよ。観光じゃねえんだぞ」
ベロニカ「わかってるわよ!いいじゃない、別に景色がどうこう言ってたって!」
イレブン「まあまあ落ち着いて、ベロニカ。それじゃあルーラで向かおうか」
海底王国ムウレア 玉座の間
セレン「やはり来てくださいましたね。お久しぶりです、勇者イレブン、勇者の仲間の皆さん。話はわかっていますよ」
ベロニカ「さ、流石セレン様ね。こっちの事はお見通しってわけね」
ロウ「それなら話が早い。その幽霊の事を何か知ってたりしないかのう?」
セレン「あの幽霊は海に対して強い恨みを感じます。おそらく波に飲み込まれたか、嵐にやられたかで死んでしまった者でしょう。そして、恨みと同時に人間に対して強い怨念も感じます。あの者を払うにはその怨念を無くしてやる必要があるでしょう」
グレイグ「怨念.......か。しかも人間に向けられているとなると俺達も例外ではないという事か」
セレン「しかし、何やらとある人物には特に大きな怨念があるようです。その人物まではわからないのですが......」
カミュ「その幽霊にはどうやって近づいたらいい。船だとこれまでみたいに破壊されたり転覆させられるんだ」
セレン「私が力を貸しましょう。海の中から近づけば何とかなると思います。ですが、その後は任せましたよ。どうかあの幽霊を正しき命の流れに戻してあげてください」
イレブン「わかりました。ありがとうございます、セレン様」
しばらくして、海中
セレン「着きました。ここがその幽霊のいる真下となっています。しばらくは海に立つ事ができますが、長くは持ちません。早い段階で幽霊との交渉を試みてください」
ロウ「うむ、わかった。お力添え感謝する」
イレブン達はゆっくり海上に上がっていき
ザバァン!
幽霊「!?」
イレブン「いた!この人がその幽霊だね!」
ラース「ほ、本当に幽霊がいるんだな」
幽霊は赤い髪をしており、目には十字の傷跡がついている
幽霊「何だ貴様ら!どこから現れやがった!人間め、許さん!」
幽霊がそう言うと、周囲の海から水柱が起こっていく
ベロニカ「こ、こんな事できるのね。確かにこれは船だったらひとたまりもないわ」
しかし、イレブン達の周囲の海は何ともなかった
幽霊「何故だ!何故私の力が及ばぬ!貴様らも海を憎めばよいものを!」
マルティナ「どうか落ち着いて。私達はあなたに危害を加えにきたわけじゃないの」
セーニャ「どうしてそこまで海を恨んでおられるのですか?」
幽霊「私は海に全てを奪われた。友も妻も、何より大事にしていた船も。そして、残された子どもからは呪われていると恐れられた。村の者も私を化け物と同じ扱いをする。何故だ!何故私だけがこんな目に合わなければならない!!」
ロウ「それが......お主が海を恨む理由か」
幽霊「海が悪いというのに!なぜ海は恨まれぬ!周りからは私が恨まれ、恐れられる。理不尽だろう!特に私を呪われていると蔑んだ息子だけは許さぬ!!あの息子の家族には本物の呪いをかけてやった!海に一度でも近づけば私が引き摺り込んでやる!」
グレイグ「貴様、自身の家族に呪いをかけたというのか!」
幽霊「そうだ!一生海に近づけぬようにしてやった!海を恐れるがいい!私と同じ道を辿るがいい!私を化け物扱いした人間も許さん!全員私が海に沈めてやる!!」
幽霊の周りでは水柱がどんどん上がっていく
カミュ「こりゃあ.......厳しそうだな」
シルビア「一度撤退した方がいいわ。この海に立っていられるのも短いってセレンちゃんは言ってたんだし」
イレブン「そうだね。セレン様、戻していただけますか?」
イレブン達はゆっくり海に潜っていった
その後、ムウレア城 玉座の間
セレン「原因は解明されましたが、解決には至らなかったようですね」
ラース「だが、色々とわかったことはある。それだけでも次にどうするべきかを考えられる。ありがとな、セレン様」
セレン「いえ、これくらいなんて事ありません。しかし、私達としても海に様々な物が落ちてきて汚れてしまうのは困るのです。どうか早めに対処していただけますか?」
ベロニカ「ええ、それはわかってるわ。こっちも無視できないから」
セレン「また何かあればご協力します。それでは」
ユグノア城 玉座の間
イレブン「あの幽霊はかわいそうだとは思ったけど、流石にやりすぎだよね」
セーニャ「そうですわね。全てを失って家族や周りからも蔑まれたのは心中お察ししますが、呪いまでかけてしまうのは.......」
グレイグ「自分の息子に呪いをかけて、息子の家族は海に引き摺り込むと言っていたな。やはりグリーはあの幽霊の遠い祖先なのではないか?」
シルビア「可能性は高いと思うわ。あの赤い髪もそうだけど、目だってほとんど同じだったもの」
マルティナ「ねえ、ラース。グリーはナギムナー村で育ったって言ってたわよね。ステラさんだったかしら?グリーの育て親なら何か知ってるかもしれないわ」
ラース「だな。話を聞きにいってみるか」
ベロニカ「へえ、グリーってナギムナー村の出身だったの。となると、あの幽霊もナギムナー村の出身の可能性が高いわね」
カミュ「あの人魚の呪いとか言ってる村だ。他にも呪いとかで恐れられている人がいても不思議じゃなさそうだな」