それから一ヶ月後、デルカダール城
玉座の間
カミュ「遺跡泥棒?」
マルティナ「ええ、そうなの。ここ一ヶ月近くで様々な場所の遺跡に納めてあるお宝が盗まれてるのよ」
ラース「大した事ないものもあるんだが、中には結構重大なものもあってな。しかも犯行も手早くて、証拠も少ない。捕らえるのにかなり手を焼いていてな」
カミュ「だからって俺に何とかしろってか?」
グレイグ「捕らえられるのならばいいが、カミュに頼むのはそいつの情報収集だ。我々だけだといい情報が掴めなくてな」
マルティナ「ラースにお願いしたのだけど、どうも失敗に終わったみたいなの」
カミュ「兄貴も一応そういうのには慣れていただろ。結構難敵なんだな」
ラース「全くだ。それに俺も有名になりすぎたみたいでな。どこかで俺の情報が出て警戒されたようで、情報も適当なものが多かった」
カミュ「だが、俺だってここ数年以上あっちの世界とは関わってねえぞ」
ラース「だろうな。怪しい気配がしなくなったもんな。いいやつの気配だぞ」
カミュ「う、うるせえ!お前らお人好し共のせいだろうが!」
マルティナ「まあまあ。それでお願いしたいのだけどいい?もちろん報酬は出すわ」
カミュ「わかったよ。ただ、俺も勇者の仲間として有名になってきてる。兄貴と同じ結果になる可能性もあるって事も考えておけよ」
グレイグ「それはわかっている。だが、あの世界に慣れているのはラースを除けばカミュだけなのだ。任せたぞ」
その後、カミュとマヤの部屋
カミュ「つったってなぁ........。どうしろってんだよ。まあ........少し潜ってみるとするか。有名な場所だと下町だったがもう無くなっちまったからな。それなら残りは......」
カミュは支度を始めた
ダーハルーネの街 裏道
街の外れにある通りは正面にある綺麗な街並みとは違い、少し暗く薄汚れた雰囲気となっている。地べたで横になる者やいかにもな雰囲気の店、怪しい取引などが隠れもせず行われている
カミュ「(久しぶりの雰囲気だな。さて、知ってるやつのとこに行くか)」
カミュは迷わず歩いていく
バニーや怪しい商人からの誘いには軽く断りなどを入れてどんどん奥へと進んでいく
店内
カミュ「おやっさん、いるか?俺だ、カミュだ」
カミュがある店に入り、声をかけると奥から大柄な男性が現れた
親父「そ、その声カミュか!!お前今まで何してたんだ!姿も話も聞かなくなっちまって心配してたんだぜ!」
カミュ「ちょっとな。少し聞きたい事があるんだがいいか?」
カミュは金を見せながら言った
親父「カミュが情報をほしがるなんて珍しいな。んで?何だってんだ?」
カミュ「ここ最近遺跡の宝をどんどん取っていくやつがいるって聞いてな。同業者の話くらい少しは知っておかねえとな」
親父「あー、あいつか。ブダンだろ?結束のブダン。数多くの仲間がいてな。その仲間と連携を取って遺跡を進んでいくみてえだ」
カミュ「ほう。そのブダン本人の特徴は?」
カミュは袋から金貨を渡した
親父「へへ、ありがとよ。特徴は紫の髪に大きな葉巻きをいつも口にしてるな。まあまあ大柄だぜ。俺くらいじゃねえかな」
カミュ「なるほどな。わかった。サンキュー、おやっさん」
親父「しかし、どうしてブダンの情報を?また再開すんのか?」
カミュ「......まあな。獲物は邪魔されたくねえだろ?」
親父「お前さんから獲物を横取りするほど命知らずとは思えんがな。ただ、最近出てきたやつだからな。お前を知らない可能性もあるか」
カミュ「おやっさんも体には気を付けろよ、じゃあまたくるぜ」
グロッタの街
女店主「へえ、ブダンを知りたいのね。いいわよ、少しなら教えてあげる。ブダンはね、とっても作戦を立てるのがうまいの。遺跡でどんな事が起こっても対策しているそうよ。そのおかげか仲間からの信頼も厚い。ブダンも仲間を見捨てる事はないそうよ」
カミュ「なるほどな。情に熱いとは珍しいな」
カミュは袋から金貨を出した
女店主「あら、ありがと」
カミュ「他に情報はあるか?」
女店主「うーん、どうしようかしら」
カミュ「これでどうだ?」
カミュは更に二枚金貨を出した
女店主「!?あら、それじゃあ教えてあげる。次のブダンの獲物はデルカコスタ地方の遺跡よ。名前は確か.......満月の石だったかしら」
カミュ「(満月の石.......。大きな宝石の一種だったな)ありがとな、また来るぜ」
それからもカミュは様々な場所でブダンについて情報を集めた
カミュ「(ブダンってやつは遺跡の情報をほしがる......か。事前準備はしっかりするタイプなのか。だとしても.......変だな。まあ、一旦デルカダールに帰るか)」
その後、デルカダール城 玉座の間
カミュ「集まった情報を審議したらこれらが有力だと思うぜ」
マルティナ「ラース、あなたよりよっぽど色々集めてきてくれたわよ?」
ラース「い、いいだろ別に!俺はカミュみてえに盗賊やってたわけじゃねえんだからよ!」
グレイグ「ありがとう、カミュ。報酬は金と物どれがいい?」
カミュ「あー、それなんだがよ。もう少し調査してもいいか?」
マルティナ「え?いいけど、どうしたの?」
カミュ「少しそのブダンってやつが気になる。遺跡を進む上で仲間なんてのは本来必要ない。足を引っ張られたり折角の宝を横取りされたりするからな。だから遺跡を進むのには基本一人でいくのが常識なんだ」
ラース「確かにその方が合理的だな。だが、ブダンは違うと」
カミュ「ああ、もしかしたらこの情報が間違ってる可能性はあるが少し気になってな。次の目的は満月の石って言ってた。その遺跡に貼ってもいいか?」
マルティナ「自分の目で確かめるって事ね。いいわよ」
グレイグ「最悪満月の石は取られてもいいが、カミュくれぐれも危なくなったら逃げるのだぞ」
ラース「そうだな。本当に仲間達がたくさんいるとなると遺跡みたいな狭い場所では敵わない。そういう判断は得意だろうが、念のためな」
カミュ「ああ、わかってるぜ」