その頃、デルカダール城
マルティナとラースの部屋
そこではラースによりグレイグも集められていた
グレイグ「どうした?ラース。真剣な話など」
ラース「グレイグ、この記述は本当なのかを聞きたい。まずはそこからだ」
ラースは少し古めの赤い手帳のようなものを渡した
マルティナ「これは?」
ラース「とある人が書いたデルカダールでおこった現象の記述だ」
グレイグ「!!?こ、この筆跡!!ホメロスのものか!?」
マルティナ「ええ!?」
ラース「保管庫に残っていた。そしてその内容だが」
グレイグ「某年某月某日、デルカダール城下町に突如謎の男が出現。何の前触れもなく現れた男は記憶を失っていた。素性も確認できず、怪しいと思っていたが性格的に悪人ではないと判断した。名前だけは覚えていたようで、名前はバンというらしいだと!?」
マルティナ「!!?ま、待って!!バンって、今のバンの事!?」
ラース「その続きも頼む」
グレイグ「あ、ああ。バンを観察する対象として判断した私は兵士として招くと同時に本人と口裏を合わせ、昔からデルカダールに住んでいた事にした。また、バンを常に監視が出来るようにもしていた。
しかし、監視をしても特に何もなく明るい性格から様々な人と仲良くなっている。だが、素性がわからぬ謎の男。何か不穏な動きをしないか今後も監視を続けていく」
マルティナ「嘘.........」
ラース「これは本当なのか?グレイグ。この日、本当にバンはデルカダール城下町に現れたのか?」
グレイグ「す、すまない。この日、記憶が正しければ俺は遠征に行っていた。数日後に帰った俺はホメロスからバンという男が新入りとして入ったと聞かされただけなのだ。まさかこんな事情があったとは」
ラース「だが、間違いなくバンはいきなり現れ兵士に入った、と。だからバンの住民登録も無かったのか」
マルティナ「そ、そんな事まで調べていたの!?どうして、バンの事を?」
ラース「前から疑問に思っていた。なぜ魔物の言葉がわかるのかってな。エドみたいに魔物と過ごしていたわけじゃないだろう。エドやビル達にも聞いたが、魔物の言葉を理解するには普通の人間では不可能に近いと言っていた。
また目が凄くいいというのも不思議だ。なんせデルカダール地方の見張り台からデルカコスタ地方の森の中の細部まで見えている。これは人間の領域じゃない」
マルティナ「バンが人間じゃない!?何言ってるのよ、ラース!彼は人間よ!間違いなく!」
グレイグ「言われてみれば昔からバンは目がよかった。遠征時にもそれで助けられた事がある。だが、バンはいいやつだ。記憶も素性もなく怪しむのはわかるが、そんな悪い人ではあるまい」
ラース「それは俺もわかっている。調べた理由はほんの興味程度だったんだ。まさかこんな事を見つけるとは思わなかったけどな」
マルティナ「バンをどうするつもり?まさか辞めさせるなんて言わないわよね?」
ラース「まさか。そんな事、俺だってしたくない。悪いやつなんかじゃないのはもうわかりきっている。だが、あいつが何者なのか、どうして何の前触れもなく現れたのか、記憶を取り戻そうとはしないのか。色々知りたい事はある」
グレイグ「ふむ........確かにな」
ラース「明日、昼ごろにバンに玉座の間に来てもらって直接聞いてみようと思っている。マルティナとグレイグはどうする?」
マルティナ「............」
グレイグ「俺は聞こう。ホメロスが何を考えてそのような判断にしたのかも知りたい」
ラース「マルティナは?」
マルティナ「.........聞くわ。どんな事が聞かされるのか少し怖いけど、きっとバンの事だから大丈夫と信じてるわ。でも、ラース。これだけは約束して。絶対無理矢理聞こうとはしないで。誰にでも知られたくない事だってあると思うし、知らなくてもいい事だってあるから」
ラース「そうだな、マルティナの言う通りだ。もちろん約束する。俺だって強制なんてしたくないしな」
次の日、デルカダール城 大広間
ベル「こ、ここがデルカダール城か」
ギバ「お、来た来た。よっ、ベルだったよな。昨日はよく眠れたか?」
ベル「ああ、昨日の。昨夜は少々寝付けなかった。久しぶりに強者との戦いで興奮しているのだろうな。今もワクワクしている」
ギバ「はは、闘争心メラメラだな。さて、訓練場はこっちだぜ。ついてこいよ」
ベル「ああ、感謝する」
訓練場
ギバ「おーい、マーズー。ベルが来たぞー」
マーズ「ああ、本当に来てくれたのか。それじゃあ準備するから少し待っててくれ」
ベグル「あんた誰だ?」
ベル「突然すまない。私はベル、旅人だ。昨夜そちらのマーズという兵士達と色々あり少々知り合ったのだ。その際、私のわがままでこちらで少し勝負をする事になった。すぐに出ていく予定なのであまり気になさらずに」
ロベルト「ほー、勝負か。マーズは結構強いぞ、そこら辺の魔物や兵士と比べてるようなら間違いだ。大丈夫か?」
ベル「ああ、私も腕には少々自信がある。どれくらい太刀打ち出来るか調べさせてもらう」
ダバン「まあマーズの事だから激しくはならないだろうけどよ、もし怪我したら言ってくれ。俺が回復するから」
ベル「感謝する」
ベグル「大剣、か。女性には似つかわしくない武器だな」
ベル「あなたも大剣使いのようですね。勉強にしたいのでこの後お願いしてもよろしいでしょうか?」
ベグル「構わないぜ。俺は周りよりちょっと強いぞ」
ガザル「どこがちょっとだよ」
ベル「ああ、楽しみにさせてもらうぞ」
マーズ「よし、準備オーケーだ。ベルさん、大丈夫か?」
ベル「ああ。私も準備は済ませてきている」
マーズ「了解。さて、と」
マーズは剣を抜いた
それを見てベルも大剣を構える
ギバ「じゃあ俺が始めの合図を言うぜ。............始め!」
マーズ「ふっ!」
マーズはベルに突っ込んでいく
ベル「ふむ、早い。だがこの程度!」
ベルは大剣を振り下ろす
マーズ「イオナズン!」
マーズは振り下ろされる少し前に止まり、魔法を唱える
ベル「魔法!?」
ドォォン!
ベルを中心に爆発が起こる
マーズ「は!」
マーズは煙がまだ立ち込める中に入っていく
ベル「ふん!」
キンッ!
マーズ「はやぶさ斬り!」
ベル「見えているぞ!」
キンッ!
煙が晴れてもベルはマーズの攻撃を防ぎ続けている
ベル「こちらもいかせてもらおう!アイスブレード!」
マーズ「はあ!」
マーズは攻撃の隙に背後に回り、すぐに攻撃に移る
ベル「!?ふん!!」
ガキン!
マーズ「!?」
ベルもすぐに振り返り、攻撃をガードした
ベル「ぶんまわし!」
マーズ「あっぶね!」
マーズの頭スレスレを大剣が通り過ぎた
ギバ「お〜、やるじゃん、ベル。今のに反応できるのは中々だな」
ガザル「大剣も扱いが慣れているな。宣言通りそれなりに出来るみたいだ」
ダバン「女性でここまで強いのも久しぶりに見たなぁ。マルティナ様とはまた違う強さだな」
ベグル「まあ俺に比べればまだまだだな」
ロベルト「はいはい、負けず嫌いを発揮させてんなよ」
マーズ「あれを防いだか。中々やるみたいですね、ベルさん」
ベル「そちらこそやはり私の読み通り兵士とは思えん強さ。しかも魔法も高度ときた。これで旅人でもないのだから驚きだ」
マーズ「ありがとな。メラゾーマ!」
ベルに火球が向かっていく
ベル「ふ!」
ベルは叩き切った
ベル「プラズマブレード!」
ベルは大剣を大地に刺し、雷を呼び起こした
マーズ「!?見た事ない技だな!だが!バラツキがあるなら!」
マーズは雷の間を掻い潜っていく
ベル「ほう!これでも攻めてくるか!」
マーズ「しんくうげり!」
ベル「ふ!」
ガキン!
マーズ「マヒャド!」
マーズは蹴りで距離を離した所に氷の塊を降らせていく
ベル「多種な高度魔法に接近戦も可能とは!厄介だな!」
ベルは氷を避けたり斬ったりしていく
ベル「渾身斬り!」
マーズ「よっと!ばくれつきゃく!」
マーズは振り下ろされた大剣をギリギリでかわし、流れるように蹴りを繰り出していく
ベル「ぐうっ!」
マーズ「イオナズン!」
ベル「くっ!負けてはいられない!プラズマブレード!」
マーズの周りに雷が呼び起こされる
マーズ「これは......ギラグレイド!」
マーズの周囲から火が渡り、雷を消し去っていく
ベル「全身全霊斬り!」
マーズ「ビッグシールド!」
ガキン!
マーズは大剣を盾で防いだ
マーズ「くう!中々強力だな」
マーズも盾越しに力負けしそうになっていた
ベル「くっ!これでも駄目か」
マーズ「ふう、一旦ここまででいいか?」
ベル「もう少しやっていたかったが仕方ない。強いな、マーズ殿。このようなレベルは初めてだ」
マーズ「ベルさんこそかなりの腕前だな。一人で旅しているだけはある」
ベル「そうか、ありがとう。だが、まだまだのようだ。私ももっと精進せねばならんな」
ベグル「マーズとは武器的に相性悪いからな。でも、いい戦いしてたと思うぜ」
ベル「ああ。だが、そんなものは言い訳にしかならないからな。どんな相手であろうと負けないような強さを持ちたいのだ」
ギバ「真面目だなー。ま、努力家なのはいい事だよな」
ロベルト「ベグルともやるか?」
ベル「ああ、お願いしたい。同じ大剣使い同士、どんな戦い方か気になるのでな」
ガザル「だってよ。ま、ベグルも勉強になるんじゃね?俺達の中で大剣使えるのお前だけだし」
ベグル「だな。俺も勉強させてもらおうか」
ベル「六人だけなのか?兵士全体としてはもっといるのだろうが」
ダバン「後はもう一人いるんだ。兵士長なんだ、そいつ。今はマルティナ様達に呼ばれて話してるからいないけどよ。後は新入り達とかだな」
マーズ「俺達は兵士長と一緒に新入り達に各武器や戦い方を教えているんだ」
ベル「なるほど、新入り達の師匠のような人だったか。それなら納得だ」
ギバ「まあ俺達にそれぞれの武器の使い方を詳しく教えてくれたのは二人だけどな」
ベル「二人だけだと!?見た所、様々な武器を使うというのに!」
ベグル「凄いよな。それが勇者様の仲間でもあり、ここの有名な将軍でもあるグレイグ将軍とラース将軍だ」
ベル「ほう、流石は勇者と共に世界を救っただけはある。戦闘経験も豊富というわけだな。これは相当な強者と見た。いつか剣を交えたいものだな」
ガザル「あの人達は強いぜ。今でも勝てない時の方が多いからな」
ベル「兵士長という方もさぞ強いのだろう」
ダバン「バンは俺達より確かに強いが、ある意味同じくらいだぞ」
ベル「バン?今、バンと言ったか?」
ダバン「ん?そうだ。兵士長はバンっていうやつなんだ。知り合いか?」
ベル「.............いや、なんでもない。そんなはずはないのだからな」