数時間後、街を巡っていたマヤ達がカフェへ戻ってきた
マヤ「店長さーん、戻ってきたよー」
店長「お、きたかマヤちゃん達。色々買ったみたいだな」
グリー「はい。マヤさん結構服に詳しくて、僕の服とかも選んでくれたんです」
グリーとマヤの手にはいくつか袋がある
店長「そりゃよかったな。また戻ってくるからここに置いておいていいぞ。さて、行くか」
マヤ「流石にいつもの姿じゃないんだね。私、店長さんの私服姿見るの二回目だよ」
シンジはいつも着ているエプロンではなく、私服に剣を持っていた
店長「まああれだと動きにくいからな。汚れるのも困るしよ」
霊水の洞窟
店長「到着だぜ。ここが霊水の洞窟だ」
グリー「結構湿気があるんですね。近くに滝があるからですかね」
マヤ「きっとそうだよ。水晶はまだ奥なの?」
店長「そうだな。まあ案内は任せてくれ。ただ、こっからは魔物が増える。俺から絶対に離れるなよ」
二人「はい!」
入り口付近では
ベグル「ったく、本当に来やがって。頼むから怪我とかしないでくれよ。俺がラース将軍に怒られるんだからよ」
道中
グリー「見た事ない魔物ばかりですね。ちょっと怖いかな」
マヤ「あまりジロジロ見ない方がいいよ、グリーさん。敵意があると思われたら厄介だからさ」
店長「そうだな。喧嘩売られてると思って襲ってこられても困る。マヤちゃんはわかってるな。カミュに教えてもらったのか?」
マヤ「うん。前に兄貴と世界中回った時にね。その時は言う事聞いてなかったけど」
グリー「そ、そうだったんだ。何で言う事聞かなかったの?怒るとカミュさん怖いじゃん」
マヤ「あ〜.......。まあちょっとした反抗期ってのもあるんだけど、見たこと無いものばかりでそれどころじゃなかったんだよね。だからあっちこっちに行って魔物に追いかけられたりしたんだ」
店長「マヤちゃんはお転婆さんだったか。いいんじゃないか?初めて見るものなんて全部輝いて見えるもんだからよ」
マヤ「そうなんだ。だからグリーさんが初めて見るものに対して喜んでるのも気持ちはよくわかるよ」
グリー「ふふ、ありがとう、マヤさん。あ!あの奥に見えるキラキラしたものって!」
店長「お、気付いたな、グリー。あれがこの洞窟によくある水晶だ」
マヤ「へ〜!本当にあったんだね。もっと近くで見てもいいでしょ?」
店長「ああ、いいぜ。近寄ろうか」
マヤ「ほら、グリーさんも行こ!」
マヤはグリーの手を握って走り出した
グリー「う、うん!(わわっ!手を握ってくれた!嬉しい.....)」
店長「転ぶなよー」
ゴトゴト
店長「ん?何か音がしたような?」
シンジは謎の音に周りを見渡すが、特に何も見えない
その頃二人は水晶を近くで見ていた
グリー「わ〜、凄く綺麗。紫色だから確かアメジストっていうんだよね」
マヤ「うん、その名前で合ってるはず。持って帰りたいよね。店長さーん、これって少し持って帰っても......」
そう言いかけた所でマヤは視界の隅に珊瑚のような物が動いているのを見た
店長「!?まずい、マヤちゃん、グリー!急いで離れろ!!」
それを見たシンジは二人に急いで叫んだ
ゴゴゴゴ
珊瑚や石が合わさり、シーゴーレムが複数体起き上がった
シーゴーレム達「ギーガー!」
マヤ「ヤバっ!シーゴーレムの群れだ!!」
グリー「わ!!もしかして、起こしちゃった!?囲まれてる!」
店長「今行くぞ!」
向かってくるシンジの前に一体のシーゴーレムが立ちはだかった
店長「チッ!」
マヤ達の前にも一体のシーゴーレムが攻撃してきた
シーゴーレム「ギー!」
マヤ「うわっ!危ない!」
グリー「ヒイイッ!」
ドゴォン!パラパラ....
マヤとグリーはそれぞれ別の方向に避け、二人のいた場所に力強いパンチが打たれた
マヤ「グリーさん、大丈夫!?あ!!」
グリー「う、うん!僕は何とか......」
グリーの背中からもう一体のシーゴーレムが攻撃をしていた
マヤ「グリーさん、危ない!!!」
グリー「え?」
シーゴーレム「ガー!!」
ドガァン!
その頃、ベグルは
ドガァン!
ベグル「何だか騒がしくなって来たな。まさかとは思うけど.......行ってみねえと!」
グリー達は
マヤ「ハァ......ハァ......危なかった〜」
グリー「あ、あり、ありがとう、マヤさん。本当助かった」
攻撃にいち早く気付いたマヤがグリーを引っ張って事なきをえた
シーゴーレム達「ギーガー!」
グリー「に、逃げないと!シンジさん、逃げましょう!」
店長「わかった!ただ、逃げるにも時間稼ぎが必要だ!俺が残って何とかするから二人は先に逃げろ!」
シーゴーレム「ギーガー!!」
店長「やべっ!!ぐはあ!!」
マヤ達を振り返ったシンジにシーゴーレムの攻撃が直撃してシンジは吹っ飛ばされる
マヤ「店長さん!!」
店長「ぐ.....。いいから逃げろ!!早く!!」
グリー「で、でも.........。くっ、マヤさん、逃げなきゃ」
マヤ「う、うん!店長さん、必ず戻ってきてね!」
二人は走って離れていった
シーゴーレム達「ギーガー」
シーゴーレム達は倒れていたシンジを囲んでいる
店長「ハハ......こりゃあやべえや。ピンチだってのに笑えてくるぜ」
シーゴーレム達「ガー!」
シーゴーレム達の攻撃がシンジに向かう
ベグル「オノ無双!」
シーゴーレム「ガッ」ジュワー
ベグル「ほんっとうに世話がかかるやつばっかりだぜ!おい、生きてるだろ?」
店長「まあな、助かった。ベグルの言う通りになっちまったな。頼めるか?」
ベグル「頼まれなくても倒さざるをえないだろうが、これは。怪我人は隅で大人しくしてろ。さあ、かかってこいよ!」
シーゴーレム達「ガー!!」
ダーハラ湿原
グリー「ハァ........ハァ.......洞窟を出られれば何とかなったね」
マヤ「うん。でも........店長さんを置いてきちゃったよ。攻撃喰らってたし、本当に大丈夫かな」
グリー「..........わからない。でも、きっと大丈夫だよ。そう信じてよう。悪い事を考えたらキリがないからさ。少しでも明るく考えないと」
マヤ「そうだね......わかった。...........ん?あ、雨が降ってきちゃった」
グリー「あ、本当だ。街まで少し離れてるよ。どこかに隠れられるような場所.......」
ザー!!
マヤ「わわっ!結構激しくなってきた!急いでどこか雨宿りする場所探さないと!」
グリー「あ!マヤさん、あそこ!大きな木の下に穴がある!あそこに入ろう!」
マヤ「わかった!」
大きな木の中
マヤ「ふう、何とかなった。結構濡れちゃったね。グリーさんはだいじょ......う....」
グリー「え?マヤさん、どうし.......」
穴は二人で丁度といった狭さであり、二人の顔は真近に迫っていた
二人「.......(ち、近い......恥ずかしい....)」
二人は同時に顔を赤くして、違う方を向いた
マヤ「え、えっと.......大丈夫?寒くない?」
グリー「う、うん。大丈夫。マヤさんこそ暖かくしないと。風邪ひいちゃうよ」
マヤ「私は雪国育ちだからこのくらい全然平気」
二人「.............」
しばらく沈黙が続き、外の激しい雨の音だけが聞こえていた
グリー「いつ.......止むかな」
マヤ「結構急だったからすぐに止むと思うんだけど、どうだろうね」
グリー「..........ねえ、マヤさん。マヤさんにとって、僕ってどんな人.....かな」
マヤ「え?」
グリー「ぼ、僕はさ、怖がりだし強くもないし、今まで普通の人みたいに過ごしてこれなかった。呪いがあったから。デルカダールに来た時もあまり馴染めない気がしてたんだ。
でも、あの幻のお店でビルさんとマドリーさん、そしてマヤさんと出会えた。特にマヤさんは、僕に凄く興味を持ってくれたし、何も知らない僕の事を凄いって言ってくれた。それから一緒にいるうちに、マヤさんといる時の僕って僕が知らないくらいに明るくなれたんだ。
こんな自分がいるなんて、自分でも知らなかった。とっても嬉しかったんだよ。だから、僕にとってマヤさんは........僕を見つけてくれた人。たくさんの人の中から、怖い呪いの中から、僕ですら知らない新しい僕を見つけてくれた。ありがとう、マヤさん」
マヤ「グリーさん........。ど、どうしたの?突然。それに、大した事何もしてないよ。何だかそんな凄い風に言われると、びっくりしちゃうよ。私にとって......グリーさんは、隣にいたい人。一緒にいてずっと楽しいし、明るくなれる。
それにグリーさんと一緒にいると落ち着くんだ。こうやって........背中をくっつけてるだけでも、こんな雨に濡れた後でも、穏やかな気持ちになれるの。そんな気持ちにしてくれるのはグリーさんだけ」
マヤは静かにグリーに寄りかかった
グリー「えへへ、そっか。僕にそんな事が出来てたんだ。僕もマヤさんと一緒にいると落ち着くよ。今でもね」
グリーとマヤは同時に振り返った
二人「ふふ/いしし」
マヤ「ねえ、グリーさん。私からの一生のお願い、聞いてもらえないかな」
グリー「え?なに?」
マヤ「................これからもさ......ずっと、一緒にいようよ。私、グリーさんが.......好きなの」
グリー「................」
グリーは固まっている
マヤ「あ..........。や、やっぱりごめんね。この事はわすれ.....」
マヤが言いかけた時
グリー「いいの?」
マヤ「え?」
グリー「ほ、本当に僕の事が......好きでいてくれるの?」
マヤ「う、うん!私は、グリーさんが好きだよ!」
グリー「そ、そっか〜.......同じだったんだ〜.......」
グリーはズルズルと力が抜けたようにマヤの背中を下がっていった
マヤ「え?........同じって、もしかして.....」
グリー「うん、そうだよ。僕もマヤさんが好き。僕もマヤさんとずっと一緒がいい」
マヤ「.........や、やったー!!!いたっ!!」
マヤは喜んで立ち上がったが、頭を木に強打した
グリー「だ、大丈夫?マヤさん」
マヤ「いしし、ここが狭いって事忘れてた。でも、嬉しい!グリーさんも好きでいてくれてたなんて!」
グリー「僕もだよ。ずっと不安だったんだ。マヤさんが僕をどう思ってるかってさ」
マヤ「私も。グリーさんは私の事友達としか見てないと思ってた」
グリー「ふふ、そこも同じだったんだね」
マヤ「えっと.......これからも変わらずよろしくね、グリーさん。ううん........グリー」
マヤは顔を赤くしながらグリーからさん付けを外した
グリー「!?あ、う、うん。えっと.......マ、マヤ.......。や、やっぱり無理!僕はまだマヤさんで」
グリーも顔を赤くしてマヤからさんを外すが、難しいようで元に戻してしまった
マヤ「お互いまだ慣れないね。でも、いつかはさんを取ってくれると嬉しいな。気長に待ってるから」
グリー「う、うん。お待たせするようですみません」
マヤ「いしし。あ、見て、グリー。外が晴れたよ」
マヤが外を見ると先程の激しい雨が止んで雲から日差しが差し込んでいた
グリー「あ......本当だ。そこまで長くなくてよかったね」
マヤ「うん。さ、戻ろう、グリー。きっと店長さんも待ってるからさ」
グリー「そうだね。急いで戻ろうか」
二人は手を握って仲良く走り出す
そんな二人の上空には綺麗な虹がかかっていた