それから二ヶ月後、デルカダール城
玉座の間
バタン
マルス「父さん、僕決めた!」
マルスが突然入ってきた
ラース「どうした?マルス。訓練は終わったみたいだが」
マルス「そう。今日その訓練でね、バンさんにマルスも誰みたいな戦い方をしてみたいか考えてみてもいいかもなって言われたの」
ラース「へえ、まあいいんじゃないか?」
マルティナ「それでマルスは誰にしたの?」
マルス「僕なりに考えたらやっぱり敵をバンバン倒していく方がカッコいいよね!って思ったの。だから、僕グレイグさんみたいになりたい!」
グレイグ「お、俺のように....?」
マルティナ「........ラース?大丈夫?」
ラース「.........ハッ!ちょっと驚きすぎて呆然としてた。マ、マルス、俺じゃないのか?」
マルス「父さんも武器なしでカッコいいんだけど、やっぱり武器持ってた方がカッコいいもん」
ラース「ほら、俺だって剣使えるぞ?」
マルス「でも、斧とか大剣とかの方が強そう」
ラース「................」
ラースはグレイグを恨めしそうに見ている
グレイグ「......やめろ、ラース。こっちを見るな。マルス、他には誰か思い浮かばなかったのか?」
マルス「あとはねー、カミュもカッコいいよね。こう一瞬でズバッて感じでさ。でも僕ブーメラン使えないし、短剣なら使えそうだけど難しそうなんだよね」
マルティナ「確かに私もカミュの素早く敵を片付けるのは見てて少し爽快な気分にはなるわ」
ラース「弟にすら負けたのか、俺は........」
マルス「それでね!グレイグさん、どうやったらグレイグさんみたいにカッコよくて強くなれますか?僕もグレイグさんみたいになりたい!です!」
マルスはグレイグの前に来て頼み込んでいる
グレイグ「カッコよくなれるかはわからないが、俺の武器の扱い方は俺の師匠、ジエーゴさんに教わった影響が大きい。マルスも何回か会った事はあるだろう?」
マルス「うん。ソルティコから来るおじさんだよね」
グレイグ「そういえば、マルスもジエーゴ師匠の下に預けてみてもいいのではないか?」
ラース「それは前に考えたんだが、まだ預けるには子どもかなと思ってな」
マルティナ「もう三〜四年経てばいいとは思うけどまだ早いかしらね」
グレイグ「そうでしたか。まあ、確かに」
マルス「グレイグさんは教えてくれないの?」
グレイグ「む?いや、そんな事はないぞ。俺に出来るならマルスに教えてやろう」
マルス「やった!じゃあさ、明日から訓練場でお願いしてもいい?」
グレイグ「夕方ごろでもいいか?普段の訓練の時間だと俺は仕事があってな」
マルティナ「あらいいじゃない、グレイグ。私がお父様に伝えておくわよ。きっとお父様も許してくれると思うわ」
ラース「まあどうしてもって時は呼ぶだろうが、普段通りなら俺が代わってやるよ」
グレイグ「で、ですが...」
マルス「やっぱり忙しい?」
マルティナ「ううん、違うわ、マルス。グレイグもとっても喜んでるから、明日の朝の訓練の時間から教えてくれるそうよ」
グレイグ「姫様!?」
マルス「本当!?やった!グレイグさん、ありがとう!」
グレイグ「.........わかった。明日から俺も訓練場に行こう」
マルス「バンさん達にも伝えてくるね!じゃあね!」
マルスは出ていった
グレイグ「いいのですか?まだ王からも何も聞いてませんが勝手に決めてしまって」
マルティナ「大丈夫よ。絶対お父様なら許してくれるもの」
ラース「ハァ.........。ほんのちょっと前までは父さんみたいになる!って言ってたのに......。何でこんなデカブツで頭固くてむっつりなやつに....」
グレイグ「おい貴様、聞こえてるぞ」
マルティナ「まあいいじゃない。強くなろうとするのには賛成だわ。でも、マルスは大剣や斧って使えたかしら?」
ラース「一応大剣に適正があるみたいだぜ。どこから遺伝したのかわからねえがな。マルスが使えるのは片手剣、大剣、盾、短剣だ。ルナは片手剣、かくとう、杖、槍みたいだ」
グレイグ「調べていたのか。しかし、確かに大剣や短剣や杖はどこから遺伝したのか気になるな。ラースと姫様に適正は無かったと思うが」
マルティナ「まあ、ルナの回復魔力もどこからきたのかわからないのよね」
ラース「魔力ってのは元々一つなんだ。それが自分が得意となる方に分かれて攻撃魔力と回復魔力になる。一応推測だが、俺の攻撃魔力がルナの中で回復魔力に分かれたんじゃないか?」
グレイグ「なるほど。まあマルスは思ってるよりも俺と使える武器は似ているのだな」
ラース「誠に遺憾だがそうなるな」
グレイグ「なんでそんな反応をする」
ラース「自分の息子くらい自由に育てたいだろ!それなのに、何で、何で俺に教えてもらおうとしないんだか........」
マルティナ「まあ仕方ないわよ。マルスだって思う事は色々あるし、これからまだまだ変わっていくだろうから、そうしたらラースが教える事も出てくるはずよ」
次の日、訓練場
マルス「よろしくお願いします、グレイグさん!」
グレイグ「よろしくな。まずマルスの大剣の慣れ具合だが、使った事はどれくらいあるのだ?」
マルス「ほとんど無いよ。片手剣ばかりだったから、大剣はベグルさんのを見てたくらい」
グレイグ「そうか、わかった。なら、まずは片手剣との違いからいこうか。マルス、片手剣と大剣では何が違うと思う?」
マルス「大きい!重たい!カッコイイ!強そう!」
グレイグ「カ、カッコいいと強そうは外すが、大きいと重たいはまさにその通りだな。片手剣は持ちやすく攻撃が素早く出来るのに対し、大剣は重く持ちにくい。攻撃も素早くは出来ず当てるのにもコツが必要だ」
マルス「そう聞くと片手剣の方がよさそうだね」
グレイグ「だが、片手剣には無いものも多い。まずは片手剣よりも長い事だ。大剣と片手剣を隣に並べてみよう」
グレイグは木の片手剣と大剣を床に置いた
マルス「本当だ!片手剣よりもずっと長い!」
グレイグ「そうだろう?マルス、武器が長いと戦ってる時はどうなる?」
マルス「流石にわかるよ!間合いが広くなって、相手に攻撃が当たりやすくなるんだよ」
グレイグ「うむ、正解だ。片手剣よりも間合いが広く相手が詰めなければ当たらない攻撃もこっちは相手の範囲外から攻撃できる。これは相当大きなメリットだ。
さっき素早く攻撃はできないと言ったが、片手剣よりも大剣が重いのは知ってるだろう?重いものを相手にぶつけた時と軽いものをぶつけた時。マルスはどっちが痛いと思う?」
マルス「重いものの方が痛いよ。ベグルさんの攻撃でバンさんがいつも痛そうにしてるもん」
グレイグ「そ、そうだな。つまり一撃で大剣は相手に大きなダメージを与える。だから素早く攻撃を当てる必要はない、という事だ」
マルス「グレイグさんが大剣を振り回して敵をバッサバッサと倒していくのは僕も知ってる!母さんとかイレブンさんが前に話してくれた。旅の頃に助かってたって言ってたよ」
グレイグ「そうか。ありがたい話だ。それじゃあ話はここら辺にして大剣を実際に持ってみるか」
マルス「う、うん。よいしょっと」
グレイグ「そうだな。片手では持てないし、危険だから両手で持つのが正解だ。辛くはないか?」
マルス「片手剣で慣れてたから違和感が凄いけど、動けないって程じゃないかな」
グレイグ「ほう、そうか。想像より体はしっかりしていたのだな。持ち方は合っているから、そこから素振りをしてみようか」
マルス「うん!」
少し離れた場所では
バン「グレイグ将軍が朝から来るって聞いてたけど、まさかマルスを指導してるなんてな」
ベグル「大剣ってマルスも使えたのか。知らなかったな。もっと教えてやればよかった」
ロベルト「しかし、何で急に大剣を?」
マーズ「昨日のバンのやつじゃないか?戦い方って言ってただろ」
ダバン「ああ、そういうことか。新しい戦い方を見つけようとしてんのか?」
ギバ「でもよ、マルスってラース将軍みたいになりたいって言ってなかったか?」
ガザル「何か変化があったのかもな。ラース将軍、悲しんでそうだな」