それから一週間後、グラジー
昼の営業も終わり、皆で片付けをしていた時だった
マドリー「テルマくーん、ちょっといいかしら?」
テルマ「?はい、どうしましたか?」
マドリー「あのね、本当はマヤちゃんに頼めばいいんだけど、今日この後夜を休んで友達と遊ぶみたいなの。だから代わりにこれをデルカダール城にいるラース様にお届けしてほしいの」
マドリーはホムラの酒が入った包みをテルマに渡した
マドリー「あ、もしかしてテルマ君も予定あったかしら?」
テルマ「いえ、そんな事ないですよ。ラース将軍にお届けすればいいんですね、わかりました」
マドリー「ええ、ありがとう。私とビルからの届け物って伝えといてね。それが終わったらもうテルマ君達は終わりだから自由にしてていいわよ」
テルマ「はい。それでは行ってきます」
デルカダール城 玉座の間
テルマ「失礼します」
マルティナ「あら、テルマじゃない。どうしたの?」
テルマ「突然すみません、マルティナ様。えっと、ラース将軍にマドリーさんとビルさんからお届けものがありまして」
ラース「お!!という事は、頼んでたやつか!」
グレイグ「何か頼んでいたのか。自分で取りにいけばよかっただろう。わざわざ持ってきてもらってすまなかったな」
テルマ「いえ、もうお店もお昼が終わって俺の仕事も無かったんでこれくらい平気ですよ。ホムラの酒だそうです」
ラース「そうそう、これこれ。本当は夜に取りにいくつもりだったが持ってきてくれるとは思わなかった。ありがとな、テルマ」
マルティナ「ビルとマドリーにもありがとうって伝えておいて。また今度お店の方にも顔出しにいくわ」
テルマ「わかりました。それでは失礼しました」
ラース「あ、どうせなら入り口まで見送るぜ」
テルマ「ありがとうございます、ラース将軍」
大広間
二人が歩いていると大広間にはベグルとエドが騒いでいた
エド「俺一人でそれくらいできるわ!!馬鹿にすんなよ!」
ベグル「馬鹿になんかしてねえって言ってんだろうが!もしものために一人つけようとしてるだけだ!」
エド「それが馬鹿にしてるんだろうが!見回りくらいすぐに終わらせてやるよ!」
ラース「おい、何騒いでんだよ、ベグル、エド」
ベグル「あ、す、すみません、ラース将軍」
エド「あ!ラース!よっ!」
ガシ
ベグル「ラース将軍、だろ?」
ベグルはエドの頭を掴んで握りしめている
エド「いでででで!!ラース....将軍...」
ベグル「たくっ!」
エド「この馬鹿力め......。人の頭潰す気かよ....」
ベグル「あぁん?」
エド「ひいっ!!」
エドは咄嗟に近くのテルマの後ろに隠れた
ベグル「ん?君は確か、グラジーで前に新しく働いてた....」
テルマ「あ、俺の事ご存知でしたか。テルマっていいます。兵士さん、よろしくお願いします」
ラース「俺がグラジーで頼んでた酒を持ってきてくれたんだ」
エド「グラジー?何だ?それ」
テルマ「グラジーっていうのは俺の働いてる店の名前で酒場なんだ」
ベグル「餓鬼にはまだ早えよ」
エド「はあ!?誰が餓鬼だ!酒場ってあれだろ?よくくっせえ水が出てくる場所。俺、あそこすげえ苦手なんだ」
ラース「もう少し言い方を何とかしてほしいが、まあエドからしたらそうなのかもしれないな。それで何で大声で騒いでたんだ?」
ベグル「ああ、それなんですけど今日見回りを新人達に二人ペアで任せていたんです。でも、こいつだけ人数の関係で余っちゃって俺達の中から一人つけようとしたら猛反発してきたんですよ」
エド「見回りすらも一人でやらせてくれねえんだぜ!?群れの中にいた時は俺一人で問題なかったってのによ!」
ラース「なるほどな。エドの見回りの場所はどこだ?」
ベグル「デルカダール地方です。簡単にでいいので、やり方だけでも覚えてもらえればと思って」
ラース「ふむ...........テルマ、この後空いてるか?」
テルマ「え?俺ですか?空いてますけど......」
ラース「じゃあよ、金は出すからこのエドっていう新人兵士と一緒に見回りしてくれないか?」
三人「ええ!?」
テルマ「いやいや、ラース将軍!俺兵士さんじゃないですよ!?」
エド「そうだぜ!?第一こいつ、何か出来んのかよ!」
ラース「簡単な見回りでいいなら一部、街の人達も出来る。グルっと回って魔物を遠目で見る。そんなやつでいいんだろ?」
ベグル「ま、まあ確かにその程度でも問題ありませんが......本当に大丈夫ですか?」
ラース「デルカダール地方なら危険な魔物は非常に少ない。それも近づかないなら問題ないやつらだしな。頼まれてくれないか?テルマ。ちょっとした散歩感覚で大丈夫だからよ」
テルマ「....わ、わかりました。えっと、エドだっけ?よろしくな」
エド「お、おう」
ラース「エド、しっかりテルマを守ってやれよ。人一人守れないなら村を守れるようにならないぞ」
エド「!?おお、そうだな!よし、任せておけ!」
二人は城から出て行った
ベグル「ラース将軍、本当の考えは何ですか?」
ラース「エドとテルマには共通点がある。外部からやってきたという点だ。しかも見たと思うが、かなり年齢も近い。二人には多少親しくなってもらいたくてな。特にエドは人間の友人は初めてのはずだ。これでまた新しい経験をしてほしい」
ベグル「なるほど。ですが、エドはあんな性格ですよ。テルマって人がどうかはわかりませんが、喧嘩にならないといいんですが」