それから一ヶ月後、デルカダール城
玉座の間
イレブンとロウがやってきていた
ラース「連れてきたぜ」
ラースはイレブン達に呼ばれていたバンを連れてきた
ロウ「うむ。ありがとのう、ラース」
イレブン「ごめんね、突然来ちゃってさ。本当ならちゃんと連絡するべきだったんだろうけど、時間があまりなくてね」
マルティナ「気にしないで。でも、どうされたのですか?それに私達だけでなくバンまでもなんて」
バン「お、俺、何か悪い事しましたかね.....」
グレイグ「なぜそんなビクビクしている。心当たりでもあるのか?」
バン「いや、ないんですけど、お二人に呼ばれるなんて初めてなんで」
イレブン「ふふ、そんな怖がらないでよ。バンにお願いがあって来たんだ」
全員「お願い?」
ロウ「うむ。実はユグノア地方で少し前から旅人を襲う事件が多発しててのう。わし達の方でなんとか犯人を突き止めてグロッタの街にいるのがわかったのじゃ。ケニーという男らしいのじゃが中々の手馴れでのう。敏感に気配や音で察知するのか簡単に逃げられてしまっておるんじゃ」
ラース「ほー、なるほど。それで気配を消したりして行動できるバンが抜擢されたのか」
バン「そ、そういう事なんですか!?」
イレブン「うん、そうそう。ラースから前にバンがそういった事も出来るって聞いててね。僕達もそうだけど兵士達にそんな事が出来る人がいなくてさ。困ってたんだよ」
マルティナ「カミュじゃダメなのかしら?彼の方がそういったのは向いてるはずよ」
ロウ「わしもカミュを初めは推したのじゃが、本人が忙しいらしく一週間ほど後でないと時間がとれないらしい」
グレイグ「なるほど。そこまで時間が空いてしまうと、手慣れならば地方から離れてしまう恐れや被害が拡大する恐れがありますね」
イレブン「流石グレイグ、やっぱりそう考えるよね。だからバンに頼ろうかなって。ラースでもいいんだけど、ラースも忙しいでしょ?」
ラース「まあバンの方が身軽に動けるな。しかし、バン一人........ね」
バン「単独任務なんて初めてですよ。しかもこんな重大任務なんて......緊張する」
ロウ「バン一人だと問題でもあるのかのう?」
イレブン「一人の方がやりやすいと思ってたんだけど」
マルティナ「少しだけ。でも、大丈夫だと信じてるわ。バン、一人でも平気よね?」
バン「はい!」
グレイグ「頑張ってくるのだぞ」
その後、ユグノア城 玉座の間
ロウ「犯人の特徴じゃが、こういう男らしい」
ロウは似顔絵をバンに見せた
そこには少し若いような男性が描かれている
バン「.......なるほど。目の下にホクロがあるんですね」
イレブン「あと、右手に傷がついてるんだって。さっきも少し言ったけど、名前は多分ケニーっていうらしいよ」
バン「多分?というと、確かではないんですか?」
イレブン「うん、偽名もあるからどれが本物かわかりにくいんだ。そういう意味でも慣れてるよね」
バン「やり口が盗賊ですよね。あと、抜擢してもらったのにこんな事いうのもあれなんですけど、俺そこまで気配を消すのが上手いわけではないんですよ。師匠やカミュさんに比べたら全然」
ロウ「あの二人は慣れておるからのう。どれ、少しやってみてもらっていいかの?」
バン「は、はい!」
イレブンとロウは目を閉じて、バンは少し違う場所へと移動した
バン「それじゃあ気配消しますね。.................どこにいったかわかりますか?」
ロウ「むぅ...............」
イレブン「ここ?あ、違った。ごめん、おじいちゃん」
バン「と、という感じです」
ロウ「いや、これ程ならば大丈夫だと思うぞ。わし達ではこれよりもわかりやすいからのう」
イレブン「そうだよ。凄いじゃん、バン!」
バン「へ、へへ、ありがとうございます」
ロウ「難しいとは思うが、なるべく被害が出る前に押さえてくれるとありがたいのう」
イレブン「あ、もちろん報酬は出すからね。知人だからってタダ働きなんてさせないし、自分達で出来ない事させてるんだから」
バン「ありがとうございます!他にケニーの特徴はありますか?」
ロウ「カジノの帰りを狙う事が多いのう。じゃが、時折ユグノアに向かう旅人を襲う事もある。点々としているため、大きな特徴が少ないんじゃ。すまんのう」
バン「いえ、大丈夫です!盗賊ってのはそういうものらしいですから!それでは何かあったら報告しますね!」
イレブン「うん。よろしくね、バン」
グロッタの街
バン「グロッタの街なんて数回しか来たことなかったなー。土地勘が無いから出身地のダバンから少し話でも聞いてくればよかったか。とりあえず色々探ってみるか」
酒場
マスター「へい、いらっしゃい」
バン「少し聞きたいことがあるんだ。いいか?」
マスター「構わんよ」
バン「ありがとな。俺、旅人なんだけどよ、この街には初めて来たんだ。だけど、物騒な噂を聞いてな。なんでも旅人が襲われてるらしいじゃん」
マスター「らしいな。この街か地方か知らないが、噂にはなってるな」
バン「噂は本当だったんだな。何か犯人の特徴とか知らねえか?俺も旅人だから対策しておきたいんだ」
マスター「.........さてね」
バン「(むぅ......何か知ってそうだな)これで話してくれるか?」
バンは金貨をマスターに出した
マスター「.......本当かどうかは知らねえが、お前さんくらいの年齢で名前はケニーらしい。だが、顔もわからねえしどうやって襲ってるかも不明瞭だ」
バン「そっか。いや、知ってるだけでもありがてえな」
マスター「あと、あまり嗅ぎ回らない方がいい。狙ってくださいって言ってるようなものだぞ」
バン「あー、そうだな。忠告ありがとな!」
バンは酒場から出ていった
マスター「.............どう思うよ?ケニー」
マスターの背後にあった扉から茶髪の男性が出てきた
ケニー「.......さあ?よくわからねえやつだったな。旅人っぽそうではあるが、どこかそれだけではないような......変なやつだ」
マスター「つけるのか?」
ケニー「一応な。警戒だけしておいてなんでもなかったら放置だ。だが、怪しければ始末する」
マスター「こっちに迷惑だけはかけてくれるなよ。やるなら自分でやれ」
ケニー「わかってるぜ。いつも世話になってんだからよ」
ケニーはそう言って酒場から出ていった
その頃、デルカダール城 訓練場
マーズ「へえ、バンが一人でそんな事してるのか。頑張ってんだな」
ギバ「まああいつはそういった事が出来るから頼られるよな」
ガザル「お、おい、ベグルが........見てくれよ、あれ」
ガザルが指す方には頭を抱えたベグルがいた
ベグル「バンが一人で.....?ロウ様達との重大な仕事だと.....。絶対何か起こる。間違いねえ、責任.......負担........ああ.........」
ロベルト「あー.........。やべえな、ありゃあ。真面目にやってるはずだからきっと大丈夫だと信じておこう。どんな内容なんだ?」
ギバ「ユグノア地方で旅人がよく襲われてるらしいぜ。しかもかなりの手馴れらしい。特にグロッタの街で見られてるらしいぜ。そういやダバン、グロッタの街はお前の出身地だろ?何か知らねえのか?」
ダバン「別に最近は帰ってないからな。詳しい事は知らねえよ」
ギバ「ケニーっていうらしいぜ」
ダバン「なに!!?」
ダバンはそれを聞いた途端驚愕の表情に変わった
ギバ「うお!?な、なんだよ突然。やっぱり知ってんのか?」
ダバン「そんな........あいつが.......」
マーズ「お、おい。どうした?ダバン」
ダバン「こうしちゃいられねえ!俺もグロッタの街に帰る!」
ダバンはそう言うと走って訓練場から出ていった
ロベルト「な、なんだ?ダバンのやつ、急に」
ガザル「何か知ってそうだったよな」