ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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店長の秘密

夕方、ダーハルーネの街 カフェ

 

 

 

ベロニカとセーニャ、シルビアがマルティナの知らせによりやってきていた

 

 

 

ベロニカ「なるほどねえ。スランプになっちゃったんだ、店長さん」

 

 

 

 

店長「はは、情けねえよな。でも、本当に案が出てこなくてよ」

 

 

 

 

シルビア「職人技が試される職業よね、パティシエは。アタシも一度だけスランプに陥った事あるのよ。いいサーカスのネタが思いつかないし、出しても団員の皆からもそこまで評判がよくなかったりってね」

 

 

 

 

店長「シルビアさんのような方でもそんな時期が。どうやってスランプから抜け出したんですか?」

 

 

 

 

シルビア「アタシは簡単よ。一旦サーカスはお休みにして、世界中を回ったの。そこで困った人達を助けたりしながら楽しくね。サーカスの事を一旦全部忘れたの」

 

 

 

 

セーニャ「そのような方法で大丈夫なのですか?どこかで考えないといけないような気がするのですが」

 

 

 

 

店長「俺もセーニャさんと同じ意見だな。そこからどうやって?」

 

 

 

 

シルビア「うふふ、個人の意見だから完全に正解なんてないと思うんだけど、アタシが皆を笑顔にしたいって思った時に取った行動が一番人を笑顔に出来るって気付けたのよ。変な考えはいらなかったの。もっと単純で、シンプルな方法こそ誰もが馴染めて楽しめる。それが一番なのよ」

 

 

 

 

ベロニカ「いろんな考えが邪魔して本当に大事な事を隠していたって事でいいのかしら?でも、そう聞くとシルビアさんの気付きって結構大事に思えるわね」

 

 

 

 

店長「もっと単純で........シンプルに、か」

 

 

 

 

シルビア「ああ、ごめんなさい。アタシの意見は参考程度にして。きっと店長ちゃんには店長ちゃんなりの方法があるはずなの。それを探してみましょう」

 

 

 

 

店長「シルビアさん........。はい!シルビアさん、流石です!少し励まされました!」

 

 

 

 

ベロニカ「いっつもお世話になってるしね。私達も何か手伝うわ」

 

 

 

 

セーニャ「なんでもお申し付けください、店長様!私、全力でお助けいたします!」

 

 

 

 

店長「はは、ありがとな、ベロニカさん、セーニャさん。それじゃあまずは色々作ってみる。もしよかったら手伝ってくれると嬉しいぜ」

 

 

 

 

シルビア「もちろんよ〜、困ってる人は見逃せないわ。店長ちゃんのとっておきメニュー作り、頑張るわよ〜!」

 

 

 

 

三人「オー!」

 

 

 

その後

 

 

 

店長「よし、大体完成したぜ!」

 

 

 

キッチンには皆で作り上げたケーキやスイーツが並んでいる

 

 

 

セーニャ「どれも美味しそうですわ!」

 

 

 

 

ベロニカ「それじゃあ早速食べてみましょう。コーヒー味のチョコレート、気になってたのよね」

 

 

 

 

シルビア「それじゃあアタシはこの梨ちゃんのケーキにしましょ。ふわふわしてて美味しそう」

 

 

 

 

店長「俺も食べてみるか」

 

 

 

数分後

 

 

 

セーニャ「全部美味しいですわ!流石は店長様です!」

 

 

 

 

ベロニカ「本当よね。私達が家で作ろうとするとこうはならないもの」

 

 

 

 

シルビア「流石はプロの手つきよね。クリームを混ぜたりしてる時なんて鮮やかだったわ」

 

 

 

 

店長「う〜ん..........まだ納得いかねえなぁ」

 

 

 

 

ベロニカ「え〜、こんなに美味しいのに?結構厳しいのね」

 

 

 

 

店長「そりゃあいろんな人に食べてもらいたいし、凄く美味しいって思ってもらいたい。他の店にだって負けたくないし、常連の人達にも満足してもらえるようなものにしたいんだ」

 

 

 

 

セーニャ「どれもお店としては大切な事ですわね。特にダーハルーネはどのお店も非常に魅力的ですからより一層厳しくないといけないというわけですね」

 

 

 

 

店長「あ〜、頭がモヤモヤするなー。せっかく皆の時間貰ってるのにこれって.........。俺ってこんなに」

 

 

 

 

シルビア「ストップよ、店長ちゃん。それ以上言ったら駄目よ」

 

 

 

シルビアはシンジの話を遮らせた。その声はいつもより少し強い声になっている

 

 

 

店長「シルビアさん.......。す、すみません。こんな事思いたいわけじゃないんだ」

 

 

 

 

シルビア「ねえ、店長ちゃん。少し休憩しましょう。久しぶりにあなたとお話ししたいわ」

 

 

 

 

ベロニカ「そうね。最近来れてなかったし、喋って考えを改めてみましょう」

 

 

 

 

セーニャ「私達のお時間は気になさらないでください。店長様が困っているのならいつでもお力になります」

 

 

 

 

店長「皆..........ああ、ありがとう」

 

 

 

窓際の席

 

 

 

セーニャ「まあ!今日はとっても夕日が綺麗ですわ」

 

 

 

 

ベロニカ「本当ね!海に落ちていく瞬間が見れそうだわ。シルビアさんの船で前に見た事あったけど、海から見る夕暮れって最高なのよねー」

 

 

 

 

店長「ああ..............へへ、懐かしいぜ。昔はよく見てたな」

 

 

 

 

シルビア「そうだわ。前から店長ちゃんに聞きたかった事があったのよ」

 

 

 

 

店長「え?なんですか?」

 

 

 

 

シルビア「店長ちゃんがどうしてパティシエになったのか、よ」

 

 

 

 

店長「そりゃあ........ダーハルーネに生まれたからだな。この街が俺は好きだからな」

 

 

 

 

シルビア「うふふ、隠さなくても大丈夫よ。アタシは店長ちゃんがパティシエになる前を聞いた事あるもの」

 

 

 

 

店長「!!?」

 

 

 

 

ベロニカ「え?店長さんってずっとパティシエだったんじゃないの?」

 

 

 

 

セーニャ「私も知らなかったですわ」

 

 

 

 

店長「は、はは。ラースのやつからか?」

 

 

 

 

シルビア「違うわ。初めて会った時からなんとなく似てるなって思ってたの。それでアリスちゃん、アタシの船を舵してくれる子に聞いたの。そしたらその通りだったわ。あなたが乗った船は沈まないとされて、少し前までは有名だったわよね。放浪船守シンジ。こう呼ばれてたわね」

 

 

 

 

店長「どうしてそれを.........。あ、船を持ってるって............ハァー、流石シルビアさんだ。いろんな所に顔が広いな。そうだぜ。久しぶりにその名前で呼ばれた」

 

 

 

 

ベロニカ「店長さん、パティシエじゃなかったの!?」

 

 

 

 

セーニャ「放浪?というと、いろんな船に乗っていたという事ですか?」

 

 

 

 

店長「ああ、そうだ。俺、前まではパティシエじゃなくてコックだったんだ。しかもただのコックじゃなくて戦うコックだ。必要なら魔物と戦って、そして船に戻ればコックとして料理を振る舞ってたんだ」

 

 

 

 

シルビア「そうだったわね。その上戦う強さも料理の技術も高い。更に船の知識も豊富でいざとなったら嵐にも対応できる。その万能さが有名だったのよね。アタシも一度お目にかかってみたいと思ってたわ」

 

 

 

 

ベロニカ「そんなに色々出来たの!?凄いじゃない、店長さん!どうして放浪してたの?」

 

 

 

 

店長「まあ色々あるんだ。稼げるとか、気分とかな。第一はいろんなやつに腹を満たしてほしかったんだ。昔は今より船が発展してなくて今よりも魔物も多く、別の大陸に行くのに時間もかなりかかっていた。その時に危惧しなきゃいけないのは船員の飢え。海の上では食い物や水は貴重品。大事にしてないとすぐになくなっちまう。

 

 

 

でも、そんな事をしていたら魔物との戦闘もしている船員達はどんどん飢えていく。それを助けてやりたかったんだ。そのために昔から好きだった船について勉強して、知識も得てコックになってってな」

 

 

 

 

セーニャ「昔からお優しい方だったのですね、店長様。では、なぜパティシエに?」

 

 

 

 

店長「昔から菓子作りは得意だったんだ。自信もそれなりにあったしな。料理のついでに甘いものを作ってやるとどこの船でも大好評でな。皆が楽しそうにしながら俺の作ったものを食べてくれる。それが嬉しかったんだ。そんな時、ある船団の船長にこう言われた。パティシエとしてもやっていけるんじゃないかってな。

 

 

 

若い頃はこのまま放浪でもいいかと思っていたが、やっぱり大人になってくるともっと安定した職がほしいと思っていてな。ダーハルーネはまだそこまでスイーツが有名な街じゃなかった。それでも俺の好きな海が近いし、商船も来るからスイーツ作りに必要なものも集まりやすい。それでパティシエになってみようと思ったわけだ」

 

 

 

 

シルビア「なるほどね〜。あなたの噂を突然パッタリと聞かなくなってしまってどうしたのかしらと思っていたけど、そういう事だったのね。ラースちゃんとはいつ?」

 

 

 

 

店長「ラースとはそれから一年くらい経ってからだな。護衛を頼んだら驚かれてよ。まあ知られてたのはこっちも驚いたがそれから酷かったんだぞ、あいつ!戦闘になっても見てるだけだったりよ、実力を知りたいとか言って突然襲ってきたりとか。護衛としてどうなってんだよ、って思ったぜ」

 

 

 

 

ベロニカ「そういえばあいつの昔もその一人旅時代はあまり聞かないわね。どんな感じだったの?」

 

 

 

 

店長「いや、俺もその時しか頼んでねえから他は知らねえ。マルティナさんが前に色々知ってるみたいだったけどな。とにかく、あいつは俺がちょっと戦えるからって自分の役割放棄しやがって、まったく!」

 

 

 

 

シルビア「ふふ、いいじゃない、楽しそうで。ラースちゃんって意外と自分の事話さないから。仲間のアタシ達でさえ、ね。今はそんな事ないけど、旅してた時は皆と仲良くしながらもどこか一線を引いてる感じだったわ。マルティナちゃんにはそんな事なかったけど」

 

 

 

 

セーニャ「その護衛のお話も聞きたいですわ。ラース様からもお聞きした事ないので」

 

 

 

 

店長「あー..............は、恥ずかしいからそれはまた今度な。ラースのやつからでも聞いて........いや、あいつ嘘言いそうだな」

 

 

 

 

ベロニカ「そう隠されると気になるわね。二人ってそこから仲良くなったんでしょ?」

 

 

 

 

店長「まあ仲良くっていうか、知り合い程度というか。そんな感じだ」

 

 

 

 

シルビア「どう?店長ちゃん。少しは落ち着いたかしら?」

 

 

 

 

店長「ああ、結構な。それにさっき久しぶりに昔の話したからか頭も冴えてきた。よし、なんかいいもの作れそうな予感がするぞ!」

 

 

 

 

セーニャ「もちろんお手伝いしますわ!」

 

 

 

 

ベロニカ「ええ、最高の一品を作っちゃいましょう!」

 

 

 

 

シルビア「(うふふ、よかった。焦ったような暗い顔はなくなったわね。あのままじゃあ悪い考えしか浮かばないと思っていたわ。今ならきっと)」

 

 

 

 

 

 

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