デルカダール城下町 グラジー
カラン
マヤ「いらっしゃいませー。あ、兄ちゃん!こんな早い時間にくるなんて珍しいね!」
ラース「よう、マヤ。少し時間いいか?」
マヤ「いいよ。ビルさん達に伝えてくるね」
数分後
マヤ「どうしたの?何か用事?」
ラース「まあ大した事じゃないからすぐに終わる。ほら、これやるよ。店に飾ってくれ」
ラースはカンパニュラの花束をマヤに渡した
マヤ「わ〜、綺麗だね!何の花?」
ラース「カンパニュラって名前なんだ」
マヤ「へ〜、カンパニュラって言うんだ。確かにお店に飾ったらいい感じになりそうだね」
ラース「マヤ、俺達皆と仲良くしてくれてありがとな。知らないかもしれないけど、マヤは明るくて俺はよく勇気づけられてるんだぜ」
マヤ「え?..........い、いしし、なんだか恥ずかしいな。兄ちゃんこそ、私をいつも支えてくれてありがとう!」
ラース「それじゃあ俺はこれで。また頑張れよ!」
マヤ「うん!ありがとう!」
カフェ
カラン
メグ「いらっしゃ、あ!ラース様!こんにちは!」
ラース「よう、メグ。ちょっと頼まれてくれないか?」
メグ「はい。大丈夫ですよ」
ラース「これをな、帰ってきたらバンにあげてくれ」
ラースはカンパニュラの花束をメグに渡した
メグ「わ〜、綺麗なカンパニュラですね。でも、こんな事言うのもあれなんですけどバンに花束は似合わないですよ?」
メグは少し苦笑いしている
ラース「だろうな、それは俺もわかってる。店に飾ってくれて構わないさ。それと伝言も頼みたいんだ」
メグ「はい!あ、メモしますね!」
ラース「大丈夫か?それじゃあ言うぞ。いつも俺を支えてくれてありがとう。あの日以降から俺は自分に自信が持てるようになったんだ。それは仲間達や俺を支えてくれる皆のおかげだ。
もちろんお前もその一人。兵士の中で誰よりも俺を尊敬して付いてきてくれる。俺の自慢の弟子で、立派な兵士長だ。これからもよろしく、ってな」
メグ「はい!バッチリです!それにしても、凄く暖かい言葉ですね。まるで私に言われてるみたいでドキドキしちゃいました」
ラース「はは、そうだったか?きっとバンの事だ。泣いたり俺に会いにこようとしそうだな。明日の朝が大変な事になりそうだ」
メグ「ふふ、私も思い浮かびます。ラース様はやはりいいお方です。バンが尊敬するのも頷けますよ」
ラース「ありがとな、メグ。それじゃあ俺はこれで」
メグ「はい!お仕事頑張ってくださいね」
デルカダール城 王の私室
コンコン
ラース「王様、ラースです。入りますよ?」
デルカダール王「ああ、よいぞ」
ガチャ
ラース「失礼します」
デルカダール王「どうしたのだ?ラースよ。何かあったか?」
ラース「俺の私情なのですが、王様にもぜひ伝えておこうと思って」
デルカダール王「ほう、なんだ?」
ラース「王様、俺は王様に出会い、家族になり、父親というものを教えていただきました。こうして俺がここにいられるのもひとえに王様の懐の大きさ故です。心から感謝しております」
ラースはしっかりと王様の目を見て話した後、深々とお辞儀をした
デルカダール王「.........どうしたのだ、ラースよ。お主らしくもない。それに、わしはそこまで大層な事はしておらん」
ラース「そんな事はありません。王様にとっては大した事でなくとも、俺にとってはとても大切で、暖かくて非常に大きな事だったのです。デルカダール王の息子、ラースは今一度誓わせていただきます。
このデルカダール王国のため、この命尽きるまで王様と俺の妻であり、王女であるマルティナを支えていきます」
ラースはデルカダール王の前に跪いた
デルカダール王「............ああ、お主の気持ちしっかりと伝わった。だが、お主もグレイグと似て張り切りすぎる面もあるからのう。お主はこの国の宝の一人。国のためにも、わしやマルティナのためにも自身の事を疎かにするのではないぞ」
ラース「はっ!ありがたきお言葉」
その後、玉座の間
マルティナ「あら、ラース。お帰りなさい。村のお参りは終わったみたいね。どうだった?久しぶりのガラッシュの村は」
グレイグ「予想よりも時間がかかったな。掃除でもしていたのか?」
ラース「ああ、大事な思いに気付かせてくれたよ。時間がかかって悪かった。だけど、ようやく俺も皆と同じ場所に立てたんだ」
マルティナ「え?何の話?」
ラース「俺、自分に自信と誇りをようやく持てるようになった。胸を張って、な。昔の虚勢も不安も自責もない、嘘偽りない自信だ。この思いを持てたのはあの日、皆が俺を助けてくれたから。俺が必要だと教えてくれて、支えてくれたからだ。
皆には感謝してもし尽くせない程だ。その感謝を少しだけだが、皆に表してきた。もちろん、グレイグ、マルティナ。二人にも心から感謝している。本当にありがとう」
グレイグ「ど、どうしたのだ、突然。恥ずかしい台詞をよくもまあそこまでスラスラと」
マルティナ「ふふ、あの夢の世界の出来事から数年が経ったわね。まだはっきりと覚えてるわ。
初めてラースが私達に本当の弱さを見せてくれた日。
そして、ラースが立ち上がった日。
忘れないで、ラース。あなたは一人じゃない、皆がいるわ。私も必ず隣にいる。あなたに勇気を、自信を、愛を分けてあげる。あなたは私にそれをくれたのだから」
ラース「ああ、ありがとう、マルティナ。これを皆に配っていたんだ」
ラースはカンパニュラの花束を二人に渡した
マルティナ「綺麗な花ね。いい匂い」
グレイグ「そうか。そういえばラースは前まで自信が持てず、村の事をずっと引きずっていたのだったな。それをついに克服したか」
ラース「ああ、そうみたいだ。前までは心の中でずっと懺悔や罪滅ぼしをしようと思っていたんだが、今では平穏な心でいられる。本当ありえない変化なんだ」
マルティナ「私達は手を差し伸べただけよ。勇気を出して手を掴んだのはあなた自身。それに打ち勝ったのもあなたの力よ。カッコイイわよ、ラース」
ラース「へへ、ありがとな。これからも俺はずっと一緒にいるぞ、マルティナ」
マルティナ「もちろん。私もあなたに追い抜かれないようについて行くわ、どこまでもね」