その頃、クレイモラン王国
カミュとマヤの家
カミュ「あれ?シロ」
シロ「バウ!」
シロが家の前で待っていた
カミュ「マヤ達はどうした?まだなのか?」
シロ「?」
カミュ「知らねえみたいだな。もう夜遅くなるぞ、あいつら何やってんだ」
シロ「クゥ〜.....」
シロは家の扉の前で待っている
カミュ「そうだよな、シロは腹減ったよな。一旦お前だけ食べててくれ。用意するからよ」
カミュとシロは家の中に入っていった
その頃、風穴の洞穴
マヤ「........随分と久しぶりだな。ここに戻ってくるの」
グリー「マヤさん.......僕を連れてきたい場所ってここ?何も無いけど」
グリーは周りを見渡している
マヤ「うん、グリーに話しておきたいと思ってね。隠し事はしたくないから」
グリー「隠し事って......そんなの気にしないよ」
マヤ「私が話しておきたいの。グリーがこれまでどうやって生きてきたかは教えてくれたのに、私だけ恥ずかしがって言わないなんて嫌だから」
グリー「...........そっか。じゃあ聞こうかな」
マヤ「まずね、私と兄貴は親に捨てられたの。ずっと子どもの頃に。まだ私がすごく小さかった頃だよ。兄貴に寒い雪の中手を引かれていた事だけ覚えてる」
グリー「!!マヤさん、やっぱり話さなくていいよ。辛い過去を掘り返すつもりはなかったんだ」
マヤ「ううん、私は大丈夫だから聞いてほしい。それからバイキングっていうここら辺でいう海賊みたいなやつらの元に拾われた。そこで私と兄貴は育ったんだ。毎日ヘトヘトになるまで働かされて、ここの洞穴で何年も過ごしてた」
グリー「........こんな場所で。風だって雪だって凌げないし、まともなご飯を用意する事だって」
マヤ「うん。いつも二人でお腹空かしながら一枚の毛布に二人で包まって寝てたよ。言葉だって私はまともな使い方出来なかったんだ。今とは違って乱暴な言葉使いだったし、兄貴みたいな話し方してた。自分の事俺って言ってたしね」
グリー「............」
その頃、クレイモラン王国 港
カミュ「ったく!あの二人、どこに行きやがったんだ。連絡もなしに。まさか街にいねえとは思わなかった」
船員「おーい、どうしたんだ?兄ちゃん。誰か探してんのか?」
港で船の準備をしていた人が話しかけてきた
カミュ「悪い、俺と同じ髪色した女と赤い髪した男の人が二人でここに来なかったか?」
船員「あー、来た来た。かなり特徴的だったからな。よく覚えてるぜ。小舟を二人で借りて、今はもう使われてない元バイキング達のアジトに向かっていったな。あそこにはもう何もないはずなんだがよ」
カミュ「そうか、教えてくれてありがとな。俺の分の小舟も借りていいか?」
船員「おお、もしかして妹さんとかか?髪色とかそっくりだもんな。もう夜も遅い。迎えに行ってやんな」
カミュ「ああ、そうさせてもらう(マヤのやつ、あそこに今更何の用が。もう何もあそこには.........まさか、マヤのやつグリーに)」
その頃、風穴の洞穴
マヤは自分の過去を全て話し終わった
マヤ「そうして今はデルカダール王様の娘として、デルカダールのお城に住んでるんだ」
グリー「うう......そっか、そっか」
グリーは涙ぐんでいる
マヤ「いしし、グリーったら泣くような事だった?」
グリー「だって......僕、マヤさんの事何も知らなくて.....元気で賢くて優しい女性だと思ってたんだよ。過去にこんな事があったなんて.........」
マヤ「あの頃のままなんて嫌だったんだ。優しく迎えてくれた王様達にも、何より私自身が嫌だった。だから学校で沢山の事を学んで、変わりたかったんだ。こんな過去なんて笑い飛ばせるくらいにさ」
グリー「マヤさんはやっぱり強いよ。めげずに努力したからきっと今のマヤさんがあるんだね」
マヤ「そ、そうかな?私は強くなんてないよ。今日だって、この過去をグリーに話していいのかずっと考えてた。嫌われないかな、とか気持ち悪がられたりとか」
グリー「何言ってんの、マヤさん。僕だって海の呪いでずっと苦しんでたし、気持ち悪がられてた。初めてマヤさんにその事を知られた時は嫌われたと思ってた。
でも、マヤさんは違ったよね。真っ直ぐ僕を見てくれた、支えてくれた、嫌わないでくれた。僕、すっごくすっごく嬉しかったんだよ。今でもあの感動は覚えてる。そんな事されたの初めてだったから。
そんな僕がマヤさんのこの過去を知ったからって変わると思う?何も変わらないよ。寧ろ、マヤさんをもっと尊敬するようになった。マヤさんの強い心や努力を絶対に怠らない所はここから来てるんだよ」
マヤ「グリー...........。うん、ありがとう!私、グリーのこういう所大好きだよ。普段は怖がりだけど、大事な所では怖がらずに真っ直ぐ見つめてくれる所。グリーのその真っ直ぐな勇気に励まされる」
グリー「えへへ、照れるなあ。僕もマヤさんの持つ光が好きだよ。明るくて優しい青い光。いつも僕を照らしてくれてた。支えてくれている事を教えてもらってたよ」
二人は笑顔で抱きしめた
ガチャ
二人「!?」
カミュ「やっぱりここにいやがったか」
二人「兄貴!/カミュさん!」
カミュ「ったく、遅くなるなら俺に知らせておけ、マヤ。心配かけさせんなよ」
マヤ「あ.......本当だ。もうこんなに暗いや。ごめんなさい、兄貴」
カミュ「話したのか?ここの事、俺達の今までの事」
マヤ「う、うん。でも!グリーなら信じられるって」
カミュ「別に俺も気にしちゃいねえよ。マヤが自分からこの事を話してもいいって思える相手が出来たんだ。俺も喜ばねえとな」
マヤ「うん!」
グリー「ごめんなさい、カミュさん。知られたくない事だったと思うんですけど」
カミュ「気なんか使わなくていいぞ、グリー。俺もお前ならきっとマヤを嫌わねえでくれると思ってたからな。呪いに苦しんでた所とかまさにマヤと一緒だろ」
グリー「はい、そうですね」
マヤ「あ!そうだ!ここに来た目的はまだあるんだ。グリー、上見てごらん」
グリー「上?あ!!」
グリーが上を見ると満点の星空が広がっていた
カミュ「ああ、なるほど。この景色を見せたかったのか。ここなら魔物もいないし、星がよく見えるもんな」
マヤ「そうそう。どう?グリー、綺麗でしょ?」
グリー「うん。凄く綺麗だよ。星がよく見える。一つ一つ輝いてて、光の色の違いも見える」
マヤ「ねえ、兄貴。あそこに行こうよ。昔よく二人で星を見てた場所」
カミュ「お、久々に行くか。今日もブルームーンがよく見えたからな。あそこは特等席だろ。グリー、ついてこい」
グリー「はい!」
風穴の洞穴 上部
カミュ「よっと。グリー、引っ張るぞ」
グリー「は、はい。お願いします」
カミュ「ほらよ!」
グリー「えいっ!ふ〜、ここって.........あ、さっきの洞穴の上ですね」
マヤ「そう。昔はここで寝そべって二人で星や月を見て話してたんだ」
カミュ「ほら、見てみろよ、二人とも。ブルームーンがよく見えるぞ」
二人「お〜.......」
青く光る満月が満点の星空と共によく見えている
海にもその景色が反射され、鏡のようになっている
グリー「これがブルームーン。本当に月が青いや」
マヤ「私もこれを見るのは久しぶり。いつ見ても綺麗だな」
カミュ「星もよく見えるな。お、確かあれはオリオンだな。という事は冬の大三角ってやつも.......あれか。今日は本当によく見えるな」
マヤ「え!?待って、兄貴めちゃくちゃ星に詳しいじゃん!どうしたの!?」
グリー「流石カミュさん、星座に詳しいんですね」
マヤ「違うよ、グリー。兄貴は星座なんか知らなかったはず!」
カミュ「俺だってあの頃より知識はあんだよ。星に関する本は結構好きだからな。前に何回か読んだ事がある。それで覚えたんだ。方角を知る時にも役立つしな」
マヤ「へ〜.......。じゃあ私達が昔勝手に名付けてたスライム座とかって、実は全然存在しないのも?」
カミュ「そうだな。ごうけつぐま座とかおおさそり座とかも知ってるぞ」
マヤ「え!?私より詳しくなってる!なんか悔しい!」
グリー「えー、二人とも星座に詳しいんだ。僕にも教えて、マヤさん」
マヤ「うん、いいよ」
カミュ「まあ俺はそんな星座とかよりも、昔やってた自由に星を結んで好きな形にするのが好きだったぜ。楽しいしな」
マヤ「あ、わかる!私も本見て思った!グリー、私が昔見つけたやつでね、あの星と隣の星、斜めのあの星を結ぶと」
グリー「あ!スライムだ!スライムの形になるよ、マヤさん!」
マヤ「でしょ!?これはもうスライム座だよね!?私、発見者だよ!」
グリー「すごーい!僕もやってみよ」
カミュ「あの星と離れたあの星を繋いでベビーパンサー座」
マヤ「あ!似てる!コロだよ、コロ!」
カミュ「はは、そうだな。あれはコロ座だ。じゃあブレイブ座とかシロ座も作ってやらねえとな」
その後、しばらく三人で寝そべって星空を見ながら楽しく話していた