ラースの記憶喪失から三ヶ月後、デルカダール城
玉座の間
マルティナ「どう?バン。城下町の飾りつけは」
バン「順調ですよ、マルティナ様!俺達ももちろんやってるんですけど、街の人達も大勢手伝ってくれて本当助かってます。皆楽しみにしてるみたいですよ」
グレイグ「国民達もお祭りやイベントが好きだからな。やはり皆に楽しんでもらいたい。順調そうで安心した」
ラース「俺達も手伝いたいが、ハロウィンのためにやらなきゃいけない事も多くてな。予算とか計画とかよ。手伝えなくて悪いな」
バン「大丈夫です!というか、本当なら俺もその書類等があるんですよね......。ベグル、怒ってますかね?」
グレイグ「問題は無さそうだったが、多少ストレスは溜まってるかもしれないな。ベグルだって書類関係が好きなわけではないからな」
ラース「まあバンにやらせるよりは早いからな」
バン「酷い!そんなハッキリ言いますか!?」
マルティナ「まあまあ。その分こうやって動いて働いてくれるとベグルも喜ぶはずよ。バンにはバンの出来る場所で頑張りましょう。報告ありがとう、バン。また何かあったら教えてね」
バン「はい!ありがとうございます、マルティナ様!それでは失礼しました」
バンは出ていった
ラース「にしてもハロウィンか。デルカダールに来る前はただの祭り程度にしか思っていなかったんだよな。まさかこんなに有名で大きなものだとは」
グレイグ「まあ俺達が国民達に楽しんでもらえるようにするためのイベントの一つだ。他の国でもこうやって国全体でお祭りにするのはよくある事だ」
マルティナ「私達も当日は仮装しましょう。ドレスやスーツだと雰囲気に合わないし、楽しめないわ。私達から楽しむ姿勢を見せて皆にもどんどん受け入れてもらいましょう」
ラース「仮装か......。まあ楽しそうではあるな。やってみるか」
グレイグ「しかし、その衣装はどうされるのですか?」
マルティナ「前にイレブンが色々作ってくれたのがあるのよ。私やベロニカ達向けだったけど、頼めば男性向けでも作れるはずよ」
ラース「なるほど。イレブンなら嬉々として作ってくれそうだ。さて、後二週間もないんだ。頑張らないとな」
二週間後、マルティナとラースの部屋
マルティナとラースは用意した衣装に着替えていた。先にマルティナが終わり、ラースは時間がかかっているようだ
マルティナ「大丈夫?ラース。手伝いましょうか?」
ラース「い、いや.......もう少しで巻き終わるから大丈夫だ」
コンコン
グレイグ「姫様、ラース、入りますぞ」
ガチャ
グレイグ「姫様はもう終わっていたのですね。魔女ですか、似合っておりますぞ」
マルティナ「ええ、ありがとう、グレイグ。ふふ、グレイグも雰囲気あるわよ」
マルティナは黒い帽子や少し大きめの服を着ており、魔女のような小さめな箒を。グレイグは頭に金具がついていたり、顔に傷痕や血の跡をつけフランケンのようになっていた。服も少し破けたような跡がついている
グレイグ「まさかここまで衣装に力を入れてくれるとは思いませんでした。イレブンもユグノアで衣装作りに励んでいたおかげですな」
マルティナ「本当ね。ラースが結構大変な衣装?だから時間かかるのよ」
グレイグ「なるほど。どんな姿なのか気になりますね」
ラース「終わったー。これなら動きやすくなっただろ」
マルティナ「あ、お疲れ様。あら、いいじゃない。マミーらしさが出てるわよ」
ラースの体には包帯が巻き付けられているという簡単なものだったが、包帯も血がついているように見えたり、色が白や黒っぽくなっている部分もあり汚れているようにも見える
グレイグ「まだ包帯が床に余っているがそれはいいのか?」
ラース「イレブンが全身に巻いてって言ってたけどよ、それだと動けねえし息しづらいからな。これで勘弁してくれ」
ラースは頭と首、腕と胴体に包帯が巻かれており、足や一部はそのままとなっている
マルティナ「それでも充分だと思うわ。お菓子は持った?」
ラース「ああ、持ったぜ。というか、持たないと大変な事になりそうだ」
グレイグ「王は既に興奮していたマルス達を連れて城下町に向かいました。俺達も行きましょう」
デルカダール城下町
城下町にはたくさんのお店が並んでおり、至る所にかぼちゃやコウモリの置物が置いてある。広場全体もオレンジや黒に塗り替えられている。周りの人達も様々な仮装をして賑わっている
マルティナ「思ってたよりも飾り付けが凄いわね。私達が最初計画していたよりもずっと広範囲になってるわ」
グレイグ「バンの言っていたのはこの事だったんですね。これは確かに皆が協力してくれたのでしょう。ありがたいですな」
ラース「なあ、ブレイブ達はどうしたんだ?城にいなかったんだが」
マルティナ「あ、そっか。ラースは早く着替えに移ったから知らないんだったわね。ブレイブとコロは今日城下町のカフェで本物の魔物役だそうよ。お客さんを驚かすみたい」
グレイグ「俺達も行ってみるか?」
ラース「そうなのか、少し興味あるな。働いてる姿は見た事なかったし、後で行ってみるか」
バン「あ!師匠ー、マルティナ様ー、グレイグ将軍!」
少し離れたところから黄色と黒の線が入った服を着て頭に耳をつけたバンがやってきた
バン「お疲れ様です!どうですか!この城下町!皆で頑張った成果ですよ!」
マルティナ「ええ、本当凄いわ。さっきも三人で感心してたの。皆もお疲れ様。こんなに頑張ってくれてありがとう」
グレイグ「バンも仮装しているのだな。その格好は何だ?」
ラース「おそらくキラーパ..........いや、犬だな」
バン「ちょっ、何で最初合ってたのに変えたんですか!?似合いますか?キラーパンサーの格好ですよ!」
グレイグ「ふっ、バンらしいぞ。バン一人だったのか?」
バン「いえ、メグとマサルでさっきまで回ってたんですけど飲み物買ってきてくれるみたいだったので待ってたんです」
マルティナ「あら、そうだったの。邪魔してごめんなさい。そういえばマルス達見てないかしら?」
バン「マルス達ですか?ここでは見てないですね。広場のお店が並んでる場所ならいるんじゃないですか?マルス達ああいう場所好きじゃないですか」
ラース「確かにな。それじゃあ観光しながら向かってみるか。じゃあな、バン」
バン「あ!!ま、待ってください師匠!」
ラース「ん?まだ何かあったか?」
バン「はい!もうそりゃあ大事な用事ですよ!師匠、トリック オア ト、トレート?です!」
ラース「ぷっ、アハハハハ!!」
グレイグ「くくっ.......バン、流石だな」
マルティナ「ふふふ、今日はハロウィンだもんね。大切よね」
三人はバンの言葉に楽しそうに笑っている
バン「あ、あれ!?変でしたか!?あ、それともお菓子持ってませんか?俺、いつでも悪戯の準備できてますよ!三人にするのは少し勇気いりますけど」
ラース「はあ、笑った笑った。バン、それを言うならトリック オア トリートだぞ。まあ面白いからいいけどよ。残念だったな、ほら。菓子やるよ」
グレイグ「俺もな。マドレーヌだ」
マルティナ「私は飴よ。因みにどんな悪戯するつもりだったの?」
バン「やった!!ありがとうございます!悪戯はですね、これをそっと背中に貼るんですよ!」
バンが取り出した紙には私は酔っ払いになり、大衆の皆様に多大な迷惑をおかけしました。と書いてある
ラース「いや、それ前にお前とギバが酔っ払って俺や酒場のマスターに迷惑かけた時のやつじゃねえか。何で持ってんだよ」
バン「偶然残ってたんです。これを貼って街中歩いてもらいます!」
グレイグ「そ、それは中々嫌なものだな」
マルティナ「もう誰かに試したの?」
バン「ロベルトが菓子持ってなかったのでこれをもう既にやりましたよ。さっきも広場の近くでいろんな人にクスクス笑われてました」
ラース「ご愁傷様だな。お、メグとマサル君が来たな」
メグ「あら、ラース様、マルティナ様、グレイグ将軍。こんにちは。皆様も仮装しているんですね」
マサル「見た事ある人ー」
マルティナ「メグさん、こんにちは。マサル君もしかして覚えててくれたの?嬉しいわ」
バン「メグ、飲み物ありがとな。師匠達と話してて喉乾いてきてたんだ」
グレイグ「どれ。俺達もそろそろ広場に向かうとしようか」
ラース「そうだな。メグ、お祭り楽しんでくれよな。バン、あまり羽目外しすぎるなよ。じゃあな」
バン「俺だけ忠告!?わかってますよ!師匠達も楽しんでくださいねー」