ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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バンの特訓2

その後

 

 

 

一閃突き・改

 

 

狙わずに相手に会心を与える技。相手の事を読み切る時、攻撃は成功する。また、相手と呼吸を合わせるのも成功しやすい。

 

 

 

本にはこう書かれていた

 

 

 

バン「ハアッ!.......うーん?こんな感じですか?」

 

 

 

 

セーニャ「どうなんでしょう。私もここは習得できず終いなので、正しい事はわからないんです。すみません」

 

 

 

 

マルティナ「少しボンヤリした表現よね。相手の事を読み切る時ってつまり、完全に相手の行動をわかっていないと成功しないって事よね」

 

 

 

 

ベロニカ「戦う相手を知らないといけないなんて実践向きじゃないんじゃない?だって、そんなの無理じゃない。人間が相手とは限らないわ」

 

 

 

 

バン「俺、難しい話よくわかんないです!」

 

 

 

 

ベロニカ「これで難しいってあんたね.....」

 

 

 

ベロニカは呆れている

 

 

 

バン「へへ、すみません。でも、俺もしかしたらわかりそうな気がするんです。こう......狙うんじゃなくて、相手にピッタリして、ドンって感じですよ!」

 

 

 

バンは身振り手振りで説明しようとしている

 

 

 

セーニャ「なるほど。ピッタリしてドンですか。確かにそうかもしれないですね」

 

 

 

 

マルティナ「い、今のでわかったの?セーニャ」

 

 

 

 

ベロニカ「嘘でしょ。意味わかんなかったわよ」

 

 

 

 

バン「セーニャさん、わかってくれますか?」

 

 

 

 

セーニャ「はい!相手と呼吸を合わせるとも本にありますし、きっとこれは連携技ですわ!」

 

 

 

 

バン「あ、あれ?」

 

 

 

 

セーニャ「あら?違いましたか?」

 

 

 

 

マルティナ「セーニャ、この本に連携技は載ってないわよ。どれも個人技だわ」

 

 

 

 

セーニャ「まあ!そういえばそうでしたわ!」

 

 

 

 

ベロニカ「何で読み漁ったあんたが忘れてんのよ」

 

 

 

 

バン「マルティナ様、少し立って戦うフリしてもらっていいですか?」

 

 

 

 

マルティナ「?ええ、わかったわ。これでいい?」

 

 

 

 

バン「はい!俺の感覚としては、こうやって戦う時にマルティナ様なら右足が出るので、それをこうやって受け流しながら一閃突きを当てる。どうですか!?」

 

 

 

バンはマルティナに動いてもらいながら説明してみた

 

 

 

ベロニカ「なるほど。息を合わせるってのもそうだし、この動きは相手の動きを知らないと出来ないわね」

 

 

 

 

セーニャ「難しそうですわね」

 

 

 

 

マルティナ「ど、どうして私が右足が出るって......」

 

 

 

 

バン「あれ?マルティナ様の利き足は右でしたよね?」

 

 

 

 

マルティナ「......ええ、そうよ。もしかして、気にしてるの?」

 

 

 

 

バン「はい!俺も師匠にこの前利き足ばかり攻撃されてかくとう技できなかったんです。仕返しされちゃったので、気にしてるんです」

 

 

 

 

マルティナ「ラースったら。あの負けの理由相当気にしてたのね」

 

 

 

 

セーニャ「バン様、私にも今の動きもう一度見せてくださいませんか?私もこの技を習得してみたいですわ!」

 

 

 

 

バン「はい!俺もこの技、頑張ってみます!」

 

 

 

その夜、デルカダール城

 

 

 

バンの部屋

 

 

 

バン「うーん......」

 

 

 

バンはあれからセーニャに本を借りて自分で読んでいた

 

 

 

コンコン

 

 

 

ベグル「バン、いるか?」

 

 

 

 

バン「おう、ベグルか。入っていいぞー」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

ベグル「少し邪魔するぜ。って、何だか片付いてんな。この前まで少し汚かったってのに」

 

 

 

 

バン「ま、まあな。それで何だよ。俺に用事か?」

 

 

 

 

ベグル「少しな。明後日に提出する書類、出来てるか聞きにきたんだ」

 

 

 

 

バン「.......あ」

 

 

 

 

ベグル「ハァー......」

 

 

 

ベグルは顔に手を当てて、呆れている

 

 

 

バン「わ、忘れてたわけじゃねえぞ!」

 

 

 

 

ベグル「さっさと終わらせとけよ。この前の約束覚えてるよな?」

 

 

 

 

バン「......締め切りギリギリになった回数分、ベグル様からげんこつがきます」

 

 

 

 

ベグル「そうだ。今二回溜まってるぞ。今回もギリギリなら三回だ。俺としてはバンをぶん殴れるから構わねえが」

 

 

 

 

バン「絶対嫌だ!でも、ちょっと待ってくれ!新技をマルティナ様とセーニャさん達で練習してて、それの勉強してるんだ」

 

 

 

 

ベグル「ほう。お前の口から勉強なんて言葉が出るとは思わなかった。槍の本......。頑張ってんじゃねえか」

 

 

 

 

バン「まあな!マルティナ様達もわざわざ付き合ってくれてるんだ。覚えないと申し訳ないだろ?」

 

 

 

 

ベグル「確かに。まあ今回は本当に頑張ってるようだし、助けてやるか。お前の書類、俺が書いてやるよ」

 

 

 

 

バン「え!?いいのか!?ハッ!......ベグルが優しくするなんて裏があるな!騙されないぞ!」

 

 

 

 

ベグル「..........」

 

 

 

数分後

 

 

 

ベグル「いいか?今回は"特別に"俺様が書いてやる。その代わり、お前は絶対に新技を覚えろよ?もし覚えられなかったら次は大剣で二つにぶったぎるからな。わかったな?」

 

 

 

バンの顔はボコボコになっており、本人かどうかの判別が難しくなっていた

 

 

 

バン「ゔう........。痛え....」

 

 

 

 

ベグル「返事!」

 

 

 

 

バン「はっ!!申し訳ございませんでした!ベグル様!必ずや習得してみせます!」

 

 

 

それから四日後 訓練場

 

 

 

マルティナとバンは新技を交えた組み手をしていた

 

 

 

マルティナ「ミラクルムーン!」

 

 

 

 

バン「天地の構え!ハアッ!」

 

 

 

 

マルティナ「しんくうげり!」

 

 

 

 

バン「ここ!一閃突き・改!」

 

 

 

 

マルティナ「キャアッ!」

 

 

 

 

バン「あ!今のってもしかして!」

 

 

 

 

マルティナ「ふふ、完全に読まれてたわね。いい調子なんじゃないかしら?」

 

 

 

 

バン「ですよね!やった!」

 

 

 

バンは初めて技が決まって大喜びしている

 

 

 

マルティナ「セーニャにも報告に行きましょう。セーニャももしかしら練習で何か掴んでるかもしれないわ」

 

 

 

 

バン「はい!」

 

 

 

聖地ラムダ

 

 

 

マルティナ達が来ると、広場にはベロニカがいた

 

 

 

ベロニカ「あ、マルティナさん、バン。どう?新技は」

 

 

 

 

バン「ベロニカさん、聞いてください!さっき、あの技が出来たんです!」

 

 

 

 

ベロニカ「本当!?やるじゃない、バン!」

 

 

 

 

マルティナ「セーニャはいるかしら?セーニャもどうなったか聞きたくて」

 

 

 

 

ベロニカ「今長老様とお話ししてるわ。何か用事があったみたいなの」

 

 

 

少しして

 

 

 

セーニャ「大変ですわ、お姉様!祭壇に魔物の群れが湧いているそうです!このままでは命の大樹に魔物が!」

 

 

 

 

三人「え!?」

 

 

 

 

マルティナ「それは大変!私達もいくわ!」

 

 

 

 

バン「そうですね!食い止めましょう!」

 

 

 

 

セーニャ「ありがとうございます、マルティナ様、バン様!」

 

 

 

天空の祭壇

 

 

 

バン「こんな所初めて来た」

 

 

 

 

ベロニカ「そりゃあそうよ。こんな所まで来れるのは一部の人だけだから」

 

 

 

 

セーニャ「あ!魔物の群れがいましたわ!」

 

 

 

 

マルティナ「まあまあいるわね!手分けしましょう!」

 

 

 

 

セーニャ「マルティナ様、サポートいたします!」

 

 

 

 

ベロニカ「バン、私が支えるからあんたの強さ見せてやりなさい!」

 

 

 

 

バン「はい!ありがとうございます!」

 

 

 

 

マルティナ「セーニャ!ここの群れはバン達に任せて、私達は下から来るのを引き止めましょう!」

 

 

 

 

セーニャ「はい!」

 

 

 

 

魔物達「ギイィィッ!」

 

 

 

 

バン「さみだれ突き!」

 

 

 

 

ベロニカ「メラガイアー!」

 

 

 

 

魔物達「ギイィ...」ジュワー

 

 

 

 

バン「マルティナ様、セーニャさん!通ってどうぞ!」

 

 

 

 

マルティナ「ありがとう!バン、セーニャ!」

 

 

 

 

セーニャ「お怪我なさらぬようにお願いします!」

 

 

 

 

バン「超さみだれ突き!」

 

 

 

バンは飛び上がり、空中から強力な五連撃を打ち込んだ

 

 

 

ベロニカ「凄いじゃない、バン!そんな技初めて見たわ!」

 

 

 

しかし、着地したバンに魔物が群がった

 

 

 

ベロニカ「あ!バン!」

 

 

 

 

バン「くっ....(落ち着け、俺!焦ったら駄目だ。落ち着いて......)」

 

 

 

バンは避けながら目を閉じた

 

 

 

バン「(あ.......。こうすると、気配がよくわかる。呼吸や音、声だけでも判断できる。相手がどうしようとしてるのかさえ!わかるぞ!)」

 

 

 

バンは目を閉じながら相手を避け、一撃で倒していく

 

 

 

ベロニカ「バン!す、凄い......。あいつ、目を閉じながら倒してる。全部相手の行動がわかってるみたい.....」

 

 

 

少しして、魔物達がいなくなった

 

 

 

ベロニカ「凄いじゃない、バン!見直したわ!」

 

 

 

 

バン「ありがとうございます、ベロニカさん。俺、完全にあの一閃突き・改を理解しました。読もうとしたり、相手をわからなきゃいけないわけじゃないんです。

 

 

 

自分が相手を感じるんです。気配、動き、呼吸。それを見極めれば、狙い澄ます必要はありません。相手に合わせれば、もうそれだけで相手に大きな一撃になります」

 

 

 

 

ベロニカ「うーん.....。私にはまだわからないわね。でも、スッキリした顔してるし、多分それが正解なのかもね。マルティナさん達はどうなったかしら」

 

 

 

その後、聖地ラムダ

 

 

 

長老「ありがとうございました。これで安全になった事でしょう」

 

 

 

 

マルティナ「お力になれてよかったです」

 

 

 

 

セーニャ「バン様、何やらとても嬉しそうですわ。どうしましたか?」

 

 

 

 

バン「へへ、セーニャさん。俺、習得しちゃった!あの一閃突き・改」

 

 

 

 

セーニャ「まあ!本当ですか!?」

 

 

 

 

マルティナ「え?習得までいったの?」

 

 

 

 

ベロニカ「さっきの魔物との戦闘で閃いたみたいなのよ。でも、本当に凄かったわ。目を閉じてるのに魔物の攻撃をかわして、どんどん倒していってたの」

 

 

 

 

セーニャ「今度は私がお相手になりますわ。バン様の一閃突き・改、見てみたいです!」

 

 

 

 

バン「はい!いきますよ!」

 

 

 

バンは目を閉じた

 

 

 

セーニャ「氷結らんげき!」

 

 

 

 

バン「.........」

 

 

 

バンは攻撃をギリギリで避けると

 

 

 

バン「一閃突き・改!」

 

 

 

バンは見えているようにセーニャに攻撃を当てる

 

 

 

セーニャ「キャアッ!」

 

 

 

 

バン「こんな感じです!カウンターに近いかもしれません!」

 

 

 

 

マルティナ「カウンターは相手の攻撃を受けないとだけど、それはもう受けてすらないわ。まるでわかってるみたいだったわね」

 

 

 

 

ベロニカ「気配とかだけでそこまで読めるものなの?」

 

 

 

 

バン「俺はわかりますね。どうしてですかね?」

 

 

 

 

セーニャ「それはわかりませんが、バン様が新しく技を覚えられてよかったですわ」

 

 

 

 

 


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