それから三日後の夕方、グラジー
マヤ「それじゃあお疲れ様でしたー」
グリー「あれ?ま、待ってよマヤさん。城まで送るよ?」
マヤ「あー、今日は大丈夫!グリーさんに毎回来てもらうの悪いからさ」
グリー「でも、危なくない?念のためでもさ」
ビル「そうだぞ、マヤ。そろそろ暗くなる。女性一人で歩くのは危ないぞ」
マドリー「それとも何か用事なの?」
マヤ「そうそう。今日この後姉ちゃん、あっと、マルティナ様に用事があるんだ」
グリー「まあ.....それなら仕方ないけど」
マヤ「それじゃあまた明日ね。お疲れ様でしたー」
マヤは走って店から出て行った
テルマ「なんだかマヤさん変じゃありませんでしたか?」
チャム「焦ってるみたいだったよね。そんなに急いでたのかな?」
グリー「.........」
マドリー「何だか最近グリー君に対してどこか素っ気なくなったわよね。前より距離があるように思えるわ」
ビル「何か考え事でもあるんじゃないか?」
デルカダール城 玉座の間
マヤ「ただいま、皆」
マルティナ「マヤちゃん、お帰りなさい」
グレイグ「お帰り、今日は夜は休みなのか?」
マヤ「うん。あと少し用事があって」
ラース「ほう、用事か。俺達にか?」
マヤ「あ、えっと......まずは姉ちゃんだけかな。ちょっと聞いてほしい事があるんだ。夕食の後、部屋に行っていい?」
マルティナ「私?ええ、大丈夫よ」
ラース「それなら俺はまたバンの部屋かグレイグの部屋にでもいるさ。終わったら連絡してくれ」
グレイグ「あまり俺の部屋に来るな。貴様が来るといつも部屋を散策されて困るのだ」
マルティナ「.......それって、探されると困るものがあるって事?」
マルティナの目が細くなった
グレイグ「ち、違いますぞ!!別にそんなわけではありません!散らかされるのを迷惑していただけです!」
マルティナ「ふ〜ん」
ラース「(自分から墓穴を掘るなよ、グレイグ)」
バタン
マーズ「失礼します、マルティナ様。グリーが来ていて、ラース将軍をお呼びしています」
ラース「わかった、行ってみようか」
大広間
グリー「あ、ラースさん突然すみません」
ラース「いや、構わないさ。どうした?」
グリー「あの、この後お時間ありますか?ご相談したい事があって」
ラース「(グリーもか)夕食の後なら平気だ。どこに行けばいい?」
グリー「ありがとうございます。それでしたら僕達の店の前に来てください」
ラース「了解。しかし、グリーはよく俺に相談に来るな。構わねえが、俺以外でもいいんじゃないか?」
グリー「そうなんですけど、なんだかラースさんは色々ご存知ですし、頼りになるのでつい......」
ラース「そう思ってくれてるのは嬉しいな。それじゃあまた後でな」
グリー「はい。ありがとうございます」
夕食後、グラジー前
ラース「お、悪いな。待たせたか?」
グリー「いえ、平気です。ここで話すのもあれなんで、僕の家に来てください」
ラース「グリーの家か。行くのは初めてだな。それと、大事な話みたいだな。マヤ関連か」
グリー「はは、流石ラースさん。理解が早いですね」
グリーの家
グリー「小さいですけど、気にしないでください」
ラース「これくらい普通だろ。俺の家もこれより少し広いくらいだったからな」
グリー「あ、お茶どうぞ。それでお話なんですけど、実は僕前にマヤさんに.....こ、こ、告白したんです」
ラース「え?...........マジか!?」
グリー「は、はい。でも、どうやら遠回しに言い過ぎたみたいで、マヤさんに告白だと受け取ってもらえなかったみたいなんです」
ラース「何て言ったんだよ?」
グリー「マヤさんと一緒にいると楽しいって思えるんだ。これからもずっと一緒にいてくれる?って......何だか恥ずかしいです」
ラース「そこまで特段おかしなわけではないが.......そうか。マヤはそのままの言葉通りに受け取って勘違いしたのかもしれないな。それで?」
グリー「はい。それでしばらく様子を見てたら何も変わってないみたいで、伝わらなかったのかな?って思ってたんです。でも、マヤさんが隠してるだけなのかと思って。お城とかでは何も変わってませんでしたか?」
ラース「まあな。その告白ってのも初めて聞いたからな。マルティナやグレイグだって知らないぞ」
グリー「やっぱりか〜.......。まあ、遠回しに言ったのが悪かったんですよね。でも、そうなると僕ってマヤさんから見たらただの友達なんですかね?」
ラース「それはどうだろうな。マヤがグリーを本心でどう思ってるかはわからねえな。ただ、好意的には思えるぞ」
グリー「うう、そうですよね。どうしたらいいんでしょうか」
ラース「グリーはどうしたい?」
グリー「僕ですか?そりゃあ.......マヤさんと付き合いたいですけど、怖くなってきました。もしマヤさんがなんとも思ってなかったら、とか断られたら、とか考えると.......」
ラース「その気持ちはわかるぜ。俺も同じだった」
グリー「ラースさんでもですか?ハッキリ言いそうなのに.....」
ラース「そりゃあ俺だって不安だったさ。ましてや相手は一国の姫。知られてもいないような村からの男なんて、振り向きもしないだろうなと思ってた。それに、知ってると思うが魔王を倒そうとしていた旅の途中だった。
世界の命運がかかった旅で何してんだって感じだろ?大事な旅に私情を持ち込んで乱すのはよくない。だから最初はマルティナへの気持ちを失くすつもりだったんだ」
グリー「ええ!?好きになったのにですか!?」
ラース「ああ、そうだ。でも、どこかのお節介達が俺達をくっつけようとしてな。その流れで告白したって感じだ」
グリー「な、なるほど。でも、いざって時にしっかり相手に伝えられるのがラースさんらしいです。僕は......怖がりだから勇気なんて、もう出せないですよ」
ラース「ん〜.......。グリーはよ、今俺とどうやって話してる?」
グリー「ど、どうやって?言葉でラースさんに話してますよ?」
ラース「そうだな。その言葉はグリーが思ってる事か?それとも何も考えずに話してるか?」
グリー「僕が思った事です。ラースさんの言葉を聞いて、僕が思った事を話してます」
ラース「だろ?俺も同じだ。緊張なんかしないだろ?」
グリー「は、はい」
ラース「言葉ってのはな、自分の心の声を表す。自分がやりたい事、したい事なんかを相手に伝える手段だ。ただ、どうしても感情がそれを抑えてくる。恥ずかしい、怖いみたいにな。それならグリーは最初その告白をした時、どうして伝えられた?」
グリー「えっと........どうしてもマヤさんに伝えたかった......からです」
ラース「そうだ。勇気を出すってのは実は自分がこれだけは伝えたいって感情を爆発させた時に自然と出るものなんだ。その時の言葉は何よりも真っ直ぐで、相手に必ず届く。
俺は、それが勇気を出して告白するって事だと思うぜ。自分の一番伝えたい思いを言葉にして相手に伝えるって事がな」
グリー「一番伝えたい思い.......。でも、僕にはそんな自然となんて」
ラース「大丈夫だ。もしもマヤやグリーがお互い同じ思いなら、必ずそれを伝える瞬間がやってくる。遠い先かもうすぐそこかはわからないけどな。その時を見逃すな。諦めたくはないんだろ?マヤの事」
グリー「.........そう.....ですね。僕はマヤさんと一緒にいたいです、これからも。だからこの思いをいつかマヤさんに伝えます。勇気を出して、真っ直ぐに。ラースさん、ありがとうございます。僕、少し勇気が出てきました」
ラース「お、それはよかった。頑張れよ、グリー」