夕方、デルカダール城下町
酒場
バン「悪い!マサルの支度にちょっと遅れちまった!」
メグ「遅れてしまってすみません。お待たせしてしまっていたら申し訳ないです」
ロベルト「大丈夫だ。悪いが先に乾杯したぞ」
メグ「構いません。むしろ安心しました」
マサル「パパみたい!たくさんいるー」
バン「そうだろー?マサル。全員俺の仲間.....えっと、おともだちだ!」
マサル「ともだち!パパ、おともだちいっぱい!」
ガザル「へー、思ってるより親父やってんじゃん。メグさんに任せっきりかと」
バン「そんな事するかよ!それより俺達の飲み物は?」
ジェーン「こちらです、バンさん、メグさん。マサル君もおいで?」
メグ「ありがとう、ジェーンさん。前に何回か話した程度だから今日たくさんお話ししようと思ってたの」
ジェーン「本当?私ももっとメグさんと話せたらいいなって思ってたの。たくさん喋ろう」
マサル「オレンジジュース!」
ベグル「持ったみたいだな。さて、乾杯をもう一回するか」
バン「待てー!!」
バンの渡されたコップは空となっている
ロベルト「なんだよ.....バン。くく.....」
ガザル「いきなり騒ぐなよな」
バン「どう見たっておかしいだろ!なんで俺のは空なんだよ!皆みたいに酒入れろ!」
ベグル「何言ってんだよ、バン。酒なら入ってるじゃねえか」
バン「どこがだよ!」
ベグル「おいおい、マジかよ。お前、正真正銘の馬鹿なんだな。その酒は馬鹿には見えねえし、感じられねえ酒なんだってよ。俺ら全員は見えてるし、さっきから溢れてるのも見えてんだぞ」
バン「ハ、ハァ!?」
ガザル「(くくく、ベグルのやつ、最高)つまり、見えてないバンはやっぱり馬鹿って事に」
バン「あー、見えた見えた!なんだよ、入ってんじゃん!よっしゃ、乾杯しようぜー!」
ジェーン「ね、ねえ、ベグル君。やっぱり可哀想だよ」
ベグル「大丈夫。面白いだろ?」
ジェーン「それはまあ.......騙されるなんて思わなかったけどさ」
ベグル「まあ乾杯したらネタバラシするさ。さて、兵士長。合図頼むぜ」
バン「おう!皆ー!今年一年ありがとな!またたくさん世話になった!」
ガザル「そうだぞー!俺達に土下座して感謝しろ」
バン「そこまではしねえよ!俺はなんやかんやあったけど、楽しかったぞ!来年からもよろしくな!それじゃあ、かんぱーい!」
全員「かんぱーい!」
カツン!
マサル「飲んでいいの?」
メグ「ええ、いいわよ。むせないようにね」
ベグル「バン、飲まねえのか?」
バン「え?あ、ああ....今から飲むぞ!...........?......う、うめえ!」
バンは何も無いコップを必死に飲んでいるように見せている
ロベルト「アハハハハハ!!もう無理!限界!」
ガザル「あー、こらロベルト!もう少し耐えろよ!」
バン「な、なんで笑い出してんだよ、ロベルト!」
ジェーン「ほら、ベグル君。もういい加減いいでしょ?」
ベグル「もう少し弄りたかったんだけどな。ジェーンがそう言うなら仕方ない。バン、そのコップ本当に何も入ってないんだぜ?」
バン「...........ハァ!?」
ベグル「俺達が馬鹿には見えない酒って説明したらどう反応するのか見たかったんだ。面白いもんみれたぜ」
バン「ふざけ...........待てよ。さては、そう言って本当に馬鹿には見えない酒が見えてるかどうか判断する気だな!?お、俺は見えてるぞ!」
ベグル「は?いやいや、だから」
バン「いやー、この酒美味いなー!味わった事ないから凄く新鮮だ!」
ベグル「.......もういいや。放っておこう」
メグ「ふふ、バンの方が想像を超えましたね。本当賑やかで楽しい」
ジェーン「ええ、それでいいの?メグさん。旦那さん馬鹿にされてるんだよ?」
メグ「大丈夫です、これがバンですから。皆さんもバンをよくわかっていらっしゃるからこうして遊んでいるんです。本気なわけないですから全く心配してません」
ガザル「いや、メグさん。流石の俺達でも嘘を信じ続けるとは思わなかったぜ」
ベグル「全くだ。ドが付くほどの馬鹿だな、こいつは」
ロベルト「面白いな、バンは。本当飽きさせないぜ」
バン「美味い?美味いー!」
バンは変わらず何も入っていないコップを必死に飲もうとしていた
その後
メグ「あ!忘れる所だった!皆さんにクリスマスのお菓子を作ってきたんです。よかったら食べてください」
メグは鞄から袋に入ったクッキーを出した
中には雪だるまや星、クリスマスツリーなど様々な形がある
全員「おお!」
メグ「たくさん作ったのでお好きなだけ持っていってください」
ジェーン「凄ーい、メグさん!私、こんなに綺麗に出来ないよ。流石カフェを営んでるだけあるね」
メグ「ありがとう、ジェーンさん」
ベグル「ジェーン、何枚貰う?四枚あればいいか?」
ジェーン「うん、大丈夫だと思う」
ガザル「いや、ロベルト。お前取りすぎだろ」
ロベルト「う........。メグさんのお菓子は美味しいからな。少し欲張りすぎたか」
ロベルトの両手には何枚もクッキーが重ねられている
バン「メグ!俺のは!?」
メグ「バンのは無いわよ。帰ったらね」
バン「えー!今!今がいい!」
メグ「駄目。我慢してね」
バン「.........シュン」
ロベルト「あまり奥さんを困らせてんじゃねえぞ」
ガザル「あ!クリスマスで思い出した!城から出る時にラース将軍から俺達にプレゼントだって渡されたのがあるんだよ!」
バン「なに!?師匠からプレゼントだと!?なんでもっと早く言わないんだ、ガザル!馬鹿野郎!」
ガザル「馬鹿に馬鹿って言われる筋合いはねえよ!ラース将軍だけじゃなくて、マルティナ様やグレイグ将軍からのプレゼントも一緒になってるらしい。これこれ」
ガザルは大きめの箱を開けた
ガザル「おお、名前が書いてある。これが馬鹿で、これがベグル。ギバとダバンとマーズは後でにして、これがロベルト、これが俺」
ガザルはそれぞれの袋を分けていく
バン「やった!俺、早速お礼言いにいってくる!」
バンは走って酒場から出ていった
ベグル「あ、こら!マルティナ様達だって仲間達との.........ハァ」
メグ「きっとすぐ戻ってきますよ。それまで待ってましょう」
ガザル「メグさん、バンの世話大変だろ?あっち行ったりこっち行ったりしてさ」
メグ「そんな事ないですよ。いろんな場所に連れていってくれて楽しいし、たくさんの事を教えてくれます。ちょっと言葉が出てこない時とかは多いですけど、私はそれでもバンのまっすぐな気持ちがなによりも嬉しいんです」
ロベルト「はは、奥さんとなるとバンの見方が違うな。どれ、俺達も開けてみるか」
ベグル「だな。さて、何が入っているのやら........おお!手袋と砥石!しかもこの手袋凄え!デルカダール王国の紋章が縫われてる!」
ガザル「俺もだ!手袋は色違いだぞ!この手袋は嬉しいな!」
ロベルト「砥石もただの砥石じゃない!これ、最近出たオリハルコンが入った砥石!何度も研ぎ続けられるかなり高い砥石だぞ!」
ジェーン「ええ!凄い!よかったね、ベグル君」
ベグル「本当だ。まさかこんな立派なプレゼントだとは。食べ物とかだとばかり」
メグ「これはバンのも同じかな。大はしゃぎしてそうだわ」
その頃、デルカダール城 食事場
バタン!
バン「師匠ー!マルティナ様ー!グレイグ将軍ー!」
イレブン「あれ?バンだ。どうしたの?」
そこではイレブン達がご飯を食べていた
ラース「ほら、言った通りだろ?マルティナ」
マルティナ「ふふ、そうね。ラースの予想通り」
バン「これ、師匠達からのプレゼントだって!嬉しいです!ありがとうございます!」
グレイグ「ふっ、喜んでくれたならこちらも用意した甲斐があるというものだ」
カミュ「へー、バンにもプレゼントあげてたのか」
バン「それが!兵士達全員にプレゼントなんです!凄いですよね!」
ベロニカ「あら、よかったじゃない。何あげたの?」
バン「まだ見てないです。あ!今見てもいいですか!?」
ラース「なんだ、まだ見てなかったのか。早く見てみろよ」
セーニャ「私達も気になりますわ」
バン「それでは!...........お!手袋だ!おおお!?デルカダール王国の紋章!凄え!!」
シルビア「あら!ステキ〜!手作り?」
マルティナ「ええ、そうなの。頑張って似せてみたのよ」
バン「あれ?もう一つあるぞ........え?ペ、ペン?」
ラース「俺からだ。バンにだけ特別なんだぞ」
バン「俺だけ!?という事は、このペンにも特別な何かが!」
ラース「ただのペンだ」
バン「えー!?じゃあ、何で俺だけ」
ラース「これ使ってもっと勉学にも励めって事だよ」
バン「勉学...........うぅ」
ロウ「ほほ、どうやら喜んでもらうだけのプレゼントというわけではないようじゃの」
マルティナ「頑張って、バン。頼りにしてるわ」
グレイグ「来年はもう少し書類を得意になっているといいな」
バン「が、頑張ります.....」