それから半年後、ガラッシュの村 奥地
村の人達の墓の前で拝んでいるラースがいた
ラース「皆、俺ようやくこんな自分に自信を持てるようになった。前までにあった不安はもう無い。皆が.......助けてくれたから。必要としてくれたから、こうして誇りを持って生きている。ありがとう」
そう言うとラースはそっとカンパニュラの花束を墓に置いた
ラース「花を燃やすのはかわいそうだ。ここに置いておく。遠くからでも眺めててくれ」
そうしてラースは草を手に取ってやすらぎの唄を吹き始めた
〜♪
誰もいない村に静かに音色が響き渡る
ラース「(そうだ。偶には.........感謝を皆にも伝えないとな)」
ラースは演奏が終わると静かに去っていった
その後ろ姿を二人の老人のような影が見送っていた
ダーハルーネの街 カフェ
カラン
店長「いらっしゃいま、あれ?ラースじゃねえか。連絡も無しに来るなんて久しぶりだな。一人か?」
ラース「よう、シンジ。少し時間あるか?」
店長「まあ客がいないから大丈夫だぜ。どうした?マルティナさん達にケーキの予約か?」
ラース「いや、そうじゃない。ほら、これやるよ」
ラースは手に持っていたカンパニュラの花束をシンジに渡した
店長「へ?お、おう。ありがとよ。どうしたんだ?急に」
ラース「ほんの偶然だ。綺麗だったから渡しただけだ。それと..........なんだ、昔から世話になってたからな。その礼だ」
店長「............」
シンジはラースの言葉に固まっている
ラース「な、なんだよ」
店長「いや?べっつに〜。ラースらしくねえと思ってたけど、まあ感謝されるのは悪くねえよな。ありがとな、ラース。店先に飾らせてもらうぜ。"感謝"の花言葉の花をよ」
ラース「そ、そう言うのは言わなくていいんだよ!」
店長「へへ、まさかラースがこんな事してくれるなんてな!サンキュー!」
ラース「ったく。俺はもう行くからな」
店長「おう!」
聖地ラムダ ベロニカとセーニャの家
コンコン
ベロニカ「はーい」
ガチャ
ベロニカ「え!?ラース!?どうしたのよ」
ラース「よう、ベロニカ。セーニャもいるか?二人に用事があってな」
ベロニカ「いるわよ。ちょっと待っててね」
その後、広場
ベロニカ「どうしたのよ、突然。一人ってのも珍しいわね」
セーニャ「何か困り事でもありましたか?」
ラース「いや、大した事じゃないんだが少しプレゼントを持ってきたんだ。ほらよ」
ラースはカンパニュラの花束を二人に渡した
ベロニカ「これ、カンパニュラね。綺麗だわ。でも、どうして?」
ラース「あー、その........なんだ。ようやく俺が自分に自信を持てるようになったんだ。そうなれたのは皆のおかげだからよ。その..........ありがとうって事だ」
セーニャ「ああ........夢の世界の事ですね。よかったですわ、ラース様が自分を誇りに思えるようになってもらえて」
ベロニカ「やっとだったのね。まあ昔からあんな事されたりしたら自信なんて持てないわよね。ま、助けてあげたのは確かだけど、それよりも前から私達はあんたに助けられてきたのよ。仲間なんだし助け、助けられは当然でしょ」
ラース「そう言ってもらえると嬉しいぜ。それじゃあ俺はこれで」
ベロニカ「なるほど。他の皆の所にも行くのね」
セーニャ「ふふ、きっと皆様も喜ぶと思いますわ」
ラース「ああ、そうだと思う。また城に遊びに来てくれ、じゃあな」
クレイモラン王国 カミュとマヤの家
コンコン
カミュ「ん?誰だ?」
シロ「ハッハッ!」
ガリガリ
シロが喜びながら扉を引っ掻いている
カミュ「おいおい、シロ。傷つくからやめろ」
ガチャ
ラース「やっぱりシロだったか。久しぶりだな」
カミュ「兄貴?一人でどうしたんだ?」
シロ「バウ!」
シロはラースに飛びついて顔を舐めようとしている
ラース「はは、久しぶりだもんな。覚えてくれてて嬉しいぜ」
カミュ「んで?突然どうしたんだ?」
ラース「ああ、これをやろうと思ってな。ほら」
ラースはカンパニュラの花束をカミュに渡した
カミュ「花?綺麗だが、俺には似合わねえぞ」
ラース「確かに似合わねえな。まあ家にでも飾ってマヤに見せてくれ」
カミュ「まあそれなら......。これを渡すためだけにわざわざ来たのかよ」
ラース「まあ俺がようやく自分に自信を持てるようになったからな。こうなれたのは皆が俺を必要としてくれたからだ。その感謝の気持ちだ」
カミュ「あー.......夢の世界の事か。懐かしいぜ。まあ、兄貴があんなんになっちまうのは想像出来ねえからな。今の姿の方がよっぽど兄貴らしいぜ」
ラース「そうか、それならこれからもよろしく頼むぜ」
カミュ「ああ。こっちこそ頼んだぜ、兄貴」
ラース「じゃあまた来るぜ。シロ、またな」
シロ「バウ!」
ユグノア城 玉座の間
ラース「よう、イレブン、じいさん。エマちゃんもここにいるんだな」
エマ「お久しぶりです、ラースさん」
ロウ「デルカダールからと聞いて誰かと思っておったがまさかラースとはのう」
イレブン「本当だね。一人ってのも珍しいね。どうしたの?」
ラース「大した事じゃないんだがな。これを渡そうと思ったんだ」
ラースは二人にカンパニュラの花束を渡した
イレブン「わあ!綺麗な花だね」
エマ「本当ね。カンパニュラでしたっけ?初めて見ました」
ロウ「ほほ、嬉しいのう。じゃが、突然どうしたんじゃ?」
ラース「ようやく俺、自分に自信が持てるようになってな。俺はこれでいいんだと、思えるようになった。きっと俺一人じゃあこんな考えにはなれなかった。これは皆のおかげだ。皆が必要としてくれて、俺はここにいていいと教えてくれたからこそだ。その感謝の気持ちだ」
ロウ「なるほど。夢の世界の事じゃな。あれもまた随分と不思議な出来事じゃったからのう」
イレブン「そうだね。それにラースったらやっと気付いたんだ。意外と鈍いんじゃない?僕達は旅してた頃からずっとラースを必要としてたんだよ」
ラース「はは、そうかもしれないな。俺、自分の事となると鈍いみてえだ」
エマ「そっか、だからカンパニュラなんですね。花言葉は感謝でしたから。ラースさん、素敵ですね」
ラース「おっとエマちゃん。そういうのは言わなくていいんだぜ。恥ずかしいからな」
エマ「ふふ、恥ずかしがらなくていいと思いますよ。ね?イレブン」
イレブン「うん!ラースのこういう所、昔から好きだったよ」
ロウ「お主の気持ちがしっかりとこもっておるのう」
ラース「あー、もう。わかった、わかったから。俺はもう行くぞ」
ラースは照れているのか顔が少し赤くなっている
イレブン「うん。ありがとう、ラース」
ロウ「またいつでも遊びに来ておくれ」
エマ「お待ちしてますね」
ラース「ああ、そっちこそ城にいつでも来てくれよな」
ソルティコの街 ジエーゴの屋敷
セザール「おや、ラース様。大変おひさしゅうございます。本日はどうされましたか?」
ラース「久しぶりだな、セザールさん。シルビアはいるか?少し用事があってな」
セザール「申し訳ございません。ただいまゴリアテ坊っちゃんは買い出しに出かけておりまして」
その時
ガチャ
シルビア「ただいま〜。って、ラースちゃん!」
シルビアがちょうど帰ってきた
ラース「おお、ちょうどよかった」
セザール「お帰りなさいませ、ゴリアテ坊っちゃん。たった今ラース様がお呼びしておりました」
シルビア「ありがとう、セザール。一人でなんて珍しいわね。取り敢えず、こんな所にいないでアタシの部屋に入って」
ゴリアテの部屋
シルビア「どうしたの?ラースちゃん」
ラース「わざわざ部屋に入れてくれなくてよかったんだけどな。まあいいか。これを渡そうと思ったんだ」
ラースはカンパニュラの花束をシルビアに渡した
シルビア「やだ!とっても綺麗なお花ちゃん!カンパニュラちゃんね〜」
ラース「皆に配ってるんだ。俺、ようやく自分に自信や誇りを持っていけるようになった。不安や自責に駆られてた昔とは全く違う穏やかな毎日だ。こんな風になれたのは間違いなくあの日俺を助けてくれた皆のおかげ。その感謝を伝えようと思ったんだ」
シルビア「ラースちゃん.......。とっても嬉しいわ、そうやってあのつらい過去を乗り越えてくれて。アタシね、ラースちゃんの笑顔って前から元気になれて大好きだったんだけど、今のあなたの笑顔はそこに更に磨きがかかってるわ!幸せに溢れてるって笑顔よ。あなたのとっても素敵な所よ。いつまでも大事にしてね」
ラース「ああ、そうさせてもらう。シルビアこそ皆を励まし続けてくれよ?皆を笑顔にするんだろ?」
シルビア「もっちろんよ〜!アタシの一生の願いだもの。任せてちょうだい!」
ラース「それじゃあ俺は戻るぜ。またいつでも城に来てくれよな」
シルビア「ええ!ありがとね〜」