それから半年後の夜、デルカダール城
バンの部屋
バンとベグルとギバとダバンが集まってお酒を飲んでいた
もう既に何本か空になった瓶などが置いてあり、少し酔っている雰囲気になっている
バン「だからよ〜、メグが作る菓子が一番なんだって。お前らだって何回も食べた事あるだろ」
ダバン「確かにメグさんの作る菓子はかなり美味いが、そりゃあカフェやってんだから当然だろ。それよりも頑張って作ってくれたっていう料理が美味いに決まってんだろ」
ベグル「いいよなあ、お前らは。ジェーンは張り切ってくれるのはいいんだが、よく間違った材料を入れたりミスして火事になりそうになった事もあるんだ。俺が一緒にいないと危ねえんだぜ」
バン「あ!一緒に作るってのは本当羨ましいぞ!俺、メグにキッチン殆ど入れてもらえねえんだ!摘み食いも怒られるしよ」
ダバン「摘み食いはそりゃあ怒られて当然だろ。俺もミラと一緒に作った事はねえな。作るのに慣れてるのかテキパキやってくれて素人にはついていけねえんだ」
ギバ「だーーー!!お前ら、その妻自慢みたいな話やめろよ!!俺への当て付けか!?」
ギバは立ち上がって怒りを露わにしている
ベグル「おいおい、落ち着けよギバ。酔いすぎだぞ」
ギバ「まだ酔ってねえ!前から気にしてたんだよ!俺ら四人同期だろ!!何で....何で俺だけ......彼女もいねえんだよ!」
バン「そりゃあギバがロクに出会いもなくて」
ギバ「オラァ!!」
バギィッ!
バン「ベフッ!」
ギバは思いっきりバンの顔を殴り飛ばした
ダバン「うおっ!ギバが殴った。殆ど見たことねえぞ。暴れんなよ、ギバ」
バン「キュウ......」
バンは鼻血を流しながら気絶している
ギバ「俺だって彼女の一人くらいは欲しいさ!しかもお前達はさらに先の結婚までしやがって、馬鹿に至っては子どもまでいるんだぞ!!ベグルみてえなやつですら出会いがあって、何で俺だけ出会いがないんだよ!」
ベグル「おい、てめえ喧嘩売ってるな。覚悟出来てんのか?」
ギバ「うるせえ!!今だけは俺が上だ!言いたい事言わせろ!!」
ベグル「お....おう」
ベグルはギバの今までに無い強い雰囲気に押されている
ダバン「暴走すんなよ、ギバ。まだ人生長いんだからお前にも絶対出会いがあるって」
ギバ「本当にそう思ってるか?俺、この歳でまだ一人も付き合った事ねえんだぞ。ヤバイだろ!マズいだろ!」
ベグル「俺だってジェーンが初めての付き合いだ。ギバも初めての出会いがそのまま奥さんになるかもしれねえぞ」
ダバン「そうそう。俺もバンも一人だけしか付き合いは無えよ。ギバももう少し待ってみろって」
ギバ「くっそー!この勝者の余裕もムカつく!俺も早く妻が欲しい!」
それから三日後、訓練場
ギバが大慌てで荷物を持ってやってきた
バン「なに!?ギバの母ちゃん倒れたのか!?」
ギバ「そうみたいでよ!昨日連絡来たんだ!俺、今から急いで帰るから数日の休みとラース将軍とかに謝罪頼む!」
ベグル「わかった。こっちでやっておくからお前は急いで戻れ。落ち着くまで帰って来なくていいぞ。もし休みが長引いても勝手にしておくから」
バン「大事にしろよ!」
ギバ「おう!ありがとな!助かる!」
クレイモラン城下町 ギバの家
バタン!
ギバ「母ちゃん!」
ギバの母「おや、ギバお帰り」
ギバの母親は普通に机に座り、お茶を飲んでいた
ギバ「ガクッ.......あれ!?元気じゃん!倒れたって....」
ギバはそれを見て拍子抜けする
ギバの母「ああ、それがね。私、うっかり階段から二段だけ落ちちゃったの。その音を聞いたお隣さんが慌ててやってきてパニックになっちゃったみたいでね。怪我もないし、お医者さんにも何とも無いって言われたの」
ギバ「な、何だよ〜........。俺、めちゃくちゃ驚いたんだぞ。母ちゃんももうババアになってるんだから、あまり二階には上がるなよ」
ギバは脱力して肩を落としている
ギバの母「まあ!ギバったら母親にババアって言うのね。なんて汚い言葉遣いなの。メッ!皆を守る兵士さんがそんな口調じゃ駄目じゃない」
ギバ「う....。わ、悪かったよ。お隣さんって確かあの早とちりしやすいおばさんだよな。あの人ならまあ、パニックになって俺に連絡入れても不思議じゃないか」
ギバの母「そうそう。私は何とも無いって言ったんだけどねえ。焦らせてごめんよ。荷物もあるって事は数日休み取ってきてくれたのかい?」
ギバ「おう、当然だろ。倒れたって聞いたんだ。母ちゃん一人に出来ねえよ」
ギバの母「ふふ、ありがとねえ。ギバ、朝食は済ませたかい?余りだけど残ってるよ」
ギバ「あー、何も食べてねえや。連絡来てから大慌てで荷物揃えたからよ。全部食べるぜ」
ギバの母「はいはい。食欲は変わらないねえ。どれ、これだけだとギバは足りないだろうから少し何か作ろうかね」
ギバ「出来たら俺が持っていくよ。それまで俺の部屋に荷物置いてくる。呼んでくれ」
ギバの母「わかったよ」
その後、朝食も終わりギバは久しぶりの故郷をゆっくりと見て回っていた
クレイモラン城下町 商店街
ギバ「(へ〜、知らない間にまた色々と店が増えたな。人も多いし、変わらず魔法の商品とかも他より栄えてるな。魔法........か。もう何とも思わねえけどよ)」
その時
女性「あの!やめてください!大事な商品なんです!」
女性の声が聞こえてきた
ギバ「何だ?」
その声の方を見ると、雑貨屋に数人の男達が集まっていた
男性「え〜、いいじゃん。少しくらい好きにさせてよ」
男性達は丸い球体の物で投げたりして遊んでいる。何やらそこには文字も書かれている
女性「駄目です!あの!話を聞いてください!」
男性「キャーキャーうるせえな。ほらよ!!」
男性は勢いよく球体を女性に投げつけた
女性「え.....」
パシッ!
ギバは女性の前に立ち、球体を掴んで当たらないようにした
ギバ「お前ら、この人が迷惑がってるじゃねえか。やめろよ、こんな事すんの」
男性「あぁ?何だてめえ。いきなりしゃしゃり出てきやがって」
ギバ「俺はお前らみたいに他人に迷惑かけるやつは嫌いだ。やるなら来いよ。相手になってやる」
広場
ギバ「全く。少し治安が悪いのは昔からだな。発展した分、またこういう輩が増えてるのかよ」
戦いはあっという間に終わり、ギバの近くには先程の数人の男性達が集められ動けなくなっていた
少ししてクレイモランの兵士も騒ぎを聞きやってきて、ギバと話をしていた
クレイモラン兵士「ありがとうございました!デルカダールの兵士の方にお手数掛けさせてしまうとは。申し訳ございません」
ギバ「いや、そんなの気にしねえよ。ここ、俺の故郷なんだ。誰だって故郷で好き勝手されたくないだろ?それだけだ」
クレイモラン兵士「ありがとうございます。それでは」
クレイモランの兵士は男達を連れていった
女性「あ、あの!」
ギバ「ん?あ、さっきの店員さん」
女性「助けてくださりありがとうございました。まさか兵士さんだったとは。しかもデルカダール王国の兵士さんだったんですね」
ギバ「まあな。大事な商品だったんだろ?あの玉。あんな風に雑にされると嫌だもんな」
女性「はい。あ、私さっきの場所で雑貨屋を営んでるイリーナと言います。少しお礼したいので、寄っていっていただけませんか?」
ギバ「え。た、大した事してないのに悪いな。俺の名前はギバ。聞いたと思うが、デルカダール王国で兵士やってんだ。普通の兵士よりも腕にはちょっと自信があるんだぜ」
イリーナ「ふふ、そうだと思いました。数人が相手なのに全然相手にならなかったじゃないですか。かっこよかったですよ」
ギバ「へへへ、照れるな。ありがとよ」