旅館の離れ
ラースは一人でベンチに座っていた
マルティナ「結構離れた所に行ったのね」
ラース「ああ、マルティナか。少しのぼせてな。はは、別に羽目を外した訳じゃないんだがな」
マルティナ「そうだったの、席を外した方がいいかしら?」
ラース「いや、大丈夫だ。なあ、マルティナ。朝の日課になった模擬練習、すまないが無くしてもいいか?」
マルティナ「いいけど、どうしたの?もしかして相手にならないかしら?」
ラース「まさか。そんな事ない。だけどマルティナは、もう俺の戦い方をマスターしつつあるだろ。俺と同じタイミングでできるレベルになった筈だ。それに、この前古代図書館に行った時に試してみたい魔法もあってな。少し勉強しなくちゃいけないんだ」
マルティナ「確かにそれなら時間がほしいものね、わかったわ。またロウ様と一緒に練習するわ」
ラース「勝手ですまないな、ありがとう....。
なあ、マルティナ。実は一つ花火を持ってきてるんだ。一緒にやろうぜ」
ラースは自分の横に置いてあった花火をマルティナに見せた
マルティナ「ええ、いいわよ....随分細い花火ね。どういう物なの?」
ラース「これは線香花火と言ってな。物凄く小さな花火でよ、数秒で終わってしまう。最初の小さな火花はどんどん大きくなり、激しくなって、また萎んで終わるんだ。俺はこれが一番好きなんだ。この花火を見てると、まるで人の一生みたいだと....思うんだ」
ラースは火をつけながら説明した。その姿は何か考えているような顔をしている
マルティナもラースに続き、花火に火をつける
マルティナ「.....本当ね。短い時間にだんだん激しくなって、そして小さくなっていく。何だかとても儚いわね。私も気に入ったわ」
ラース「希少品だからな。あっという間に無くなってしまうんだ。ほら、最後の一本だ」
マルティナ「ありがとう。長く持つといいんだけど...............あっ、落ちちゃったわ、残念ね。............?どうしたの?ラース」
ラース「.....なあ、マルティナ。聞いてくれ。大事な話があるんだ」
マルティナ「ええ、どうしたの?急に」
ラース「(言え!言うんだ、俺!砕けてもいい。後悔なら、後でいくらでもやってやる!今伝えないで、いつ伝えるんだ!!)」
ラースは目を強く瞑ったり、深呼吸をしたりしている
マルティナ「ラース?大丈夫?」
ラース「.....アナタが好きです」
マルティナ「え.......」
ラース「アナタの飾らない、だけどはっきりと持つ意思と心の強さに....惹かれました。アナタが姫だろうと、次期デルカダール王女だろうと、俺はアナタが好きです。どうか、俺と付き合ってください!」
ラースはマルティナに頭を下げた
マルティナ「.....ほ、ほんとに?だって....私....女なのに男より強いし、ガサツだし....」
ラース「別に強さや性格なんて関係ない!それに、マルティナは自分が思ってるよりもかわいくて、美しいんだぞ...ってマルティナ、泣いてる!すまない、嫌だったか」
ラースはマルティナの顔を見ると、マルティナの目から涙が溢れていた
マルティナ「ぐすっ、ううん.....違うの。ぐすっ、でも、でも私は、イレブンを助けられなかった16年前から、自分は幸せになってはいけないんだと思ってた。そんな事していいはずないって。でも、今の私は.........幸せになりたいと思ってて.....こんなのいいのかなって」