それから二ヶ月後、デルカダール城
訓練場
???「おい!!ふざけた事言うな!!」
突然大きな怒鳴り声が訓練場全体に響き渡った
ラース「おい、どうした」
大広間にいたラースはそれを聞きつけて走ってきた
ガク「あ......す、すみません、ラース将軍。大声出してしまって」
???「失礼しました。少し口論になって」
ラース「それは構わない。だが、何かあったのか?」
ガク「こいつが.......フランクがバンさんの事を悪く言うんです」
ガクの目の前にいる青年は最近新入りとして入ったフランクという男だった
ラース「バンがまた何かやらかしたのか?本人はいないようだが」
フランク「そうだ、ラース将軍にお聞きしたい事もあったんです。ラース将軍ってバンさんのお師匠様なんですよね?」
ラース「ああ、そうだな。それがどうかしたか?」
フランク「どうしてもっと優秀な人を兵士長にしなかったのですか?」
ラース「え?」
ガク「おい、フランク!ラース将軍にまでなんて事を!!」
ラース「いや、構わない。どういう意味なんだ?フランク」
フランク「新入りとしてもまだまだ浅い俺ですけど、バンさんはそんな俺でも見てわかるくらいには間抜け、悪く言うなら頭が弱いと見えます。
副長であるベグルさんや他の人からよく指摘されてもヘラヘラしてるじゃないですか。俺としてはもっとしっかりと考えられる人の方が兵士長として立派なのではないかと思っているのです」
ガク「お前はバンさんの凄さがまだわかっていないだけだ!あの人は普段と本番では全くの別人になる人なんだよ!」
フランク「だとしても、普段からしっかりしているのはベグルさんやロベルトさん、マーズさんだろ。その人の方が絶対に兵士長に向いている!バンさんは兵士長に向いていないだろ!」
ラース「ふむ.......。話はよくわかった。フランクの言う通りバンは兵士長というには向いてないよな」
ガク「え!?ラ、ラース将軍!?」
フランク「そうですよね。バンさんはラース将軍がお気に入りだから兵士長にしたのですか?」
ラース「まさか。そんな程度で決めるわけないし、俺は別にバン以外とも仲はそれなりにいいはずだ」
フランク「ならどうして!」
ラース「フランク、落ち着け。フランクは入りたてだから仕方ない事だが、バンの事をよく知らないんだろうな。皆に聞いてみたらどうだ?バンをどう思うかってな」
フランク「聞く.....ですか。そんな事したって」
ラース「おっと。確かに大した行動には思えないかもしれないが、知らないと知るでは大きく違うぞ。見えない部分が少し見えてくるかもな」
フランク「.........わかりました。では、まずラース将軍からお願いします。バンさんをどう思っていますか」
ラース「俺の自慢の弟子だ。常に明るく、ひたすらに真っ直ぐなやつだ。あいつは俺より強いからな。大したやつだよ」
フランク「バンさんが.........ラース将軍より強い?ベグルさん達にいつも殴られて死にかけてるのに?」
ガク「あれはまあ......。うん」
フランク「ガクはどうなんだ?」
ガク「俺か?俺の憧れの人だ!兵士になった理由の一人でもあるんだ。あの人の凄い所は努力を怠らない事!毎日しっかり鍛錬を続けてるから凄いんだぞ!」
フランク「.......そんなの、ベグルさん達だって残って練習してるだろ」
ガク「まあな。俺からはこれだけだな」
ラース「詳しくはベグル達に聞いてみろ。面白い事知れるかもしれないぞ?」
フランク「........わかりました」
しばらくして
マーズ「え?バンがどんなやつかって?」
フランク「はい、少し知りたくなって」
そこにはフランクだけでなく、最近入ったばかりの人達が二人いた
マーズ「そうだなぁ.......。一言で言うと、俺より凄いやつ、かな」
ジェイ「マーズさんより?バンさんは魔法使えませんし、賢くありませんよ?」
マーズ「はは、そうだな。バンは本当馬鹿だよな。だけど、魔法や頭の回りがいいから凄いのか?表面的な凄さってのは案外大した事ないんだぜ」
ロビン「じゃあマーズさんは凄くないんですか?」
マーズ「はは、失礼だな。でも、バンと比べたら俺は全然凄くないさ。俺はあんな風には絶対なれないし、真似も出来ない。少し羨ましいんだぜ?バンがよ。あ、本人には秘密な?」
フランク「ありがとうございます、マーズさん」
廊下
ギバ「うーん、バンがどういう奴ねえ。難しい質問するな、三人とも」
フランク「少しでも構いません。ギバさんがこれまでで感じたバンさんの事とかでも」
ギバ「うーん、じゃあこれかな。俺達の前を作り出すやつだ」
フランク「前を作る?ど、どういう事ですか?」
ギバ「変な事言ったように思えるかもしれねえけどよ、これが俺としてはしっくりくるんだよな。バンは兵士長になるずっと前から俺達の前に立って道を作り出してたんだ。
一人じゃどうしようもない壁にぶつかった時、負けそうになった時、夢を見失った時。そんな時にバンは必ず笑って助けてくれた、隣に立ってよ。いつのまにか目の前にあった壁や問題はそいつに壊されてたんだ。進む道を指し示してくれた。だからバンは俺にとって前を作り出すやつだ」
ジェイ「.........そんな事があるんですか」
ギバ「そうだぜ!だから、お前らも何か困ったらバンに頼れよー。絶対なんとかしてくれるはずだぜ」
大広間
ガザル「バンを知りたい?珍しいな、お前らいつもバンを嫌ってただろ」
ロビン「ラース将軍にバンさんの事を聞いてみろと言われて」
ガザル「ほ〜、まあいいんじゃねえの?嫌いだから知らなくていいってわけじゃねえもんな。んで、俺からは.......そうだな。目標だな」
ロビン「目標?バンさんがですか?」
ガザル「あ!絶対本人に言うんじゃねえぞ!?言ったらお前らどうなるかわかってるよな?」
三人「は、はい!」
ガザル「目標ってのはだな。あいつの行動に、だよ。あいつはな、困ってる人を放っておかねえんだ。すぐに手を差し伸べてくれる。簡単な問題から厄介な事までな。それで全員助けちまうから本当凄いんだ。
俺もああなれたら、昔の自分と変われるかなって........。少し話が逸れたな。まあそんな感じだ」
フランク「ありがとうございます、ガザルさん。秘密にしておきますね」