二週間後の夜 森の遺跡
カミュ「来たな、ブダン。って、お前一人か」
ブダン「ああ、カミュこそ本当にいてくれてありがとよ。仲間達は置いてきた。俺の私情に付き合わせる訳にはいかねえからな」
カミュ「......そうか。デルカダール神殿はこっちだ。いくぞ」
デルカダール神殿
ブダン「遠目にはよく見てたが近くで見るとやっぱりでけえな。こんな凄え所にあんのか。流石国宝ってわけか」
カミュ「行くぞ。罠こそないが、魔物は多い。朝になるまでには辿りつかねえとな」
ブダン「ま、待てよカミュ。そう急かすな」
道中
ブダン「しかし、カミュは本当に慣れてるな。一体どれだけ戦闘したんだよ」
カミュ「それだけこういう場所を潜ってきたって事さ。ブダンこそまあまあやるじゃねえか」
ブダン「俺にはお前の身のこなしが羨ましいがな」
一時間後、奥地
ブダン「この扉の奥か?」
カミュ「ああ、そのはずだ。開けるぞ」
ガチャ
ブダン「!!おお!あ、あれは!」
祭壇には赤い宝石が置かれている
カミュ「やっぱり噂は本当だったみてえだな」
ブダン「ついに見つけた!レッドオーブだ!これで兄の病気が治る!」
バタン!
扉が閉められた
ブダン「!?」
バン「ハア!」
バンが突然現れて、ブダンの腕を捕らえた
ブダン「ギャアッ!な、何だこいつ!」
マーズ「盗賊ブダン、これまでの窃盗でお前を捕まえる!」
グレイグ「大人しくしてもらうぞ」
ブダン「な、何だと!?てめえら兵士か!カ、カミュてめえ!!裏切りやがったな!!!」
カミュ「悪いな、ブダン。そういう事だ」
マーズ「協力ありがとうございました、カミュさん」
ブダン「ゆ、許さねえ.....。俺の目的を知っておきながらこんな事しやがって!!てめえだけは絶対に許せねえ!!」
グレイグ「暴れるな。話は牢屋で聞く」
グレイグ達がブダンを連れて行こうとした時
カミュ「ブダン、ちょっといいか?」
ブダン「んだよ!!裏切り者のてめえに話す事なんかねえよ!!」
カミュ「お前の兄の病気の話は本当だろ?それとお前は商人に騙されたんだ。レッドオーブに万病を治す効果なんて存在しない」
ブダン「!!?じゃ、じゃあ.......俺は、ありもしない効果を求めて........。俺は、馬鹿かよ....」
グレイグ「すまない、カミュ。後は牢屋で話してくれ」
カミュ「わかった」
その後、デルカダール城 牢屋
事情を全て話したブダンは牢屋に入れられた
ブダン「............」
ブダンは静かに俯いている
ザッザッ
誰かが歩いてくる音に顔をあげる
カミュ「ブダン、話の続きがある」
ブダン「..........聞きたかねえよ。俺は全員から騙されたんだ。てめえだってそうだろ?俺の事を馬鹿にして掌で操ってたんだ」
ブダンはまた顔を下に向けた
カミュ「んな事思ってねえ。聞く気がねえならこっちから勝手に話させてもらおう。お前の兄の事だが、治してやれるかもしれねえぞ」
ブダン「!!?.......またでまかせか?」
ブダンは驚いてカミュの顔を見るが、すぐに疑いの顔になった
カミュ「違えよ。断定はできないが、俺の仲間に病気に詳しくて回復魔法を使えるやつがいる。そいつに見せるんだ。そうすれば医者よりかは詳しく判断できると思うぜ」
ブダン「.........そんな美味い話があるものか」
カミュ「俺は知っての通りここの王女や将軍と深い繋がりがあってな。その仲間ってのも王女と深い関わりがあるやつだ。俺は信用してもらわなくて構わねえが、仲間の事は信じてやってくれ。だから、その兄の場所を教えてくれないか?」
ブダン「.............何でだよ。何で、そこまでする。お前にとって、俺はただの犯罪者だろうが」
カミュ「そうだな。.........少し昔の話になる。ある大盗賊はデルカダールの国宝、レッドオーブを盗んだ。それはある.....絶対に治らないと言われている病気になった自分の妹のために必要だと思ったからだ。上手く盗んだのはいいが、本人が将軍に捕まり、牢屋に入れられた。
そこから脱獄し、その大盗賊は勇者と共に旅に出た。そしてその旅の途中で諦めかけていた妹は助かった」
ブダン「..........!まさか、その大盗賊ってのは....カミュ、お前の事か?」
カミュ「さあ?どうだか。そんな話を聞いた俺はお前の気持ちがよくわかる。だから少しの手助けだ。乗るか乗らないかはブダン次第だぜ」
ブダン「.........ダーハルーネだ。ダーハルーネの街にある小さな風見鶏が目印の緑の屋根の家だ。そこに俺の兄がいる。もし出来るのならどうか、治してやってほしい」
カミュ「わかった。手は尽くすさ。必ず約束する」
次の日、ダーハルーネの街 ブダンの家
コンコン
ブダンの兄「ゴホッ、ゴホッ、すみません.....。出れないので、入り口に置いておいてください」
ガチャ
ロウ「突然失礼するぞ。お主の弟ブダンから話を聞いた。重い病気の兄を救ってほしいとな。お主がブダンの兄で間違いないかの?」
ブダンの兄「ブダン....が?はい。私がブダンの兄です。ワンズと言います」
セーニャ「ワンズ様、病気の方を調べに参りました。セーニャと言います」
ロウ「わしはロウと言う。ふむ........呪いか。どれ、わしが払ってやろう。おはらいじゃ」
ワンズ「!!?あ、体が、軽く」
セーニャ「まだ体そのものは弱っているようですね。ワンズ様は病気ではなく、体が呪いのせいで動かなくなっていたのですわ。しばらくは動きにくいでしょうが、これからは段々とよくなっていくと思われます。こちらはお薬になります」
ワンズ「ありがとうございます!!医者の方にも頭を抱えられて、どうしようかと.....。ブダンはいつ帰ってきますか?ブダンにもお礼を言わなければ。私を治してくれると約束してくれたんです。まさか本当にこんな約束を守ってくれるなんて」
ロウ「........今はまだブダンとは会えんのう。じゃが、しばらくすれば自分から帰ってくるはずじゃ」
ワンズ「わかりました。私はここでブダンを待ち続けます。よろしければ、ブダンに伝言をお願いしてもよろしいですか?」
セーニャ「はい。お伝えしておきますわ」
ワンズ「早くお前の顔が見たい。俺の事で長い間随分と心配をかけさせてすまなかった。また子どもの頃のように二人で外を走り回りたい、と」
ロウ「うむ、承知した。必ずブダンに伝えよう」
セーニャ「それでは失礼します。お体大事になさってくださいね」
その後、デルカダール城 牢屋
カミュ「ブダン、お前の兄は無事に治ったそうだ。病気じゃなくて、呪いだったみたいだ。しばらくすれば元通り動けるようになるそうだぜ」
ブダン「!!?ほ、本当か!カミュ、本当なんだな!!」
ブダンは驚きと喜びが混じったような表情で牢の手前まで駆け寄った
カミュ「ああ、そうだ。それと、お前の兄ワンズから伝言を預かってるぜ」
ブダン「伝言......?俺に?」
カミュ「早くお前の顔が見たい。俺の事で長い間随分と心配をかけさせてすまなかった。また子どもの頃のように二人で外を走り回りたい、だってよ」
ブダン「............う、ううっ.....ううっ」
ブダンは涙を流している
ブダン「兄は......こんな事をした俺を........待っていてくれるのか....」
カミュ「お前が盗みをした事は話してない。牢屋にいる事もな。それに、ここにはそこまで長くいる必要はないと王女達に言っておいた。さっさと反省して兄に顔を見せに行くんだな」
ブダン「ああ.........ああ.....ありがとう、ありがとう、カミュ。裏切り者と罵って悪かった」
ブダンは泣きながら土下座をしている
カミュ「俺はお前を裏切った。そこは変わらねえよ。裏切り者を許したら駄目なのはあの世界の約束だろ」
ブダン「だが!!俺の兄は、お前がいなければ救われなかった!それだけは絶対に言える。もう一度礼を言わせてくれ、カミュ。本当にありがとう!」
ブダンは満面の笑顔でお礼を言う
カミュ「わかった、わかった。一月はここにいるんだからな。今までの盗みはワケありだったが、それでも犯罪だ。反省しろよ、じゃあな」
大広間
カミュが牢屋から出て大広間に出るとラースが待っていた
ラース「らしくもない事したじゃねえか、カミュ。人助けなんて珍しい」
カミュ「チッ!面倒なやつに聞かれたな。ちょっと情が移っただけだ」
ラース「ほ〜、の割には自分は汚れ役になろうとしてたみてえだが?」
カミュ「このクソ兄貴はどこから聞いていやがった」
ラース「ブダン、お前の兄は無事に治ったそうだ。からだな」
カミュ「最初からじゃねえか!ふざけんな!!」
ラース「おっと、怖え、怖え。昔話の大盗賊は怖えなあ」
カミュ「......それまで。何で知ってやがる」
ラース「どんな話してるのか気になって近くまでいったらそんな話が聞こえてな。いやー、面白いもん聞けた。自分を.....大盗賊って.....くく」
ラースは笑いを堪えている
カミュ「てめえ、マジでぶっ飛ばしてやる!!」
カミュは顔を赤くしている
ラース「やべ、ガチギレした。逃げろ!」ダッ!
カミュ「素早さで俺に敵うと思うなよ!!」