ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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ロウの後悔

それから三日後、ユグノア城

 

 

 

イレブン「おじいちゃん、大丈夫なの?」

 

 

 

 

ロウ「このくらい.......何という事はない....」

 

 

 

ロウは顔色が悪く、足もおぼつかない様子で歩いている

 

 

 

大臣「ロウ様、無理をなさらずに。今日はゆっくり休んでいてください」

 

 

 

 

ロウ「じゃが......わしにも、何か出来る事が」

 

 

 

 

イレブン「おじいちゃん、僕は大丈夫だから。おじいちゃんの今の仕事はゆっくり体を休める事だよ」

 

 

 

 

大臣「イレブン様の言う通りです。ほら、部屋に戻りましょう」

 

 

 

 

ロウ「むう、すまんのう、イレブン」

 

 

 

夕方 ロウの部屋

 

 

 

イレブン「おじいちゃん、ここ数日無理してない?」

 

 

 

 

ロウ「そんなはずはないんじゃがのう」

 

 

 

 

イレブン「本当?だって、仕事も頼んでない事も先にやってくれるし、確認してない書類とかも全部目を通してくれてるじゃん。そんなにたくさん働いてたらまた今日みたいに体調悪くなっちゃうよ」

 

 

 

 

ロウ「ユグノアが皆にとっていい国となってきておるのが嬉しいだけじゃよ」

 

 

 

 

イレブン「それは僕も嬉しいけどさ、おじいちゃんもいてくれないと僕達は困るよ。何かあるなら教えてね。協力するから」

 

 

 

 

ロウ「............」

 

 

 

 

イレブン「おじいちゃん?聞いてた?」

 

 

 

 

ロウ「ああ、聞いておったよ。イレブンや、少し爺のわがままを聞いてはくれんか?」

 

 

 

 

イレブン「うん!何でも聞くよ!」

 

 

 

 

ロウ「ほほ、ありがとのう。実は少し調べてた事があるんじゃ」

 

 

 

ロウは自分の部屋にある本棚から一冊の厚い本を取り出した

 

 

 

イレブン「なに?この本」

 

 

 

 

ロウ「これは世界の奇妙な出来事を纏めた本じゃ。その中の一つにとある出来事があってな。これじゃ」

 

 

 

 

イレブン「えっと、ドゥーランダ山の山頂で太陽が沈む時、周りが見えなくなった。近くにいた人でさえ、見えにくくなり目の前の世界が現実かどうかすらも判断出来なくなった。その時、私の近くに人影が現れた。

 

 

 

こちらに何か話しかけてきたので、その人影の方へ向かおうとすると周りが鮮明になり、はっきりと見えるようになった。私の足下は崖の一歩手前だったのだ。もしやあれは死者の呼び声だったのだろうか。現実と死者を交わらせる時間。これを黄昏時と呼ぶ事にした」

 

 

 

 

ロウ「これをわしもやってみたいのじゃ」

 

 

 

 

イレブン「.........どうして?だって、どう考えても危ないじゃん。そこまでして、死者に会いたいの?」

 

 

 

 

ロウ「そうじゃ」

 

 

 

 

イレブン「............そのおじいちゃんのお兄さん?」

 

 

 

 

ロウ「そうじゃ」

 

 

 

 

イレブン「理由は.........話せない?」

 

 

 

 

ロウ「............いや、話そう。わしに二人の兄上がいたのは話したじゃろ?二人の兄上がおったのに、なぜ末っ子であったわしが王となったのか気になるかの?」

 

 

 

 

イレブン「うん。どうして?」

 

 

 

 

ロウ「わしは幼き頃から本が好きでの。色々と読み漁り、様々な知識を持っておった。二人の兄上もわしにたくさんの本を買ってきてくれた。長男のタキ兄上は武道に優れた方でな。体術や武器を使えばかなりの強さじゃった。

 

 

 

次男のチョウ兄上は魔導に深く精通した方でな。魔法の知識では誰も敵わんかった。多少性格は違えどどちらも優しいお方で、誰にでも優しかった。わしも二人の兄上を尊敬し、追いつこうと毎日必死じゃった」

 

 

 

 

イレブン「おじいちゃんが武道も魔法も出来るのはその二人のおかげでもあるんだね」

 

 

 

 

ロウ「そうじゃ。じゃが、ある日長男のタキ兄上が魔物との戦闘に駆り出された際、深い傷を負いそのまま戦場で亡くなった。そこで王位は次男であるチョウ兄上に渡ったのじゃが、既にチョウ兄上は結婚していてな。ユグノアから離れていこうとしておったんじゃ」

 

 

 

 

イレブン「それでおじいちゃんが?」

 

 

 

 

ロウ「実はそういう訳でもない。チョウ兄上と王様は激しく喧嘩となってな。チョウ兄上はわしに相談しに来たんじゃ。若いわしは何を思ったか、その時にチョウ兄上なら王様としてもやっていけると王様の味方をして、チョウ兄上を引き留めたんじゃ。

 

 

 

チョウ兄上はわしを見て失望した、と言ったんじゃ。わしはなぜそんな事を言われなければならんのかわからなくてな。ここで初めてチョウ兄上と喧嘩になったんじゃ。お互いの意見が解決せぬまま、次の日チョウ兄上はユグノアから出て行った。

 

 

 

それで仕方なく残ったわしが王位を継いだ、という訳じゃ。わしは望まれぬ王じゃったという事じゃよ」

 

 

 

 

イレブン「そんな事が.......。でも、おじいちゃんはそう言うけど、おじいちゃんは望まれぬ王なんかじゃないよ。だって、おじいちゃんは皆に優しいじゃん。

 

 

 

皆からおじいちゃんは愛されてる。それは今も昔も変わらない。おじいちゃんは人望があるって言われてたもの。だからそんな事ないよ。僕もおじいちゃんが大好きだから」

 

 

 

 

ロウ「ほほほ......。イレブンは優しいのう」

 

 

 

 

イレブン「それで、その話と黄昏時の話はどう関係してるの?」

 

 

 

 

ロウ「そこも話さねばな。長男のタキ兄上とわしは最期の会話をする事はなかったんじゃ。次男のチョウ兄上とも喧嘩した日以来音信不通でのう。風の便りで病気で亡くなったとは聞いておった。

 

 

 

わしは二人がいなくなってから、ユグノアはわしが守ってみせると意気込んでおったのじゃが........あの悲劇が起こった。国は無くなり数えきれん程の死者が出た。わしは、国を任されたはずなのに何をしておろうか。

 

 

 

その後悔はこれからも消える事はない。そう思っておったのだが、先日のグリーとの件で幽霊とも話し合えば分かり合えると知った。グリーも勇気を出して自身の恐怖や家族との問題を解決した。それなら、わしもこのままではいかんと思ったんじゃ。

 

 

 

チョウ兄上がユグノアを出ていった日が数日前での。墓も何もなかったが、大樹に向けて祈りを捧げたがやはりそれだけではわしもやりきれぬ。だから兄上達と会って謝罪し、チョウ兄上には喧嘩したままだった事も謝りたい。新しくできたユグノア王国で再びあの日の栄光を取り戻すようにしておる、と報告したい。

 

 

 

そしてもし、もし叶うのであればもう一度、あの二人と一緒に笑い合いたいんじゃ。わしが幼かった頃のように」

 

 

 

 

イレブン「...........そっか。うん!わかった!協力するよ、おじいちゃん!おじいちゃんの兄弟に会いに行こう!」

 

 

 

 

ロウ「おお、ありがとう、イレブン!」

 

 

 

 

イレブン「おじいちゃんの大事なやりたい事だもん。どんどんやっていって後悔なんてないようにしたいもんね!」

 

 

 

 

ロウ「そうじゃの。それでは明日の昼に出発しようかの。場所はドゥーランダ山の山頂にある祠じゃ」

 

 

 

 

 

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