それから三ヶ月後、デルカダール城
大広間
???「たのもー!」
青年が元気よく入ってきた
バン「ん?」
???「誰かいないのかー?」
バン「何だ?この城に用事か?」
???「おお、兵士じゃん。俺、この城にいるラースって人に話があるんだ。会わせてくれないか?」
バン「ししょ.....ラース将軍に?まあ、いいけどよ。ここから真っ直ぐ進んだ玉座の間にいるぞ。マルティナ様っていう王女様もいるから失礼のない」
???「おっしゃ!ありがとな、お前!」
青年はバンの言葉を最後まで聞かず走っていった
バン「あ、おい。.....まったく、話くらい聞けよな」
玉座の間
バタン!
???「たのもー!」
全員「??」
マルティナ「えっと....いらっしゃい。何か用事かしら?」
???「ここにラースという男がいると聞いた。会わせてくれないか?」
ラース「?俺がラースだが...」
???「おお!あんたがラースって人なのか!俺、エド!あんたってめちゃくちゃ強いんだろ?俺と戦ってくれよ!」
エドというまだ若い青年は元気よくハキハキとしている
ラース「エドっていうのか。俺がめちゃくちゃ強いってのはまあわからんが、そのためだけにここに?」
エド「おう!俺、強いやつと戦ってみたいんだ!なあ、いいだろ?」
グレイグ「お前、もう少し礼儀というものがあるだろう。いきなり来て人に頼む態度ではないぞ」
エド「いいじゃんかよ、おっさん!俺はこういう話し方しか出来ねえの!」
グレイグ「ハァ......」
ラース「マルティナ」
マルティナ「まあ、少しだけならね。訓練場でいいかしら?」
エド「おお!お姉さん、ありがとう!ラース、俺の力見せてやるよ!」
ラース「はいはい。訓練場はこっちだ」
二人は出ていった
マルティナ「な、何だか嵐みたいな子ね。感情がとっても豊かだわ」
グレイグ「あまりマナーがなってないようなやつですな。ラースも面倒なやつに目をつけられたものだな」
マルティナ「.......彼、エドって言ったわね。エドからはそこまで強い雰囲気を感じなかったわ」
グレイグ「私も同意見です。村や街で少々強い若者と言った所でしょう。まあ、世界を知るいい機会になるでしょう」
訓練場
エド「おお!でっけえ!」
エドは広い訓練場を見渡してはしゃいでいる
周りには数人兵士達が自主練していた
バン「あ!さっきの」
エド「おお!入り口にいた兵士か。ラースに会えたんだ。教えてくれてありがとな!」
ラース「自主練中すまないな。少しだけスペース使わせてもらうぞ。すぐに終わる」
ベグル「は、はあ.....。その人は?」
ラース「エドというらしい。俺と戦ってみたかったらしいぞ」
エド「俺、強いやつと戦ってみたかったんだ!」
バン「.........待ってください、師匠」
ラース「何だ?バン」
エド「師匠?兵士が?」
バン「師匠が出るまでもないですよ。俺で充分です」
バンはラースとエドの間に入った
エド「!そっか。あんたはラースの弟子か。こいつを倒さないとラースにはたどり着かねえって事か!面白いじゃん!」
ラース「まあ......いっか。じゃあ、一応見てるが頼んだぞ」
バン「はい!おい、エドとか言ったな。お前、師匠といきなり戦わせるわけないだろ!」
エド「そんなのあんたの勝手じゃん!気に食わないならかかってこいよ!」
バン「イラッ.....。ふーん、じゃあ遠慮なく」
バンは思いっきりエドに踏み込んで、一瞬で距離を詰める
エド「!?」
バン「せいけんづき!」
エド「やば......」
エドは避けられないと判断し、腕で防ごうとする
ピタッ!
エド「..........あ、あれ?」
エドが目を開けると、顔に当たるギリギリで攻撃は止まっていた
ブゥン!
拳の風圧がかかってきた
エド「........は、はは」
エドは冷や汗を流している
バン「わかったか?これで動けないんじゃ、師匠には程遠いぜ」
エド「あんた........すげえじゃん。兵士だからとか思ってたけど、全然そんな事なかった。でも!俺だって何も見せねえわけにはいかねえ!」
エドは力を貯め始めた
エド「借りるぞ!父ちゃん!」
エドの目は赤くなり、爪や牙が生えて尻尾も現れた
辺りが魔物の気配に包まれる
全員「!?」
ラース「何だと!?」
その場にいた全員が武器をエドに向けた
玉座の間
全員「!?」
ブレイブ「グルルル」
コロ「グゥゥゥゥ...」
二匹は訓練場の方を威嚇している
マルティナ「何!この不思議な気配は!」
グレイグ「魔物ではあるようですが、普段とは明らかに違います。姫様、訓練場の方へ向かいましょう!何かが起こっております!」
マルティナ「そうね!」
訓練場
エド「あれ?皆して何でそんな警戒してんの?」
バン「お前、何者だ!」
ベグル「魔物に化けてたのか!」
マーズ「油断した。だが、自分から姿を現してくれるとはな!」
エド「ちょっ、ちょっと待ってよ!俺、少し違うけど人間だから!」
ラース「人間?だが、その気配や姿は人間とはかけ離れているぞ」
エド「あー......やっぱり駄目?この姿。感情が昂ぶるとこうなりやすいんだよな」
ダダダッ!
グレイグとマルティナが走ってきた
グレイグ「ラース!何事だ!」
マルティナ「ラース!大丈夫!?っ、ま、魔物!?」
エド「おー、さっきの姉ちゃん、おっさん」
エドは二人に手を振っている
グレイグ「どういう事だ?」
ロベルト「エド、敵意は無いのか?」
エド「え?そんなのあるわけねえじゃん。俺は強いやつと戦いたいだけ。お前、もう一回だ!今度は俺から行くぞ!」
バン「!来い!」
エド「っしゃあっ!」
エドはかなり速いスピードでバンの目の前に向かう
エド「ダークパンチ!」
エドの拳に闇の力が纏う
バン「!?しんくうげり!」
エドの攻撃が当たる前に、バンの足がエドに当たる
エド「ぐへっ!」
ドガァン!
エドは壁まで飛ばされていった
バン「あ.......やべ」
ラース「おい.....今手加減したか?」
バン「い、いやー......ちょっとビックリしちゃって」
壁には気絶したエドが倒れていた
エドの姿は元に戻っている
ベグル「よっと。マルティナ様、グレイグ将軍、ラース将軍、どうしますか?こいつ」
ベグルはエドを抱えた
マルティナ「一先ず医療部屋に運びましょう。話は本人に聞いてみましょう。敵意は無かったんだし。ただ、警戒はしておいて。強くないといっても、脅威になるかもしれないわ」
グレイグ「そうですね。ラース、警戒は任せていいか?」
ラース「ああ、任せておけ」
ロベルト「グレイグ将軍、俺達兵士も基本一人は付いておくようにしますね」
グレイグ「ああ、頼むぞ」
ラース「(魔物のような人間。何なんだ?こいつ。借りるぞ、とか言ってたな。そんな事がありえるのか?)」