ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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一から

次の日の朝、デルカダール城

 

 

 

訓練場

 

 

 

ギバ「なあ、ダバンのやつまだ来てないのか?」

 

 

 

 

マーズ「........確かにそうだな。もう始まるぞ。遅刻なんて初めてじゃないか?」

 

 

 

マーズは周りを見渡してダバンがいない事に気づいた

 

 

 

バン「まだ......来れないのかもしれないな。昨日の件でダバンは酷く傷付いていたからよ」

 

 

 

 

ベグル「弟の件か、まあそうかもな。まだ整理がつかないんだろう。そっとしておこうぜ」

 

 

 

 

ガザル「あれ?ラース将軍が入ってきたぞ」

 

 

 

ラースが訓練場にやってきた

 

 

 

バン「師匠、おはようございます!」

 

 

 

 

兵士達「おはようございます!」

 

 

 

全員がラースに集まろうとする

 

 

 

ラース「おはよう。って、待て待て。バン達を呼びに来ただけなんだ。集まってもらわなくて大丈夫だ」

 

 

 

 

ロベルト「俺達ですか?」

 

 

 

 

ラース「いや、全員じゃなくてバン、ベグル、ギバが呼ばれている。ミラさんが来ているんだ。少し話がしたいそうだ」

 

 

 

 

ギバ「......ダバンの事ですかね」

 

 

 

 

ラース「まあ十中八九そうだろう」

 

 

 

 

バン「ロベルト、マーズ、ガザル、一旦任せる」

 

 

 

 

ベグル「自主練にしていても構わないし、各々武器を教えてても構わないぞ」

 

 

 

 

三人「おう」

 

 

 

客室

 

 

 

ラース「ミラさん、連れてきたぜ」

 

 

 

 

ミラ「あ、ありがとうございます、ラース将軍」

 

 

 

 

ラース「俺は邪魔か?」

 

 

 

 

ミラ「いえ、ぜひラース将軍にも聞いてほしいです。出来ればグレイグ将軍にもお聞きしたいですが、流石にお忙しいと思うので」

 

 

 

 

ラース「ふむ、了解した。グレイグには俺から話しておこう」

 

 

 

 

バン「ダバンの事だよな?何かあったのか?」

 

 

 

 

ミラ「はい。実は昨日帰ってきてからダバンがずっと落ち込んでて......。事情はダバンから説明があったので知ってるんですけど、部屋に閉じこもってるんです。私じゃあ.......力になれないみたいで.......」

 

 

 

 

ギバ「あのダバンが塞ぎ込んでるなんてな。意外だ」

 

 

 

 

ベグル「それを俺達に?悪いが、俺達でもダバンの傷が治せるかは......」

 

 

 

 

ミラ「いえ、傷までは治せないのはわかっています。ただ、少しだけでも部屋から出てほしくて。昨日の夜からご飯も食べてないんです。私、心配で心配で。

 

 

 

こんな事初めてだし、どうしたらいいのかわからなくって。昔からずっと一緒にいるって言ってたバンさん達なら何か知ってるかなと思ったんです。ラース将軍もグレイグ将軍もダバンはよく尊敬していらっしゃるので、少しでもお力になれるんじゃないかと」

 

 

 

 

ラース「なるほどな。そういう事なら悪いが、俺はどうやら力にはなれないかもしれない。こいつらほどダバンの事は詳しくないんだ。グレイグもおそらく同じだろう。俺はすまないが、関わらないようにしておこう。バン、ベグル、ギバ、行ってみてくれ」

 

 

 

 

ギバ「わかりました。何が出来るかはわからないけど」

 

 

 

 

バン「そうだな。どうしたらいいかなー」

 

 

 

 

ベグル「鍵はお前だと思うぞ、バン。お前の言葉は時に異様に核心を突いてくるからな」

 

 

 

 

ギバ「確かに。思った事そのまま言っちまえ。俺にもそうやって勇気を与えてくれたんだからよ」

 

 

 

 

バン「へへへ、照れるぜ」

 

 

 

 

ミラ「それでは案内しますね。あ、ベグルさんは知ってますもんね」

 

 

 

 

ベグル「まあな。それではラース将軍、ロベルト達には伝えておいてくださるとありがたいです」

 

 

 

 

ラース「ああ、もちろん。頑張ってこいよ」

 

 

 

ダバンとミラの家 ダバンの部屋前

 

 

 

コンコン

 

 

 

ミラ「ダバン、本当に大丈夫なの?」

 

 

 

 

ダバン「ああ..........平気だ」

 

 

 

中からは覇気のないダバンの声が返ってきた

 

 

 

ギバ「おい、ダバン。気持ちはわかるが、ミラさんが凄く心配してるぞ。開けてくれよ」

 

 

 

 

ダバン「ギバ........か。気配が多いと思えばベグルにバンもいるみたいだな」

 

 

 

 

ベグル「ミラさんをあまり不安がらせるなよ、ダバン。訓練とかは心の整理がついてからでいい。だが、飯くらい食べておけ。もったいないだろ」

 

 

 

 

バン「美味そうじゃないか、ミラさんのご飯!食べないなら俺が食べるぞ!」

 

 

 

 

ダバン「.........構わねえよ」

 

 

 

 

バン「............ケニーの事だろ。あれはダバンのせいじゃない。誰も.......悪くないんだ。最終的には犯罪をしてしまったケニーが悪いのだろうが、その背景も仕方ない部分だってある。背負いすぎるのはよくないぞ」

 

 

 

 

ダバン「...............ハァ」

 

 

 

ガチャ

 

 

 

全員「!?」

 

 

 

中からは目にクマが出来たダバンが出てきた

 

 

 

ダバン「中に入れよ、ミラも。少しだけ俺の話に付き合ってくれ」

 

 

 

 

ミラ「ダバン、寝てないの?」

 

 

 

 

ダバン「寝れないんだ。頭がごちゃごちゃしててよ」

 

 

 

 

バン「取り敢えず飯だ、ダバン!これだけでも食っとけ!食えば頭も冴えてくるぞ!」

 

 

 

バンは握り飯を渡した

 

 

 

ダバン「ん........」

 

 

 

 

ベグル「いつものお前らしくねえなあ。仕方ねえとは思うけどよ」

 

 

 

 

ダバン「ケニーとは.......ずっと一緒に暮らしてきたんだ。俺が親代わりとして少ない金を稼いで、家でケニーが家事をしてくれて。僅かな時間で二人で剣を振っていた。俺達みたいなやつが生きるには武器を使っていくしかなかったからな。

 

 

 

大きくなって俺はコロシアムや魔物の討伐で金をそれなりに稼げるようになった。まだ甘かったケニーは剣の練習を欠かさなかったけどな。ケニーは弱虫だったから、よくいじめられてた。周りのいじめっ子や俺達を気に食わない大人達のいい標的だったんだ」

 

 

 

 

バン「弱虫って........とてもそうは見えなかったけどな」

 

 

 

 

ミラ「弟のケニーさんは一度だけ名前を聞いた程度だったけど、そこまで詳しくは知らなかったわね」

 

 

 

 

ダバン「まあバンは少し見たと思うが、今みたいないい生活とは遠い生活だったからな。ミラに幻滅されたくなかったんだ。しないとは思っていたけど、勇気が出せなくてな。

 

 

 

そうしていつもいじめられてたケニーを守るうちに俺の力で誰かを守れるようになりたいと思ってな。兵士を目指す始まりになったんだ。バンには話したな。

 

 

 

俺.........ケニーを守りたいと思ったのが兵士としての始まりだったのに..............何してんだよ。あいつは.........助けを求めてた........他の誰でもない俺に.........。それを俺は..........俺は.........」

 

 

 

ダバンは頭を押さえながら縮こまった

 

 

 

声を漏らさないようにしながら体を震わせて泣いている

 

 

 

ダバン「守りたかった。守らなきゃいけなかった。元に戻れない道まで進んでしまう前に。俺は、僅かでもあの家を恥じんでいた自身が憎い!!ミラに勇気を出せずにいた自分が、ケニーを見捨てた自分が憎い!!

 

 

 

大丈夫だと勝手に信じ込んで、ただ待つだけだった!何もしてやれなかった!何が皆を守るだ!!家族を、弟を、真に守るべき者一人すら守れず、何が兵士だ!!」

 

 

 

ダバンは声を荒げながら涙を流している

 

 

 

ギバ「落ち着け、ダバン。今のお前は自分を責めすぎだ。確かに気付けなかったのは悔しいんだろうが、どうしようもない事だ。これ以上考えすぎるな」

 

 

 

 

ダバン「ケニーが俺を他人だと言ったのもよくわかる。こんなやつが兄でいいわけがない。兄貴失格なんだ、俺は」

 

 

 

 

ベグル「違うぞ、ダバン」

 

 

 

 

ダバン「え?」

 

 

 

 

ベグル「お前は昔からケニーを守ってやってたんだろ。親代わりとして世話を焼いていたんだろう。家族として、兄として弟のケニーをしっかりと守っていた。それだけで充分お前はケニーの兄だろ」

 

 

 

 

ダバン「でも........俺は」

 

 

 

 

バン「確かにダバンはケニーから家族でもなんでもねえって言われてたな。ダバン自身も兄貴失格だと思ってるんだろ?ただ、それだけか?」

 

 

 

 

ダバン「ど、どういう事だよ」

 

 

 

 

バン「悔やむのはよくわかる。だがよ、悔しいだけで終わらせるのか?何も出来ねえって決めつけるのか?まだやれる事があるだろ」

 

 

 

 

ダバン「やれる事?」

 

 

 

 

バン「関係がなくなったのなら、また一から家族として、兄として始めていけばいいんじゃねえの?ケニーだって死んでない、ダバンだって生きてる。それなら、またいつか昔みたいに笑い合える関係に戻す事が出来るんじゃねえか?」

 

 

 

 

ダバン「そんなの.......。ケニーは捕まったし、ケニーが認めるわけ」

 

 

 

 

バン「ケニーは何年かすれば牢屋から出れるし、ケニーは悪いやつじゃないんだろ?それならきっと話をしてみれば何か変わるかもしれねえぞ!」

 

 

 

 

ダバン「..........無理.....だろ」

 

 

 

 

ギバ「いや、バンの言う通りだぜ。ダバン、少しは行動してみてからもう一度色々考えてみろよ。何もしてないのに決めつけるのは駄目だぜ。何もしてないって事は何でも可能にする力を秘めてるんだからよ!」

 

 

 

 

ベグル「関係が切れたとしても、その体に流れる血は消えない。同じ血を持つ者同士、いつかきっとわかりあえる。昔がそうだったように、今でもきっとわかり合えるはずだ。切れたものも結べばまた元通りだ。どんなに切れたとしてもな。大事なのは、その切れた関係を結ぼうとするかどうかの行動だ」

 

 

 

 

ダバン「....................俺は、兄になれるのか?今度こそ守れるのか?」

 

 

 

 

バン「ダバンなら出来るさ!なんたって、デルカダールの兵士長をいつも守ってくれる男だ!立派に守れるに決まってるぜ!」

 

 

 

 

ベグル「いや締まらねえな。なんだかかっこ悪いぞ、それ」

 

 

 

 

ギバ「同感。ダバンが可哀想だ」

 

 

 

 

バン「な、なんでだよ!!カッコイイだろ!」

 

 

 

 

ダバン「ぷっ、ハハハハハ!!ああ、そうだな。お前は昔から守ってやらないと駄目なやつだもんな」

 

 

 

 

バン「へへ、初めて会った時からダバンには世話になりっぱなしだもんなー。頼りになるやつだからよ、ケニーだってきっと頼ってくれるはずだぜ!」

 

 

 

 

ダバン「ありがとう、お前ら。少し光が見えてきた気がする。ミラ、心配かけてすまなかった」

 

 

 

 

ミラ「いいのよ。私が力になれればよかったんだろうけど」

 

 

 

 

ダバン「この後、少し話がある。ミラ、君にも負担がかかるかもしれない。それでも俺がやりたいんだ。いいか?」

 

 

 

 

ミラ「そんなの気にしないで。私はいつも頑張ってるダバンが頼ってくれるなら、なんでもするわ」

 

 

 

 

ダバン「ありがとう、ミラ」

 

 

 

 

バン「それじゃあ俺達は城に戻るぜ。また元気になったら訓練に来いよな!」

 

 

 

 

ベグル「お前がいないとこの馬鹿を止めるのも一苦労だ。早く戻ってこい」

 

 

 

 

ギバ「ロベルト達も待ってるぜ。もちろんガク達もな」

 

 

 

 

ダバン「ああ、すぐ行く。少しだけ待っててくれ」

 

 

 

 

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