それから数日後の夜、デルカダール城下町
酒場
そこではギバとマーズ、ガザルで酒を飲んでいた
ギバ「え?ダバンの様子が変?」
マーズ「なんとなくな。特別変ってわけじゃないんだが、行動が少しおかしくてよ」
ガザル「そうか?例えばどんな事だよ」
マーズ「俺達には変わらないんだけどよ、ラース将軍達に対して少し変わったような。よく玉座の間で話す事も増えてるしよ。この前なんて玉座の間から出てきたんだが、金貰ってきたんだぜ」
ギバ「え!?ダバンのやつ、生活に困ってんのか?」
ガザル「ミラさんもいるのに生活が苦しいのはおかしいだろ。確かに少し気になるな」
マーズ「本人も気にするなって言ってたから心配というわけではないが、困っているなら頼ってくれてもいいよな」
ギバ「ふーん、なるほど。バンやベグルには言ったのか?」
マーズ「いや、まだだ。まあ大した事ないだろうから伝えてない。バンに言ったら勘違いして大騒ぎするだろ」
ガザル「確かに。まあ頭に入れておく。何かあったら動けるようにしておこう」
マーズ「ああ、頼んだ」
その時
ガシャァン!!
三人「!?」
突如皿やコップが割れる音がした
男性A「んだと、ゴラァ!!」
男性B「やんのか、あぁ!?」
近くでは男性達が取っ組み合いを起こそうとしている
両者とも顔は赤くなっており、酔っ払っていると見える
ギバ「おいおい、こんな所でか」
ガザル「まったくだ。仕事増やされるのは困るんだけどよ」
マーズ「起こったんだから仕方ない。止めるぞ」
マーズが立ち上がった時
女性「やめないか、お前達!」
男性達の近くで飲んでいた一人の女性が凛とした声をあげた
女性「ここは皆が集う酒場だ!暴れるのは外でやれ!」
その女性は腰まで伸びた紫がかった黒い髪をしており、青い花の髪飾りがついている。また近くには大剣も置いてある
男性B「なんだよ、姉ちゃん!こいつが悪いんだぜ、俺の酒がまずいって!」
男性A「お前みたいなやつが飲む酒なんて酒じゃねえよ!」
男性B「んだとぉ!?」
男性達は再び取っ組み合いが始まろうとしている
女性「仕方ない、外に出ていってもらうぞ!」
女性は近くにあった大剣を取った
ガザル「おいおい、また面倒になってきてるぞ」
マーズ「ストップだ!」
マーズは女性と男性達の間に割って入った
男性B「ぐっ」
女性「む......」
マーズは片手で乗りかかっていた男性の一人を掴み、片足で女性が掴む剣を止めていた
男性A「あ.....兵士さん」
マーズ「これ以上暴れるのなら三人とも連行するぞ。特にそこの二人、酔っ払うまで飲んで誰かに迷惑をかけるな。仲良くしろとは言わないが、嫌ならさっさと家に帰って別々で飲むんだ。
そこの女性の方も勇敢に止めてくれようとしたのは助かるが、あなたまでそんな物をここで振り回す気ですか?周りの方にも危険が及ぶのでもう少し冷静にお願いします」
男性B「わ、悪かったよ、兵士さん」
男性A「俺も熱くなりすぎた。別にそこまで強く思ったわけじゃなかったんだ」
マーズ「次はないからな」
男性達は酔いが冷めたのか倒れたテーブルを直して、コップなども全て拾ってマスターに届けた
マーズ「まったく」
ガザル「優しいな、マーズは。もう少し強めに言ってもよかったんじゃねえの?」
マーズ「そんな事して怯えられても困る。突っかかってきたら考えるが、まだそんな段階じゃないだろう」
女性「失礼した、兵士殿」
マーズ「いえ、これも仕事のうちですし、よくある事なんで」
女性「そうか。私も先程この有名なデルカダールに来て酒場でゆっくりしていたら邪魔されてな。私もどうやら気付かぬうちに熱くなっていたらしい。兵士殿もお仲間と楽しんでいただろうに申し訳ない」
ギバ「いいって、いいって。それにしても旅人だったのか、姉ちゃん。見たところ一人みたいだし、剣もあるけど女が一人でってのは少し危険じゃないか?」
女性「なんだ、女性だから旅をしてはいけないのか?」
女性は少し睨むようにギバを見た
ギバ「あ、いや、そういうわけで言ったんじゃねえんだ。勘違いさせて悪かった」
女性「ふん、まあいい。兵士殿、先程の私と男達を止めた動き、力、素早く冷静な対処、どうやら中々やるみたいですね。兵士というのは名ばかりで実力は低いと判断していたのですが、どうやらあなたはそうでもないようですね」
マーズ「あー、まあな。俺だけじゃないがここの兵士は特別鍛えられてるからな。他の国の兵士達よりはずっと強い自信がある。こっちのギバやガザルも同じだ」
女性「ほう、それはまた面白い。名乗り遅れた。私、旅人をしているベルと言う。様々な場所を巡ってようやくこの有名なデルカダールに来たのだ。それと先程の実力を見て兵士殿に頼みたい事がある」
マーズ「なんだ?」
ベル「私と戦ってはくれないだろうか?」
マーズ「え」
ベル「忙しい事は承知しているのだが、私自身もっと高みを目指したいのだ。そのため強き者と戦い、自身の実力がどれだけ通用するかを測りたいのだ。どうか引き受けてくれないだろうか」
マーズ「うーん.......」
ガザル「面白い事になってきたじゃねえか、マーズ。引き受けてやれよ」
ギバ「明日なら昼から時間あるだろ。その時はどうだ?」
マーズ「まあ.......少しだけだからな」
ベル「おお!ありがたい!明日の昼だな、どこに向かえばいい?」
マーズ「まあ戦闘って事だし、俺達が普段使っている訓練場がある。デルカダール城の中にあるからデルカダール城に明日の昼に来てくれ」
ベル「一般の人が入って平気なのか?」
ギバ「用事があったりするなら普通に入って大丈夫だぜ。許可が出れば見学もいろいろ出来るぞ」
ベル「ほう、かなり開放的なのだな。それも珍しい」
ガザル「特徴的だろ?マルティナ様が王女様になってからなんだ」
ベル「ああ、勇者の仲間の一人である人だな。確か英雄グレイグと同じく勇者の仲間であるラースという男もいるのだったな」
マーズ「流石に知っていたか。まあそういうわけで明日城に来てくれよ」
ベル「了解した」