次の日の夕方、ドゥーランダ山 山頂
イレブン「ついたよ、おじいちゃん」
ロウ「やはりルーラはええのう。どこにでも一瞬じゃな」
イレブン「夕日がすごく綺麗だけど、まだその黄昏時?じゃないんだよね」
ロウ「そうじゃな。本には夕日が沈む時と書いてあった。まだ沈むには少々早いようじゃ」
イレブン「じゃあ少し夕日を見てよっか。ここって不思議な事がいっぱい起こる場所なんだっけ?」
ロウ「ここは生と死を結ぶ霊感あらたかな場所。いわばあの世と最も近い場所じゃ。確かにここでなら死者と出会っても不思議ではなかろう」
イレブン「やっぱり危ない気もするんだよね。おじいちゃん、あんまり離れないでね」
ロウ「わかっておる。わしも自ら進んであの世に行こうなどとは思わんよ」
数十分後
イレブン「あ!おじいちゃん、夕日が....」
ロウ「沈み始めたの。ここからがその黄昏時とやらの始まりじゃな」
イレブン「おじいちゃん、一応手を繋いでおこう」
ロウ「ああ、そうじゃな」
イレブン「まだ周りははっきり見えるよね。変化は特に無さそう」
ロウ「うむ。半分ほど沈んだら変わるかもしれんの」
数分後
二人の周囲はどんどん暗くなっていった
二人「!!?」
イレブン「こ、これって.......」
ロウ「なるほど。周りが真っ暗になっていく。これは確かに周りが見えにくいのう。今までが明るかった分余計に暗く感じるのう」
イレブン「じゃあ、始まったんだ。黄昏時が」
ロウ「イレブン?」
イレブン「あ、あれ?おじいちゃん?どこ?」
ロウとイレブンはいつのまにか手が離れてしまっていた
暗くなる速度はとてつもなく速く、もうロウとイレブンにはお互いの距離も測れなくなっていた
イレブン「おじいちゃん!危ない事はしたら駄目だからね!その場所から絶対に動かないでね!」
イレブンの声だけが聞こえる
ロウ「ああ、約束しよう!」
???「ロウ........ロウ.......」
ロウ「!?こ、この声はまさか........」
ロウが声に反応して振り返ると
タキ「ロウ、まさかお主と再び会えるとは」
ロウ「!!!お.......おお......どれだけ夢見た事か......。タキ兄上......間違いないのですか?」
タキ「ああ、そうだ。ロウよ、随分と歳を取ったな」
チョウ「ロウ、俺もいるぞ」
ロウ「チョ、チョウ兄上まで!う、うう........わしは......二人にずっと会いたかった.......」
タキ「そうだろう。わざわざこんな所まで来たのだ」
チョウ「ロウ、すまなかった!俺はあの日、お前に八つ当たりをしてしまった。今思えば何を馬鹿な事を。俺がもう少し心に余裕があれば、お前との最後が喧嘩したままで終わる事などなかったはずだろうに」
ロウ「チョウ兄上は悪くありませんぞ!わしが、兄上の事を考えず自分の考えを押し付けたのです。わしもずっと謝りたかった。本当にすまない事をした。どうか許してほしい、チョウ兄上」
チョウ「ロウもまさか謝ろうとしていたのか。どうやらお互い様だったようだな」
ロウ「そんな事ありません!それに、わしは二人にユグノアを任されたというのに........あの悲劇を起こしてしまった。二人が大好きであられた王国は見る影も形もなくなってしまった」
タキ「ロウ、あれはお主のせいではない。誰もお主を責めてなどおらん」
チョウ「そうだ。お前はよく頑張っていただろう。俺が去った後もユグノアの話は聞いていた。とてもよい国だ、とな。お前はよく頑張った。誇るんだ」
タキ「お父様もロウを褒めていた。お主は本当によくやってくれた。もちろん今もずっと頑張っているのを知っている。新しくユグノアを作り、また大きな国としてイレブンと共に支えておる」
ロウ「兄上........ありがとうございます......ありがとうございます」
ロウは泣きながら二人に近づこうとする
チョウ「ストップだ、ロウ。それ以上はいけない。こっちと交わるにはまだお前は早いだろう」
ロウ「そ、そうでした。うっかりする所でした。こんな所でまだ死ぬわけにはいかないんです。大切な孫との約束ですので」
タキ「イレブンは本当に優しい孫だ。お前の娘、エレノアによく似ている」
チョウ「アーウィンとエレノアだったな。よく話してるんだ。いっつもイレブン、イレブンって言ってるんだぞ」
ロウ「ほほ、二人とも仲良くやっておるようでわしも嬉しいのう」
タキ「エレノアからはロウの話も耳にする。ロウ、部屋にそういう本を置くのはやめておきなさい。気持ちはわかるが、一国の王としては少々考えものだ」
チョウ「出た、タキ兄上の真面目すぎる一言。ロウ、今のままでいいと思うぞ。少しくらいそういう所があった方が国民達に好まれるんだからな」
タキ「チョウ、お前はまたそうやってロウを甘やかすのだな」
ロウ「ほほ、懐かしいのう。わしは、またこのやり取りをしたかったんじゃ」
チョウ「だろうな。ロウは俺達大好きだったもんな」
タキ「先程のロウの泣いている姿で思い出した事がある。昔、ロウが幼い頃に夜中城のトイレにうっかり閉じ込められて、一晩中泣いていた事があったな」
ロウ「そ、そのような昔は早くお忘れください、タキ兄上!!」
全員「ハハハハハ!!!」
辺りから夕日の光が無くなってきた
タキ「おっと、どうやらここまでのようだな。ロウ、久しぶりにお主と会えて嬉しかったぞ」
チョウ「ロウ、まだこっちは早いぞ。もっとゆっくりそっちで過ごしてくるんだ。俺達はいつでも待ってるからな。お土産話たっくさん聞かせてくれ」
ロウ「はい。次会う時までの約束ですね。ロウ、必ずや兄上達が満足するようなお土産話を持っていきましょう」
三人は静かに見つめ合うと二人の姿は消えていった
それと同時に夕日が全て姿を隠してしまった
イレブン「あ!おじいちゃん!よかった、お兄さん達には会えた?」
ロウ「...........」
イレブン「おじいちゃん?」
ロウ「イレブンや、わしは兄上達と新しく約束をしたぞ。皆が満足するようなとっておきのお土産話を作ってくるとな」
イレブン「!ふふ、そっか。お兄さん達には無事に会えたんだね。僕も会ってみたかったな」
ロウ「二人とも変わっておらんかった。夢のような楽しい時間じゃった。さあ、イレブンよ!明日からまたユグノアのために頑張るぞ!」
イレブン「うん!おじいちゃん、頼りにしてるね!」
ロウ「任せておくのじゃ!このロウ、孫のためなら何でも力を貸すぞ」