ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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憧れの自分

二日後、デルカダール城 訓練場

 

 

 

見習い達にマーズが魔法を教えている

 

 

 

マーズ「簡単な魔法を唱えるだけでいいぞー。出来ないなら仕方ないから、そのままにしていてくれ。メラくらいなら何とか出来るやつは多いと思うけどな」

 

 

 

それを離れた所でバン達が見ていた

 

 

 

バン「いいよなー、魔法ってさ」

 

 

 

 

ベグル「確かにな。離れた場所からの攻撃ってのも、避けにくいってのも羨ましいぜ」

 

 

 

 

ガザル「俺もマーズみてえにたくさん使えりゃあいいのによ。実戦で使うには威力も種類も少なすぎるからな」

 

 

 

 

ダバン「この中で魔力が無いのはバンとギバだけだったな。そもそも魔力が無いって少し珍しいよな」

 

 

 

 

ギバ「んだよ、ダバン。悪いかよ」

 

 

 

 

ダバン「え?いやいや、そういう事は言ってないぞ」

 

 

 

 

ロベルト「珍しいのは確かだよな。マルティナ様も魔力を持っていないけど、魔力が無いってどんな感じなんだ?」

 

 

 

 

バン「別に何ともねえけどな。ただ普通に生きてるだけだぜ」

 

 

 

 

ベグル「馬鹿はそうだろ。寧ろ、こんなやつが魔法なんて扱えるかよ。式とか構造とか覚えられねえだろ」

 

 

 

 

バン「馬鹿にすんな!俺だって魔力さえあれば、師匠みたいにたっくさん魔法打てるんだからな!」

 

 

 

 

ギバ「.........」

 

 

 

その後、大広間

 

 

 

ギバは一人で自分の手を見つめていた

 

 

 

ギバ「魔法.....魔力.....か。何とも思わねえようにしてたのにな」

 

 

 

その時、訓練場からバンとマーズがやってきた

 

 

 

バン「お!ギバー、急に訓練場出て行って驚いたぞ。どうしたんだ?」

 

 

 

 

ギバ「いや、別に何でもねえよ」

 

 

 

 

マーズ「今バンに魔法をまた教えてくれと言われてな。魔力も無いのにどうやって魔法使おうとしてるんだか」

 

 

 

 

バン「気合いでどうにかならねえか?こう、うりゃあーってやったらメラくらい簡単にボッってさ!」

 

 

 

 

マーズ「そんな方法で出たら苦労しねえよ」

 

 

 

 

ギバ「そうだぞ。メラは式や構造こそ簡単だけど、何も知らないやつが唱えるには順番が必要だ。炎をしっかりイメージして、自身の中の魔力を使って構造を作り出す。その後に作り出した構造の中に式を入れてやっとメラが出るんだ」

 

 

 

 

バン「え?な、なんでギバがそんな事知ってるんだ?」

 

 

 

 

マーズ「驚いた。ギバ、魔法に詳しかったのか?」

 

 

 

 

ギバ「ま、まあな。ほんの一部だけだ」

 

 

 

 

バン「そういや、ギバは出身がクレイモランだもんな!クレイモラン出身なら魔法に詳しくて当たり前か!」

 

 

 

 

ギバ「!.......」

 

 

 

 

マーズ「よく考えてみると、ギバはどうしてデルカダールの兵士に?あっちにいたならクレイモランの兵士になるのが普通なんじゃないのか?」

 

 

 

 

ギバ「いいだろ!別にどこで兵士になろうがよ!」

 

 

 

ギバは少し怒鳴るように言った

 

 

 

マーズ「!?わ、悪い。嫌な事言ったみたいだな」

 

 

 

 

バン「だ、大丈夫か?ギバ。俺も変なこと言ったみたいで悪い」

 

 

 

 

ギバ「あ.......。別にお前らは悪くねえよ。怒鳴って悪かった。少し頭冷やしてくる」

 

 

 

ギバは少し駆け足で外に出て行った

 

 

 

マーズ「迂闊だった。ギバがそんなに魔法の話題が駄目だったとは」

 

 

 

 

バン「.........なあ、マーズ。俺、ギバの事気になってきた。なんかあるなるさ、俺達で解決してやろうぜ?」

 

 

 

 

マーズ「だが、恐らく魔法関連だ。ギバには.......解決出来ないんじゃないか?」

 

 

 

 

バン「そんなのわかんねえじゃん。マーズは知らなかったかもしれねえけど、ギバって意外と傷つきやすいんだ。魔法関連だと昔からああだからきっと何かあるんだと思う。魔法は知らねえけど、俺はギバの力になりてえ」

 

 

 

 

マーズ「バン.....。ああ、そうだな。俺もギバの力になりたい。追いかけるか、バン」

 

 

 

 

バン「おう!」

 

 

 

デルカダール城下町外れ

 

 

 

ギバ「.......やっちまったな。また敏感に反応しちまった。もう......諦めたはずだったのによ」

 

 

 

 

バン「あー!見つけたぞ、ギバ!」

 

 

 

 

マーズ「おい、待てよバン。あんまり大声を出すな」

 

 

 

 

ギバ「お前ら、何でここに」

 

 

 

 

バン「ギバがよ、落ち込んでるように見えたからさ。相談に乗ろうかと思ってな!」

 

 

 

 

マーズ「何かあったのか?それとも俺達のせいだったか?どちらにせよ、ギバらしくなかったからな」

 

 

 

 

ギバ「わ、悪かったな。心配かけさせて。大した事じゃねえんだ。心配するほどの事じゃ」

 

 

 

 

バン「魔法の事だろ?」

 

 

 

 

ギバ「.........」

 

 

 

 

バン「ギバはさ、昔から魔法の話題になると逃げるようにしたり、聞こえないようにしてたよな。だから何かあるんじゃないかって思ってたんだ。少し話してみてくれないか?ほら、俺だって魔力無いからよ。仲間だぜ」

 

 

 

 

マーズ「ただ羨ましいって感情だけには思えないからな。ギバの悩みを少し教えてくれないか?」

 

 

 

 

ギバ「.......全く。バンは馬鹿のくせに、昔から人の事はよく見てたよな。マーズも頭がいいのはわかるが、あんまり突っ込みすぎるのもよくないんだぜ?まあいいや。話すよ」

 

 

 

 

バン「俺は馬鹿にされた?褒められた?」

 

 

 

 

マーズ「褒められてたぞ、一応な」

 

 

 

 

バン「よっしゃ!ありがとな、ギバ!」

 

 

 

 

ギバ「ハァ......俺がまだ子どもの頃の話だな」

 

 

-----------------------

 

 

子ギバ「母ちゃん!俺、兵士さんになれるかな?」

 

 

 

 

ギバの母「ええ、きっとなれるわ。だってずっと夢だったじゃない」

 

 

 

 

子ギバ「へへ、そうだよね!今日広場で兵士さんが魔法教室やってくれるんだって。その時に聞いてみるんだ!」

 

 

 

 

ギバの母「ふふ、頑張ってね。きっといいお返事が来るわ」

 

 

 

 

ギバ「うん!」

 

 

 

その後、広場

 

 

 

兵士「はい。教えるのはここまでにして、次は実際にやってみようか。メラを練習してみようか」

 

 

 

 

子ども達「はーい!」

 

 

 

 

子ギバ「魔力?俺、そんなの出来たっけ?」

 

 

 

ギバは必死に魔法を出そうとするが、全く出てこない

 

 

 

しばらくすると、周りの子ども達の手からメラが出るようになっていた

 

 

 

男の子「出た出たー!兵士さん、出たよー!」

 

 

 

 

兵士「お、やるねえ。これは将来楽しみだぞー」

 

 

 

 

女の子「私もー。出来ると楽しいね」

 

 

 

 

子ギバ「ふんっ!えいっ!うーん!ハァ、ハァ。あれ?出ないや」

 

 

 

 

兵士「あれ?君は......」

 

 

 

 

子ギバ「あ!兵士さん。魔法出ないんだ。やり方間違ってるの?」

 

 

 

 

兵士「いや.......そもそもが君は違うんだ。君は体内に魔力が無い。だから魔法はどんなに頑張ったって出ないんだよ」

 

 

 

 

子ギバ「え.......」

 

 

 

 

男の子「え?魔力が無いってそんなのあるの?」

 

 

 

 

女の子「お母さんとかも魔法打てないのかな?」

 

 

 

兵士の発言により、周りの子ども達もザワザワし始めた

 

 

 

兵士「ごめんね?魔力が無いと魔法は出ないんだ。君は......この国の子かな?」

 

 

 

 

子ギバ「う、うん」

 

 

 

 

兵士「この国では魔法が使えないとあまりやっていけない。大人になったら別の国に行った方がいいかもね」

 

 

 

 

子ギバ「そ.....そんな.......」

 

 

-----------------------

 

 

ギバ「って事があって、俺は自分に魔力が無いとわかった。クレイモラン王国にいながら魔力を持たないやつは珍しくてな。周りの子ども達からも馬鹿にされたもんだ。俺の夢も.......一度そこで無くなったんだ」

 

 

 

 

マーズ「クレイモラン王国は魔法大国って聞くが、そんなに魔法が大事なのか。不思議な国だな」

 

 

 

 

ギバ「当時はまだ発展途上でもあったからな。今より一層魔法が重視されていた。だからこそ、俺はあの国に必要とされていなかった」

 

 

 

 

バン「ギバは魔法を唱えたいのか?」

 

 

 

 

ギバ「昔はな。今はそうでもないさ。........魔法なんか無くても気にならないくらいに強くなったからよ」

 

 

 

 

バン「本当か?」

 

 

 

 

ギバ「え?」

 

 

 

 

バン「ギバ、お前嘘ついただろ。お前が下を向いた時に喋る事は大体が嘘だ。自分に嘘をつくなよ。自分に素直になってみろよ。絶対に笑わねえから」

 

 

 

 

ギバ「.........はは、何だよ。そんな事まで知ってんのか?バンって馬鹿にならねえな。ああ、そうだよ。今だって本当は魔法が使えるようになりてえ。そうすりゃあ、あの時馬鹿にされたやつらを見返してやれる。

 

 

 

昔の俺が憧れてた俺になれる。夢だったんだ。魔法で誰かを、ヒーローみたいに助けてやる事が。槍で誰かを助けるのもいいが、昔思い描いた姿とは違う。昔の憧れてた姿を、今でも心のどこかで追い続けてるんだ。諦めの悪いやつだよな」

 

 

 

 

マーズ「いいじゃないか、それで。昔憧れてた自分になりたいなんて、思って普通の事だ。俺だって今この姿が思い描いていた姿かと問われたら違うが、俺は満足している。でも、ギバは満足してないんだろ?なら、魔法を使えるようになろうぜ」

 

 

 

 

バン「そうだな!ギバが魔法を使えればもっと強くなるしな!」

 

 

 

 

ギバ「ちょっ、ちょっと待てよ。俺には魔力が無いんだぞ。使えるようになんて絶対にならねえよ」

 

 

 

 

バン「あ、そうだった。どうすんだよ?マーズ」

 

 

 

 

マーズ「考えがある。まずはクレイモラン王国に行くぞ」

 

 

 

 

ギバ「クレイモラン王国に?」

 

 

 

 

 

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