数分後、医療部屋
エド「はっ!こ、ここは.....?」
医者「おや、起きたのかい。随分早いねえ」
エド「クンクン.....この匂い。あんた、医者か。気絶しちまうなんて俺もまだまだだな。ありがとよ!」
医者「鼻で判断するなんて変わってるんだねえ。どれ、少し待っててね。ラース様を連れてくるよ」
エド「いや、もう大丈夫だぜ!さっきの綺麗な部屋にいるんだろ?俺が向かえば早いって!」
エドはベッドから飛び降りた
医者「ま、まあ大した怪我もしてないから大丈夫だとは思うけど」
エド「そんじゃ、ありがとな!」
エドは走って出て行った
医者「随分元気な子だねー」
玉座の間
バタン!
エド「ラース、起きたぞー!」
ラース「早いな、おい。まあいいや、聞きたい事があるんだ」
エド「流石にわかってるぜ!あの父ちゃんの力の事だろ?」
グレイグ「そうだ。魔物の姿になっていたが、どういう事だ?」
エド「俺、生まれたばっかりの頃に親に捨てられたんだ。その時に魔物が俺を見つけたみたいでな。俺を巣に持っていって世話してくれたんだ!それが俺の父ちゃん!厳しいけど、優しかったんだぜ!」
マルティナ「ま、魔物が赤ちゃんを世話する!?そんなの見た事もないわ」
ラース「一応ブレイブもそれと似たような事になってるが、これはある意味特殊だよな。不思議な事もあるもんだな」
ブレイブ「........」
ブレイブとコロは隅でエドを観察している
エド「ん?おおっ!!キラーパンサーにベビーパンサー!こんな所にいるのか!凄えな!!」
エドは二匹に気付き走って近寄る
ブレイブ「グウウ.....」
ブレイブは姿勢を低くして威嚇している
コロ「ク、クゥ〜....」
コロは少し不気味がっている
エド「何だよ、そんな威嚇すんなって。俺に悪意はねえぞ!な!」
エドは腕を大きく開いている
ラース「おい、話の途中だ。それと魔物の姿になったのはどう関係があるんだ」
エド「おっと、そうだったな。俺、そんな事があったから今までずっと魔物と暮らしてたんだ。群れの一人としてな。それで数年前に父ちゃんが死んじゃってよ。俺達はめちゃくちゃ悲しんだんだけど、その時に父ちゃんの体から光が出てきて、俺の中に入っていったんだ。
そしたらあの姿になれるようになってた。父ちゃんと似た姿になれるんだぜ!きっと父ちゃんが俺に自分の力をくれたんだ!だからあの姿の時はいつもより速く動けるし、強い力も使えるんだ!」
グレイグ「なるほど。自我をしっかり持ちながらどうやって魔物の姿になっているのか疑問だったが、そんな不思議な出来事があったのか」
エド「そうそう!意味わかんない力だけど、俺は気に入ってるんだ!俺もやっと群れの皆みたいに魔物っぽくなれたかなって!俺の事は半魔人とでも思ってくれよな!」
マルティナ「人間でありながら魔物の姿になって力を使う.....。確かに半魔人なのかもしれないわね」
ラース「どうやってあの姿になるんだ?エドの意思か?」
エド「大体はそうだよ。こう、力をぐわーっ!ってやると、ほら!」
エドはまた魔物の姿になった
ラース「!きゅ、急にその姿になるな。こっちは驚くからよ」
エド「あ、そっか。ごめん、ごめん」
エドは人間の姿に戻った
グレイグ「戻る事も意思次第なのだな」
ブレイブが隅からエドに近づいてきた
ブレイブ「ガウガウ」
エド「え?そうだぜ!カッコイイだろ!」
ブレイブ「ガウ.....ガウ」
エド「危なくはないぜ!あまり人前でやっちゃいけないのもわかってるしよ!」
マルティナ「エド。もしかして、ブレイブの言葉わかるの?」
エド「そうだよ。だってずっと魔物と暮らしてたからな」
ラース「そ、そりゃあ凄いな。バン以外に初めて見た」
グレイグ「因みに何と言っていたのだ?」
エド「俺の父ちゃんの魔物の種族を知ってたみたい。ベンガルっていう名前の種族。知ってる?」
マルティナ「確かプチャラオ村周辺にいた魔物ね。知ってるわよ」
エド「おお!知っててくれると嬉しいな!あとはホイホイ変身して危ないだろって注意された」
ラース「それは言われて当然だな」
エド「それにしても、まさかラースと戦う前にあの兵士.......名前なんつってたかな。あいつにやられるとは思わなかった。ここの兵士強いな!」
ラース「まあそうだろうな。だが、あいつらに勝たないと俺に勝つのは難しいはずだぜ」
エド「そっか〜。あ!ならよ!ラース、もう一つ頼みたい事があるんだ!」
ラース「何だよ」
エド「俺の群れに来てくれよ。皆にも紹介してやりたいんだ」
ラース「お前の?それってつまり、魔物の家だろ?そんな所にただの人間がいっていいのか?」
エド「俺、群れの長からあんたの事を聞いたんだ。デルカダールって場所にラースという強いやつがいるって。実際あんたとは戦ってねえけど、それでも強さはわかった!皆に少しだけ顔を見せてやってくれよ」
ラース「だが、俺はあまり城を離れられないんだ」
エド「ええ!?ま、まあ......仕方ねえか」
エドは暗い雰囲気になった
マルティナ「ラース、明日の半日だけならいいわよ。顔を出してきてあげたら?」
ラース「いいのか?マルティナ」
エド「ほ、本当!?姉ちゃん!」
マルティナ「ラースにもお仕事があるから早めに帰れるようにしてくれれば大丈夫よ」
エド「わかった!約束する!俺、約束は絶対守れって父ちゃんからキツく教えられてるから絶対大丈夫!ありがとう!」
グレイグ「あまり変な事はするなよ?」
エド「別に何もしねえよ!じゃあ、明日また来るな!」
ラース「わかった」
次の日、メダチャット地方 森の中
二人は森の中を草をかき分けて進んでいた
エド「ラースー、遅ーい!」
ラース「ちょっと待てよ!俺はお前みたいにヒョイヒョイ動けねえんだ」
エドは慣れた動きで木から木へ飛び移ったり、草をまるで無いかのように走っている
エド「もうちょっとだぜー!頑張れよなー!」
ラース「(たくっ!魔物との生活はこんな所にまで影響が出てんのか。野生児かっての!)」
三十分後、エドの故郷
エド「とうちゃーく!ここが俺達の村みたいな場所だ。ここで皆よく集まってんだ」
そこは少し草がなく開けていた。周りには大きな木が生えているが、太陽の光が差し込み、明るくなっている
ラース「ほう。中々いい場所だな。来るまでの道のりを気にしなければ」
エド「あれくらいしないとすぐにバレちゃうからな。少し案内するぜ。この大きな木が長の家。そんでこの道を進むと洞窟があって、そこが皆の家だ。俺の部屋もあるぜ。反対のこの道は川に続いてる。一部こっちに住んでるやつもいるぞ」
ラース「な、なるほど....(道?......どれがだ?)」
エドは道といっているが、草木が生い茂っており道とは呼べないような道だった
エド「それじゃあ長に会おうぜ!あ!通訳は俺がするから安心しろよ」
ラース「それは助かる。俺じゃあ何言ってるのかわからねえからな」
二人は大きな木の家に入っていった