次の日の夜、グラジー
夜も更けてきて、店仕舞いしようとしていた時にラースがやってきた
ラース「よう、お疲れさん。夜遅く悪いな」
ビル「あ、あれ?ラース様。こんな時間にどうされましたか?」
マドリー「もしかしてお酒飲まれますか?」
ラース「それは魅力的だが時間も遅い。また今度な。今回は違うんだ。少し頼み事があってな」
マドリー「どうされましたか?」
ラース「マヤとグリーが互いに好意を持ってるのは気付いてるだろ?」
ビル「まあ一応。でもマヤもグリーも最近は距離感が微妙になってきてますよ」
マドリー「そうなんですよ。仕事もマヤちゃんが最近はずっと厨房で働いてるんです。ありがたいんですけど、ホールのグリー君とは別になってるんです」
ラース「やはりか。数日前にグリーが俺に、マヤがマルティナに悩みを話してくれてな。その結果互いに好きなんだが、勇気が出せなかったり怖がって進めないようなんだ。だからそのきっかけを与えようと思ってな。協力してくれないか?」
ビル「怖がるのはグリーならわかりますが、マヤもそんな一面があったんですね。少し意外です」
マドリー「それならぜひ協力します!ほーら、ビルも!」
ビル「お、俺はお前ほど人間の恋は詳しくねえぞ。どうすればいいんですか?」
ラース「なに、簡単だ。明日二人にはダーハルーネにデートに行かせる予定なんだ。だからビル達にはあの二人に休みをやってほしい。理由付けは何でも構わないからよ」
マドリー「強制的に休ませればいいんですね?わかりました!二人はいつも頑張ってるのでこっちも丁度いいです」
ビル「だな。理由は考えておきます」
ラース「ありがとな。それをお願いしたかったんだ。それじゃあ俺はこれで。また今度飲みに来るな」
その後、デルカダール城 マルティナとラースの部屋
ラース「ビル達に伝えてきたぜ。すぐに協力してくれた」
マルティナ「ありがとう、ラース。こっちも店長さんに連絡取れたわ。案内も引き受けてくれたの」
ラース「おお、案内もか。ダメ元だったがそれはよかった。さて、俺達が手伝えるのはこれくらいだな」
マルティナ「ええ、そうね。きっといい方向に進むとは思ってるけどどうなるかしらね」
ラース「ゆっくりでも進展があればいい。ただ好きな気持ちを諦めるのだけはしてほしくない。俺の今この幸せは、俺が諦めた思いをシルビア達が諦めさせなかったからだからな」
マルティナ「そうね。私もラースへの好きな思いを、自分の罪悪感で誤魔化そうとしていた。マヤちゃん達にはその素敵な思いを誤魔化そうしたり、諦めてほしくない。必ずその先には素敵な未来が待ってるから。見守っていましょう」
ラース「だな。さて、寝るか。おやすみ、マルティナ」
マルティナ「ええ。おやすみなさい、ラース」
次の日の朝食時
マヤ「え?シンジさんのお店の割引券?いいの?」
マルティナ「ええ。随分前に貰ったんだけど、忙しくて行けないうちに期限が近いのよ。とてもじゃないけど私達は行けないから、マヤちゃんが使って」
ラース「折角なのに勿体ないだろ?しかも半額。グリーでも誘って行ってみろよ」
マヤ「あ.......」
マヤは何かに気づいたようにマルティナを見た
マルティナ「ふふ」
マルティナはマヤにウインクをした
マヤ「そ、そうだね。じゃあ誘ってみようかな。あ、皆にお土産買ってくるよ。特に王様はケーキ好きだもんね」
デルカダール王「おお、嬉しいのう。だが、あまり気にしなくてもよいぞ。グリーと楽しんできてくれればわしはそれだけで構わん」
グレイグ「シンジにはよく世話になっているからな。またお礼だけでも伝えておいてくれ」
マヤ「わかった」
マルス「いいなー、マヤ姉ちゃん。僕も行きたい」
ルナ「私もー。シンジさんのケーキ美味しいもん」
ラース「また近いうちに行けたら行こうか。だから今回は我慢だぞ、二人とも」
その後、大広間
マヤの支度を待っているとグリーがやってきた
グリー「おはようございます、ラースさん。あの、実はてんちょ、ビルさんからマヤさんと僕に伝言があって」
ラース「(お、きたな)お、そうなのか。じゃあマヤを呼んでくる。まだ支度してるけどきっと大事な事だろ?待っててくれ」
グリー「ありがとうございます」
数分後
マヤ「え!?お休みなの!?」
グリー「う、うん。なんか頑張りすぎだってさ。若いからどんどん遊びなさいって特にマドリーさんに強く言われちゃってさ」
マヤ「想像はつくね。マドリーさん、押しが強いから。まあわかった。それじゃあ今日はお休みか。...........あ」
グリー「ん?どうしたの?」
マヤ「え、えっとね........(い、言えるかな.....。な、何て言おう。あ、そうだ。さっきの兄ちゃんみたいな感じで)」
グリー「?」
マヤ「実はさ!兄ちゃんの友達にシンジさんっていうパティシエがいるの。その人の店のケーキがすごく美味しいんだ!今日姉ちゃん達からそこの半額券貰ったからさ、もしよかったらグリーさんも行かない!?」
マヤは少し顔を赤くして早口気味に言った
グリー「え......(こ、これって、もしかして.....デートのお誘い!?はわわ......な、何も考えてなかった。あ!へ、返事しないと)」
グリー「い、いいね!しかも半額って凄いじゃん。僕も行ってみたいな」
マヤ「や、やった!じゃあ準備するから、グリーさんも準備してきていいよ。一時間後、デルカダール城下町の広場に集合で」
グリー「わかった、ありがとう」
マヤ「(よ、よし!よく言った、私!グリーさんも喜んでくれたし、姉ちゃん達には感謝しないと!)」
グリー「(マヤさん、かなり喜んでくれてる。ぼ、僕もしっかり準備しないと。だって......デートに間違い......ないもんね)」
二人は互いに見えないようにガッツポーズを取ったり、息を整えたりしていた
少し離れたところではそれをラースが見ていた
ラース「(息ピッタリかよ。気持ちのすれ違いだな。これは上手くいけば今日にでもくっつくんじゃねえか?)」