ドラゴンクエストⅪ 魔法戦士の男、恋をする   作:サムハル

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あなたのために

しばらくして

 

 

 

メグ「出来ました!」

 

 

 

 

店長「おし、これは大成功だな!」

 

 

 

そこには綺麗に焼き上がり、甘いチョコレートの匂いがするケーキが一切れ出来た

 

 

 

店長「んじゃ、こんなアクセントはどうだ?」

 

 

 

シンジはその上に細かく刻まれたレッドベリーを乗せた

 

 

 

メグ「あ!いいですね!酸味と甘味でバランス取れそうです」

 

 

 

 

店長「だよな。それに、今度はさっきよりも絶対美味しく出来てるはずだぜ。なんたってメグさんがバンのために作った心のこもったケーキなんだからな!バンもきっと喜ぶはずだ」

 

 

 

 

メグ「はい!シンジさん、ありがとうございました!お店の方は大丈夫ですか?」

 

 

 

 

店長「今日は少しだけ遅めに開店するさ。ラースがメグさんの緊急事態だと言ってきて俺も焦ったからな」

 

 

 

 

メグ「ラース様.......」

 

 

 

 

店長「それじゃあ俺はここで粗方片付けておくからそれをバンに届けてこいよ。出来立てのうちにな」

 

 

 

 

メグ「あ、そうですね。でもシンジさんはここまでしてくださったのですからそんな片付けなんて」

 

 

 

 

店長「別にすぐ終わるから大丈夫だって。ほら」

 

 

 

シンジは個包装した先程のケーキを渡した

 

 

 

メグ「わかりました。すぐに戻りますね」

 

 

 

 

店長「別にゆっくりしてても構わないからなー」

 

 

 

カラン

 

 

 

店長「(さて、と。なんかまだ心配なんだよなー。さっさと終わらせてついていってみるか)」

 

 

 

その頃、デルカダール城 朝食場

 

 

 

マルティナ「え?店長さんにも連絡したの?」

 

 

 

 

ラース「ああ、バンがメグに対してあまり力になれなさそうだったからな。メグの方が酷く傷ついているからどんな行動するかわからない。そこを同業者でもあるシンジに頼んだんだ」

 

 

 

 

グレイグ「そうだったのか。多少でも改善されているといいのだが」

 

 

 

 

ラース「まあ少なくともバンにはなんとかアドバイス出来たんだろ?」

 

 

 

 

マルティナ「ええ、一応ね。バンも少しでも元気になってくれるといいんだけど」

 

 

 

 

ラース「ならいい方向に向かう事を信じるさ。バンはすぐ行動に移すからな。ここからバンがどうしていくか次第だな」

 

 

 

デルカダール城下町 広場

 

 

 

メグ「やだ、雨が降ってきちゃった」

 

 

 

空はドンヨリと暗く、雨が少しずつ強くなってきた

 

 

 

メグ「急いでお城に向かわないと」

 

 

 

 

男性B「あー!あんたは!」

 

 

 

 

メグ「?」

 

 

 

 

男性B「あんただよな!あのカフェの店員!俺の友人に何してくれてんだよ!」

 

 

 

 

メグ「な、なんの話ですか!」

 

 

 

 

男性B「とぼけんな!この前あんたの店に友人が向かってからあの二人牢屋に入れられたんだぞ!」

 

 

 

 

メグ「!?あれは、あのお二人が私の店を壊して!」

 

 

 

 

男性B「知るかよ!あんたのせいで友達が酷い目にあって..........あ?なんだ?このケーキ」

 

 

 

 

メグ「あ、駄目!」

 

 

 

メグは奪われそうになったケーキを必死に掴んだ

 

 

 

男性B「な、なんだよ!こんなん持って必死になってよ!俺だって知ってるんだぞ!あんたのとこのケーキがまずいってな!」

 

 

 

 

メグ「!」

 

 

 

メグはそれを聞いて少し力が抜けた

 

 

 

男性B「おっしゃ!」

 

 

 

 

メグ「あ!!」

 

 

 

男性にケーキを奪われてしまった

 

 

 

メグ「返してください!それはバンへの大切な!」

 

 

 

 

男性B「あんたなんかのまずいケーキを喜ぶやつなんかいないって!そらよ!」

 

 

 

ベシャッ!

 

 

 

男性はケーキの袋を地面に勢いよく投げつけた

 

 

 

メグ「〜〜!!」

 

 

 

メグはその袋を夢中で取ろうとする

 

 

 

男性B「うっとうしいんだよ!」

 

 

 

バキッ!

 

 

 

メグ「キャアッ!」

 

 

 

男性はメグの顔に蹴りを入れた

 

 

 

男性B「ほらほらほら!俺はあんたにムカついてんだよ!」

 

 

 

男性はその袋を何回も踏みつけている

 

 

 

メグ「やめてーーーー!!!」

 

 

 

その頃、大広間

 

 

 

バン「............メグ、大丈夫かな。あ、雨がまた強くなってきた」

 

 

 

バンは大広間でウロウロしていた

 

 

 

バン「.........俺の役目はメグに自信を持たせる事、か。メグ、まだ俺の事信じられてないのかな。........................行ってみるか」

 

 

 

バンは傘を持って城から出ていった

 

 

 

その頃、広場

 

 

 

ザワザワ

 

 

 

メグの叫び声により、人が集まってきていた

 

 

 

男性B「チッ!」

 

 

 

男性は去るように逃げていった

 

 

 

メグ「................」

 

 

 

メグの前にはボロボロでグシャグシャになったケーキの残骸が落ちている

 

 

 

メグ「〜〜〜どうして!!どうして!どうしてなの!!」

 

 

 

商店街 裏通り

 

 

 

男性B「結構なやつに見られたな。少し大人しくしておかねえと」

 

 

 

 

???「んな事出来ねえよ」

 

 

 

 

男性B「!?」

 

 

 

 

店長「てめえ、どれだけの事やらかしたかわかってんのか?」

 

 

 

 

男性B「なんだ!お前は!」

 

 

 

 

店長「黙れ」

 

 

 

ドスン!

 

 

 

男性の真横に剣が突き刺さる

 

 

 

男性B「ヒッ......」

 

 

 

 

店長「今すぐにでもお前を殺してやりたいが、それはラース達の役目だ。さあ、牢屋まで連れてってやるよ」

 

 

 

貴族階層 外れ

 

 

 

メグ「ううっ...........うう」

 

 

 

メグは雨の中ボロボロになった袋を持って泣いていた

 

 

 

メグ「私.........もう何も残ってない」

 

 

 

 

???「やっと見つけた」

 

 

 

 

メグ「?」

 

 

 

メグに降り注いでいた雨が止んだ

 

 

 

バン「メグ、ようやく見つけた。家にもカフェにもいないしで心配したんだぞ」

 

 

 

 

メグ「............バン」

 

 

 

 

バン「こんなずぶ濡れになって風邪ひくぞ。って、顔に怪我してるじゃねえか!どうしたんだよ、それ!」

 

 

 

 

メグ「バン、どうして?」

 

 

 

 

バン「?なにがだ?」

 

 

 

 

メグ「私、バンに酷い事言ったわ。信じられないって。なのに、どうして優しくしてくれるの?」

 

 

 

 

バン「確かに傷ついたぞ。正直言って今もまだどうしたらいいかわかってねえ。でも、メグが泣いてるんだ。それを放っておけるわけないだろ」

 

 

 

 

メグ「............ごめんね、バン。あんな事言って。私、気付いたの。いつもバンの言葉で自信を貰っていたんだって。私がお菓子を作る理由はバンに喜んでほしかったから。バンの笑顔が、言葉がなによりも嬉しかったから。それなのに、私は........」

 

 

 

 

バン「............そっか。俺もずっと考えてた。メグに何もしてやれなかったって。力になれなかったって」

 

 

 

 

メグ「そんな事ないよ!バンはいつだって私に!」

 

 

 

 

バン「ああ。それを聞いて俺も嬉しかったぞ。でも、伝わりにくかったかもしれないよな。だからよ!俺、さっき思いついたんだ!メグ、俺はメグの店の世界一のファンだぞ!これでどうだ?」

 

 

 

 

メグ「ファン?」

 

 

 

 

バン「おう!メグの作ってくれる料理は全部好きだし、メグがしてくれる事も好きだ!これってファンも同じだろ?だから俺はメグの店の世界一のファンだ!メグに対する好きって気持ちなら世界中の誰にも負けねえ!」

 

 

 

 

メグ「ふふ、ふふふ。なに、それ。変なの」

 

 

 

 

バン「ええ!?こ、これじゃ駄目か!?」

 

 

 

 

メグ「ううん、平気。凄く嬉しいよ、バン」

 

 

 

 

バン「へへ、よかった。ところで、その手にある袋?みたいなのはなんだ?」

 

 

 

 

メグ「あ..........。ううん!気にしないで」

 

 

 

メグはサッと後ろに隠した

 

 

 

バン「な、なんだよー。気になるだろー」

 

 

 

 

メグ「いいの、気にしないで」

 

 

 

 

バン「お?甘い匂いがするぞ!もしかしてお菓子なのか?」

 

 

 

 

メグ「...............元、ね。さっき前に来た男の人達の仲間にボロボロにされちゃったの」

 

 

 

 

バン「な、なに!?もしかしてその怪我も!」

 

 

 

 

メグ「うん。取り返そうとしたら蹴られちゃって」

 

 

 

 

バン「〜〜!!待ってろ、メグ!!必ず捕まえて絶対後悔させてやるからな!」

 

 

 

 

メグ「............」

 

 

 

 

バン「メグ?」

 

 

 

 

メグ「これ、チョコレートケーキだったの。バンと仲直りしようと思って、シンジさんと一緒に心をこめて作ったの。ほら、初めて私とバンが会った時にチョコレートケーキ失敗しちゃったでしょ?だから今度こそ成功したやつでって思ってたんだけど」

 

 

 

 

バン「お、俺のために?」

 

 

 

 

メグ「でももう食べられないわ。帰ったらもう一回作るから待ってて、バン」

 

 

 

 

バン「いや、食べる。その袋くれよ」

 

 

 

 

メグ「え!?だ、駄目だって!これ、こんなボロボロだし、泥だって」

 

 

 

 

バン「袋に入ってるから泥はねえよ。見た目なんか大して気にしねえって」

 

 

 

 

メグ「でも!もう焼きたてじゃないし、美味しくなんか」

 

 

 

 

バン「隙あり!」

 

 

 

バンは袋をメグから横取りした

 

 

 

メグ「あ!!」

 

 

 

 

バン「あーん...........」

 

 

 

バンは袋からチョコレートケーキだった粉を口に全部入れた

 

 

 

メグ「もう!またそうやって!」

 

 

 

 

バン「美味いぞ!メグ!」

 

 

 

 

メグ「そんなわけないでしょ。ケーキでもなくなっちゃったんだから」

 

 

 

 

バン「いやいや、美味いって!本当だって!いつものメグの味がする。暖かい味だ。俺、この味が一番好きなんだ。メグが作ってくれたってわかるからよ」

 

 

 

 

メグ「!?.............ありがとう、バン」

 

 

 

 

バン「おう!じゃあ帰ったら今度はケーキのやつ食べてえなー」

 

 

 

 

メグ「ふふ、わかったわ。今よりももっと美味しくするから待っててね」

 

 

 

 

バン「おお!やったー!」

 

 

 

その頃、デルカダール城 玉座の間

 

 

 

店長「ほら、ラース。さっさとこのクズ野郎連れてってくれ」

 

 

 

 

ラース「わかったよ。ただこの怪我治してからな」

 

 

 

運ばれてきた男性は胸に大きな切り傷がついている

 

 

 

店長「この程度で済ましてやったんだから感謝してくれよな」

 

 

 

 

ラース「はいはい。グレイグ、頼む」

 

 

 

 

グレイグ「わかった。ベホイム」

 

 

 

傷が塞がっていった

 

 

 

店長「二度とそいつ牢屋から出すなよ?それじゃあ俺は店に戻るからな」

 

 

 

 

ラース「おう、メグの援助とこいつの確保ありがとな」

 

 

 

シンジは少し不機嫌そうに去っていった

 

 

 

マルティナ「店長さんって怒ると普段と違って少し怖いわね」

 

 

 

 

ラース「まあ食い物を粗末にしたり、女性を泣かせたりするとああなるんだ。今回はどっちも起こったからな。まあ殺さなかっただけまだいい方だ」

 

 

 

 

グレイグ「まあそれで怒るのは誰もが当然だな。特にシンジの場合は職業柄にも許せないのだろう」

 

 

 

 

ラース「それじゃあ俺はこいつを牢に入れてくるぜ」

 

 

 

 

マルティナ「ええ、よろしくね」

 

 

 

 

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