その頃、玉座の間
バン「..........」
マルティナ「..........」
ラース「.........」
グレイグ「..........」
四人が黙りこんでおり、静かな空間になっていた
バン「え、えっと〜.........大事な話って、何でしょうか?俺、何か悪いことしましたかね?」
マルティナ「ううん、そうじゃないんだけど聞きたい事があって」
バン「は、はい」
グレイグ「ラース、お前から始めてくれ」
ラース「はいよ。バン、某月某日、お前はこのデルカダール城下町に突如現れたらしいな」
バン「!!?え.........」
バンは驚愕の顔をしている
バン「な、なんでそれを......。ラース将軍は知らないはず。俺、誰にも言ってないですよ!」
グレイグ「ホメロスの残したものだ。信じられないのだが、本当にお前は昔の記憶もないままなのか?」
バン「..........」
マルティナ「ラース、やっぱりやめましょう。バンがかわいそうだわ。過去がどうであれ、バンが誰であれ、今の彼はこの国の兵士長よ」
ラース「言いにくいか?バン」
バン「.........隠していてすみませんでした。その通りです。俺、昔の記憶はまだなくて自分が本当は誰なのか、どんな人間なのかもよくわかっていません。でも!これが俺なんだと、今のままが俺なんだと、わかりました。俺は今のままで構わないんです」
ラース「そうか。知りたくはないのか?」
バン「それは..........少し興味はあります。でも、俺はそんな事よりもここにいたいです。今の俺を受け入れてくれるここにいたいです。変わりたくはありません」
グレイグ「わかった。もう一つ聞きたい事がある。ホメロスと口裏を合わせていたそうだが」
バン「そうですね。今までラース将軍達にお話しした事もその口裏合わせによるものです。両親が二人いて、兄弟はなし。兵士には反対されながら入ったという事にしてありました。騙していてすみません」
グレイグ「いや、構わない。お前が周りに怪しまれないようにするためのホメロスなりの優しさだったのだろう。何か思い出したような事はあるのか?」
バン「いえ、特になにも........。強いて言うなら、小さな村にいたような記憶がある程度です」
マルティナ「わかったわ。バン、隠していた事を知ってしまってごめんなさい。でも安心して。私達はこれを知ったからといっても何も変わらないわ。怪しいからやめさせるなんてしないし、対応も変わらないし、周りにも話さない。いつも通りよ」
バン「はい!ありがとうございます!」
ラース「だが、もし何かあったり思い出したりしたら協力するからな。いつかわかるといいな、お前が元はどんなやつなのかをさ」
バン「そうですね。少し気になります」
グレイグ「それでは急に呼び出してすまなかったな。訓練場に戻って構わないぞ」
バン「わかりました。ありがとうございました」
バンは去っていった
訓練場
ベグル「オラァ!」
ガキン!
ベル「ぐうっ!凄いパワーだな」
ベグルの攻撃をベルは大剣で防ぐが、かなり押し戻される
ベグル「ま、一旦休憩だな。二連戦で疲れもあるだろ」
ベル「うむ、了解した。やはり強い。私もいつかこのレベルに到達できれば」
ギバ「駄目だ、ベル!ベグルのやつはとんでもない馬鹿力だからよ!こんな脳筋になっちゃお終いだぜ!」
ベグル「てめえをお終いにさせてやろうか?」
ギバ「げ!?逃げろ!」
ベグル「待てや、ゴラァ!!」
ベル「はっはっは!仲がよいのだな」
ロベルト「まあ十年以上一緒にいるからな」
ギバ「お!バン!話は終わったのか?」
バン「おう。って、ベグル!?な、なんだよ!」
ベグル「どけ!バン!そこの阿保に話があるんだからよ!」
バン「へ?あ、ギバの事か!ほ、ほら!」
ギバ「あー!馬鹿!押し出すな!」
ベグル「捕まえた」
ギバ「ギャアアアア!!!」
ベル「...........」
ベルは騒いでいるバン達の方を見ている
マーズ「ベルさん?どうした?」
ベル「いや、その兵士長であるバンという人が来たようなのでな。少々気になっていた」
ガザル「あんなのは特に気にするようなやつじゃないぜ?」
バン「よー、お前ら!」
バンが降りてきた
ベル「!!?やはり貴様か!!バン!!」
全員「え?」
バン「へ?だ、誰だ?この姉ちゃん」
ベル「忘れたとは言わせぬぞ!!私の家族を皆殺しにした貴様を私は絶対に許さない!!」
全員「ええ!!?」
バン「な、何言ってんだよ!俺、そんな事してねえって!!」
ベル「問答無用!覚悟しろ!」
ベルは凄まじい気迫で大剣を持って突撃していく
バン「いい!?」
バンも必死に避けていく
マーズ「ど、どうなってんだ?」
ロベルト「とりあえずベルさんを押さえこむぞ!」
ガザル「あ、ああ!」
その後、ベルが縄で縛られた後、マルティナ達もやってきていた
ラース「なるほど。このベルって人がどうしてここにいるのかはわかった。バンを襲った理由は?」
ベル「皆様!その男から離れてください!その男は大変危険な人物です!!」
バン「そんな事ねえよ!それを言ったらベグルやガザルの方が絶対危険じ」
ドゴン!
バン「〜〜っ!」
ドサ
ベグル「馬鹿は黙ってろ」
ベグルが顔面に拳を叩き込み、バンは堪らず気絶した
ベル「...........」
グレイグ「なぜバンをそんな悪人扱いする。バンはそんなやつではない。別人と勘違いしているのではないか?」
ベル「間違うものか。その顔、名前、見た目全てが一致している。この男は私の村に住んでいる母や妹達を殺したのだ!」
ラース「(バンの記憶が無い期間の出来事か?だとしても、バンがそんな事をする性格には見えない。記憶がなくなり、この性格になった?)」
マルティナ「村はなんて村なの?」
ベル「ガオスの村だ。ユグノア地方の山中にある人里離れた小さな村だ」
グレイグ「聞いた事がない。地図にも載っていないな」
ベグル「だがよ、ベルさんや、こいつは凄え馬鹿のお人好しなんだよ。人を殺そうなんて考える事すら出来ないやつだ。そんなやつが人殺しなんて出来るのかよ?本人だって知らないみたいだしな」
ベル「私もそこが気になっていた。先程のやり取りでも感じていたが、私の知っているバンと一つ違う点がある。性格だ。こんなにやかましく感情が豊かなやつではない」
マーズ「じゃあやっぱり別人じゃないのか?同じ名前で、たまたま見た目がそっくりなだけだろ」
ベル「.............」
ラース「よし、一旦ベルを解放しろ。ベルにはそのガオスの村に俺達を案内してくれ。それで本当にバンがベルの家族を殺していたのかを判断する」
ベグル「了解しました。もう暴れるなよ?」
ベグルは縄を解いた
ベル「わかりました。どなたが共に行かれますか?」
ラース「まずそこで伸びてるバンは確定。後は俺と..........」
マルティナ「私も行くわ。バンの事が気になるもの」
マーズ「ラース将軍、俺にも行かせてください。ベルを連れてきた俺にも責任がありますから」
ベル「なんだ、マーズ殿。まるで私が悪人かのような言い草だな」
マーズ「少しだけ含ませたからな。城の中で暴れるなんてやっていいと思っていたのか?ベルさん」
マーズは咎めるようにベルを見た
ベル「ぐ.........。それはすまなかった。感情が爆発してしまってな」
ラース「それじゃあこの四人で頼む。グレイグ、マルティナと王様を交代して王様についていてくれ」
グレイグ「了解した。ベグル、バンがいない間頼んだぞ」
ベグル「お任せください。馬鹿がいないのでスムーズに動けますよ」
ラース「おーい、バン。起きろー」
バン「キュウ.........」
ラース「全く。ベグル、もう少し優しくやれ。完全に気絶して簡単に起きなくなってるじゃねえか」
ベグル「す、すみません。いい角度で入りすぎたかもしれません」
ダバン「殴った時の音、顔から出てるとは思えない音がしたもんな」
ロベルト「副長は凶暴で困るぜ、本当に」