デルカダール地方
テルマ「ちょっ、ちょっと待てよ、エド!早く走りすぎだって!」
エド「え?あー.....悪い。いつもの感覚でやっちまった」
必死に走って追いついたテルマは少し息をきらしていた
テルマ「すげえ速いんだな。追いかけるだけで必死だったよ」
エド「まあな。ちょっと自信あるんだぜ。さて、言われた事は魔物を観察してこいって言われたんだ。お前、ここの魔物達には詳しいのか?」
テルマ「お前じゃなくてテルマ。残念だけど、俺が住んでたのはソルティコだったんだ。だからデルカダール周辺の魔物はあまり知らないな」
エド「チェー、それなら仕方ねえか。それなら少し探してみるか」
テルマ「探すって?歩き回ればたぶんそこらへんにいるんじゃないか?」
エド「あ、なるほど。それもそうだな」
テルマ「道自体は整備されてるから草むらに入らなくても大体進めるはずだ。グルッと回って戻ってこようぜ」
エド「おお!お前、詳しいんだな!」
テルマ「いやいや、これくらいで詳しいって.....」
エド「というか、剣持ってるけどよ。戦えんのか?」
テルマ「ほんの少しだけね。ラース将軍が危険な魔物は少ないって言ってたから多分大丈夫だと思うけど念のため」
エド「ふーん、それじゃあ何かあったら俺が守ればいいんだな。任せろ!」
テルマ「まあ頼りにしてるよ、兵士君」
少しして
エド「へ〜、穏やかなやつらばっかりだな。ズッキーニャとかももんじゃ、マンドラか。可愛らしいじゃん」
テルマ「王国にあった掲示板にはいっかくうさぎとかおおがらす、おおきづちはあまり近づかないようにって書いてあった。気をつけようか.....って、あれ!?」
後ろにいたエドに話しかけて振り返ると、エドはいつの間にかいなくなっていた
テルマ「エド!?どこいったんだ!?」
エド「おーい、こっちだぜー!」
テルマ「何してんだよ!」
テルマの近くにあった大きな木にエドは立っていた
エド「いやー、何だか丁度よさそうな木があったからよ。登りたくなるよなー」
テルマ「どうやってそんな高いところまで登ったんだよ。ほらー、降りてこいよー」
エド「おお!海がよく見えるな!景色いいじゃん!」
テルマ「話聞けよ!」
ムギュッ!
テルマ「ん?」
テルマはふと何かを踏んだ
いっかくうさぎ「キュー!!」
テルマ「わわっ!ごめん!!」
いっかくうさぎ「キュー!!」
いっかくうさぎは怒ってテルマに突進してきた
テルマ「あぶね!!お、おい、エド!悪い、間違えて怒らせてしまった!何とかしてくれないか!」
エド「えー.....全く。ドジだなー、お前。よっと!」
ムギュッ!
エド「あり?」
いっかくうさぎ達「キュー!!!」
エド「うおおおおっ!!」
今度は飛び降りたエドがいっかくうさぎを踏み、群れで襲いかかってきた
テルマ「いやエドもかよ!!」
エド「悪い、ミスった。お、おい!わざとじゃねえんだ!落ち着け?な!」
エドは逃げるのを止め、いっかくうさぎ達を説得しようとする
いっかくうさぎ達「キュー!!」
いっかくうさぎ達は聞く耳を持たず、止まったエドを囲んで突撃していく
エド「痛てて!!おいこら!囲むな!人が謝ってんのによ!」
テルマ「あー、もう!エド、こうなったら戦うぞ!」
エド「ま、待てよ。こいつらは悪くないんだ。痛ててて」
テルマ「いやそうだけどよ、襲われてるんだから仕方ないじゃないか」
エド「まずは.....もう少し逃げるぞ!」
エドは囲まれている所を振り切り、走り出した
テルマ「あ!!待てよ!俺を置いて行くな!」
いっかくうさぎ達「キュー!!」
崖
エド「あ、やっべ。ここ行き止まりかよ」
テルマ「嘘!追い込まれたじゃないか!」
いっかくうさぎ達「キュー!」
エド「なあ、悪かったって。痛かったのはわかるけどよ、もう許してくれないか?」
テルマ「魔物に言葉は通じないだろ。応戦した方がいいって」
エド「馬鹿!こいつらだって話せばわかるに決まってんだ。それに俺は魔物を傷つけたくねえ」
いっかくうさぎ達「キュキュー!」
いっかくうさぎ達はエドの言葉を無視している
テルマ「傷つけたくないのはわかるけど、話を聞いてくれそうにないぞ」
エド「ぐぐぐ、どうしたもんか」
ピキッ!
エド「え?」
ミシミシミシッ!
エド「うおおおおっ!!」
エドの立っていた場所が崩れて、海へと落ちていく
テルマ「エド!!!」
パシッ!
テルマが急いでエドの手を掴んでエドは落ちずにすんだ
エド「サ、サンキュ〜.....。ヒャー、こんなのありかよ」
いっかくうさぎ達「キュー!」
テルマ「痛い痛い!お、押される.....」
エド「お、おい、お前!手を離せ!お前も落ちちまうぞ!」
テルマ「何言ってんだよ!離すわけないだろ!痛てて!」
テルマの後ろをどんどんいっかくうさぎ達が突進している
エド「このままだとお前も俺も落ちる!俺は何とかするから!お前だけでも逃げろ!」
テルマ「嫌だ!!絶対離さねえ!」
エド「意地になってんじゃねえ!!さっさと離せ!」
テルマ「知るか!!どんだけ高さあると思ってんだ!こっから落ちたら死ぬに決まってんだろ!俺は!!もう誰にも死んでほしくねえ!!絶対助ける!!」
エド「.....お前........」
いっかくうさぎ達「キュー!!」
テルマ「ぐうっ!」
ボロッ!
テルマの足元も崩れ始めた
バギイッ!
テルマ「あ!!」
テルマも落ち始めた時
エド「借りるぜ!父ちゃん!!うおおおっ!」
ガシッ!
テルマ「え?......」
エドは魔物の姿になりテルマの足を掴んだ後、落ちてきた岩を足場にジャンプして元の位置まで戻った
エド「さて、これで何とかなったな」
テルマ「エド......か?何だよ、その姿」
エド「後で話す。おい、いっかくうさぎ共!」
いっかくうさぎ達「キュ、キュ〜......」
いっかくうさぎ達はエドの姿に怯えている
エド「ちょっと強気になりすぎたんじゃねえか?俺の言葉だって聞こえてたんだろ?そこのリーダー!」
いっかくうさぎ「ビクッ!」
群れの中で少し大きめのいっかくうさぎが怯んだ
エド「お前が選べ。ここで俺と戦うか、俺の食料になるか、逃げるかだ。さあ!好きにしろよ!」
いっかくうさぎ達「キュー!!」
いっかくうさぎ達はバラバラになって逃げていった
エド「.......さて、と」
エドは元の人間の姿になった
エド「悪かったな、テルマ。ビックリしただろ?」
テルマ「エド、俺の名前を.....。じゃなくて、どういう事なんだ?」
エド「簡単に説明するとだな」
エドは自分が魔物に育てられた事、それによって魔物の言葉がわかる事、魔物の力を借りれる事を説明した
エド「だから俺は少し特殊なんだ」
テルマ「そう.....か。だから魔物を傷つけたくなかったんだな。今まで家族のように過ごしてきたから」
エド「そういう事だ。でも、お前らからしたら俺の方が変だよな。おれの事は気にしないでくれ」
テルマ「何が変なんだ?」
エド「え?だってよ、急に魔物の姿になるんだぜ?変だろ?」
テルマ「そりゃあ驚いたけどさ、俺の事助けてくれたじゃん。誰かを助けるためにその姿になるのは変なのか?それはおかしくないか?」
エド「........で、でもよ、気持ち悪いだろ?」
テルマ「俺は魔物は怖いけど、エドみたいに助けてくれるなら俺はその魔物を変に思わないし、ありがとうって気持ちになる。気持ち悪いなんて全く思わねえ。だからよ、エド。ありがとう。俺の事助けてくれて」
エド「........へ、へへ。テルマは変なやつだな。..........よし!俺、テルマの事気に入った!テルマ、友達ってやつになろうぜ!俺、人間の友達いねえんだ!」
テルマ「なんだ、そうなのか。それなら喜んで。俺の方こそよろしくな、エド」
テルマとエドは互いの手を握った
エド「やったぜ!へへ、俺知ってるんだぜ。友達ってのは一緒に遊んだり、飯食べたりすんだろ?」
テルマ「ああ、そうだな。楽しみだな」
エド「これからよろしくな!テルマ!」
テルマ「これからもっと互いの事知っていこうな、エド」